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第4回 日本経済の復活

銀行はどう生き残っていくのか

最後のこの章では、今後の日本経済と金融業界についてお話ししたいと思います。

2000年代に入ってからの日本経済は、ようやく「失われた10年」を脱し、ゆるやかではありますが安定的な成長を続けています。実感なき成長とも言われますが、長さではいざなぎ景気を超えたことはよく知られるところです。国内では引き続きデフレ傾向が続いており、この成長は製造業を中心とした輸出産業が牽引していることは間違いありません。
国際的な競争にさらされている製造業は筋肉質な体質になっており、この成長はまだしばらくは続くと考えてよいと思います。

では、金融業界はどうでしょうか。様々な規制緩和が進められ、メガバンクも誕生しました。不良債権処理もほぼ終わり、一見未来は明るいように思えます。
しかし、日本経済が復活したほどには日本の金融機関、とりわけ銀行は復活してはいない…というのが私の見解です。周辺の環境が良くなってきたので銀行も良くなったように見えますが、本質的に変わったのかというと、まだまだその体質はバブル以前とあまり変わったようには思えないのです。投資メガバンクはたしかに規模は大きくなりましたが、逆にいえば大きくなっただけともいえます。肝心な商品開発力や審査力はあまり向上しているようには思えないのです。本当はどういう業務で生き残りをかけるのでしょうか。それは保険や投信を一生懸命販売することではないと思うのです。
また、信金や地銀などの地域金融機関は、2007年10月に民営化されて発足する「ゆうちょ銀行」との棲み分けに苦労することも十分予想されます。業務分野など流動的な部分もありますが、場合によっては「ゆうちょ銀行」に席巻されてしまうといった事態も想定しておかなくてはなりません。

一つの考え方としては、横並びのサービスを提供するのではなく、それぞれの特色を生かした商品やサービスを持った銀行だけが生き残れるとも予想されます。インベストメントバンクとしての強みを生かす、あるいは決済や商業銀行業務のみに特化する…といった得意分野に集中する方向性です。すでにありますがネット専業銀行などはこうした発想から生まれたものだと思います。あるいはトヨタや松下が銀行業務に参入するということだってありうることだし、良いことなのかもしれません。

これからの時代に求められる人材

何らかの強みを持つことが有利なのは、人材にもいえることです。ゼネラリストからスペシャリストへ…という流れはすでに1990年代からあり、今後はさらにその傾向が強まることは間違いありません。専門分野を持ち、収益をあげられるスキルを明確にもっている人材こそが、これからの時代に求められています。

実は、銀行の出遅れは人材育成という面からもいえると思っています。ここにも「失われた10年」の影響が現れており、今ちょうど30代くらいの中堅層が薄く組織としてのバランスが悪いということもあります。
ですから、個人レベルでも自己啓発やスキルアップのための努力や投資を意識することはとても重要です。金融の世界でよりよいポジションを得ようと思えば当然のことかもしれませんが。近年では社会人向けの大学院なども増えてきています。国際的な思考やマーケティング、あるいは金融技術などを学べる環境は整ってきていると思いますので、それらを積極的に利用するべきでしょう。銀行側でも、これまでのようにOJTなど内部だけで育成するのが難しくなってきていますので、外部のリソースを活用することも考えていくべきだと思います。

また、中途採用では、より多様な人材を受け入れるべきでしょう。銀行の中途採用というと若手や第二新卒の採用が中心で、まだまだかつての新卒採用の延長線上でしか考えられていないようにも見えます。外資系金融機関のように経験豊富な人材の採用、あるいは金融以外の業界の経験者の採用(たとえば不動産業務、証券化・証券業務など)、そしてその人材が十分活躍できる環境づくりが必要です。 そこまでくると銀行の風土そのものを変えていくことにつながっていきます。伝統のある組織が多いですから容易ではないでしょうが、最終的にはそれができた銀行だけが世界的な競争の中で生き残っていけるということではないでしょうか。

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