実は損? 年収1000万円のリアルと、お得な年収

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サラリーマンの憧れ、「年収1000万」。

「年収」とは源泉徴収される税金や社会保険料などが引かれる前の1年間の収入金額を言います。1000万円もあれば豊かに生活できるイメージが先行していますが、その実態はどんなものなのでしょうか?

手取りの状況や、実は税金面で損している部分などのデータをまとめ、さらに年収1000万円よりも税金や手当の面で効率の良い年収ラインを2015年度版として算出してみました。

 

1. 「年収1000万円」サラリーマンはどれくらい?
 ・年収1000万円オーバーはサラリーマンの3.9%
 ・男女別・年収1000万円オーバーは
 ・年収1000万円オーバーの人は、どんな企業に勤めている?
2. 裕福? 普通? 「年収1000万円」の家計の実態
 ・年収1000万円の手取り金額は700~800万円程度
 ・年収1000万円世帯の生活費は?
3. 年収1000万円は損? 税金&諸手当の比較
 ・年収1000万円で損をする3つのポイント
 ・ポイント① 所得税率で大損
 ・ポイント② 児童手当(子供手当)の所得制限による減額
 ・ポイント③ 高校の学費無償化の対象外
4. 年収900~1000万円ならいくらが効率的か?
 ・税金や手当てで損をしないために
 ・独身なら→年収に占める所得税の割合が低い980万円、930万円を狙う
 ・中学生以下の子持ちなら→児童手当で損をしない910万円
 ・高校生の子供がいるなら→高校の学費無償化で損をしない940万円以下
 -【参考】同じ年収1000万円でも、共働きで年収500万円ずつの夫婦はお得
5. まとめ

 

1. 「年収1000万円」サラリーマンはどれくらい?

年収1000万円オーバーはサラリーマンの3.9%

まず、実際に年収1000万円を超えているサラリーマンは世の中にどのくらいいるのでしょうか?

下のグラフは、国税庁が年収を100万円ごとに分け(1000万円以上は500万円ごと)、それぞれがどのくらいいるかを割合で示しています。それによると、給与所得者(会社員や公務員など)の男女のうち、年収が1000万円を超えているのは約3.9%。おおよそ25人にひとりという計算になります。

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出典:国税庁 「平成25年 民間給与実態統計調査結果」給与階級別分布

男女別・年収1000万円オーバーは

今度は同じ調査から、男女別の結果を見てみましょう。

年収が1000万円以上の層は、男性6.2%、女性0.9%。女性が大きく下がるのは、結婚や出産などのライフイベントで仕事を辞める人が多いためで、全体な収入自体も男性を大きく下回っていることがわかります。

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出典:国税庁 「平成25年 民間給与実態統計調査結果」給与階級別分布

年収1000万オーバーの人は、どんな企業に勤めている?

では、年収1000万円オーバーのサラリーマンには、いったいどんな会社で働いている人が多いのでしょうか?

東洋経済オンラインの『上場企業版!「平均年収が高い」500社』で、全上場企業約3500社のうち平均年収が高い企業を見てみると、ランキング上位に並んでいるのは、放送局や商社、不動産関連会社などの有名企業です。

また、同じ会社でも営業関係の部署や、経営にかかわる企画系の職種に1000万円以上の人が多いと言われています。

 

2. 裕福? 普通? 「年収1000万円」の家計の実態

年収1000万円の手取り金額は700~800万円程度

年収1000万円の人は、源泉徴収や社会保険料を差し引いた手取りでいくらもらっているのでしょうか? 年収1000万円で家庭持ち、独身の場合の手取り金額をそれぞれ試算してみました。

専業主婦の妻と大学生の子1人という3人家族を支えるAさんの例では、手取り年収は約758万円、ボーナスを除いた手取り月収は約47万円。同じく年収1000万円で独身のBさんは手取り年収は約734万円、月収は約46万円です。

一方、参考値として算出した年収500万円独身のCさんの手取り年収は約391万円、月収約25万円という結果になりました。

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※いずれも夏・冬ボーナスは月給2ヶ月分、生命保険加入済み、賃貸住宅に居住(住宅ローンなし)として算出。1000円以下は四捨五入
※参考:「税理士試験と税務のメモ」より「給与から所得税・住民税・社会保険料・手取りの簡易計算ツール – 控除入力(配偶者控除・医療費控除・ふるさと納税など)」

手取り金額は、家族の人数や他に働いている人がいるか、保険に入っているか、住宅ローンはあるかなどさまざまな要素で変化します。

上の表では、同じ年収1000万円でも、家庭を支えているAさんは独身男性Bさんと比べて約24万円手取り額が多いです。これは家族を養っていることによる優遇措置(控除)が受けられるためです。

また、同じ独身同士として年収1000万円のBさんと年収500万円のCさんを比べてみると、年収は2倍のはずなのに、手取り年収が倍になっていないのがわかります。これは累進課税といって、年収が大きくなるほど税率が高くなる課税方式のためです。

年収1000万円世帯の生活費は?

では、実際に年収1000万円の世帯では、どのような生活費の使い方をしているのでしょうか。上記のAさん、Bさんの例で見てみましょう。

Aさん:50歳片働き、専業主婦の妻と大学生の子1人。中規模メーカーの開発部門長

項目 金額 備考
月収 473,000 年間約189万円のボーナスあり。貯金と家族での海外旅行などに使用
家賃 138,000 都心まで40分、駅から徒歩10分、築10年賃貸一戸建て
食費 30,000  
外食費 15,000 外食は月に1回、家族で
水道光熱費 15,000  
通信費 26,000 子供の携帯代がかさむ
日用品 8,000  
服・靴など 20,000  
医療費 8,000 妻の持病の定期通院あり
保険料 30,000  
貯金 0 子供にお金がかかるので、月々は貯金できていない
趣味・娯楽 20,000 本や映画、妻の料理教室の月謝
家具・家電 5,000 家電はめったに買わない
20,000 4年前に200万で買った車。買い物や普段の足に使っている
教育費 80,000 私立大学理系学部の1年生の息子の学費。入学費用はボーナスを貯めた貯金から支払い。
子供のお小遣い 15,000 子供はバイトもしている
夫のお小遣い 40,000 夫のお小遣いはランチ代込み
交通費 3,000  
合計 473,000  

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Aさんの家庭は平和そのものである

Aさんは現在、家賃13万8000円、築10年の賃貸一戸建てに住んでいます。いずれはAさんの生まれ故郷にある実家で両親と同居する予定なので、マイホームは持っていません。

現在とくにお金がかかっているのは大学生の息子の教育費で、授業料が月額にして8万円。月々は節約し、年間189万円のボーナスは家族での海外旅行などに使っています。

 

Bさん:35歳独身、ベンチャー企業の経営コンサルタント

項目 金額 備考
月収 459,000 年間約184万円のボーナスあり。旅行(ハワイへ50万円)と車のカスタム、貯金に使用
家賃 150,000 部屋は都内のタワーマンション、駅近1DKで30㎡の物件
食費 30,000 買ってきて食べることが多い
外食費 80,000 デート代の外食費がかさむ
水道光熱費 12,000  
通信費 17,000 携帯2台持ち
日用品 5,000  
服・靴など 20,000 服はシーズンごとに4~8万円程度購入
医療費 2,000  
保険料 20,000  
貯金 0 月々の貯金はゼロ。ボーナスで貯める
趣味・娯楽 55,000 本・CD代10000円、映画・ライブ代15000円、その他彼女へのプレゼント代など
家具・家電 8,000 新しい家電に目がなく、頻繁に買い換える
60,000 2年前に300万円で買った車のローンを返済中
交通費 0  
合計 459,000  

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Bさんは最近、彼女からのプレッシャーを感じている

Bさんは都内のタワーマンションに住んでおり、気ままなひとり暮らしで出費もかさんでいます。とくに車にお金をかけ、彼女とのデート代ももちろんBさんもち。

ボーナスで貯めればいい、と普段は貯金していませんが、彼女との結婚を控えてそろそろ貯め始めたほうがいいかもしれないと考えているようです。

 

3. 年収1000万円は損? 税金&諸手当の比較

年収1000万円で損をする3つのポイント

年収1000万円になると、実際には損をしている部分も大きいと言われています。ポイントは「所得税」「児童手当」「高校無償化」の3つ。この3つについて、年収1000万円世帯と600万円世帯を比較してみました。いずれも45歳男性、専業主婦の妻、高校生の息子、2歳の娘の4人家族とします。

両者には本来、400万円の収入差があるはずですが、子供手当てや公立高校の学費を含めた手取り年収にすると、収入差は約253万円になってしまっています。本来600万円→1000万円は1.67倍なのに、約492万円→約745万円では1.51倍にしかなっていません。

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※いずれも夏・冬ボーナスは月給2ヶ月分、生命保険加入済み、賃貸住宅に居住(住宅ローンなし)として算出。1000円以下は四捨五入
※2 手取り年収、手取り月収には子供手当・公立高校学費(授業料)を含む
※参考:「税理士試験と税務のメモ」より「給与から所得税・住民税・社会保険料・手取りの簡易計算ツール – 控除入力(配偶者控除・医療費控除・ふるさと納税など)」

ポイント① 所得税率で大損

600万円→1000万円が手取り額では253万円しか増加しない最大の原因は、所得税率の差です。

所得税率は年収1000万円の人が20%であるのに対し、年収600万円では10%です。控除などを含めて所得税額を計算すると、1000万円世帯の65万8000円に対し、600万円世帯ではたった12万4000円。年収1000万円と600万円の差を大きく縮めているのが所得税なのです。

ポイント② 児童手当の所得制限による減額

次に大きいのが、児童手当です。

同じ2歳の子供を育てていても児童手当には所得制限があるので、1000万円世帯では6万円しかもらえない一方、600万円世帯では満額の18万円をもらっています。

ちなみに「児童手当」とは、15歳未満の子供を育てている人が市区町村から受けられる手当。子供の年齢や人数によって金額が変わり、たとえば3歳未満の1人目なら月額1万5000円、3歳~小学生までの1~2人目や中学生は月額1万円がもらえます。所得制限に引っかかると子供の年齢に関わらず一律5000円となります。

ポイント③ 高校の学費無償化の対象外

最後のポイントが高校の学費無償化(正式には「高等学校等就学支援金制度」)です。

こちらにも所得制限があり、公立高校の授業料を1000万円世帯では年間11万8800円支払うのに対し、600万円世帯では0円とまるまる浮くことになります。

この制度は、国公私立問わず、高校等に通う生徒に対して、授業料に当てるために給付される支援金の制度です。国から高校に直接支払われるので、手元にお金が入るわけではありませんが、家計の収支に大きな影響を与えています。

この3つが重なることで、年収1000万円世帯は手取り額が増えづらいというわけです。

 

4. 年収900~1000万円ならいくらが効率的か?

税金や手当てで損をしないために

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年収1000万円は楽園ではない

では、これから年収1000万円を目指して働こうと考えている人は、近い金額でいくらなら効率的に稼げるのでしょうか? 税金に持っていかれる額が少なく、また手当なども所得制限に引っかからない金額を算出してみました。

独身の場合、高校生の子供がいる場合、中学生以下の子供がいる場合に分けての結果を紹介していきます。
※試算はあくまでも編集部で計算した数値です。自分に当てはまるかどうかはよく確認してください。

年収が低いほうが手取りが多くなることはない

その前に忘れてはいけないのが、どんなに税金が高いといっても、年収1000万円の手取りが990万円の手取りより安くなることは基本的にない、ということです。収入が多いほど税率が上がる累進課税であっても、収入が低いほうが手取りが多いという不公平は起こりません。

とはいえ無理をして頑張っても、収入に反映される額が少なくてはモチベーションも下がってしまいますよね。最近では査定で年収が決まったり、残業で収入を調整できる場合もあります。額面での年収が上がっても、手取りにするとあまり増えないというジレンマを解消するためにも、下記の金額を参考に効率の良い収入を目指してみてください。

独身なら→年収に占める所得税の割合が低い980万円、930万円を狙う

年収1000万円の独身者の場合は、扶養家族もいないので控除も少なく、特別な手当もないため、所得税で効率のよい収入ラインを探るとよいでしょう。

下記の表で示した年収に対する「所得税の割合」を見ればわかるとおり、所得税は「収入が多いほど税率が上がる」累進課税です。圧倒的にお得なラインはありませんが、下記の試算によれば970~980万円、920~930万円のラインだと所得税の増加率が低く、損が少なくなるようです。

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※35歳独身、扶養家族なし、生命保険未加入、賃貸住宅に居住(住宅ローンなし)として試算
※参考:「税理士試験と税務のメモ」より「給与から所得税・住民税・社会保険料・手取りの簡易計算ツール – 控除入力(配偶者控除・医療費控除・ふるさと納税など)」

また、年収1000万円前後では税率は20%ですが、税率そのものを下げたいと思ったら640万円以下(税率10%)まで下げる必要があります。逆にもっと稼ぎたい場合は1090万円以上で税率が23%にアップしてしまうので注意が必要です。

ほかには実家の両親が働いておらず、年金もまだで無収入の場合は扶養家族にするなど、控除を増やす方向での対策も効果的です。

中学生以下の子持ちなら→児童手当で損をしない910万円

児童手当にも同様に所得制限があり、片働きで子供が1人の世帯では、917万8000円以上で児童手当が減額となります(年齢にかかわらず5000円)。

2歳の子供がいる片働き世帯で試算してみると、910万円までは児童手当が12万円もらえますが、920万円になると半額の6万円。児童手当込みの手取り年収で比較してみると、910万円→920万円ではたった1万2000円程度しか増えていないことになります。よって、910万円のラインがお得ということになります。

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※40歳片働き、2歳の子供1人、介護保険加入済み、生命保険未加入、賃貸住宅に居住(住宅ローンなし)として試算。
※参考:「税理士試験と税務のメモ」より「給与から所得税・住民税・社会保険料・手取りの簡易計算ツール – 控除入力(配偶者控除・医療費控除・ふるさと納税など)」

また、児童手当は家族の中に扶養親族(働いていない配偶者や子供、親など)が何人いるかで所得制限が決まります。児童手当の給付対象となる中学生以下の子供が1人でもいる場合は、片働きでひとりっ子なら917万8000円以下、片働きで子供が2人なら960万円以下に収めるとよいでしょう。

※詳しくは→厚生労働省 児童手当Q&A

高校生の子供がいるなら→高校の学費無償化で損をしない940万円以下

高校生の子供が1人いる片働き世帯の場合は、「市町村民税所得割額」の金額が30万4200円以上、つまり下記の試算で年収が950万円になると高校の学費無償化の対象外となります。

そのため、年収950万円以上から公立高校の年間授業料の11万8800円をマイナスした「授業料込み年収」では、年収950万円を年収940万円が上回るという逆転現象が起きています。よって国公立高校に通う子供がいる場合は、年収940万円以下に抑えたほうがお得なのです。

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※40歳片働き、高校生の子供1人、介護保険加入済み、生命保険未加入、賃貸住宅に居住(住宅ローンなし)として試算。
※参考:「税理士試験と税務のメモ」より「給与から所得税・住民税・社会保険料・手取りの簡易計算ツール – 控除入力(配偶者控除・医療費控除・ふるさと納税など)」

ちなみに「市町村民税所得割額」とは、住民税の一部です。会社勤めの人は毎年6月ごろに「市民税・県民税特別徴収税額通知書」というものが配布されるので、そこで金額を確認することができます。

※詳しくは→文部科学省 高校生等への就学支援

【参考】同じ年収1000万円でも、共働きで年収500万円ずつの夫婦はお得

ここまでは基本的に男性片働きの世帯を見てきましたが、夫婦共働きで年収1000万円という世帯もあります。たとえば夫婦と2歳、4歳の子2人の家族で考えてみましょう。

片働きで年収1000万円の場合、手取り額は約758万円ですが、共働きで500万円ずつ稼いでいる場合は約814万円となります。世帯収入としては同じ1000万円のはずが、手取り金額に56万円もの差ができるのです。

大きな理由はやはり所得税。妻と夫がそれぞれ500万円ずつ稼いでいる世帯では、配偶者控除が使えないとはいえ所得税が大幅に安くなります。

さらに「児童手当」も片働き1000万円世帯に所得制限がかかるのに対し、共働き1000万円世帯は満額もらえます。なぜなら児童手当の所得制限は、共働きの場合は夫婦のうち年収が高いほうの金額で計算されるため、年収500万円では所得制限はかからないからです。

ただし「高校無償化」については「世帯年収」で見られるので、年収1000万円世帯では片働き・共働きに関わらず対象外になります。

それを除外しても、共働きで1000万円稼ぐのは節税という意味では非常にお得な選択となっているようです。

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※いずれも35歳、夫婦と2歳、4歳の子2人の4人家族、年俸制、生命保険加入済み、賃貸住宅に居住(住宅ローンなし)として算出。1000円以下は四捨五入
※参考:「税理士試験と税務のメモ」より「給与から所得税・住民税・社会保険料・手取りの簡易計算ツール – 控除入力(配偶者控除・医療費控除・ふるさと納税など)」

 

5. まとめ

いかがでしたか? 年収1000万円の家庭の現実が感じられたのではないでしょうか。

これから年収1000万円を目指す人が効率よく手取りを増やしたいのであれば、独身なら980万円、中学生以下の子持ちなら910万円以下、高校生の子供がいるなら940万円以下を狙うとよいでしょう

サラリーマンの年収1000万円は憧れの年収として数値設定されやすい分、税金でも狙い撃ちにされやすいよう。賢く対策してお得な年収を目指してみてください。