転職×天職 > 転職ノウハウ・コラム > スペシャルインタビュー 藤野英人さんTOP > 社長の性格や人格で伸びる会社ダメな会社を見極める

法則その01
社長が自伝をプレゼントする会社は×
自伝を出すという行為は達成感の現れだ。経営者が既に確定した評価に満足していることを証明していることになる。過去を語りたいという人は、未来に目を向けていないということでもある。伸びている会社の社長は、今これからやりたいことを喋る。もちろん転職者にとっては、その会社がどういう軌跡を歩んできたか、過去を知ることはとても重要なことではある。しかし、自分が掲げた高い目標に向かって邁進している社長は、過去のことに関心がない場合が多い。過去を振り返っている暇がないというのが正確なところかもしれない。現役の社長が自伝を書くということは、結果的に事業に対するプライオリティ(優先順位)が下がってしまっていると言えるのだ。
法則その02
自分の会社の話をすると興奮する社長の会社は○
自分の会社が好きで、ビジネスの話をすると疲れも忘れて語ってしまうような社長は、ビジネスに没頭していると言って良いだろう。投資家が会社を判断するとき、最も注目するのは社長のキャラクターであり、事業への情熱だ。中でも、社長が経営理念やビジョンを話す時に目が輝いているかは重要なポイントになる。反対にNGなのが、会社のビジョンを尋ねると、何でそんなことを聞くのかとしらけた顔をする社長の会社だ。経営者は回りの人から一見不可能に思われるくらいの高い目標を掲げるべきなのである。本田技研工業が町工場に毛が生えたぐらいの弱小企業に過ぎなかったころ本田宗一郎は「F1に参戦する」という大きな目標を掲げてマスコミの失笑を買ったというが、その目標を実現したのはご存知のとおりである。転職者にとってみても、自分の会社について冷めて語る人よりも熱く語ってくれる人のほうが良いことは明らかである。
法則その03
各論を話す社長の会社は○
優秀な経営者は現場のことを詳しく知っている。各論とは現場のことに他ならず、現場のことを分かっている社長と分かってない社長では会社の成長に大きな開きが生じることになる。現場にある程度の決済権を与えて任せることは重要だが、経営者が現場で起こっていることを把握できていないことから企業の崩壊は始まっていく。例えば、花王の経営者はホームセンターに行くと、自社の商品が並んでいる棚のことについては若手のバイヤーよりも詳しいと言われている。花王ほどの大きな企業の経営者であっても、現場の細かなことをしっかりと把握しているのだ。転職者は社長面接に臨んだときに、自分が配属を希望する部署の仕事の中身について質問をしてみよう。その際、質問の意図を的確に理解し具体的な答えを返してくれる社長の会社は伸びる会社といえる。
法則その04
オペレーター型社長の会社は×
日本の経営者は二つのタイプに分類できる。オペレーター型(業務執行者)とイノベーター型(変革者)である。景気が右肩上がりの時代には、オペレーター型の経営者が安定感をもたらしていた。このタイプは年功序列という仕組みのなかで既存のレールを着実に歩むことで、現在の地位を築いたわけである。そのため、自分がいままでたどった道を否定することにつながる、現在のビジネスモデルの変革などには極めて消極的なことが多い。しかし、今の世の中で、旧来どおりのやり方をしていたら業績は確実に下がっていくことだろう。また、このタイプは、業績が上がらない原因を景気や政府のせいにする。しかし実際は、時代に対応した新しいビジネスモデルを創造できていない自分のせいなのである。重要なのはそういう会社にいると、社員まで言い訳をすることが仕事になってしまうということだ。よって自分も成長できず、人材価値も上がらないということになってしまう恐れがある。
法則その05
社長車が高級外国車の会社は×
金ぴかの時計をして、高級外車を乗り回す。従業員に対し「お前たちもがんばって、こんな生活ができるようになれ」と発破をかける意味でそのようなスタイルをしている場合もあるのだろうが、基本的にこの手の社長は中身ではなく外見によってしか社員の動機づけができないことを宣伝しているようなものなのだ。また、日本的風土のなかで、このようなスタイルで行動することは、反発を買うことはあってもプラスになることはなにもない。それがわかってない社長の会社はNGである。
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1966年、富山県生まれ。

90年早稲田大学法学部卒業後、野村投資顧問(現、野村アセットマネージメント投信)に入社。

96年、ジャーディン フレミング投信・投資顧問に入社。中小型株チームでファンドマネージャーとして活躍、99年12月には2600億円を運用するなど、驚異的な実績を収める。

2000年、ゴールドマン・サックス投信に入社。

2003年8月、レオス・キャピタルワークスを設立、代表取締役社長に就任。著書に「トップファンドマネージャーの明快投資戦略」(ビジネス社)、「スリッパの法則」(PHP)、「金のなる木は清い土で育つ〜清豊の思想〜」(経済界)がある。

■参考書籍
スリッパの法則
〜プロの投資家が教える「伸びる会社・ダメな会社」の見分け方〜
(PHP刊・1300円)

準備ができている人にチャンスは微笑む。常日ごろから個人の能力を磨け!
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カリスマ・ファンドマネージャーが語る転職者のための伸びる会社伸びない会社の見分け方