現在の業界の動向
家電業界は、01年から02年にかけて盛んに進められた提携の動きが一段落しました。各社とも、多少価格は高くても高品質で特別な機能を備えた高付加価値商品を次々と開発して、価格低落に立ち向かっています。
高付加価値化で需要を伸ばしたのが白物家電。買い替え需要を中心に、堅調な伸びを見せています。
現在最も活気があるのは薄型テレビ製造分野です。本格的な普及期を迎え、各社とも薄型テレビに力を入れていますが、販売価格の下落への対策が大きな課題となっています。
シャープは06年10月に大型液晶テレビの生産のために亀山第2工場を稼動、07年1月にはポーランド工場で液晶モジュールの生産を開始しました。船井電機も07年にポーランド工場で液晶テレビの生産を開始しています。
海外市場では、世界シェアや技術力などで中国メーカーや韓国メーカーとの競争が激化していますが、一方でデジタル家電の技術開発などでは技術提携も盛んに進められています。
三洋電機は06年3月に台湾のクオンタ・コンピュータ社と、07年1月には中国のハイアール社と提携することを発表しました。07年4月には中国で熱交換器の製造工場「大連三洋高効制冷系統」の稼動を開始しています。 また、船井電機も06年2月に台湾の奇美グループとの提携を発表。韓国のサムスン電子は東芝・ソニーと、それぞれ東芝サムスンストレージテクノロジー・S-LCDという合弁会社を設立しました。
世界の家電メーカーの06年の売上高は米国のGE(ゼネラル・エレクトリック社)、ドイツのシーメンス社が1、2位。日立製作所は第3位の売上高を誇ります。これに次ぐのがサムスン電子、松下電器です。また、オランダのロイヤルフィリップス社は世界の主要メーカーで最も利益率が高い企業として知られています。
家電業界・気になる話題
デジタル放送を目前にして、薄型テレビ各メーカーの巨額投資競争が相次いでいます。「AQUOS」を擁するシャープは大阪府堺市に液晶パネル工場を建設し、今後数年間で総額5000億円規模の投資をする方針を定めました。韓国サムスン電子とソニーの合弁パネル会社(S-LCD)は新工場の稼動を控えており、松下電器産業も2800億円をかけて新工場建設準備に入るなど、各社大規模投資競争の様相を呈しています。
次世代DVDをめぐるブルーレイディスク陣営(ソニー、松下、シャープなど)対HD-DVD陣営(東芝、NEC、三洋電機)の世界規模での競争が注目の的です。北米ビデオレンタル大手・ブロックバスターは、ブルーレイディスクを支持。07年6月、HD-DVDの取扱店舗は当面増やさず、ブルーレイディスクの取扱店舗を1,700店に拡大することを発表しました。
同月にはHD-DVD陣営の東芝が北米向け再生機を約25%引き下げることを発表しています。更に東芝は、個人向けノートパソコン全機種にHDD-DVDを搭載することも発表し、両陣営の主導権争いは激化の一途を辿っています。
ソニー6兆3.339億円
松下電器産業5兆3,353億円
東芝3兆6,117億円
日立製作所2兆8,730億円
三菱電機2兆7,247億円
シャープ2兆2,935億円
ソニーが松下を抜き1位に。この2社が群を抜いていますが、成長著しい東芝も3兆円を突破しました。
日立製作所38万4,444人
松下電器産業32万8,645人
東芝19万708人
ソニー16万3,000人
三菱電機10万2,835人
三洋電機9万4,906人
日立と松下の従業員数は30万人超。経営再建中の三洋電機は06年3月期から1万人以上の人員削減を行いました。
家電業界の主要企業
家電業界売上高トップの日立製作所は、日本国内全企業の中でもトップクラスの規模を誇ります。03年4月には三菱電機と半導体事業を統合し、合弁会社ルネサス・テクノロジを設立しました。また、05年8月には日立製作所の米国子会社である日立コンサルティング社が、北米での事業拡大のため米コンサルティング会社ダヴ・コンサルティングを買収しました。
主なグループ会社には日立アプライアンス・日立マクセル・日立メディアエレクトロニクス・日立モバイルなどがあります。近年、本人認証や電子マネーなどに適したICカードに力を入れ、世界に向けて展開しています。
- 本社所在地
- 東京都千代田区丸の内1-6-6
- 資本金
- 2,820億円
- 連結売上高
- 10兆2,479億円(経常利益2,023億円)
- 平均年収
- 745万円
- 従業員数
- 41,016人(グループ全体384,444人)
家電分野でトップシェアを誇る松下電器産業では、薄型テレビ「VIERA」シリーズ、デジタルカメラ「LUMIX」の売り上げが好調で、07年3月期の売上高が初めて9兆円を突破しました。05年9月からプラズマディスプレイの工場「PDP尼崎工場」が稼動開始。以後工場を拡大しつづけ、現在第5工場の建設を予定しています。06年4月には米国の無線通信技術を持つベンチャー企業トロピアン社を買収しました。
主なグループ企業には日本ビクター、パナソニック半導体ディスクリートデバイスなどがありますが、07年8月にケンウッドが第三者割当増資を実施する日本ビクターへ約200億円出資し、発行済株式の約17%を取得。日本ビクターの第2位株主となりました。両社は資本・業務提携を結び、08年に経営統合する計画を明らかにしています。
- 本社所在地
- 大阪府門真市大字門真1006
- 資本金
- 2,587億円
- 連結売上高
- 9兆1,081億円(経常利益4,391億円)
- 平均年収
- 838万円
- 従業員数
- 44,932人(グループ全体328,645人)
キヤノンと共同生産する予定だった新方式の薄型テレビ「SED」は、キヤノン主導での生産に切り替えられました。SEDの発売はその後延期され、薄型テレビ分野に関しては先行き不透明感が強くなっています。とはいえ近年の東芝全社の業績は好調で、半導体などの電子デバイス部門を中心に積極的な投資を行っています。06年2月には韓国のLG電子と光ディスク製品で契約を締結し、5月には米サンノゼに本社を置くARCインターナショナルと半導体事業で提携。また、06年2月にはロシアに東芝ロシア社を設立、ロシア市場へ本格的に進出しました。06年6月にはネットワーク機器メーカー日本アバイアと、IP電話事業への参入で協業することを発表しました。
- 本社所在地
- 東京都港区芝浦1-1-1
- 資本金
- 2,749億円
- 連結売上高
- 7兆1,163億円(経常利益2,984億円)
- 平均年収
- 782万円
- 従業員数
- 32,309人(グループ全体190,708人)
全社的に事業の再建を図り、エレクトロニクス部門に力を注ぐ方針を定めています。06年4月、NECと光ディスク事業で合弁会社を設立しました。同年7月韓国サムスン電子と共に、世界最大級の液晶パネル工場の設立を発表し、薄型テレビ市場での覇権を目指しています。06年7月には、グループ企業のソニーケミカルとソニー宮城が統合し、ソニーケミカル&インフォメーションデバイスとなりました。
- 本社所在地
- 東京都港区港南1-7-1
- 資本金
- 6,269億円
- 連結売上高
- 8兆2,956億円(経常利益1,020億円)
- 平均年収
- 933万円
- 従業員数
- 16,632人(グループ全体163,000人)
売上高業界5位の三菱電機は、FA機器(工場などの製造ラインの過程を自動化する機器)が主力製品です。家電ではエアコンに強みを持っています。05年7月には日本建鐵を完全子会社化し、ランドリー事業の強化を図りました。05年12月にはインド宇宙研究機関と衛星用バッテリーの供給契約を締結しました。また、韓国のサムスン電子とも02年5月から白物家電、特に洗濯機の分野で提携しています。
- 本社所在地
- 東京都千代田区丸の内2-7-3
- 資本金
- 1,758億円
- 連結売上高
- 3兆8,557億円(経常利益1,847億円)
- 平均年収
- 767万円
- 従業員数
- 16,632人(グループ全体102,835人)





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