「薬事」とは、医療機器の開発・製造、あるいは輸出入に際して、非常に重要な役割を担っています。たとえば、薬事法に基づいて医療機器の構造・性能・品質などに関する情報や、有効性・安全性のデータ等をまとめた申請書を作成し、厚生労働省からの許可を取得するといった業務です。したがって、新製品の上市を多く控えている企業ほど、薬事に対する高いニーズがあるといえるでしょう。
薬事業務には大きく分けて、以下の2つの分野があります。
■(1) RA(Regulatory Affairs):薬事申請
薬事承認を得るための資料作成、申請書類に関わる当局からの質問に対する回答等、薬事承認の取得に直接関わる分野です。近年、医療過誤を防ぐために承認基準は厳格化しており、申請書式にも専門性が求められます。
≪主な業務内容≫
- 本社やマーケティング部門、臨床開発部門と協力し、申請戦略を立案
- 申請書や添付文書の作成、関係当局との折衝
- 関係当局との折衝及びフォロー
- 関係当局からの申請書に対する質問やリクエストへの回答
- 海外の申請資料の翻訳業務
■(2) QA(Quality Assurance):品質保証、品質管理、安全管理
医療機器を販売した後の副作用や不具合情報の収集・管理、製造元の品質管理など、幅広く品質保証に関わる業務です。特に2005年の薬事法改訂に伴い、従来よりも要求レベルの高いISO導入が義務づけられ、製造販売3役(総括製造販売責任者・安全管理責任者(GVP)・品質保証責任者(GQP) の任命が必要となりました。
≪主な業務内容≫
- 品質標準書並びに手順書整備、記録作成、出荷可否の判定
- 品質に関する情報の評価、分析、検討
- 工場との連携並びに品質改善、改良促進
- 国内外からの安全管理情報の収集
- 品質標準書の作成
- 製品の不具合の検証分析
- 新製品(薬事サンプル)の検証
薬事は、その専門性の高さもあってRA、QAそれぞれ分業化しているケースが多いようです。ただ、会社規模によっては一人の薬事担当が兼務する場合もあります。
2005年に薬事法が改訂され、その前後には各社とも薬事体制を新基準に適合させるため、非常に活発な採用が行なわれました。その後、徐々に体制が整備されるにつれ、新規の募集は減少し、現状では自然減に伴う欠員補充など経験者(即戦力)採用が中心となっています。
ただ、医療機器業界での薬事経験者は非常に少ないため、周辺業界(医薬品、化粧品など)での薬事経験者の方にも門戸を開く企業が多くなっています。
薬事未経験の方を募集するケースは極めて少ないのが現状です。しかし、こちらでも薬事経験者自体が少ないことから、基礎知識をお持ちの方を採用し社内で育成しようとするケースがまれにあります。その場合、対象となるのは理工系出身者(電気・電子工学、化学、生物学、薬学などのバックグラウンド)で、ある程度の英語力をお持ちの方です。
語学力(英語力)は経験者、未経験者問わず必要とされます。国内の薬事申請資料も海外の資料をベースに作成される場合が多いこと、日米欧の3極同時申請が増えていること…などの事情により、英語力が必要な局面はますます増えているといえるでしょう。
また、営業・マーケティング・臨床開発…など多くの部署と協調して作業を進めるため、選考では薬事の経験以外に、いわゆるコミュニケーション能力やプロジェクト推進力、チームワーク重視で働いた経験…などが求められる傾向があるようです。
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