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自動車業界でキャリアをつむ —自動車部品メーカーの現状と採用動向—

環境車向けのモーターやインバータ、ECUや電動機の開発など、日々、技術革新が続く自動車業界。このような最先端技術を支える自動車部品メーカー各社はエンジニアの募集を継続的に行っており、一部では、他業界出身者に門戸を広げる企業も出てきています。ここでは自動車部品業界の現状と採用動向についてレポートします。

(掲載日:2012年1月30日)

自動車業界の現状

東日本大震災やタイの洪水による部品や素材の供給網の寸断、円高や、原発事故後の供給電力の規制など、自動車部品業界にとっても逆風が多かった2011年。需要が膨らむ新興国を中心として海外に工場を新設・増設する部品メーカーも多く、国内の空洞化が懸念されています。今後の自動車部品メーカーは、開発力と生産技術力を一層高めていくことが求められているといえそうです。

完成車メーカーは厳しい環境規制に対応するため、低炭素化・軽量化を実現できる製品の開発を部品メーカー各社に求めています。また、完成車メーカーは環境性能の高い小型車の販売割合を増やしていく見込みで、大型車に比べて利益率の低い小型車へのシフトによって部品メーカーには一層のコストダウンが求められつつあります。
このため、部品メーカー各社は製品開発とともに生産技術の水準を更に高める必要に迫られているのです。また現在主流のガソリン車には、ミッション・燃料タンク・排ガス浄化装置など、電気自動車では不要となる部品・機能も多いため、関係する部品メーカーは新技術や応用力の高い技術の開発を急いでいます。

一方で自動車部品業界では、国内の完成車メーカー各社からの受注を目指し、日本国内での研究開発に力を入れる傾向があります。国内の完成車メーカーは「プロジェクトの進めやすさ」や「対応の迅速さ」といった観点から近くにオフィスを構える部品メーカーを好むためです。環境性能や安全性に直結する基幹部品は国内で開発されることも少なくないため、今後も国内の自動車部品業界は比較的堅調に推移すると考えられます。

自動車部品業界の中途採用動向

業界経験者のニーズは引き続き強い

現在、募集が多く出されているポジション
  • キーアカウントマネージャ
  • OEMセールス
  • プロジェクトマネージャ
  • 開発・設計エンジニア/アプリケーションエンジニア
  • クオリティエンジニア

上で触れたように、自動車業界ではエコカー(EV、HV、PHV)に代表される環境配慮型の新技術開発が続いており、部品メーカー各社も新しい技術に携わるエンジニアの採用に力を入れています。実際、大手部品メーカーでも開発・設計エンジニアやプロジェクトマネージャー、セールスエンジニア等の経験者を求める求人が出ており、この傾向は一層強まっている印象です。
自動車部品メーカーにお勤めの方で「Tier1に行きたい」「もっと開発力のあるサプライヤーに転職したい」といった方にとっては、引き続き転職のチャンスといえるでしょう。

キーアカウントマネージャのポジションは、業績好調な部品メーカーをはじめ、増員による受注増加を目指す各社で募集が出されています。
また、今後の自動車部品メーカーは、単に完成車メーカーの要望に応えるだけでなく、優れた燃費や走行性能を実現させる部品を自ら提案していくことが求められるため、自社技術を元にきめ細かな技術提案を行えるOEMセールスや、獲得したプロジェクトを確実に管理できるプロジェクトマネージャは多くの企業で求められています。
さらに、開発・設計エンジニア/アプリケーションエンジニアの求人も一定数出ています。開発・設計職は企業の技術力に直結するポジションですので、経験者であれば、求人が出ていなくても随時応募可能という企業も少なくありません。また、後ほど触れますが、開発・設計・アプリケーションエンジニアのなかでも電気・電子系のご経験をお持ちの方はどの企業でも採用意欲が高く、転職には大変有利な状況です。
また、クオリティエンジニアは、極めて高い安全品質が求められる自動車業界において品質維持の要となるポジションですので、プロジェクト数が増えればその分増員が必要です。また、品質基準に厳しい日本のカーメーカーへの対応強化とサービス向上のため人員強化したいという外資系部品メーカーもあり、このような企業でクオリティエンジニアの募集が行われています。

一方で、人員整理を行う自動車部品メーカーも

採用を強化する企業がある一方で、一部の自動車部品メーカーではリストラや事業縮小、日本法人撤退といった動きもあり、開発・提案力のあるメーカーと、そうでない企業とで明暗が分かれつつあります。
自動車業界は技術革新のスピードが速く、それに伴って業績が浮き沈みする企業も少なくありません。数年前まで業績好調だったメーカーが現在では人員整理を行っている、といったケースも稀ではないのです。自動車部品業界で転職を考えるのであれば、各部品メーカーの今後の事業戦略や経営予測も含めて検討し、転職先を選ぶ必要がありそうです。

今、評価の高いエンジニアとは

自動車部品業界のエンジニアのなかでも、以下のようなご経歴・スキルをお持ちの方は評価されやすい傾向にあります。

ご経験 車載用電装品のソフトウェア開発設計、ハードウェア設計業務の経験がある
英語力 「メール、レポートの読み書きができる」Or「流暢に使うことはできないが、英語に抵抗は無い」レベル以上の英語力がある

自動車業界では電気・電子系エンジニアの需要が高くなっています。これは、そもそも自動車業界に電気・電子工学の素養をもった方が少ないことに起因しています。自動車は数万の部品が電気で制御されている集合体ですが、「自動車=機械」というイメージが強いため、電気系のバックグラウンドをお持ちの方が自動車業界に入ってきづらいのです。その一方で、最近のハイブリッド車や電気自動車では、電気で制御される部品の数が圧倒的に増えています。モーターや電池、コンバータ、ブレーキ、ステアリングはもちろん、ミラーやシートといった内装部品までもが電気で制御されています。
このため、各社とも電子・電気系の学部を修了された方、エレクトロニクス・マイコン・制御等に関する知識・経験をお持ちの方の採用には大変積極的になっているのです。

語学力に関して言えば、ほとんどの企業で一定レベル以上の英語力はほぼ必須といえます。ただ、「メール、レポートの読み書きができるレベルでOK」という求人や「大学で理系を専攻し、英語論文を読むなどした経験から、英語に抵抗がなければOK」といったレベルの求人も出されていますので、外資系企業にお勤めの方理系出身の方にはそれほど高いハードルではないといえそうです。

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他業界から自動車業界への転職

業界未経験の方にチャンスも

現在、部品大手のなかには、業界経験者だけでなく家電、電子部品、通信機器といった他業界出身者にまで対象を広げて採用を強化している企業も出てきています。なかでも組み込み・制御・回路設計の経験をお持ちの方は各社で募集が出されていますから、自動車業界も視野に入れて転職活動をしてみてはいかがでしょうか。
自動車業界は他業界に比べて比較的年収が高く、特に若手であれば年収アップするケースが多いようです。これまでは基本的に業界経験者しか転職することができなかった自動車業界。この機会にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

一方、他業界出身者のなかでも、機械設計のご経験のみの方は、電気系の素養をお持ちの方に比べて求人が少ないのが現状です。これは、機械設計経験者は自動車業界内に既に多くいらっしゃるため、他業界から募集しなければならないほど採用ニーズが逼迫していないためです。ただ、機械設計のなかでもCATIAI-DEASUGNXを使ったご経験があれば、応募可能な求人もあるようです。

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