私たちの身のまわりには様々な「振動」が存在します。自動車や電車などの走行中の振動、モーターやファンの回転による冷蔵庫やパソコンの微細な振動、もちろん地震も振動のひとつ。
これらの振動は機械や構造物の耐久性・信頼性に影響を及ぼし、時には破損・異常停止を引き起こすこともあります。そんな故障や事故を防ぐためには「振動を科学する」ことが不可欠。IMVは創業から50余年、振動を専門に考えてきた世界的にも数少ない企業なのです。
たとえば自動車では、様々な振動を人為的に与えることでフレームやボディの耐振性を見極め、オーディオなどの カーエレクトロニクスの振動影響を調査することができます。また走行中の振動を試作段階で再現すれば、シートの乗り心地や安全性を高めることもできます。まずあらゆる「振動をはかる」、必要であれば人工的に「振動をつくる」。自動車だけでなく、振動の影響が懸念される様々な製品に、IMVの技術が役立っているのです。
振動を科学する会社・IMVの事業は大きく分けて3つの分野から成り立っています。
工業製品、設備機械、建築・土木構造物などで発生する振動や地震を監視し、データとして収録・解析処理する装置がメジャリングシステムです。これは、
といった場面で、多くの課題解決に役立っています。
また同社の「地震監視装置」は、地震大国日本においてあらゆる施設に設置されており、二次災害の防止に力を発揮しています。例えばガスや石油などのエネルギープラントでは、地震発生時にガス・石油タンクの緊急遮断弁を閉鎖し、警報を発信。ガス・石油もれを防止し、被害を最小限に食い止めます。
振動試験のポイントは、実際の振動をどれだけリアルに再現できるかにあります。振動は単純な一方向の動きではありません。二方向、または上下・左右・縦横といった三方向同時の複雑な動きで構成されています。
同社は2軸同時・3軸切替の振動はもちろん、3軸同時振動も実現。これに回転運動振動を加えた「6自由度シミュレーションシステム」まで開発し、限りなく現実に近い振動の再現を可能にしました。
世界トップクラスといわれるこの技術は現在、
など、幅広い分野で利用されています。
またTV番組やニュースでもよく取り上げられる「地震体験車」「地震体験室」などの「動電式地震体験装置」もIMVの仕事のひとつ。震度ごとの揺れ、あるいは歴史的な大地震波を再現することができ、防災意識の喚起や安全対策の再確認などに貢献しています
振動試験の受託や解析、コンサルティングもIMVの重要な業務です。大阪・東京に開設されたテストラボは世界水準の設備と試験技術を誇り、そこで顧客のニーズに合わせた様々な試験・解析を実施。高い専門知識と豊富なノウハウを活かして、多くの企業の振動に関する問題解決をサポートしています。
IMVは1957年の設立以来、振動技術の研究一筋に取り組み、現在では国内トップメーカーの地位を築いています。しかしここまで決して順風満帆の航海だったわけではありません。1974年には会社更生法の適用を受け、1985年の更生手続終了まで、役員・従業員一丸となって努力してきたという歴史もあります。
そんな荒波を乗り越え、さらに「振動を極める」ために技術力・開発力に磨きをかけてきた同社。振動をはかる・つくる・テストするという総合力で他の追随を許さず、2005年7月にはJASDAQ市場への株式上場を成し遂げました。当時は「更生法適用を受けた企業がV字回復で上場」と話題になったほどです。
設立以来、苦しいときも、成長のときも、同社は「安全を見つめて未来の社会に貢献する」という理念のもとで「振動」と向き合ってきました。今後も同じ理念で、さらに世界を視野に入れた事業展開を目指しています。
国内トップメーカーの地位に甘んじることなく、事業領域の拡大にも力を注ぐ同社。海外事業部では、これまでのアジア諸国だけではなくBRICs、さらにはVISTAをターゲットに海外市場の開拓に乗り出しています。特に振動シミュレーションシステムへの需要が高まるロシア・インドなどに技術・サービスを積極的にアピールし、企業認知度を高める活動を行っています。
IMVは2006年8月にISO14001認証(大阪サイト)を取得。これに基づく環境マネジメントシステム(EMS)を構築し、環境改善活動を推進しています。同社はもともと振動という環境の再現や、地震の環境要因の測定・分析など、環境と深く関わってきた企業です。早くから社内に「IMV環境方針」を掲げ、さらに2006年より「環境行動計画」を策定。従業員一人ひとりが環境問題の認識を持ち、化学物質の使用量削減、省エネ製品の開発などで地球環境の保全に努めています。
同社の事業部門のなかでも特に成長著しいのが「テスト&ソリューションサービス」です。「東京テストラボ」では電力関連・自動車関連業界からの長期大型試験の依頼が多く、その受託試験実績は業界トップ。また2005年開設の「大阪テストラボ」ではオールウェザーシミュレーションシステムを導入し、西日本の顧客を中心に依頼が急増中です。
これら2つのラボで、同事業部門は大きく売上を伸ばしました。さらに2007年9月開設しました「名古屋テストラボ」で、地域に密着したラボをという自動車関連業界からの要望に応えるとともに、新たなニーズの開拓でさらなる成長を目指します。
50年の歴史と実績、そして振動に関する先進の技術を有するIMV。研究に対する企業姿勢は実直ですが、その社風は至ってオープンです。互いの意見を尊重し、優れたアイデアなら新人の提案でも積極的に採用するという風土があり、各個人が裁量権と責任を持って仕事に取り組む自主自律の精神も根付いています。
仕事の中では先輩や同僚の協力・フォローが行き届き、一級建築士や中小企業診断士の資格取得の奨励など自己啓発にも積極的。社員全員で、また会社全体で個々の成長をバックアップしようという空気に満ちています。
もちろん「振動技術により社会の安全・安心を支える」という理念も全社員に浸透。誰もが高い志と誇りを持ち、日々「振動」と向き合っています。少数精鋭ながら数々の世界的技術を生み出す秘密は、こうした企業環境にあるのかもしれません。
担当コンサルタント
結城 賢治
「振動」に特化した同社のような企業は他に無く、そういった意味では、ニッチTOP企業と言っても良いでしょう。
最近の同社の傾向としては、製品の販売以上に、テスト&ソリューション事業が好調です。交通災害や地震などへの対処として電力事業、鉄道事業、自動車メーカーなどから「振動」のエキスパートである同社への依頼が、世情も反映し、急増しているのがその理由です。
それに伴い、テストラボのある、東京・名古屋・大阪で主に技術者の方を積極採用中です。
同業他社がほとんど存在しないことから、募集中のほぼ全てのポジションにおいて、業界経験よりも、職種経験を重視して選考している同社。新たな分野で有するキャリアを活かしたいとお考えの方にはお薦めの企業です。