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日本電子材料株式会社

半導体の進化発展に不可欠な「プローブカード」で、国内トップ、世界2位のシェアを誇る研究開発型メーカー。
(取材日 2007/11/16 )

半導体の発展に伴い進化する「プローブカード」

◆プローブカードとは…

これは半導体の良・不良を判別するウエハテスト工程で使用される検査用部品。英語ではProbe(探針)Card(基板)と記され、「探針付き基板」と訳されます。シリコンウエハ上に作られた多数の半導体チップの電極にプローブ(針)から電気信号を通し、チップ一個一個が正しく作動するかどうかを検査。このプローブカードで国内トップ(40%)、世界2位(16%)のシェアを握るのが日本電子材料株式会社です。

携帯電話・デジタルカメラ・携帯音楽プレーヤー・薄型テレビ…。いまや半導体は私たちの身のまわりのあらゆる製品の中に存在します。その利用範囲は拡大の一途をたどり、また製品の小型化・高機能化に伴って半導体そのものもどんどん高集積化。プローブカードによるウエハテストの重要性も増すばかりです。

またプローブカードはテストする半導体の仕様に合わせて個別に設計・製造される特注品。半導体のモデルチェンジのたびに新しく設計・製造される、いわば消耗品です。常に一定量が消費されるため、好不況の影響を受けにくいという特長もあります。もちろん半導体の需要は年々拡大しており、日本電子材料の主力製品であるプローブカードの生産量も急増中。今後もさらなる成長が期待される分野といえるでしょう。

◆MEMS技術により画期的なプローブカードが誕生

半導体の進化とともに、プローブカードにも急速な技術革新が求められています。そのひとつがプローブ(針)の微細化。半導体の搭載量が飛躍的に増加し、高集積化・高速化が進む中、半導体業界では「より微細なプローブ」が必要となってきました。

こうした状況に応えるため、同社では早くから最先端技術として注目を集めるMEMS(Micro Electro-Mechanical System)技術を盛り込んだ次世代型プローブカードの開発に着手。従来とは異なる全く新しい製造過程によるプローブ作成技術を完成させ、「Mタイププローブカード」を生み出しました。

これまでプローブカードのプローブ(針)は手作業で並べられていましたが、「Mタイプ」では必要な部分に必要なプローブを機械的に作成することができます。品質向上というメリットとともに、手作業では不可能なレベルの超微細プローブの製作を可能にしました。そして半導体業界から待ち望まれてきたこの画期的な新技術・新製品がついに今年度、本格的に市場に投入されようとしているのです。

◆常に新たな技術を追求しつづける日本電子材料

2007年4月、同社は今後のプローブカード市場の未来を切り開くと予測される「Mタイプ」の事業化促進のため、「JEMファインテック株式会社」(合弁会社/兵庫県)を設立しました。しかしこの合弁会社の使命はそれだけではありません。プローブカードのさらなる微細化・大口径化・低針圧化といった数多くの技術課題に応える重要な開発・生産拠点として、今後より大きな役割を担うことになるのです。

日々進化する半導体の世界では、プローブカード開発にもゴールはありません。同社はMEMS技術のような最先端技術を常に取り込みながら、これからも半導体の技術革新の一歩先を進んでいきます。

一気に東証一部上場へと駆け上がった急成長企業

◆ジャスダック上場からわずか8年で東証一部へ

日本電子材料は1960年、ブラウン管用カソード・ヒータを主力製品に、日本のベンチャー企業の草分けとしてスタートを切りました。1965年には、世界初のタングステン製蛍光文字表示用電子管を開発。当時から先進的な技術開発力を発揮し、業界をリードしてきました。

その同社が1970年に米国の「Rucker&Kolls社」との技術提携で、IC・LSI等の検査用部品プローブカードの製造販売を開始。以後、半導体の進化とともに自らの技術力に磨きをかけ、急成長を遂げてきたのです。

1998年には日本証券業協会(現ジャスダック証券取引所)に株式を店頭登録、2005年には東証二部に上場、さらに2006年には東証一部に…。 特にここ数年の成長には目を見張るものがあります。

◆急成長を支えるのは独自の人材観に基づく企業づくり

こうした目覚しい発展の影にあるのが「人類に幸福をもたらす技術の開発と製品化により社会に貢献する」という経営理念です。

ただし理念だけでこれほどの成長を遂げることはできません。理念を実現する原動力となっているのは、社員一人ひとりの仕事に対する情熱と誇りに他なりません。

同社は「『人』が企業をつくり、企業が『人』をつくる」という独自の人材観を持っています。そしてこの考えのもと、「がんばった人が報われる会社」を目指し、誰もが常に高いモチベーションを持ち、能力を最大限発揮できるような制度・組織づくりに力を注いできました。その結果、社員が技術開発に集中できる環境が生まれ、先進的な新技術・新製品が次々に創出されてきたのです。

そのグローバル戦略に、さらに拍車がかかります

1987年 アメリカのシリコンバレーに「JEM AMERICA CORP.」を設立
1988年 香港に「JEM(HONG KONG)CO.,LTD.」を設立
中国に新工場を開設
1993年 台湾に「JEM TAIWAN PROBE CORP.」を設立
1997年 イギリスに「JEM EUROPE LTD.」を設立
1999年 韓国ソウル特別市に「同和JEM株式会社(合弁会社)」を設立
2003年 上海に「上海日智電子有限公司」を設立
フランスに「JEM EUROPE S.A.R.L.」を設立
2006年 シンガポールに「JEM(SINGAPORE)PTE.LTD.」を設立

このように日本電子材料は早くから海外進出を果たし、エレクトロニクス産業の国際化とともに次々にグローバルな生産・販売拠点の展開を行ってきました。各国に広がる顧客からのニーズへの対応、技術サポートの強化をはかるとともに、コスト競争に打ち勝つためのグローバルロジスティクスの実現を目指し、そのネットワークを世界に広げてきたのです。

同社は特にアジア市場での優位性を確立することにより、海外売上高比率50%以上を目指しています。

すでに従業員約1000名(グループ全体)の半分が海外拠点で活躍している同社ですが、今後は海外への人的・技術的サポートを一層強化していく予定です。そのために「世界に貢献できる人材の創出」を目的に、専門講師を招いての英語教育も実施。可能性を持った若手技術者を対象に充実した研修を行っているのです。そのビジネスがさらに世界へと広がっていくのに伴い、社員がグローバルに活躍できるチャンスもまた、大きく広がっていきそうです。

コンサルタントからのメッセージ

同社の会社規模や売上高は半導体分野の総合大手メーカーと比較した際、小規模に感じるかもしれません。しかし、同社製品の国内シェア1位、世界シェア2位などの「市場価値」や、本文中にも記載のある、経常利益額・率などの「健全で優良な事業運営」などで判断すると、大手同業他社にひけをとらないバリューを有する企業であるといえるでしょう。

そして、その躍進を支えているのが、技術開発力・製品力だけでなく、「人材である」と明言する同社。実際に、それを実感している社員が、仕事や仲間に対しやりがいを感じ、革新的な製品を世に生み出す原動力になっているといえるでしょう。そのような風土の企業に興味がある方は、一度お問い合わせください。

(更新日 2008/08/01 )