ニッタ株式会社は1885年の創業で、123年という歴史を持つ東証・大証一部上場企業。1888年に日本で初めて動力を伝える「伝動用ベルト」を開発しました。
動力を伝える仕組みには歯車などもありますが、ベルトのほうが構造もシンプルで設計も容易。自動車、家電、産業用機械…。
私たちの身のまわりのあらゆる製品に、ニッタの「伝動用ベルト」が組み込まれています。
また、ベルトは動力を伝えるだけでなく、「モノを運ぶ」という分野でも幅広く利用されています。空港で荷物を運ぶコンベアも、銀行のATM機の中のお札を運ぶ仕組みも、工場の製造ラインで流れ作業を可能にしているのも、すべてニッタの「搬送用ベルト」です。
伝動用・搬送用とも一般の人の目に直接ふれることは少ない製品ですが、ニッタはこの「ベルト」という分野では世界屈指のメーカーなのです。
伝動用ベルトからスタートしたニッタは、搬送用ベルト、コンベアシステム、ゴム成型品、空調用フィルタ、メカトロ機器、センサ製品などへと事業領域を拡大してきました。国内外の優れた技術を持つ企業との合弁・提携などを積極的に推進。ホース・チューブ、歯付ベルト、精密研磨資材といった分野でも高い技術を誇り、確固たる地位を築いています。
現在は自動車、家電・OA機器、建築土木、食品、交通、メディカルなど幅広い産業に製品を提供。世界中に約40の拠点・関連会社を持つ一大企業グループとなっています。
もちろん闇雲にビジネスを多角化してきたわけではありません。すべては「製造業の原点に立ち返り、シーズ(種)提案 を事業展開の軸として、ニッチ市場において常に一歩先をゆく企業グループ」というビジョン、「お客様に満足いただけるモノづくりとあらゆる技術への挑戦」という理念に基づいています。
市場規模が小さくても産業の発展や人々の暮らしに欠かせない製品を創る。技術領域を限定せず、常に新たな挑戦をしながら大手が進出しにくいニッチな分野でトップを獲る。顧客ニーズに応えるのではなく、顧客も気づかないような新しいシーズをニッタから発信・提案していく。
それが同社の事業方針です。
このビジョンどおり、ニッタはこれまでも各産業の根本を支える重要な製品を次々に生み出してきました。縁の下の力持ち的な役割を果たし、「見えないところですごいことを」「すごいことをあたりまえに」してきたのです。同社ではこれを「スゴイコトニクス」と名付け、グループのスローガンにしています。今後もこのスローガンのもと、豊かな発想と創造力、多彩な技術力、そして各技術の有機的な結合で、新たな「すごいこと」に挑み続けます。
エネルギーを伝える、モノを運ぶ、環境を設計する、新素材を生み出す、メカトロニクスの常識を変える…。私たちの身のまわりのあらゆる場面で活躍するニッタグループの技術・製品の一部を、事業分野ごとにご紹介します。
エンジンのカム駆動用「タイミングベルト(歯付ベルト)」は、ニッタグループを代表する製品の一つ。パワーを確実に伝えるため「歯付」という形状になっており、国内主要自動車メーカーに納入されています。またパワステやカーエアコンなど補機を動かすのも同社のベルトです。
乗用車の燃料配管やトラックのエアーブレーキ配管に使用される「チューブ」「継手」もニッタグループの製品です。気化したガソリンの耐透過性に優れ、かつ軽量という特長をもった独自の材料を使用しており、最高レベルの環境基準に適合しています。そのため多くの自動車メーカーに採用されております。
ワイパーとフロントガラスの密着度を測定する「センサ」、人が座席に座る際の圧力を計測する「座圧センサ」もニッタの技術。雨の日も雪の日も確実に機能するワイパーや、快適な座席の設計・開発を支えています。
1967年に日本で初めて実用化に成功した駅の自動改札機にも、ニッタの技術が活かされています。2枚のベルトで切符を挟みわずか0.9秒で送り出す「精密搬送用ベルト」が、現在は多くの鉄道で活躍。銀行のATMで薄い紙幣を確実に搬送する仕組みにも、同様の技術が用いられています。
空港で荷物を運ぶ「スパイラルコンベア」もニッタの製品。階と階との間の荷物の上げ下ろしを螺旋状のコンベアで行うことで、省スペース化にも貢献しています。
高速道路や橋の継ぎ目に使用される「伸縮ジョイント」です。夏と冬の気温差で生じる道路の伸縮をしっかり吸収し、車の安心・安全な走行を実現します。
橋梁やビルなどの土台に組み込まれ、地震時の揺れを吸収する「ゴム支承」「免震装置」もニッタの製品。独自の特殊技術で開発された高品質ゴムが、建造物の安全を守っています。
病院や半導体工場で、ミクロン単位の埃や有害ガスをシャットアウト。清潔な環境を実現しています。
福祉車両で車椅子を静かにスムーズに昇降させているのもニッタの「駆動用ベルト」。またフィットネスクラブの「ランニングマシン用ベルト」では、音を小さく、足への負担を軽くし、安全なトレーニングを支えます。
歯科医療の分野では歯の噛み合わせや隙間を見る「センサ」が、快適・確実な診療に貢献しています。
ニッタの技術は自動車の車体だけでなく、自動車の製造現場でも活躍。その代表が「オート・ツール・エクスチェンジシステム」です。これは製造ラインで働くロボットに自動でツールを交換する機能を持たせるもので、これまで2台・3台のロボットが行っていた工程を、1台でこなせるようになるという画期的なシステム。生産性の向上やコスト削減につながるとあって、多くのメーカーから注目を集めています。
ニッタの精密な駆動用ベルトやセンサは、二足歩行ロボットの開発にも関わっています。実はCMでおなじみの「走って踊る」あの有名なロボットの中にも、ニッタの技術が活かされています。
大阪本社
ニッタは常に新しいことに挑戦し、事業領域を広げることで123年の歴史を刻んできました。
一つの事業が不調に陥っても他の多くの事業・新たな事業がそれをカバーし、全体として安定成長を続けられる強固な体質を築き上げてきたのです。それを社員の働く環境に反映させるのも同社の特長。2007年10月には東京の自社ビルを建替え、より快適なオフィス環境を実現しています。
もちろん社員の育成にも全力を注いでいます。
事業全体を把握し総合的な知識を身につけられるよう、若いうちに多くの事業部・職種を経験できるローテーションを実施。希望者には語学研修の機会も提供し、海外勤務のチャンスも大きく開かれています。
社員が常に視野を広げていけるように、自主性・多様性・個性を尊重し柔軟な発想力や斬新な創造力を存分に発揮できるように…。それがニッタの人材育成方針なのです。
ニッタは北海道に、日本の私企業としては第10位という広大な面積の山林を所有しています。創業当時の事業に必要だった槲(かしわ)の木を確保するために原野を切り拓き、植林を実施。最初に植えられた木は樹齢100年を超えています。
以来、ずっと山林を守り続けてきたニッタ。この森林が貯蔵しているCO2量は124万CO2トンになり、一般家庭が1年間に排出するCO2量の22万世帯分に相当します。
「テクノロジー優先ではなく、たとえば環境や文化と技術が融合するかたち」
これは同社のコーポレートスローガンの一節。1世紀も前から未来を見据え、地球環境を考え続けてきた企業としての哲学が、今もしっかりと受け継がれています。
搬送用ベルトで、122年という長い歴史と高いシェアを持つことで有名な同社ですが、時代のニーズに合わせて柔軟に新規事業を展開し、新しい技術・製品を生み続けています。
各事業部と、グループ会社が、それぞれの分野で業界トップクラスの技術力やノウハウを保有し、必要に応じて連携し、お互いにバックアップするユニークなシステムを構築しています。
また、社風としてはアットホームで、一部上場の世界レベルの企業には珍しく、社員と代表の距離が近いところも魅力の一つです。社長自らが製造現場を訪れてコミュニケーションを図ったりもされています。
同社の事業展開は非常に多岐にわたっていることもあり、機械・自動車の設計経験をお持ちの方や化学のバックボーンをお持ちの方など、モノづくりに関わる様々な知識やご経験を活かして頂けるフィールドがあります。