近年の商社は、単に物資や商品の売買、貿易などを行うだけではなく、自らが主導して「ものづくり」を進めるビジネス形態に移行してきています。こうした商社による「ものづくりビジネス」の先がけとなった企業の一つが、神戸を拠点に120年に及ぶ歴史・実績を持つ神栄株式会社です。
同社の創業は1887年。日本の主要輸出製品であった生糸の市場を神戸で新設するため、国立銀行の幹部を中心とした生糸問屋として設立されました。当時、神戸は国内最大の貿易港。神栄も早くから中国市場に取り組み、対中貿易ではトップクラスの存在となりました。これが今日にまで続く同社の中国ビジネスの土台となっています。その後も、時代の変化に対応しつつ、新たな事業分野に積極的に取り組んできました。
現在では、東証・大証一部に上場する企業として、グローバルに着実な成長を続けています。
神栄の現在のビジネス分野は、大きく分類して「衣・食・住・情報」という生活と社会の基盤となる領域に集中しています。以下、その主要4部門を簡単にご紹介します。
神栄設立のきっかけとなった中核事業。素材開発からアパレルの企画~製品化までを行っています。海外(特に中国)の加工・縫製工場との提携による高い国際競争力、半世紀以上にわたって時代のニーズを先取りしてきた実績を持っています。
1970代以降に活発化した中国からの食品輸入事業を中心に展開。特に業務用冷凍食品ではトップサプライヤー。日本の外食産業を支えています。また、食の多様化や安全に対応し、原料の仕入段階から独自の製品開発に注力。売上高では同社の主力事業となっています。
高機能ガラスやベアリング、建築資材など、商社機能に加えて、製品開発から供給までのトータルなものづくりに取り組んでいます。現在では建設ラッシュが続く中国向けの建機輸出が好調に推移しています。
戦時下での軍用物資供給に端を発し、現在はコンデンサ、センサ等を中心に電子部品を提供。特に1970年に同社が世界で初めて製品化した湿度センサは、家庭向エアコンから産業用空調機器にまで広く利用され、世界トップシェアを誇っています。
これらのすべての分野で、同社では生産段階から深く関わり、高い利益率をあげることをめざしています。商社というよりも、マーケットに最も近いメーカーといえる存在が神栄なのです。
同社の「ものづくり」のDNAは各事業分野で脈々と受け継がれています。同業の大規模な企業と比較すると、一人一人が担当する業務の幅が広く、企画などの上流工程から海外での生産管理、さらには国内での物流まで、プロジェクトの全体像を把握しながら一連の業務に取り組めるのが特長です。
これは、繊維製品部で一人の社員が担当している業務です。
これはほんの一例ですが、国内と海外をつなぎ、最終的に何を作るのかを常にイメージしながら取り組むことが必要な業務です。
現在は中国を生産拠点としてビジネスを行うことが多い同社ですが、今後は中国自体が消費国に変貌していくことも予想されます。また、ロシア、インドなど新しいマーケットへの対応も視野に入ってきています。国際的な環境でプロジェクトを引っ張っていきたいと考える方には、まさに絶好の環境があるといえる企業です。
時代を先取りし、変化を恐れずに成長してきた神栄では、人財についてもフレキシブルな対応のできる能力を育てていきたいという姿勢で取り組んでいます。
中途採用の場合は、基本的には即戦力の採用となりますので、先輩社員のアシスタントとして実際の業務に関わるOJTが中心となります。もちろん、同社ならではの幅広い業務のすべてを経験しているケースは稀であるかもしれません。 一部でも詳しい経験がある、あるいは「ものづくり」の流れ全体をきちんと把握している、ということであれば、比較的スムーズに業務に慣れることが出来ます。
また、海外関連の業務が多いため、語学力は重要になります。これについては、会社が自己啓発を支援する制度があり、学費の補助などで社員のレベルアップを応援しています。
歴史のある上場企業ですが、規模的には170名台と全体が見える、ほどよいサイズの企業ではないでしょうか(海外グループ会社も含めた連結では640名台)。そのため一人一人に任せられる業務の範囲が広く、仕事の醍醐味を感じられると同時に、確実に成長できる環境だと思います。
また、変化にいち早く対応していく風土があり、新しいことに取り組んでみたいという方、国際的な舞台で活躍してみたい方にも、ぜひ注目いただきたい企業です。ビジネスレベルの日本語ができる方で、中国語がネイティブという方も活躍されています。
また、社風に関しては伝統のある日本企業の良さが保たれており、社員への面倒見がとてもよい企業です。そのため離職率も低く、定年まで勤続される方もとても多いとお聞きしています。