ドイツを本拠地とするシーメンスは、産業用機械、エネルギー関連、医療機器…など幅広い分野をカバーする、世界でも代表的な総合電気メーカーとして知られています。同社は190カ国以上に事業展開するグローバル企業でもあり、その総売上高725億ユーロ(約12兆円)のうち83%がドイツ国外での売上です。
また、グループ全体で47万人を超す従業員のうち68%が本国ドイツ以外で働く現地法人の社員です。
シーメンスは、早い時期から日本にも進出し、その製品を販売してきました。最初の事務所を東京・築地に構えたのは、なんと今から120年以上前の1887年のことです。
現在では日本国内にグループ会社14社を持ち、インダストリー、エネルギー、ヘルスケアの分野を中心に2,450人の社員が活躍。国内グループ売上高も1,120億円にまで拡大しています。
この日本におけるシーメンスグループの中でインダストリー・エネルギーの中心的な役割を担うのが、シーメンス株式会社です。インダストリー分野としては、自動制御機器、産業ソリューション&サービスです。その中でも主力製品としてもっとも力を入れているのが「自動制御機器(産業オートメーション&ドライブシステム)」です。
実は、日本の大手メーカーはその生産技術の高さで長く世界をリードしてきた自信もあり、工場設備の制御についても独自技術にこだわりを持っていた企業がほとんどでした。そのため海外の優れた技術にもあまり目が向けられてこなかった歴史があります。しかし、10年ほど前から国際的競争の一層の激化や、自動車メーカーを中心に海外生産が盛んになるとともに、世界の先端技術を導入することにも意欲的な企業が着実に増えてきました。
そこで注目されたのがシーメンスの自動制御技術だったのです。同社の自動制御機器は、1つのシステムで工場内の自動制御に関わるすべてのプロセスをカバーする「Totally Integrated Automation(TIA=統合オートメーション)」というコンセプトを実現するなど、その技術力の高さから競合他社の追随を許さない世界トップシェアを誇っています。
日本市場は、このシーメンスのシェアが高くない世界でも唯一の市場だったのですが、1990年代に同社の日本市場への取り組みが本格化するとともに、その売上は急速に伸びています。自動制御ドライブシステム事業部は、日本で長い歴史を持つシーメンスの中では新しい事業部門ですが、現在では毎年二桁成長を記録する注目の成長部門となっています。
産業用オートメーションは大きく分けて、自動車や電気機器などの組み立て工場向けのファクトリーオートメーション(FA)と、石油精製、化学工業などの素材生産工場向けのプロセスオートメーション(PA)に分けられます。シーメンスの自動制御ドライブ(PLC・SIMATICシステム)は、このFA/PAの両分野をカバーしており、ラインナップの幅広さでも優位に立っています。
特に、PLCを二重化し万一アクシデントが発生した場合でも運転を停止しない「SIMATIC 二重化PLCシステム」や、逆に故障や人為的ミス発生時に速やかに装置を停止させる「SIMATIC 安全PLCシステム」といったハイエンドシステムは、今後、世界に続いて日本国内でもトップシェアを狙えるポジションにあります。
また、このSIMATICシステムにはPLCの他に、FAコンピュータ、SCADAソフトを含むHMI、エンジニアリング用コンフィギュレーションソフト、ネットワーク技術などが含まれ、それぞれ高度なテクノロジーを提供しています。
現在シーメンスでは、こうした最先端製品を日本市場に提案・導入していくスタッフの積極採用が行われています。現在、同事業部は約80名規模ですが、毎年10名前後の割合で中途採用を実施し、拡大するマーケットに対応しています。
中途採用を行なっている主なポジションは、セールスエンジニア、カスタマーサポートエンジニア、プロモーター(プロダクトマネージャー)など。電気関連のエンジニアとしての実務経験、特に制御技術の知識をお持ちの方であれば、大いに可能性があります。世界で認められた優れた製品を取り扱う、あるいは海外のエンジニアとも協調して業務にあたる…といった日々を通じて、自分自身もまたステップアップできる仕事ができる環境です。
では、具体的にどういった経験があればシーメンスで活躍できるのでしょうか。近年同社に入社して活躍されているエンジニアの方の経験から代表的なものをまとめると、以下のような項目になります。
組み込みシステム開発経験者については、プリンタやスキャナーといったOA機器業界から転身された方もいます。必ずしもFA/PA業界での経験が必須というわけではありません。また、製造業の工場で自動制御システムを使う立場にいた方(生産技術など)が、そのユーザーサイドでの経験を生かして活躍されているケースも多くあります。
また、外資系企業ということで気になる英語力ですが、結論からいえば、選考は「技術知識優先」で行なわれます。英語に関しては、入社後のトレーニングや補助制度などで必要な語学レベルに達することは十分に可能です。実際、入社後に勉強を始めて、現在は英語を使う業務も問題なくこなしている…という方も多数いらっしゃるそうです。
ワールドワイドに展開する多国籍企業シーメンスは、まさに外資系企業の代表のような存在といえます。しかし同時に、120年以上も日本の風土に根づいた事業展開を行ってきた歴史を持つ企業でもあるのです。今日では外資系企業と日本企業、それぞれの良いところを集めたような社風の企業となっています。
まず外資系らしさですが、これは仕事が完全に縦割りになっておらず、個人に委ねられる裁量の範囲が広いのが特色です。つまり、細かく管理されることなく、また意欲のある人にはどんどんチャンスが与えられる環境といえるでしょう。特に、自動制御ドライブシステム事業部の場合は、比較的新しい部門でもあり、積極的なチャレンジや工夫、提案が歓迎される風土となっています。
一方で日本的な良さとしては、穏やかで堅実な組織づくりがあげられます。例えば、同社では外資系企業によく見られる「マネージャークラスの中途採用」は基本的に行なっていません。マネージャーには内部の人材を登用し、同時にスタッフを補充し育成していく方式をとっています。社外から来た人がいきなり上司になるといったストレスがなく、同時にスタッフはマネージャーへの昇進のチャンスを実感できるのです。
また、国際的大企業としてのシーメンスは、福利厚生や教育制度、組合など社員を守り支援する制度が非常に充実した企業でもあります。そのためか、この数年に中途採用で入社した社員の90%以上が日系企業出身者となっています。少なくとも、あまり「日系/外資」という区別を意識せずに、自然になじんでいける企業であるのは間違いないでしょう。
同社に中途入社された方の声をお聞きすると、「世界レベルで認められた最先端技術に触れてみたい」という動機で転職を決意された方が多いようです。つまり、日系企業で制御関連の仕事をされていて、その経験をもっと幅広くグローバルな環境で生かしていきたい…という志向の方が集まった会社だと思います。
外資系企業ではありますが、欧州系(ドイツ)であることと、世界で27万人以上が働く大企業でることなどから、制度面や社風はとても安定していると思います。また、日本で120年以上の実績があるという点も見逃せない点だと思います。
以下のような視点で転職をご検討の方にぜひ注目いただきたい企業です。