ハブラシ・ハミガキのブランドとしてあまりにも有名なサンスター。「G・U・M」シリーズや「Ora2」シリーズなど、数々のヒット商品を生み出し、同社の柱となっているのが「マウス&ボディ事業」です。
歯周組織を健全に保ち歯周病を予防する「G・U・M アクティバイタル」、着色汚れを除去する「Ora2ステインクリア」、歯のカルシウムの溶け出しを防ぎ、取り込みを促進する「sunstar Do」…。TVCMなどでもおなじみのこれらの商品は、いずれもサンスターのヒットシリーズ。同社はまさに日本を代表するオーラルケアメーカーとして広く認知されています。
しかしその事業エリアは国内にとどまるものではありません。同社が目指すのは、世界のオーラルケア業界における「One & Only in Uniqueness」企業。その目標に向け、北米市場では子会社「サンスターアメリカ」を通じて、「G・U・M」ブランドの知名度向上に力を注いでいます。欧州市場では子会社「サンスタースイス」の統括のもと、販売エリアの拡大を推進中。また東アジア市場でも、台湾で「Ora2」ブランドの販売を強化し、中国・シンガポールで「G・U・M」ブランドを発売するなど、サンスターの名は確実に世界へと広がっています。
サンスターグループは「マウス&ボディ」と以下の3つの事業で、人々の健康の増進と生活文化の向上に幅広く貢献しています。
「VO5」ブランドに代表されるヘアケア製品、体内環境を改善する自然補助食品、美白効果を目指したスキンケアシリーズなどを提供しています。
有害化学物質の削減や防水性・耐火性の高い製品開発にいち早く着手。建築用のシーリング材や接着剤のほか、家庭用洗剤の開発にも力を入れ、安全・清潔・快適な暮らし環境を提案し続けています。実は日本で初めて「窓ガラス接着工法」を生み出したのもサンスター。さらに独自のケミカル技術で携帯電話などの電子機器向け封止材・アンダーフィル材の開発も手がけています。
自動車用接着剤やシーリング剤、モーターサイクル用の部品を製造。1960年代にスプロケット(チェーンと組み合わせて動力を伝える歯車)を、1970年代にブレーキの要となるディスクの生産をスタートし、世界の主要メーカーすべてに納入しています。今では日本で使用されるスプロケットはすべてサンスターの製品、ブレーキディスクでは世界トップシェアという状況。意外に思われるかもしれませんが、これも有力なサンスターブランドのひとつです。
これら4つの事業のうち「マウス&ボディ」「ヘルス&ビューティ」はサンスター(株)が、「環境&アメニティ」「セイフティ&テクノロジー」はサンスター技研(株)が、その中心的役割を担っています。
そしてSTARLECS(株)がグループ内のロジスティックス、カスタマーサービス、生産サービス、シェアードサービスなどを一手に引き受け、企業活動を力強く推進。3社が有機的に交わり「サンスターグループ」を形成しています。
経済や産業のグローバル化が進み、企業の国際競争力がより一層問われるようになってきました。また証券市場ではTOBや企業買収といった言葉が、連日のように新聞紙上を賑わせています。そんな中、サンスターは「短期的な業績変動に左右されない経営」「迅速かつ柔軟な経営判断・意思決定」を行い、厳しい国際競争に打ち勝っていく強固でしなやかな企業体質づくりを推し進めています。
そのひとつが「MEBO」、経営陣と従業員による株式公開買い付けです。最近は敵対的な企業買収などを防ぎ、短期的な収益を重視する外部株主との対立を避けるために、経営陣による企業買収(MBO)を選択する企業も増えています。同社では「全員一体の経営」を目指し、従業員も加えた「MEBO」という手法を選択。2007年2月に同手法によって非上場になる方針を発表し、成立しました。2007年7月26日に大証1部市場での上場が廃止となり、同社は経営陣と従業員が主要な株主となりました。
またサンスターは同時に、グループの中核をスイスに移すという経営の抜本的な改革を進めています。これまで同社では商品規格の違いなどから、思うように海外展開を進めることができませんでした。そこでスイスに商品開発やマーケティングなどの中枢機能を置き、そこから世界同時発売などの商品を創出していく。スイスの本部と、日本・ヨーロッパ・アメリカ・アジアの4極の法人・オフィスで、グローバルに事業を展開していく。そのような構想を持っているのです。
スイスを中心としたグローバル企業へ。同社はこの戦略で「資本関係の再構築」、「ガバナンス体制の整備」、「グローバル商品の開発体制の確立」、「積極的な海外投資」、「グローバル人材の登用・育成」、「評価・報酬制度の改革」といった目的の達成を目指します。そして「自主独立全員参加型企業経営」「永続的な企業としての成長」を実現し、強い体質を持つ「真のグローバル企業」へ生まれ変わろうとしているのです。
現状は連結売上の約70%を日本市場が占めています。しかし市場競争が激化する国内市場だけに頼っていては、今後の飛躍は厳しいと言わざるを得ません。それを支えているのが海外市場での大幅な売上増加で、それにより全体の売上も対前年比102%を記録しています。すでに世界約70カ国に「健康、美、安全、快適」のための製品を提供しているサンスターですが、これからのさらなるグローバル戦略で「世界のブランド」へと成長していくに違いありません。
これは「サンスターグループが求める人材」の5つのキーワードです。約70カ国に広がる同社の世界戦略は単に生産拠点を海外に置くのではなく、現地の人々による現地の人々のための事業という考え方に根ざしています。だからこそ社員には「グローバル」に考え、ローカルに行動できる能力が欠かせません。
また商品開発・プロモーション・技術開発といった業務の中では、あらゆる場面で「クリエイティブ」な発想が求められ、自分のアイディアや企画をひとつの事業として立ち上げていく「起業家精神」をもとに行動することが必要です。
さらに営業と研究、研究と生産など、部門間の「チームワーク」を築く努力で業務を円滑に遂行させ、「明るく」前向きな人間性でリーダーシップを発揮する…。サンスターはグループの次代を担う、そんな人材を求めているのです。
「常に人々の健康の増進と生活文化の向上に奉仕する」という社是のもと、社員の福利厚生にも真剣に取り組むサンスターグループ。社員寮を併設した総合研修所「ラークハウス」、社員の健康維持・管理を目的とする「健康道場」といった施設の充実ぶりには目を見張るばかりです。
その中のひとつ「邦星堂」は創業の心や精神を学び、豊かな人間形成を促すためにつくられました。ここでは様々な教育プログラム、懇談会、「ブランド」「製品」「チャネル」といった分野でのマーケティング研修などが行われ、社員一人ひとりが「何のために仕事をするのか」を振り返り、自発的なキャリアアップに取り組む場となっています。
さらに最近では事業や組織の国際化と歩調を合わせるように、研修制度もより多様化・グローバル化。
海外でのエグゼクティブ研修やリーダーシッププログラムに次期経営職候補者を派遣する一方、国内外の社外役員や海外大学院の教授を招いた経営塾・プロフェッショナル塾などを積極的に開催しています。
担当コンサルタント
藤田 七瀬
ハミガキ・ハブラシなどオーラルケア製品で、誰もが知る企業である同社。
そんな同社は、短期的な業績変動に左右されることなく、経営陣と従業員が一体となって改革に取り組む必要があると判断し、2007年に「MEBO」を実施しています。
大きな基盤(歴史・技術力)を有して尚、積極的にチャレンジする企業風土に魅力を感じる方には、経営層だけでなく全ての社員が当事者として経営に参加するという、大変やりがいのある環境が用意されています。