はじめてリーダーになるあなたが押さえるべきポイントは、たった3つです。これさえ守れば「強いチーム」をつくることができます。逆に、ここを外すと、いかに「いいリーダー」のように見えても、チームは強くなっていきません。最悪の場合、崩壊してしまいます。

では、その3つのポイントとはどういうものでしょうか? ひとつずつ見ていきましょう。

①ルールを設定する

まずは「ルール」をつくること。組織にはかならずルールが必要です。ルールを現場レベルで決め、守らせるのが、リーダーの役割。これは、リーダーがやるべきもっとも大事な仕事です。

「ルールをつくる」と言うと、嫌なイメージを持った人もいるかもしれません。「なるべくルールをなくして、みんなに自由に動いてほしい」と思っている人もいるでしょう。しかし、実は逆です。

ルールがあるからこそ、人は自由になれるからです。

たとえば道を歩くとき、交通ルールにストレスを感じる人はいないでしょう。たくさんのルールがありますが、車も人もスムーズに移動することができます。逆に交通ルールがなかったら、道路事情はめちゃくちゃになってしまいます。

組織も同じです。ルールが明確でないことは、部下にとって「ストレス」になります。リーダーの顔色をうかがい、空気を読みながら行動しないといけないからです。逆説的ですが、ちゃんとルールのある会社の方が、ギスギスせず、人間関係のストレスから自由になれるのです。

リーダーが最初にやるべきことは

  • あいさつをしましょう
  • 日報を17時までに提出しましょう

といった「やろうと思えば誰でも守ることができるルール」の設定です。これを徹底して守らせることで、「リーダーとメンバー」の関係を作り、「自分はこのチームの一員なんだ」という、仲間意識を持たせるわけです。これができない人にリーダーの資格はない、と言ってもいいでしょう。

注意点は、曖昧なルール設定をしないこと

ルールを設定するときには、いくつかの気を付けるべきポイントがあります。まず、「誰が何をするのか」を可能な限り具体的にすることです。曖昧なルールだと、認識のすれ違いが生まれ、メンバーは混乱してしまいます。

×「会議には遅れないようにしましょう」

〇「全員、会議の始まる3分前には着席しましょう」

ルールを作ったら、言語化してシェアする必要があります。そうしないと、空気の読み合いになってしまうからです。

「言わなくてもわかるだろう」「察してくれるだろう」という態度もNG。口で言うだけでなく、文章にしてメールやファイルで共有することが重要です。

そして、ルールを伝えるときには、責任の所在が自分にあることを明確にします。「私がそう決めたので、以降はこれを守ってください」と、ハッキリ言いましょう。

若いリーダーはとくに、このようにハッキリと指示することに心理的抵抗があるかもしれません。しかし、そのままだと「空気を読むだけの調整役」「役に立たない上司」になってしまいます。ぜひ、責任を負うことに慣れてください。

ちなみに、最初に決めたルールを変えてはいけないわけではありません。ルールを運用する中で部下からの情報はつねにオープンに収集し、足りない点があれば変更して構いません。ルールの不備があったらきちっと認め、また新しいルールを決める。これが、責任あるリーダーの姿勢です。

②上司と部下の「位置」を明確にする

2つめは上司と部下の「位置」を明確にすることです。

「位置」という概念は、組織マネジメントにおいてとても重要です。ここでいう「位置」とは、組織の中で期待される役割と責任の範囲をさします。責任のありかをはっきりさせておくことで、大人数の組織でも、すばやく動くことができるのです。

そして、リーダーにとって大切なのは、部下の「位置」を、本人たちにしっかりと認識させ、「誰から評価されるのかを理解させること」です。

組織において、部下は直属の上司に評価される存在です。上司はそのまた上司に評価されます。社長は「社会」から評価されます。あたりまえのように聞こえますが、問題を抱える組織ではこれができていません。

特に若いリーダーは、部下に「お願い」してしまう傾向があります。これは、「位置」を間違えた典型的な例です。正しい「位置」を保つためには、「お願い」ではなく「指示」をしなくてはいけません。

×「時間があるときで構わないので、資料まとめておいてくれない?」

〇「火曜日の15時までに資料をまとめておいてください」

このように、「言い切る」ようにします。初めは抵抗があるかもしれませんが、淡々と伝えればいいのであって、偉そうにする必要はまったくありません。

そして、報告は部下からさせるようにしましょう。その際、必ず期限を決めておきます。「時間があるときでいいから」などの曖昧な依頼は、絶対にNGです。指示に期限を入れないと、「あれって、どうなっている?」と、進捗をこちらから確認しなければいけなくなります。

報告を受けるときも、事実をベースに淡々とコミュニケーションを取りましょう。もし達成できなかった場合は、怒るのではなく、部下に次のアクションを考えさせます。そうして部下の成長スピードは上がっていきます。

×「なんでできなかったんだ(怒)」

〇「未達でしたね。次からはどうしますか?」

ちなみに組織の中での「上司部下」の関係は、人間としての上下関係ではありません。あくまでもルール上の関係です。ですから、組織の中ではこのルール上の関係に従って淡々とコミュニケーションを取っていればよいのです。

感情的に部下に寄り添ったり、飲み屋で愚痴を聞いたりするのは、「位置」を崩してしまう危険な行動です

③「プロセス」ではなく「結果」で管理する

3つめは、結果で管理することです。

たとえば、あなたがレストランで料理を注文して、店員さんが「この料理は手間暇をかけた自信作です」と説明してきたとしましょう。しかし、一口食べてみておいしくなかったら、二度とそのお店には行かないですよね?

どんな仕事でも、「プロセス」はどうでもよくて、大事なのは「結果」です。それなのに、日本には「がんばっている姿を評価してあげなければいけない」という風潮があります。

プロセス評価の弊害として有名なのが「残業アピール」です。長く働いていても評価される環境だと、労働時間はどんどん長くなってしまいます。

また、プロセス評価をすると「上司の好き嫌い」で評価が成立してしまいます。すると、チームの勝利や成長に貢献してない人たちが評価される可能性があります。成果を出した人が評価されない状況は、組織として健全ではありません。

リーダーがやるべきは、プロセスではなく「結果」の管理です。そのためには、最初に「目標設定」をして、ちゃんと仕事を任せる。そして、最後に「結果」を報告してもらい、評価する。この「点と点の管理」をマスターする必要があります。

目標設定のときにすべきことは、ルール設定のときと同じく、明確な言語化です。ざっくり任せるのではなく、かならず「期限」と「状態」を示します。

×「とにかくできるだけ契約を取ってきてください」

〇「1週間後までに3件の契約を成立させてください」

目標を設定したら、期限が来るまでリーダーから確認やアドバイスをしてはいけません

×「私がお手本を見せるから、1回マネしてみて」

〇 部下から報告があるまで口出ししない。

優秀な人ほどプロセスに口を出したくなるものですが、そこはぐっと我慢です。「自分でやった方が早い」と途中で仕事を巻き取ってしまうリーダーもいますが、もってのほかです。

上司がプロセスで手を貸すと、部下は思考停止します。明確な目標さえあれば、部下は途中のプロセスで創意工夫したり、失敗を繰り返したりするはずです。そうやって成長する機会を奪いに行くのは、リーダー失格です

「いい人」をやめ、ただ「リーダーの仮面」をかぶればいい

最後にお伝えしたいのは、「いい人になるな」ということです。

チームをマネジメントするとき、「いい人」であろうとすると、失敗します。むしろ、ここまで述べてきたことを着実に実践すれば「ちょっと冷たい人」だと思われることもあるでしょう。しかしそれこそが、リーダーとしてふさわしい振る舞いなのです。

リーダーは、「いい人」だと思われることよりも、チームの成果と部下の成長を優先すべきです。それはいわば「リーダーの仮面」をかぶるということ。若いリーダーたちには、ぜひ「リーダーの仮面」を使いこなしてもらいたいと思っています。恐れずに実践すれば、かならず成果は後からついてきます。

部下とよく飲みに行き、優しい言葉をかけてモチベーションを上げてくれるリーダーは理想のリーダーのように思えますが、まったくの間違いです。特にプレイヤーとして優秀な若いリーダーほど陥りやすい「あるある」です。

何を隠そう、昔の私自身も、同じ間違いをしていました。昔の私は、自分がプレイヤーとしてトップの成果を上げ、部下の話を熱心に聞いて寄り添うのが、リーダーのあるべき姿だと信じていたんです。しかし、部下は私が期待したほど成長しませんでした。私自身はどんどん成果を出せるのですが、チーム全体のパフォーマンスを上げることができなかったのです。

組織マネジメントは「数学」に近いものです。「感情」で行うものではなく、「理論」にもとづいて行うものです。理論と言っても、難しいものではありません。今回ご紹介したような考え方を身に着け、頭を切り替えるだけでよいのです。「リーダーの仮面」をかぶってみてください。

この記事を書いた人

安藤広大

安藤広大(あんどう・こうだい)

株式会社識学 代表取締役。組織マネジメントの専門家。早稲田大学卒業後、NTTドコモ入社。2006年にジェイコムホールディングス入社。2015年、株式会社識学を設立。最新刊は『リーダーの仮面』(ダイヤモンド社)。