社会人も3年目以上になると、リーダーを任される人もちらほら。「管理職になったばかりで不安」「後輩や部下への接し方がわからない」という方も、多いのでしょうか。

いち社員としての個人プレーと、リーダー・管理職としての働き方は、まったく別物。とはいえ、どう振る舞いを切り替えたらいいんでしょう?

「昔は自分最優先だったけど、今は完全に変わりました」と語るのは、日本一のキャバ嬢として一躍有名になったエンリケさん。

4冊目の著書『結局、賢く生きるより素直なバカが成功する』講談社より発売中。

キャバクラ引退後に人を束ねる経営者になって考えたこと、じっくり伺いました。

リーダーの責任は「楽しく働ける環境を作る」こと

──エンリケさん、こんにちは! Dybe!でのインタビューは3回目ですね。以前は個人プレイヤーとしての仕事論を伺いました。現在は経営者として、店舗拡大で絶好調ですね。

エンリケさん(以下、エンリケ):メンタル、だいぶ変わりましたね。まず、プレイヤーのときは自分の給料が一番(笑)! とにかく「稼ぎたい!」っていう欲で動いてたし、他人よりも自分最優先でした。がめつい部分があったし、イケイケでしたね。水商売って、それくらいじゃないと勝ち残れないんですよ。

──実際にナンバーワンキャバ嬢になりましたもんね。

エンリケ:キャバクラ時代は余裕がなくて、自分のことで精一杯だったんですよ。今はやっと心に余裕ができて、人に優しくできるようになったし、周囲が見えるようになりました。マネジメント、やっぱりメンタルが大事なんで。

──プレイヤーとして結果を出してきたからこそ、人に厳しくなっちゃう部分もあると思うんです。マネジメントをするうえで気をつけていることはありますか?

エンリケ:ちゃんと、普段からしっかりと話す時間を作ることかな。やっぱり、楽しく働いてほしいし、そういう環境を作ってあげるのがマネジメントの責任。プライベートでもどんどん誘っちゃいます。

──仕事以外での交流がハラスメントにもなる時代ですから、難しいところもありますよね。

エンリケ:たしかに、今の時代はバランスが難しいですよね。いきなり呼び出すと相手がビビっちゃうし。「ちょっと話があるんだけど時間取れる?」とか、超怖いじゃないですか(笑)。なので、ご飯行ったときは仕事の話は一切しないようにしています。こちらから歩み寄るのが大事なのかなって。

社員をカジュアルにご飯に誘う経営者……!

──なるほど。今は在宅勤務が増えていて、仕事以外の雑談や交流が難しい時代です。若手としては、どう振る舞えばいいでしょうか。

エンリケ普段から、なんでも気軽に相談できる人を職場に作っておくことかな。プライベートで電話しちゃえたり、LINEできる人がひとりでもいると、仕事でしんどいときもメンタルが全然違うと思います。相談されて嫌な人いないし、気楽にね。

隠し事をされる=正直に言える環境を作れていない

──部下を持つようになってから、思考が変わった部分はありますか?

エンリケ:なにか隠し事をされたときは、「まだその子と私は距離が縮まってなかったんだな」って反省するようになりましたね。その子を責めるよりも、言える環境を作ってあげられなかった自分が悪いなって。

──「なんで言ってくれないんだ!」より、自分の落ち度だ、と。

エンリケ:トラブルがあったら、その子自身に対して怒るのではなく、「こんなことがあったから新しいルールを作ります」「報告を徹底してほしい」と、仕組みを作って、共有するようになりました。

──社内運用の改善を考えるんですね。

エンリケ:そうですね。自分側にも問題があるから、個人を責めるよりも「これ私のことかな?」って自分で気づかせて、反省を促すようになりました。結構、大きな変化ですね。

「人に任せる」ができないと、今より上に行けない

──「自分がやったほうが早い!」って仕事、たくさんありませんか? エンリケさんはそういう歯がゆさ、どうしていますか?

エンリケ:そりゃね、自分が動くのが一番早いんです。でも、人に任せる勇気を持たないと、絶対に今より上に行けない。「なんでこんなこともできないの?」って思っちゃうこと、私もあるんですよ。でも、相手のモチベーションを下げないようにコミュニケーションをとらなきゃ。

──「今より上に行くために任せる」という判断をされているんですね。任せられる人かどうかの判断も難しいところかと思います。

エンリケ「この人に任せてみよう」と思えるかどうかって、一緒に働いて1週間で見極められるんです。仕事って、いろんなトラブルが発生するけど、悪いことを素直に報告してくる人は、やっぱり信頼できますね。

──なるほど。エンリケさんが人に仕事を任せるときのマイルールはありますか?

エンリケ:「任せたからには、必ず成果を出させて成長させる」かな。同じミスを繰り返させないことと、嘘をつかせないことが大事。

──具体的には、どうしていますか。

エンリケ:社員が失敗したときも、「こうされたらどう思う?」「なんでこういうふうにやっちゃったの?」と、問いかけて対話します。単純に注意するだけだと「気をつけます」で終わっちゃうじゃないですか。失敗を繰り返さないための対策を提案してもらって、改善して、育てる姿勢が大事かなって思います。組織が成長するためには、ひとりひとりの向上心が一番大切ですから。

どうしてもダメそうなときは「出向」!?

──「合わないな〜」って人と働かなきゃいけないとき、どうしたらいいでしょうか。

エンリケ:まずは、その人のいいところ、得意分野を見つけることですよね。「深く関わらない」って割り切る人もいるけど、ちょっと違うと思うんです。変に距離を置いたり、腫れ物扱いしたりしないで、こちらがいい部分を見つけてあげないとダメですよ。

──マネジメント側の努力が必要、と。

エンリケ:その人のいいところを見つけたら、それに合う仕事をバンバン振っていって、成果を出させること。マネージャー側が、しっかりと伸ばしていかなきゃいけないと思うんです。

──素敵な考えですね。とはいえ、「マジでダメだ〜!」っていうポンコツな人だったら……?

エンリケ:そりゃね、そういう人もいました(笑)。でも、その子にも何かしらの得意分野があるはず。「このチームではダメかな」と思ったら、チームの仕事からうまく外してあげるのも大事ですよね。いいビジネスしたいから。

──「チームの仕事からうまく外す」……。なかなか難易度が高そうですけど、実際にエンリケさんはどうしていますか?

エンリケ時と場合によっては、出向だよね(笑)。会社なら、部署を変えるとか。一見残酷かもしれないけど、ダメなことをやり続けても伸びないし、本人もストレスたまるだけだから。

──たしかに、どんどん自己嫌悪の方向にいっちゃいますよね。

エンリケ得意なことを活かせる可能性がある仕事に異動できるように、根回しするのもいいと思いますよ。私も、数ヶ月後に「異動してよかったです! ありがとうございます!」って言われたことがあるんです。ハマらなかったら、その勇気も必要かな。

エンリケ

名古屋・錦の老舗高級キャバクラ「アールズカフェ」に在籍していた。「売り上げ」「指名数」「顧客数」8年間連続No.1記録を更新し、引退式では4日間で5億円の売上を記録。引退後に起業し、シャンパンサロン、エステ、脱毛、ブランド品の販売・買取など事業を拡大中。

Instagram:eri.ogawa1102

Twitter:@rie0985

会社HP:株式会社エンリケ空間

取材・文/小沢あや(@hibicoto
写真/花井知之