「ウチの部署は8時45分からミーティングね」

あれ? 始業時間は9時のはずなのに……。

こんな理不尽な慣例にモヤモヤしたことはないだろうか。

私は「ちょっと早く来て」が許されるなら「ちょっと早く帰る」も認めるべきだと思っているのだが、現実はなかなかそうはいかない。

「15分くらい…」と割り切るのがオトナの対応なのか?

9時始業なのに、8時45分からミーティング。

そんな慣例が浸透している職場は、結構たくさんあるだろう。

たった15分だから、早く出勤すること自体がストレスになることは少ないと思う。

しかし「給料が出ないのに早く行かなきゃいけない」と思うだけで、テンションはダダ下がりだし、モチベーションも低下してしまう。

もともとは早出にも合理的な意味があったのかもしれないが、今ではただの習慣として都合よく早く出勤させている……なんて背景なら、なおさらやるせない。

始業時間が決まっているのだから、9時からミーティングをすればいいだけの話のはずだ。それなのになぜ、「早出」という結論になるのだろう。

たとえば、「働き方改革」なんていわれているこのご時勢で、いまだに平然と「早く来い」と言ってしまう上司。そういう人がいると、慣習はいつまでたってもなくならない。

「俺が新人の時は誰よりも早く来て掃除していた」「昔は終電まで粘って働いていたぞ」って、バブル時代と比較されても正直困る……。たっぷり残業代をもらって、勤め続けたらマイホームを買える時代はもう終わっているのに、気づいていないのだろうか……。

同期や先輩たちが「そういうものだから」と受け入れていたりすると、心の中のモヤモヤはさらに大きくなる。「15分くらいいいじゃん」と言われると、「時間の問題じゃないんだけどなぁ」と思ってしまうのは、私だけだろうか。

だが実際にそういったモヤモヤを口に出すと、文句を言っているように思われるかもしれない。まるで、割り切れない自分がコドモで、駄々をこねているかのように。

そんなんじゃないんだけどなぁ。ただなんかこう、おかしい気がするんだよなぁ。

あなたも、過去の私と同じように、そんな不満を抱えている一人かもしれない。

思わず「え!?イヤです」と言ってしまった私の体験

私は、以前働いていた横浜の家具屋で、こんな経験をしている。

始業時間は朝9時半で、店が開店する10時までの30分間は、フロアの清掃と家具の手入れの時間となっていた。

しかし毎週月曜日は、朝9時半から10時までミーティングがある。当然掃除する時間がなくなるわけだが、それは困る。

というわけで、その家具屋では、毎週月曜日は「15分前出勤」が慣習になっていた。早く来て掃除を終わらせて、始業時間になったらミーティング、10時にいつもどおり開店。

初めてそれを聞いた時、思わず私は「え!? イヤです!!」と言ってしまった。

なにを隠そう、わたしは時給で働いているアルバイトだったのだ。時給で働いているのにサービス労働なんて、意味がわからない。それならミーティングを短くするとか、月曜日だけ始業時間を前倒しにするとか、やりようはいろいろあるはずだ。

「給料は発生しないけど早く来て仕事をしてね」という考えは、どうにも納得がいかない。給料をもらえないのであればただのボランティアなのだから、やるかやらないかは自由であるはずだ。

そういう考えをマネージャーに伝えても、「まぁそういうものだから」「たしかに気持ちはわかるけど、みんなやってることだし」「割り切ってよ」と私の情に訴えるだけ。

他の人たちはもう慣れっこになっていて、何の疑問もなく「おはよー」と15分前に出勤して来る。疑問を持っていないのか、内心納得いっていなくても諦めているのか……。

そんな様子に、私の中のモヤモヤは大きくなっていくばかり。

自分の中でどうにも折り合いがつかず、結果的に、私は月曜日を固定休にしてもらうことにした。もちろんみんなは、今までどおり月曜日は早出を続けていたのだが。

「早く来い」と言うなら、「早く帰る」も認めるべきでは?

たかが15分、されど15分。

私は、「15分早く仕事をすること」に大反対というわけではない。ただ、「ちょっと早く来てね」と言うのであれば、「ちょっと早く帰りまーす」も認められなければ理不尽じゃないかと思うのだ。

早く来たり遅く帰ったりすることには文句を言わないどころか、当たり前のようにそれを求めるのに、遅く来ることや早く帰ることには厳しくするのは、ちょっと都合がよすぎる。そんな職場はやっぱり息苦しい。

たとえば、「ミーティングぶん今日はこれで上がります! また明日。お疲れ様でしたー!」なんていうのがOKになったらどうだろう。

それが認められるようになったら、「昨日残業した分、今日はちょっと早く帰ります」「今日は早く帰りたいのでちょっと早く出勤しました」なんてことも可能になるかもしれない。

そうやって自分の労働時間をコントロールできるようになれば、もっと働きやすくなりそうだ。

終業時間少し前でも仕事が終われば帰れる雰囲気なら、付き合い残業やなんとなく会社に残ってダラダラすることも減るだろう。

「早く出勤」だけでなく「早く帰る」もセットで認めてほしい。それって、むずかしいことなんだろうか。

自分が早く帰れないから早く帰る人を許せない!?

私はドイツに住んでいるのだが、実はドイツでは、残業した分を早上がりで相殺することは結構一般的だ。

「早く来たので早く帰ります」「午前中は病院に行って遅くなったので今日と明日ちょっと残りますね」というふうに、自分でざっくりと調整してOK。残業時間を貯めて、休日として振り替えることも可能。

仕事を放り投げて帰るのはさすがにNGだが、日によって仕事内容やプライベートの用事は違うから、結果的にちゃんと仕事をしていれば問題なし。

早帰りする人を見ても、「あいつの仕事は終わったんだな」「俺も早く帰りたいから明日は早く来るか」という感じで、ギスギスしない。お互い様である。

そう考えると、他人が早く帰るのを認めない人は、「自分が帰れないからズルイ」「俺も残っているんだからお前も残れよ」っていう気持ちもあるのかもしれない。

しかしワークライフバランスが重視され始めた現代、そういう考え方は変わっていく必要がある。

もちろん、働き方をめぐっては、法的な議論もされているけれど、本当にそれで働きやすくなるのか正直よくわからない。

でも、大切なのは法律よりも、実際に働いている人たち一人ひとりの意識であるはずだ。

給料が支払われない早出や残業などを命じることがあってはいけないけれど、働いている人が自己都合でちょっと早く帰ったり遅く来たりすることも認めて、任意のタイミングで早出・残業して埋め合わせできるようにする。

実際、現場の運用の範囲で、そういった柔軟な対応を実現している会社もあるようだ。

そういう考え方が当たり前の社会になれば、もっと働きやすくなるだろう。