お笑いタレントとして活躍中の厚切りジェイソンさんには、もう一つ別の顔がある。若きIT企業役員。そう、彼は超優秀なビジネスマンでもあるのだ。

そんな彼からすると、日本人の働き方は、非合理的な部分もかなり多いという。まさに「Why!?」だ。たとえば、やりたいことが見つからないと言って悩んだり、いたずらに自信がなさそうにしたり、断れなかったり、上司など他人の目を気にしすぎたり…。

では、ジェイソンさんは、普段どういう仕事の仕方をしているのだろうか? そこには、日本人にとっては潔すぎる合理的思考があった!

すべては「やるかやらないか」だけ!

厚切りジェイソン
厚切りジェイソン(あつぎりじぇいそん)。1986年生まれ。アメリカ・ミシガン州出身。日本でIT企業の役員として働きながら、2014年にお笑い芸人としてデビュー。TV、ラジオ等で活躍中。
Dybe! ライター

編集部

ジェイソンさんは芸人としてはもちろんですが、ビジネスマンとしても、一般的に見れば大成功されています。成功の理由はなんだと思いますか?

厚切りジェイソン

ジェイソンさん

ビジネスの世界で出世できたのは、周りと違うことができたのが一番の理由だね。僕は母国語の英語に加え、コンピューターサイエンスの修士号、さらにはビジネスレベル以上の日本語を習得した。この3つの組み合わせを持つ人は他にもいるだろうけど、ここまでのレベルで併せ持つ人はそういない。

そのおかげで20代でIT企業の日本法人の役員になることができた。

Dybe! ライター

編集部

3つのスキルとはすごいですね。そんなジェイソンさんにぜひ「仕事がデキる人」になる方法を教わりたいです!

厚切りジェイソン

ジェイソンさん

結論から言うと、そんなの「ただやるだけ」だと思うよ。なんで“できない”前提で考えるのかがわからない。Why!

やりたいことがあったら、やってみたらいい。やってみてできなければ、何がいけなかったかを客観的に分析し、それをふまえて改善し、また挑戦する。すると1回目よりはよくなっている。

それを繰り返すと、いつかはできるようになる。人生というのは、それをただやり続けるだけでしょ。やる、分析する、改善してもう1度やるっていう。知らんけどおお!

最初から「やりたいこと」をやっていたわけではない

厚切りジェイソン

Dybe! ライター

編集部

ジェイソンさんはいつもやりたい仕事をしていますか?

厚切りジェイソン

ジェイソンさん

今はそうだけど、最初は違った。将来どうなりたいかを最大化するために成長する要素があるかどうか。楽しさよりも任されてすぐ成長できる仕事を優先していたね。それで充分成長したなと思ったので、今はやりたいことをやろうとしている。

Dybe! ライター

編集部

なるほど。最初からやりたい仕事をやっていたわけではなかったんですね。

厚切りジェイソン

ジェイソンさん

そう、アメリカの大手企業に入ったけど、ずっとそこで働こうという気はなかった。いい会社だったしいろいろ習ったけど、それで生きがいを感じていたわけではない。あくまでも成長のためだよ。

Dybe! ライター

編集部

そのうちに、やりたいことをやれるようになっていくんですね。

厚切りジェイソン

ジェイソンさん

仕事をしていく過程でスキルをどんどん上げて、できることを蓄積しておいて、「これがやりたい!」というのができたら全力でそれに向けてやる。過去にも数回そういう機会があったよ。これだったら楽しそう、これやりたいっていうのが。たとえば日本法人を立ち上げる機会を見つけたときも、まさしくそれだったね。これからも日々やりたいことは変わっていくと思う。

Dybe! ライター

編集部

そもそも日本人は、特にやりたいことが見つからないという人も少なくありません。そういう人はどうすれば?

厚切りジェイソン

ジェイソンさん

やりたいことを見つけるには、いろいろなことを幅広くやってみればいい。その中で好きなことが現れたら、そこに力を注ぐ。それだけじゃない?

Dybe! ライター

編集部

やりたいことがないという人は、そもそもそれをしていないと?

厚切りジェイソン

ジェイソンさん

そうだと思うね。視野が狭い。日本しか見ていないし、同じような境遇の人たちとしか接していない。世界はこんなに広いのに。一つの考え方のところでしか試していないのに、それであきらめてどうするって思うよ。

何をしたいかがわかっていない人は、何も成し遂げられない。以上!

Dybe! ライター

編集部

ですよね…。ただ、やりたいことはあっても、時間がなくてできないというケースも多々あると思います。

厚切りジェイソン

ジェイソンさん

それは言い訳でしょ! 時間がないと言うわりには、たいして意味のない飲み会とか、××の時間とかは長いんじゃないの? 本当は時間はいくらでもあるのに、どうでもいいことで忙しくしているから、時間がないように感じているだけでしょ! 今やっていることは本当にそこまで大切なの!?

本当にやりたいのなら、優先順位を上げてやればいい。この記事を読むのをやめて今すぐやれよ!

Dybe! ライター

編集部

せ、せめてこの記事だけは読んでOKということに…。

今はできなくても「できます!」と言っておけ

厚切りジェイソン
芸人だけあって、インタビュー中もちょいちょいギャグをはさんでくるジェイソンさん
Dybe! ライター

編集部

ジェイソンさんから見て「日本人のビジネスマンのここがおかしい」と思うところはありますか?

厚切りジェイソン

ジェイソンさん

たとえば、自信がなさそうにする人が多いところ。「いやあ、自分なんかにはできません」とか「うまくいくかどうかわからないけどやってみます」みたいな言い方をよくするよね。謙遜なのかもしれないけど、グローバルな世界では、そういう人には仕事は任されない。

やっぱり「もちろんできます!」と言う人の方が絶対に選ばれやすいよね。だからもっと自信を持った方がいい。もったいないと思う。

Dybe! ライター

編集部

日本では、あまり自信を前面に出すと、嫌われたりもします。

厚切りジェイソン

ジェイソンさん

もちろん、できないんだったら「できない」と言うべきだよ。そうじゃないと、やってみて失敗することになるからね。

でも、できるのに「できません」というのは間違っている。にもかかわらず、日本人はそれをよく言う。Why! 「これ、できますか?」と訊かれて、「いや、ちょっと私は…」って。いや、できるだろ。昨日やってただろ。見たよ! やれよ!!

Dybe! ライター

編集部

……。じゃあ、やれるかわからない場合でも、とりあえず「できます!」と言った方が?

厚切りジェイソン

ジェイソンさん

僕だったら、その時点ではできなくても、できるようになりそうであれば「できます!」と言うね。だって過去に何度も、その時点ではできなくても調べたり人から教わったりすることで、その後できるようになった経験があるから。

飲みに誘われたら「行きたくないです」と断る

厚切りジェイソン

Dybe! ライター

編集部

日本では職場の人間関係で悩む人も多いです。どうすれば悩まなくてすむのでしょう?

厚切りジェイソン

ジェイソンさん

日本人は仕事=人生みたいにとらえがちだよね。そうなると職場の人が家族みたいに思えてしまう。それだとストレスにもなるよね。

僕は仕事が人生だとは思っていない。今たまたまこの仕事をやっているだけで、ここに人生を投じるつもりはない。そこが切り分けられているから、人間関係のストレスもほぼないね。

Dybe! ライター

編集部

仕事はあくまで仕事なんだから、人間関係はどうでもいいと?

厚切りジェイソン

ジェイソンさん

まあ、あえて人間関係を悪くする必要はないけど、僕はビジネスの世界で人と仲良くなろうという気持ちはないかな。僕はものごとをすごく断るし、自分の意見を強く言うから、どちらかというと嫌われていると思う。でも、嫌われてもいいから「結果を出すこと」を優先しているね。

Dybe! ライター

編集部

では、行きたくもない相手から「飲みに行きましょう」と誘われたら、どうしていますか?

厚切りジェイソン

ジェイソンさん

「別に行きたくないです」と言っているね。たとえば「いろいろ仕事とかが入っていて、優先順位としてはとんでもなく低いので、候補日が挙がらないです」と。

ここまでストレートに言うと、ボケていると勘違いされがちで、「じゃあ、いつだったら飲みに行けるんですか」と食い下がられたりする。そうしたら「2022年くらいかな」って言う。

Dybe! ライター

編集部

(笑) 

確かにストレートすぎて、ボケかと思っちゃいます。

厚切りジェイソン

ジェイソンさん

もしそれでまた後日誘われたら「じゃあ今度は2025年です」と答える。「延びたわ!」って。

いずれにしても、面白くは言うんだけどハッキリと断るね。いつか飲みましょうとずっと言い続けるよりはマシでしょ。それだとお互いにストレスになっちゃうから。

人に嫌われても「自分の人生」を生きる

厚切りジェイソン

Dybe! ライター

編集部

では、上司に理不尽なことを言われた時はどう対処すればいいでしょう。たとえばムダな資料作りを頼まれた時とか。

厚切りジェイソン

ジェイソンさん

断れ。僕なら絶対に断るね。それはやる必要ないでしょ? どこで使われるんですか? 使われない資料を作ることほどムダなことはないでしょ? 他のことやりましょうよって。

Dybe! ライター

編集部

でも一応作っとけ、と。

厚切りジェイソン

ジェイソンさん

ないないない。やりません。

Dybe! ライター

編集部

これは命令だ、やれ。

厚切りジェイソン

ジェイソンさん

いや、やりません。それはムダです。やらないから。

Dybe! ライター

編集部

ムダでもやれ。

厚切りジェイソン

ジェイソンさん

ムダでもやれと言われたら、もう僕はその職場にはいられない。それは上司が部下の話を聞かないということだよね。話を聞かない上司と働いて、いいことなんかないよね。尊敬できる人の下にいなければ、ストレスになるだけで、何も達成できない。

断れないのも、日本の悪い文化だと思うよ。言われたとおりにすべてやるっていう。Wh—-y!

Dybe! ライター

編集部

ジェイソンさんのように断れたら、人間関係もラクなんでしょうね。

厚切りジェイソン

ジェイソンさん

どうだろうね。逆に精神的に大変かもよ。日本だと嫌われるだろうから。

でも僕は正直、自分が周りにどう思われるかなんて、1ミリも興味がない。みんなが僕のことを嫌いでも、全然大丈夫だね。

Dybe! ライター

編集部

そんなふうに嫌われてもOKと考えれば、確かに人間関係はラクになるかもしれませんね…。

厚切りジェイソン

ジェイソンさん

あとは、上司の問題などでどうしようもないこともあるかもだけど、すべての問題が自分にあると考えた方が意外と解決できる。他人のことはコントロールできないけど、自分のやること、自分の考え方、自分のいる環境は自分次第だからね。

Dybe! ライター

編集部

たしかに、他人はコントロールできないですしね。

厚切りジェイソン

ジェイソンさん

人生は一瞬だよ。なのに他人の価値基準で生きていては、本当に生きているとは言えないと思うね。

それならば嫌われてもいいから、自分が生きたい人生を生きる。やりたいことも、欲しいものも、自分から取りにいく。そうじゃないと、結局何も成し遂げられないよね。知らんけどおおお!

厚切りジェイソン

1986年生まれ。アメリカ・ミシガン州出身。17歳の時に飛び級でミシガン州立大学へ入学後、イリノイ大学に進みコンピューターサイエンスで修士号を取得。その後、日本でIT企業の役員として働きながら、2014年にお笑い芸人としてデビュー。2015年、2016年と2年連続で「R-1ぐらんぷり」の決勝に進出。現在、NHK-Eテレ『えいごであそぼ with Orton』『Why⁉プログラミング』にレギュラー出演中。テレビ以外にもラジオ、CM、舞台などで活躍。日本語検定1級を持つ。

著書に『日本のみなさんにお伝えしたい48のWhy』など。翻訳を手がけた本に『猫CEO』がある。

Twitter: @atsugirijason

<取材・文/田嶋章博(@tajimacho) 撮影/奥本昭久(kili office)>