「うまくできなくて挫けそう」「失敗が怖くて踏み出せない」。こんな思いにとらわれてしまうことって誰にでもあるはず。

そんな時、「失敗しないなんてもったいないよ!」と背中をそっと押してくれる人がいる。それが、「モテるために生きてる」 “モテクリエイター”の菅本裕子さん。「ゆうこす」の愛称で親しまれ、10〜20代女性にカリスマ的な人気を誇るインフルエンサーだ。

ゆうこすさんは、一度「どん底」を経験している。2012年にアイドルグループHKT48を脱退後、仕事がなくなりニート状態に。そこから2016年に自己プロデュースを開始し、自ら起業。現在ではTwitter、インスタグラムなどのSNSのフォロワー数が150万人を超え、活躍の幅を大きく広げている。

ゆうこすさんが復活できたのは、どん底の中で自分の「好き」に気づいて、それを楽しみながら発信し続けたから。「どんなマイナスも自分次第でプラスにできる」と言うゆうこすさんに、ネガティブから抜け出すための気持ちの持ち方を聞いてきた。

どん底で気づいた「モテたい」というアイデンティティ

菅本裕子
菅本裕子(すがもと・ゆうこ)。モテるために生きてる。「モテクリエイター」と宣言。20代女性を中心にカリスマ的に人気を誇るインフルエンサー。

──アイドルを辞めた後、一時は仕事がなくなってニート状態になってしまったんですよね。

ゆうこす:HKT48を脱退する時、色んなデマを流されてものすごく叩かれて。仕事もなくなってどん底まで落ちました。アイドルだった時は、自分でもちょっと人気があるのかなと思っていたんですが、卒業後、イベントをやっても来てくれたのは3人だけ。Twitterで「おはよう」とつぶやくだけで「死ね」っていうリプ(リプライ=返信)が来たり……。ものすごく辛い時期でした。

──そこからどうやって立ち直ったんですか?

ゆうこす:「私らしさって何だろう」「私は何がやりたいんだろう」って考えた時に、「モテたい」が私のアイデンティティなんだって気づいたんです。物心ついた時から「モテたい」と思って生きていたなって。どうせ叩かれるなら自分の好きなことだけ、本当にやりたいことだけを発信していこうって決めました。

──そして「モテクリエイター」になったんですね。「モテクリエイター」ってどんなお仕事なんでしょうか。

ゆうこす:女の子の「モテたい」という気持ちを、誰よりも肯定して、応援して、背中を押してあげるお仕事です。「モテるために生きてる」をテーマにメイクだったり、ファッションだったりの情報をSNSで発信しています。

菅本裕子
「モテ」とは男女問わずみんなに愛される女性になること。でも、「勘違いされやすいんです」(ゆうこすさん)。

──「モテクリエイター」って、すごく印象的なキーワードです。

ゆうこす:YouTubeを始めてから周りの人に「クリエイターっぽいね」と言われるようになりました。でも、ただの「クリエイター」では私らしくないから、何かないかなって考えてるうちに「モテクリエイターなんてどうだろう?」と思いついたんです。「モテをクリエイトする人」って私のやりたいことにぴったりだなって。

──ゆうこすさんが考えた言葉だったんですね。

ゆうこす:「モテクリエイター」と名乗ったことで、ただ「モテるために生きてる」人から、それを仕事としてやっている人と認知してもらえるようになりました。しかも、私が作った言葉なので、検索しても私しか出てきません。オンリーワンのキーワードを作れたことは大きな武器になりました。

ブレずに発信し続けたことで仲間が増えていった

菅本裕子
「モテクリエイター」というオンリーワンの肩書きが、ゆうこすさんの大きな武器になった。

──好きなことだけ発信するようになって、フォロワーの反応はどうでしたか。

ゆうこす:当時のフォロワーは9割が男性だったので、最初はまったく反応がありませんでした。でも、発信し続けていたら、いつの間にか女性のフォロワーがものすごく増えていました。ブレずに発信し続けたことで価値観の近い人だけが残って、そこから仲間が増えていったんです。

──反応がなかった時、心が折れそうにはならなかったんですか?

ゆうこす:大丈夫でした。本当に熱量を注げるものだったからだと思います。最初は将来性もお金のことも考えていなかったので、フォロワーが増えなくても、お金にならなくても、本当に楽しかったんです。その楽しいっていう気持ちが一番大事だったのかなと思います。

──それだけ大好きなことだったんですね。

ゆうこす:最初はTwitterで発信していたんですが、見つけたことが本当にやりたいことすぎて、次はInstagramをやってみよう、次はもうちょっと頑張ってYouTubeやライブ配信もやってみようって。どんどん行動していくうちにどんどんやりたいことが出てきて、それがすごく楽しかったですね。

──聞いているこちらも楽しくなってきます。

ゆうこす:周りからは、「そんなにいろいろやって大変じゃないの?」って聞かれるんですけど、全然大変じゃないですし、いろいろやってなかったら逆に行き詰まっていたと思います。

──行き詰まってた?

ゆうこす:「Twitterのフォロワーが増えない、どうしよう」ってそこだけにこだわっていてもダメで、だったらやり方を変えればいいんです。ひとつのことだけやってうまくいっちゃうなんて、普通はあり得ないですよ。

菅本裕子
「ブレずに発信し続けたことで価値観の近いフォロワーだけが残って仲間が増えていったんです」(ゆうこすさん)

──そこまで好きなことが見つからない人はどうしたらいいのでしょう。

ゆうこす:仕事がなくなってニート状態になった時、実家で親の世話になって、お金のことも将来のことも考えないという最悪の状態で、初めて自分の「好き」に気づきました。だからというわけじゃないですが、「お金と将来性」っていう視点を一度外してみたら、自分が本当に好きなこと、やりたいことが見えてくるんじゃないかなって思います。

──たしかにお金と将来のことを考えるとつい守りに入っちゃいますね。

ゆうこす:あとは、人前で自分のことを話すのも大事だなって思います。そうすることで、自分ってこう見られてたんだって実感できますよね。自分にとっては当たり前のことでも、人から見るとすごいことがあるはず。自分を第三者の目線で見ることで、「これが好きだったんだ」って見えてくることがあるんじゃないでしょうか。

──たしかに、自分では気づかないことってありますね。

ゆうこす:講演やセミナーのお仕事をいただくことも増えたんですが、1年前に作ったセミナー資料と今の資料はかなり変わってるんです。人前に出すことで気づくことがたくさんあって、それがブラッシュアップにつながっています。やっぱり人に話すことってすごく大事ですよ。

どんなにマイナスなこともプラスに変えられる

菅本裕子
仕事となると表情は真剣そのもの。ものすごい熱量が伝わってくる。

──失敗することは怖くないですか?

ゆうこす:心が強い人、ポジティブな人っていうのは、行動してきた人だと思うんです。行動しないと強くなれないし、ただ行動しただけじゃなくて失敗したからこそ心が強くなっているはず。そう考えると、失敗ってネガティブなものじゃなくて、むちゃくちゃプラスなものだと思いませんか?

──すごくポジティブですね。

ゆうこす:失敗が怖くて踏み出せないんですっていうのを聞くと、「え? もったいないよ」って思っちゃいます。失敗したほうがプラスなのに、失敗しないのはもったいないですよ。私はすぐに行動しちゃうから、そのせいでよく失敗したり、間違ったりしちゃうんですけど……。

──失敗した場合はどうするんですか?

ゆうこす:たとえば、私の判断ミスで、スキンケアボトルを300万円くらい間違えて発注しちゃったことがありました。でも、失敗がすごく勉強になったし、生配信でファンのみんなと「このボトルをどうしよう」っていう緊急会議を開いちゃいました。どんなマイナスなこともプラスに変えられるし、マイナスなことほどプラスなんだと思っています。

菅本裕子のPC
MacBookのキーボードはピンク。「カワイイ」に対する思い入れがすごい。

──マイナスなことほどプラスって素敵ですね。ゆうこすさんは、もともとポジティブな性格だったんですか?

ゆうこす:もともとはすごくネガティブな性格でした。アイドルをやっていたこともあって、老若男女、みんなに愛されなきゃいけないって考えて自分を苦しめてしまっていました。今だからわかるんですが、Twitterで「死ね」って叩かれたのも、きっと私がネガティブな発信ばかりしていたから。ネガティブな発信はネガティブなものを引き寄せてしまうし、負の感情はアンチを作りやすいんです。

──今のゆうこすさんからは想像もできないです。

ゆうこす:全員に愛されるって無理ですよね。でも、自分の好きなことだけやっていこうって決心したら、人には好き嫌いがあるし、自分のことを好きでいてくれる人たちだけに愛してもらえばいいんだって思えたんです。イベントに来てくれたファンも「3人だけ」って思っていたけど、「3人もいる」に変わりました。そうしたら、フォロワー一人ひとりの顔が見えてきて、自分を応援してくれる人に向けてネガティブな言葉を発信するのってすごく失礼だなっていう気持ちになりました。

──大きな気づきがあったんですね。

ゆうこす:もうひとつ、家族でユニバーサル・スタジオ・ジャパンに行ったことがあったんです。家に引きこもってる私を父が「行くぞ」って連れ出してくれたんです。ちょうどYouTubeにアップした私のメッセージ動画が1カ月で400万回も再生された時で、SNSは炎上して、新聞やテレビでも報道されていたのに、誰も私に気づかなかったんですよ! 私は何を気にしてたんだろう、ダサいなって思っちゃいました。

──誰も気づかなかったんですか!?

ゆうこす:私はすごく自意識過剰だったって気づいたら、自分の受け止め方次第で、どんなにネガティブなこともプラスにできる、辛いこと、悲しいこともプラスに変えられるんだって思えたんです。そうしたら、なんだか笑えてきちゃって。この状況をツイートしたら笑ってくれる人もいるだろうし、ネガティブでいることがもったいないって思いました。

今の時代はどんなことでも仕事にできるはず

菅本裕子
ユニバーサル・スタジオ・ジャパンで誰にも気づかれなかったエピソードを、ちょっとうれしそうに話してくれた。

──今はご自身で会社を経営されていますが、どんな思いで会社を立ち上げられたんですか?

ゆうこす:「菅本裕子は終わった」と言われていた中で、私は一人で立ち上がって闘っていますということをアピールしたかったんです。そうすることで、芸能の世界を目指している人だけでなく、何かで失敗して落ち込んでいる人たちにとっても希望になれたらという思いでやってきました。

──すごく勇気づけられると思います。

ゆうこす:今の時代に生まれて本当によかったなと思うんですけど、今の時代じゃなかったら「ぶりっ子を仕事にしよう」なんて思わないし、思ったとしても実現できないですよね。でも、今はちょっと頭を柔らかくすれば、マネタイズの方法なんていくらでも見つかるはずだから、これからはどんなことでも仕事にできる時代になると思います。

菅本裕子
「失敗したほうがプラスなのに、失敗しないなんてもったいないですよ」(ゆうこすさん)

──プロデュースされたスキンケアブランドも始動しましたね。

ゆうこす:ありがたいことにいろいろなところから「コラボしませんか」「助けますよ」と、お声がけいただいたんですが、一人でやらせてくださいとワガママを言わせていただいて、ここまでこぎつけることができました。自分の力でやりぬくことで、インフルエンサーとしての今後の道も開けるかなと頑張っています。

──最後に、頑張ってもうまくいかなくて、心が折れそうになっている人たちにメッセージをお願いします。

ゆうこすこれがやりたいと心から思って熱量を注げるものがあったら、叶えられないことなんてないと私は思ってます。「ゆうこすだからできた」って思われるかもしれませんが、今、私をフォローして応援してくれている人たちのほとんどは、私がアイドルだったことさえ知りません。

もし、今、頑張っているのにうまくいかなくて心が折れそうなんだとしたら、それはやり方が間違ってるだけだと思うんです。だから、あきらめてしまうんじゃなくて、一回休んでもいいから、やり方を変えてみればきっと叶うはず。他の誰もやっていない、自分だけのやり方を見つけて、夢を叶えてほしいなって思います。

ゆうこす/菅本裕子(すがもと・ゆうこ)

1994年5月20日生まれ。モテるために生きてる。「モテクリエイター」と宣言。タレント、モデルとしても活躍し、20代女性を中心にInstagramで紹介した商品が完売するなど、カリスマ的に人気を誇る。Instagram、Twitter、LINE@、YouTubeなどのSNSのフォロワーは150万人を超える。

Twitter:@yukos_kawaii
Instagram:@yukos0520

<取材・文/「Dybe!」編集部 撮影/黒澤宏昭>