「ありのままでいい。自分を愛そう!」というポジティブな空気が広まってきています。とは言われても、自分の顔に自信が持てなかったら? 人に褒められても、納得がいかなかったら?

3月、美容整形を受けたことを公表した有村藍里さん。骨を切り、輪郭を整える大掛かりな手術です。整形を決意したきっかけや、その後の生活の変化について聞きました。

本当にコンプレックスがなくなるのか不安だった

有村藍里
有村藍里(ありむら・あいり)。1990年、兵庫県生まれ。16歳の時からもモデル、グラビアアイドルとして活動を開始。妹は女優の有村架純。2019年3月3日、フジテレビ『ザ・ノンフィクション』で美容整形手術を受けたことを明らかにする。

──整形の告白後、SNSなどで有村さんにポジティブな意見がたくさん寄せられたのが印象的でした。整形も、もう隠すことでもない時代なのかなと。

有村藍里さん(以下、有村):公表後の反応には驚きました。美容整形に対して良いイメージを持っていなかったという人からも、「前向きになれる方法のひとつなんだな」と意見をいただいて。わたし自身、整形後は笑顔が増えました

──実際に身の回りにいる人たちの反応はどうでしたか?

有村:私を昔から応援してくれた人たちが、「変わる前も変わった後も藍里ちゃんは藍里ちゃんだよ」と言ってくれました。「顔が変わったら離れてしまうファンの人もいるのかな……」と思っていたので、顔が変わったことよりも私の心が晴れたことがよかったとファンの人に言ってもらえたのは本当に嬉しかったです。

有村藍里
整形したことで「笑顔が増えました」と語ってくれた有村さん。どのような心の変化があったのでしょうか。

──顎を切る大掛かりな手術、恐怖も大きかったのでは。

有村:めちゃめちゃ怖かったですよ。手術そのものに対する恐怖だけでなく、それ以上に「口元がひっこんだら、本当にコンプレックスがなくなるのかな?」っていう不安もありました。

──手術後の顔がどうなるのか、不安があったのでしょうか。

有村:顔って、バランスじゃないですか。目だって、二重にしたら可愛くなれるのかというと、人それぞれ、その人の顔のバランスに合うかどうかだと思うんです。私は、口元が出ていることがとにかく嫌だったけど、そこを整形したからといって望んだ顔になれるかどうかは、やってみないとわからなかったので……。

──「希望の顔」があったんですか? 「こういう口元にしたい」モデルとか。

有村:整形前は、いつも自撮りする際に口元の部分を加工して、顔の間延び感を修正していたんです。それをしなくてすむようになったらいいなって。今は、その通りになったので「これが望んでいたことだったのかな」と思っています

口元を見せるのが嫌で、笑うことが苦手になった

有村藍里
手術を受けた後は「毎朝鏡を見て口元の突出感がないのを感じるのが嬉しかった」という。

──昔から整形願望はあったのでしょうか。

有村:16歳から事務所に所属してグラビアアイドルをしていたんですけど、その頃から写真と自分が認知している顔が違ったんです。目をメイクで強調したり、カラコンを入れたりしてたんですけど、どこがコンプレックスというのはわからなくて。ただ、「なんだか盛れないな」という感じで、漠然としていました。

──もともと「口元を直したい」とは思っていたわけではなかったんですね。

有村:そうですね。メイクを変えてもあんまり可愛くならないので、だんだんと「歯並びかな?」と思うようになって、歯列矯正しました。それでもガミースマイル、笑うと歯茎が見えてしまうのは変わらなかったので、それが嫌で口元を隠す癖もついてしまったし、うまく笑えなくなってしまったんです。

──だんだんとコンプレックスが明確になってきてしまったんですね。

有村:自分が嫌というよりも、人に嫌な思いをさせていないかなって気になってしまって。「歯茎が見えちゃって嫌じゃないかな」「私の笑顔、気持ち悪くないかな」って考えてました。ある意味、自意識過剰ですよね。人に口元を見せるのが嫌になっちゃって、とにかく笑うのが苦手でした。

有村藍里
過去のコンプレックスについて質問すると「口元が気になって人前で素直に笑うことができなかった」と葛藤する気持ちを言葉にしてくれた。

──以前から応援してくれるファンの方がいて、ネットも「可愛い」の声が多かったと思うのですが……。

有村:人に褒められることはあっても、自分が「私はかわいくない」「私は自分をかわいいと思えない」って考えていました。

──人からの評価より、自分が納得しているかいないか、なんですね。

有村:そうこうしているうちに、「有村架純の姉」として私の写真がある日突然無断で新聞に掲載されたんです。それまではメディアにほとんど出てなかったんですが、それをきっかけにいろいろなところに取り上げていただきました。ただ、「これかぁ……」と思うような、写りが良くない写真が使われることが多くて。そんな中で、写真を見た人の「口元が残念」という意見が多いことに気づいたんです。

──芸能人とはいえ、一方的に容姿をジャッジされるのは本当にしんどいと思います。

有村:でも、そう言われてショックだったというよりは、「口元を直せばいいんだ!」って教えてもらった感じでした。「じゃあ、どうしたらいいんだろう」と自分でいろいろ調べた結果、骨から輪郭を整える輪郭矯正というものがあることを知って、「あ、やりたいな」って思うようになったんです。

「普通になりたい」。ずっとそう思っていた

有村藍里
手術後の休息期間に800話まで観たほどアニメ『名探偵コナン』が好きだという有村さん。「声優として出演してみたい」と笑顔に。

──有村さんは整形を決意した時、ネットで情報収集されたそうですが、まずどんなワードで検索したのでしょうか。

有村:「人中 間延び」「顔 下 長い」「口元 もっこり」みたいな感じです。

──ざっくり……! 整形や脱毛って、PR目的の記事が検索結果の上位に表示されますよね。すぐに知りたい情報にたどり着けましたか?

有村:あんまりでした(笑)。でも、Twitterの美容アカウントや整形アカウントの人たちを知ってから、彼女たちの発信する情報をよく眺めていました。手術後の様子や経過もみんなが載せてくれてるから、とても参考になりましたね。

有村藍里
「自分に合ったメイクやファッションを常に研究しています。美容やコスメについて発信するお仕事もしてみたいです」(有村さん)

──腫れが引いたあと、自分の顔と向き合って一番うれしかったことは?

有村:口紅を塗るのが楽しくなりました。 前までは、口が出ていたせいか口紅が塗りにくかったんですよ。「普通にメイクできればいいのに」「普通になりたい」って、ずっと思っていました

──綺麗になりたいではなく、普通になりたい、ですか?

有村:そうですね、手術する前は、きちんと口を閉じることもできなかったんです。だから、特別な美人になりたいとか美少女になりたいというわけではなくて、本当に普通になりたい、今の自分より1ミリでもかわいくなりたい。それだけでした。

ネガティブだった過去の自分も否定したくない

有村藍里
変わりたいと悩む人に向けてのメッセージをお願いすると、「変わりたいと思った瞬間から変わり始めてるはずです」。

──有村さんはもともと、自分に自信が持てなかったんですよね。整形前からグラビアアイドルをしていたことで「自分に自信があるのでは?」と言われることも多かったのでは。

有村:いやいや。自信がないからこそ、ぶっとんだことをしないと思ってグラビアアイドルを始めたんです。中学校はほとんど不登校で、ずっとうじうじした引きこもりだったので、それぐらいのことをして無理矢理にでも変わらないと私は絶対に変わらない。ずっと引きこもってるだけなんて、そんなの絶対にイヤだって思ったんです。

──そうだったんですね。思い切りがすごいです。

有村:わたし、「嫌な思いをさせたくない」という意味では人の目がめちゃめちゃ気になるんですけど、自分をどう評価するかとか、自分がどう行動するかは、すごく頑固なんです。整形すると決めたのも自分だし、口元が嫌だと思ったのも自分。結局は自分の意思だと思うんですよ。自分が無くならないように、自分の気持ちには素直でいたいので。

──たしかに、決めるのは自分ですもんね。

有村:決断は勇気がいることだったけど、それでもわたしは動き出すのが遅かったなって思うんです。もっと早くにできることがいっぱいあったはずなので、これからはもう絶対に後悔しないような生き方をしたい。どうせ転ぶなら前に転んじゃおう! って思ってます。

有村藍里
「人によく思われたい」というより「こんなこと言ったら嫌われるかな、嫌な思いをさせてないかな、という意味で人の目がめちゃくちゃ気になります」とご自身のネガティブさを語ってくれた。

──ものすごく前向きになったんですね。「以前の顔に戻りたくない」と、昔の写真を捨ててしまう人もいるそうなのですが、有村さんはどうですか。

有村:過去の写真も「うわ〜」って思うところはあるんですけど、それも自分だと受け入れられるくらいに、心の余裕ができました。ネガティブな時代があったからこそ、今があるんだって

──ネガティブな時代があったからこそ、というのは?

有村:これまでもいつもありのままの自分を出していたんですけど、思ったことを口に出すと、ちょっと暗い印象、ネガティブな印象の発言になっちゃって。でもそれが面白いと言ってもらえた時には、「ネガティブなわたしでもいいのかな」「こういう自分も受け入れてくれる人たちがいるんだ」と思えて、一歩一歩前進してきたんだと思います。

──ファンの方との関係性が本当に素敵ですね。

有村:だから過去の出来事も、整形する前の自分も否定するつもりはありません。そのすべてが今のわたしにつながっていて、全部が大切なことだったなって思うんです。

──ネガティブだった有村さんが少しずつ自己肯定できるようになって、手術を受けたことで自然に笑えるようになったんですね。

見た目が変わったこと以上に、心の変化が一番の変化だった

有村藍里
有村さんは過去の自分も否定しない。「すべてが大切なことだった」という。

──手術を受けることについて、ご家族はどんな意見でしたか?

有村:家族は大賛成というわけではなかったです。でも、「それであなたが前向きになって歩んでいけるならいいと思うよ」と最終的には納得して背中を押してくれました。

──整形を公表することについては?

有村:公表するといろんな意見をいただくことになるので、「いろいろ言われると思うけれど、あなたの心は大丈夫?」と、まず私のことを心配してくれました。

──素敵な関係ですね。そして、いろんな意見を「いただく」? そのスタンスが衝撃です。人の顔についてごちゃごちゃ言いやがって! とか、思うことはありませんか?

有村:(笑)。ずっと「わたしなんて」って思ってきたので、何を言われても「ありがとうございます」ってなっちゃうんですよ。

有村藍里
「自分が底辺だと思って生きてきたので、何に対しても感謝なんです」という謙虚すぎる言葉も。

──謙虚すぎます!(笑)

有村:ひとりで考えてひとりでネガティブになって「わたしなんて」って思ってたけど、自分の味方をしてくれる人がたくさんいることに気づけたし、まわりの人も「素敵だから大丈夫だよ」って言ってくれてたんですよね。

それなのに、その人たちの意見も聞けなくて、「わたしはダメだから」って勝手に殻にこもってしまっていて……。それってわたしを応援してくれている人たちに対して失礼だったなって思えるようになりました。

──気持ちの面ですごくいい変化があったんですね。

有村:考え方は人それぞれなので、「整形なんてやるもんじゃない」と思う人がいるのも当然だし、「整形してもいいじゃん」と思う人がいても当然じゃないでしょうか。

私の場合でいえば、もちろん美容整形したことは大きなことだったんですけど、それ以上に心の変化が一番の大きな変化でした。今は本当に毎日が楽しいです。私は整形してよかったと思います。

有村藍里

有村藍里(ありむら・あいり)

1990年、兵庫県生まれ。16歳の時からモデル、グラビアアイドルとして活動を開始する。2014年に「TSUTAYAプリンセス2014」でグランプリに選ばれる。妹は女優の有村架純。当初、妹との関係は明かしていなかったが、2015年に有村架純の姉として報道され話題に。2019年3月3日、フジテレビ『ザ・ノンフィクション』で美容整形手術を受けたことを明らかにする。

Twitter:@arimuraairi

Instagram:@arimuraairi

取材・文/小沢あや(@hibicoto
写真/佐野円香(@madoka_sa