仕事が順調な時ほど、休むにも勇気がいります。
モーニング娘。のメンバーとして13歳から24歳まで駆け抜けた道重さゆみさんは、卒業後に2年4カ月の間、芸能活動を休業しました。子どもの頃から、芸能界で長年働き続けていた道重さん。初めての長期休暇を経験して、働き方はどう変わったのでしょうか。
現在、モデル・歌手として多忙を極める道重さんに、休みを思い切り楽しむための準備方法を聞きました。
「やらなきゃいけないこと」が残っていると休んだ気になれない

──長く働くためには休暇も大事。でも、会社で働く人たちの中には休みたくても「休みにくい」と思ってしまう人が多いんです。
道重さゆみさん(以下、道重):休みにくいと思ってしまう人って、“休みにくい環境”にいるってことですよね? その環境の中で思い切って休んだとしても、結局、精神的にはまったく休めてないと思うんです。もちろん体を壊してしまったら元も子もないので、休息は必要だと思うのですが、どちらにしても無理しないでいいのかなって思います。
自分が「今日は休むぞ! 休んでも大丈夫!」って思える時に思いっきり休むことが大事なのかなって思います。
──現在もモデル業や歌手活動など忙しいと思います。「休む準備」、道重さんはどうしていますか?
道重:スケジュール管理は、もちろん自分でも把握しています。そのうえで、締め切りがあるものは、アンケートでも書き物でも、全部前倒しで提出していますね。「この期間は休みたいので、その間の締め切りはやっておきました!」って。

──素晴らしいです。きっちりした性格は昔からなんですか?
道重:小学生の頃から、夏休みの宿題も7月中にほぼ終わらせていましたね。私の性格的に、何かやるべきことがたまっている状況自体が苦しくなっちゃうんです。家族で出かけるのに、ずっと「宿題やらなきゃ」って頭のどこかで思っているのが嫌で。お姉ちゃんは、毎年8月31日に焦ってましたけどね(笑)。
──根っからの真面目気質なんですね。
道重:「あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ」って思いが頭にありながら休んでも、まったく休んだ気になれないんです。

手帳に書き込む「やりたいことリスト」
──「適度に休む」ために意識していることはありますか?
道重:手帳に「やりたいことリスト」を書き込んでいます。マンスリーの予定欄の横にプライベートでやりたいと思ったことを全部リストにしておくんです。
──具体的に、どんなことをメモしてるんでしょうか。
道重:観たい映画や行きたいお店、期間限定イベントのスケジュールも全部書くようにしています。「これやりたい」と思っても、「いつか行こう」「行けたら行こう」で終わっちゃうことってありますよね。そうならないように「今月は絶対ここに行く」と決めて、文字にして書いています。

──仕事のスケジュールと「やりたいこと」を同じ手帳に書くのがポイントなんですね。
道重:「このお店にはあのワンピースを着て行こう」とか、その日に向けて気持ちを盛り上げてます。海外旅行とかはなかなかできないので、無理な願望はリストに入れないことにしています。実現できそうなことを3〜5個くらいメモしてますが、今のところ毎月ほぼ叶ってますね。
──プライベートの予定も本気で取り組んでいるのがわかります。
道重:いや、1日中お家で寝てる日とかも全然ありますよ。ただ、凝り性で、何でも下調べが大好きっていうところがあるので、せっかく出かけるなら中途半端は嫌だなという気持ちなんです。映画も、ネタバレにならない程度にあらすじや吹き替え版キャストとかも調べて観に行きます。

「絶対に戻ってくる」ために休業期間中に考えていたこと
──道重さんは、モーニング娘。卒業公演で「しばらく休業しようと思っています」と宣言、そのまま完全に休業し、ファンに激震が走りましたね。
道重:当時、私にとってモーニング娘。が人生のすべてでした。とにかく大好きなモーニング娘。として全身全霊で全うしたいと思っていて。モーニング娘。以外の私のこの先のことは、この先に考えるとして、グループにいる以上はグループのことだけを考えていたかったんです。それが、約12年、私をたくさん成長させてくれたグループへの恩返しにもつながればいいなと思っていたので。
あとは13歳で加入してから、ずーっと突っ走ってきたから、一度ゆっくりしたいなと思ったのも、もちろんあります。
──2年4カ月という期間は、どうやって決めたんですか?
道重:「絶対戻ってくるぞ」と決めての休業だったのですが、どれくらい休むかは全然決めてなかったんです。休業して1年くらいした時に、「やっぱり私は歌って踊りたい」と思い、そこから会社の方と話して準備していって……2年4カ月経ったという感じです。

──ブログなど、つい発信したくなることはありませんでしたか?
道重:よく聞かれる質問なんですけど、それはなかったです! むしろ、休業してからずっとあげてなかったブログの復帰一発目でどんなことを言おう!?とか、しっかりしっかり練って考えたうえで発信したかったから、途中で一言でも何か発信したり、どこからか写真が出てしまったら絶対に違うと思っていたので。なので、自分からはもちろん、その他からも出ないように気をつけてましたね。
──すごいプロ意識です。
道重:でも、プライベートでいい写真が撮れると、いつかこの写真みんなに見てもらいたいなと思ってフォルダを分けてとっておいたりしてました!
──ネットパトロールで有名な道重さんですが、休業中、エゴサーチはしていましたか?
道重:そうですね。「ファンの人が私を待ってくれているんだな」と感じられる場所だったので。休業中、まったく更新していないブログにコメントがついたり、 誕生日に私に関するワードが Twitterトレンド入りしたり、離れていても愛を感じてたくさん支えてもらっていました。愛を感じるたび、私もファンの方へ愛がさらに大きくなって早く会いたいな! ってずっと思ってました。

休みは寝るだけだったモーニング娘。時代
──モーニング娘。時代は毎日忙しかっただけに、卒業後いきなり「スケジュールが真っ白」という状態になって、気持ちが焦ったり、とまどったりすることはありませんでしたか?
道重:たくさん寝て、たくさん食べて、たくさんゲームしての繰り返しで……。何をしたいかわからないってことには、基本ならなかったですね。私、暇さえあれば寝ちゃうんですよ。ありがたいことにめちゃくちゃ眠れる体質なんです。
──インドア派なんですね。あまり外には出なかったんですか?
道重:休業してからは外にも出るようになりました。モーニング娘。時代は、基本お休みの日は寝てて、服も母に買ってきてもらうことが多かったですね。
卒業して時間ができてから、「試着しながら服を選ぶのって、こんなに楽しいんだ!」とか、「アウトレットだとこんなにもお得なんだ!」とか「映画館で観る映画はやっぱり違うな〜」とか、日常の一つひとつが新鮮で感動していましたね。

──留学とか思い切ったことをしなくても、2年半の休暇を楽しめましたか?
道重:そうですね。知らなかったことをたくさん知りました。たとえば、世の中にはいろんなイベントが開催されていて、その一つひとつにいろんな人が関わっていることや、その人たちのこだわりが込められて素敵なものができあがるってことを知ったり。自動車の教習所に通って、免許も取得できて、世の中のいろんな楽しみも知れました。

休むべきタイミングをどう判断しているのか
──モーニング娘。時代、休めない中でどうやって「休息タイム」を作っていましたか?
道重:モーニング娘。の頃はすべてがモーニング娘。で、趣味とかもほぼなかったんです。好きなものがモーニング娘。のみって感じでした。なのでお休みにしたいことと言えば「寝ること!」だったので、ひたすら寝ていました。その時は寝ることだけが休息でした。
今は休業中に趣味も増えて楽しみも知って、出かけることもリフレッシュのひとつ、って感じに変わりましたね。
──国民的アイドルとして、アドレナリンも出てたと思います。「そろそろ休まないとやばい」という体のサインは、どう察知していましたか?
道重:忙しすぎると、だんだん頭が回らなくなっちゃうんです。しゃべる時に、うまく自分の中で考えがまとまらなくなると「そろそろ寝なきゃ」と判断していましたね。普段はできることに苦戦するとか、覚えるべきことが頭にまったく入らない時は、休む判断も大事だなと思います。
──責任がある立場だと、なかなか休めないものです。特にモーニング娘。のリーダーを務めていた時は、どうやって業務のバランスをとっていたんでしょうか。
道重:私は完璧主義な部分があるので、リーダー時代は「何でも自分でやりたい」と思うこともありました。でも、本当にすべて自分でやっていたらキャパオーバーしちゃうので、後輩に頼れるものは素直に頼っていました。一人で抱え込むのではなく、時には周りを頼ることも大事だと思います。

道重さゆみ(みちしげ・さゆみ)
1989年生まれ。2003年1月、モーニング娘。に6期メンバーとして加入。2012年、8代目リーダーに就任。2014年にモーニング娘。’14および、ハロー!プロジェクトを卒業。モーニング娘。への在籍日数は4329日と歴代最長。約2年4カ月の休業期間を経て、2017年春に芸能活動を再開。
Twitter:@tubuyakisayumin
Instagram:@sayumimichishige0713
取材・文/小沢あや(@hibicoto)
撮影/いわなびとん
