思い切り仕事を楽しんで結果を出せたら最高だと思いませんか?

そこで今回、会社全体で「面白く働く」に挑戦している人にお話を聞いてきました。

ご登場いただくのは、「うんこミュージアム」(アカツキライブエンターテイメントとの共同企画)や「リカちゃんコーディネートメーカー」などユニークな仕事で知られる、面白法人カヤックの代表・柳澤大輔さん

面白く働きながら成長するコツを聞いてみました。

仕事を楽しめるのは「負けを受け入れられる人」

柳澤大輔(やなさわ・だいすけ)。面白法人カヤック 代表取締役CEO。1998年、カヤック設立。「面白法人」という名のもと、新しい会社のスタイルに挑戦中。

──カヤックでは「面白く働く」ことを重視してるそうですね。柳澤さんがずっと面白い仕事ができている理由は何ですか?

柳澤大輔さん(以下、柳澤)研究心でしょうか。

──研究心?  どうやったら仕事がうまくいくか研究するということですか?

柳澤:たとえば、経営者という仕事はどういう仕事なのか、何を大切にするべきなのかと考えて、そこにひとつの解が出たら、それをただただ突き詰めてみる。そこに意味はないかもしれないけれど、とことん突き詰めてみるんです。

仕事に対する探究心が「働く」を楽しむ秘訣

──仕事に対する「解」を突き詰めていくことに面白さを感じるんですね。なんだか哲学的です。

柳澤:突き詰めて考えつつ、常に俯瞰して自分を見てみることも大事です。のめり込みすぎてしまうと、些細なことに一喜一憂してキリがなくなってしまいます。

──そうならないためにはどうしたらいいんでしょう?

柳澤:たとえば、人生や仕事はひとつのゲームのようなものだと考えてみる。研究するということは、ある種、ゲームのルールを理解するということでもあるから。それにゲームなら負けてもいいですからね。

ゲームを楽しめるのはどんな人?

──ゲームに勝つには負けず嫌いなほうがいいのでは?

柳澤:それが、逆のような気もします。負けるのを極端に嫌がる人はゲームを楽しめない。勝ち続けられる人はいないんだから、誰だって絶対に負ける時が来る(笑)

だからと言って、勝ちにこだわらないとゲームそのものを楽しむことができないので、「負けるのが嫌」ではなく「勝つことが好きな人」になる。負けも受け入れながら、勝利に執着することなんじゃないかなと思います。

伸びる人材には3つのパターンがある

──ゲームを楽しむには、結果を出すことが必要だと思うんですが、「成果を出して伸びる人」ってどんなタイプでしょうか。

柳澤:僕は経営者なので、「会社に貢献できるかどうか」という観点で考えてみました。

柳澤:3つめが、一番レベルが高いし、最初からできる人はいません。働くうちに、立場を与えられて、後から身につくものです。

──カヤックでは、若手のどこを見て伸びしろを判断していますか?

柳澤:カヤックの場合はクリエイター中心なので、得意ジャンルがはっきりしているし、わかりやすいんです。採用の際には技術や実績を見て判断してます。

──面接ではどんなことを聞くんですか?

柳澤:ストレートに「あなたの強みは何ですか」と聞くことも多いですね。自分の強みを言語化できるということは、戦略性があるということでもあるので。

活躍する人の共通点は「どの領域で貢献するかがはっきりしている」ことだそう。

──戦略性というのは、自分の強みをどう生かせるか知っているということでしょうか。

柳澤:新卒だったらそのイメージがわかないというのはよくあること。でも、中途の場合は、入社後に自分がその組織にどう貢献できるのかイメージできるに越したことはないですね。

──自分の価値をアピールできることにもなりますね。

柳澤自分の強みは何か、どういうスタイルだと強みを発揮できるのか。上司は放任主義がいいのか、あるいは細かく目標設定してもらったほうが燃えるタイプなのか。

そういったことを自分の口から伝えてもらったほうが、採用側も自分たちのチームに合うのか、入社後にどう貢献してくれそうかイメージが湧きやすいんじゃないかと思います。

自分が強みを発揮できる環境、理解してますか?

仕事を楽しくするために必要なマインドとは?

──求められる人材になるために必要なマインドは何でしょう?

柳澤「自分に合う組織をしっかり見極めること」。それから「自分が会社を背負うこと」でしょうか。

──会社を背負うって、かなりハードルが高いんですが……。

柳澤:「自分がこの会社のリーダーになるぞ」っていう意気込みでいれば、自然と行動も言動も変わってきます。若手のうちから「会社を率いる」って視点を持つことは大事だと思いますよ。

──そのためにも、自分に合った組織を見極めるべきなんですね。

柳澤:面接を突破すること自体より、入社後のほうが大事ですからね。積極的に情報を拾って自分がその組織に合うか知ることが大切です。

──企業のサイトだけでなく、SNSやnoteなどで発信する企業も増えましたよね。

柳澤:会社情報を知ってるかはあまり関係なくて、そこで働く人を見ればいいのかなと思います。

カヤックにもたくさんの学生が会社見学を希望してくるそう。

──柳澤さんは新卒でソニーミュージックに入社されましたが、どんな視点で会社を選びましたか?

柳澤:業界研究や企業研究はしてないんです。「自分はこういう人間です」って情報を全部開示して、向こうに合うか合わないか判断してもらう形で決めました。そしたら複数受かって、迷いましたね。

──複数の内定先から、何を基準に入社する企業を選んだんですか?

柳澤:内定をもらった会社の前にずっと立って、どんな人がビルに入っていくか眺めて決めることにしました。

──まさに、そこで働く「人」を見たんですね。

会社に入っていく人を見ることで、その会社のことがなんとなくつかめたという。

何を失敗ととらえるかは自分で決めればいい

──見極めたつもりでも「この就職、失敗したな」と感じた時、どうやってキャリアを立て直したらいいでしょうか。

柳澤:その前に、自分が何をもって「失敗」ととらえるかをしっかり言語化することが大事かなと思います。そうすれば失敗は失敗じゃなくなって、次の成功へのステップになるはずなんです。

──次に生かせれば失敗ではないと考えていいんですね。

失敗を怖がる必要なんてない。

柳澤:ただ、どういう会社に入るかで多少考え方の癖が変わることがあります。退職することが失敗のような文化の会社もあれば、ある程度、退職推奨の会社もある。

──会社の価値観に影響されるところはありそうですね。

柳澤:自分の頭で考えて、自分は「失敗」をどうとらえるか考えてみるのが重要だと思います。

──何が失敗かは自分で決めればいいことですもんね。柳澤さんにとっての「失敗」は何ですか?

柳澤:僕にとっての「失敗」は、尊敬できない人と一緒に働くこと。ただ、これはこの歳になってわかることで、若い頃はそこまでわかってなかったかもしれませんね。

「誰と働くか」は本当に大事。

ただ「やりたい」と言うだけでは面白い仕事はできない

──「配属ガチャ」なんて言葉もありますが、今とは違う「面白い、やりたい仕事」にシフトするにはどうしたらいいでしょうか。

柳澤:やりたい仕事がある人は、そもそもその仕事に対して自主的に勉強したり、何かあった時には進んで手をあげたりしますよね。そういう行動を先に起こしておくことが重要かなと思います。

──周囲の人に「やらせてみようか」と思わせることも大事ですよね。

柳澤:行動していない人が「もっとこういうことをやりたいんです」と言っても、なかなかそのチャンスは与えられないんじゃないでしょうか。

──キャリアに限らず、仕事では大事な決断を迫られることがあります。柳澤さんはどうやって決断していますか?

柳澤:大いなる自然の意思に任せる時もありますよ。極端な話、二択で悩んでいる時に10円玉投げて裏か表かで決めることもありますから。

え、そんな涼しい顔で言うことなんですか?

──超極端! 

柳澤:でも、この方法でやる時にはポイントがあるんです。

──そのポイントとは?

柳澤:本当にやる前にどっちが出ても納得できるように考え抜きます。やった後に「やっぱりやめとこう」って結果をひっくり返すとしたら、それは実は自分の中で「こっちがやりたいんだ」ってわかってることが多い。だから、本当に悩んだ時だけコインで決めるんです。

とはいえ、そういう“自分ルール”を決めておけば、コインに決められるなんて嫌だから、そうなる前に必死に本当はどっちがやりたいか考えますよね。だから、実際にはコインをふらずにすんだりします(笑)

柳澤大輔(やなさわ・だいすけ)

1974年香港生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、ソニー・ミュージックエンタテインメントに入社。1998年、学生時代の友人とともに面白法人カヤックを設立。ゲームアプリやWebサイトなどオリジナリティのあるコンテンツを発信。ユニークな人事制度やワークスタイルなど新しい会社のスタイルに挑戦中。著書に『鎌倉資本主義』(プレジテンド社)、「リビング・シフト 面白法人カヤックが考える未来」(KADOKAWA)ほか。まちづくりに興味のある人が集うオンラインサロン主宰。

Twitter:@yanasawa

取材・文/小沢あや(@hibicoto