スキルアップやキャリアップのために勉強しよう! と思っても、仕事で毎日ヘトヘト、やる気が出ない……。

そんな悩みを解決するために話を聞いたのは、偏差値95を叩き出した経験を持ち、3年連続で「最強の頭脳 日本一決定戦!頭脳王」のファイナリストになった粂原圭太郎さん

社会人が無理なく、効率的に勉強を続ける方法とは?

勉強法オタク、「偏差値95」を叩き出す

粂原圭太郎(くめはら・けいたろう)。高校時代は平均偏差値80、最高偏差値95を出し、京都大学に首席で合格。

——いきなり失礼ですが……、偏差値95なんて本当に存在するんですか?

粂原圭太郎さん(以下、粂原):僕は、駿台模試で偏差値95を出したんですが、平均点が20点くらいの時に100点をとると偏差値90台が出ます。偏差値95だと、33万人に1人と言われてますね。

——平均点が20点の時に100点!! そんな点数取れるんですか?

粂原:僕は勉強法オタクなんです(笑)。和田秀樹さん(※)の本を読んで“勉強法の勉強”にハマってしまって。勉強法の本は1000冊以上読んだかな。

(※)和田秀樹:医師、受験アドバイザー、評論家などとして活躍。勉強法にまつわる著書多数。

勉強は歯磨きと同じ⁉

——1000冊! すごい数ですね。勉強法ってやっぱり大事なんですか?

粂原:大事ですね。でも、何かを学ぶためには、それと同じくらい大事なことがあるんです。

勉強法以外に大事なこととは?

——モチベーション! やる気ですよね?

粂原:違います。残念ながら「やる気が」って言ってる段階でダメなんです。勉強って歯磨きと同じなんですよ。

——え? 歯磨き……?

粂原:歯磨きする時にやる気って必要ないですよね? 勉強も歯磨きと同じレベルで習慣化させることが大事なんです。

——いやいや、それはハードルが高すぎますって(勉強と歯磨きは同じじゃないし……)。

粂原:いえいえ、コツさえわかれば習慣化はできるんです。やっぱり人間の意志って弱いんですよ。偉そうに言ってる僕だって、仕組み化しなければ怠けちゃいますから。

——そうなんですか? そのコツ、教えてください!!

習慣化のためのポイントは3つある

粂原:ポイントは3つあります。

  1. 人の力を頼る
  2. 自分に合う勉強法を見つける
  3. 細分化して自動化する

それぞれ説明していきますね。

——よろしくお願いします!

粂原:まずは人の力を借りることです。友達や家族、誰でもいいので周りの人に自分の目標を宣言してみましょう。一緒に勉強する仲間を持つのも効果的です。

——怠けられない環境を作るんですね。

粂原:ひとりでやると絶対に怠けちゃうんですよ。それに、宣言することで自分自身が変わるという効果もありますね。

——宣言することで自分にプレッシャーがかかるのはわかるんですが、変化するというのは?

粂原:アメリカの大学の実験で明らかになった心理作用で、「公表効果」というんですが、人は自分の発した言葉によって意識が変わるんですよ。

たとえば「私は感情的な人間です」と声に出すと、実際に感情の起伏が激しい人になっちゃう。

宣言することで意識を変えてみよう

——人って自分が発する言葉に影響されるんですね。

粂原:夜寝る前なんかに、目標達成した時のメリットやご褒美、うれしい気持ちをイメージするのもいいですよ。

——やりたくないとか、嫌だって気持ちにならないよう、ご褒美をイメージするのはよさそうですね。

粂原:イメージは具体的なほど効果的です。繰り返し目標を思い出すことで、そこに向かって頑張れます。社会人にはこの「繰り返しイメージ」ができていない人が多いですね。

学んだことを人に説明すれば学習効率がアップ

粂原:勉強したことを定着させるためにも人の力を借りると効果的です。

——具体的にはどうすればいいんでしょう?

粂原勉強したことを人に説明してみるんです。インプットばかりが勉強だと思っている人が多いんですが、アウトプットしないと定着しないんですよ。人に教えてみるのが一番効果が高いですね。

インプットだけでなくアウトプットがとても重要

——相手がいない場合は……?

粂原:Twitterとかでアウトプットしてもいいです。あるいは、眼の前に誰もいなくても覚えた内容を口に出して話してみるだけでも違います。

——ひとりでしゃべるだけでいいんですか?

粂原:はい。インプットしたつもりでも言葉にすると、そもそもしっかり理解できてなかったことがわかります。理解できてなかったことはもう一度インプットすればいいだけ。それを繰り返すことで、知識が脳に定着するんです。

——アウトプットって大事なんですね。

粂原:大事ですね。1年くらい外国暮らしをしていると、自分の名前でさえ漢字で書けなくなっちゃいますから。

「漢字って書かないと忘れちゃうでしょ?」

「自分に合った勉強法」を見つけるには?

粂原:2つめは、自分に合った方法を選ぶこと。ネットや本で調べれば、いろんな勉強法があるので、よさそうなものをいくつか試してみるのもいいと思います。

——選び方のコツはありますか?

粂原:自分の認知特性に合った方法を選びましょう。簡単に説明すると、

  1. 文字情報を読んで頭に入れるのが得意な人
  2. 音声で覚えるのが得意な人、
  3. 画像や映像で覚えるのが得意な人

大きくこの3つのパターンに分かれるんです。

——なるほど。それぞれタイプによって合う方法が違うんですね。

粂原:読んで覚えるのが得意なら従来型の「読む・書く」方法でいいでしょう。意識して読むスピードを上げれば吸収スピードも高まります

僕はセルフクイズ法って呼んでいるんですが、聴いて覚えるのが得意なら、自作した問題をスマホに吹き込んで繰り返し聞くといいですよ。

——それって、問題を作ることも勉強になりますよね。

粂原:画像や映像などビジュアルで理解するのが得意なら、マインドマップを使うといいと思います。Mindmasterっていうツールは簡単にマインドマップが作れるのでおすすめです。

オンラインでマインドマップが作成できる

「自動的に勉強してしまう」計画の立て方

粂原:3つめは自動的に勉強するための計画の立て方です。

壮大な計画は立てただけで満足しがちですし、いざやろうとすると実現できなくて萎えちゃいますから。できるだけ計画を細分化して現実的な数値目標を作ることですね。

——試験までに問題集10冊解く、みたいな?

粂原:うーん…漠然としすぎですね。仕事のタスク管理と同じで、この日のこの時間帯に何を何個覚えるかってところまで落とし込みましょう。

何も考えなくても、その日、その時間にやることが決まっていて自動的に学習できる状況が理想です。

「今日は何やろう?って思うと勉強が嫌になっちゃいますよね」

——そんな計画、本当に立てられるんですか?

粂原:少なくとも1週間とか2週間の単位でやることが数値化されていないと。実際にやりながら計画通りに進められているか確認して、無理があれば計画を修正していくんです。

「思い切って課金」は目標達成の近道です

——正直、計画を立てるだけでも大変そうなんですが……。

粂原:だからこそ、ひとりでやっちゃダメなんです。本気でやるなら、これは社会人の特権だと思うんですが、課金してしまうのが一番ですね。

——スクールとか通信講座みたいな?

粂原:専門の先生やパーソナルコーチに見てもらうのがおすすめです。今はニーズに合う人をネットで探すことができます。コーチがいれば、「一人でやらず」「自分に合った方法」で「自動化する」がすべて叶うので、効率よく学べるんです。

——お金をかければやらなきゃって気持ちになりますしね。

粂原:それも数百円とかだと「まあいいや」ってなりがちなので、そこそこお金をかけたほうが真剣にやる可能性が高いですね。

「もったいないっていうパワーはすごいんです」

——意志が弱いとお金がかかるんですね。

粂原意志が弱いのが悪いんじゃなくて、弱いのが当たり前なんですよ。だから意志が弱い自分を否定しないで、無理なく勉強を続けるための仕組みを考えてみてください。

ついスマホを触っちゃう問題はどうする?

——社会人だと勉強時間が限られてしまいますが、限られた時間の中で学習の密度を高めるコツはありますか?

粂原:まずはスマホです。今の時代、スマホとの付き合い方は死活問題。情報収集でスマホを開いたはずが、いつの間にかYoutubeを見ちゃってるなんて当たり前にありますから。

——確かにスマホは触っちゃいますね。どうしたらいいんでしょう。

粂原スマホ使用を制限するアプリを使ってみてはどうでしょう? たとえば、スマホを放置している間に魚が成長するアプリがあって、放置する時間も自分で決められるんです。

「スマやめ」はスマホを放置している間に魚が育つ

——それなら放置ゲームの感覚でスマホを止められそうですね。

学習効果を高めて楽しく学ぶには?

粂原:それから、最近わかったことですが、勉強する前に2分間身体を動かすと、脳が活性化するそうです。

学習記憶、計画立案力、問題解決能力、集中力、言葉のなめらかさなどが向上して、その効果は2時間持続するんだとか。

——勉強の合間に2分間スクワットするとか、気分転換にもなりそうですね。

粂原インプット直後に「何やったっけ?」と振り返ることで定着率が上がりますよ。定着率が上がると、勉強も楽しくなってきます。

大前提として、「楽しくないことは続けない」「続かない」ということ。ごほうびを設定したり、仲間を見つけたりしながら、勉強が楽しいと思えるよう工夫してみてください。

粂原圭太郎(くめはら・けいたろう)

京都大学経済学部経済経営学科卒業。高校時代、最高偏差値95を出し、京都大学に首席で合格。2014年から3年連続で「最強の頭脳日本一決定戦!頭脳王」(日本テレビ系)ファイナリストに。小学生の頃より始めた競技かるたは現在八段。2019年には競技かるた日本一、第65期名人の座につき、翌2020年も名人位を防衛。オンライン個別指導塾「となりにコーチ」の代表者。

Twitter:@benkyouhou  
    @k_kumehara

オンライン個別指導塾:となりにコーチ

取材・文/鷺島鈴香(@suzuka_s