採用倍率100倍超! 隠れた人気職「大学職員」とは?

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転職の人気企業と言えば、総合商社やメーカーを思い浮かべる人が多いでしょうが、隠れた人気を誇るのが大学職員です。

なぜ大学職員、とくに私立大学の職員の人気がこれほどまでに高いのでしょうか? 大学職員の待遇や仕事内容から人気の秘密を探り、求人への応募を紹介します。

<目次>
1.高待遇が人気の秘訣!私立大学職員のメリットとデメリット
大学職員とは?
首都圏の私立大学職員の平均年収は40歳で649万円
安定した休暇や勤務時間も魅力
大学職員は女性の離職率も低い傾向
年功序列で若手が活躍しにくい職場も
2.学生窓口だけじゃない!大学職員の仕事内容とは?
大学職員の仕事は大学の管理・運営
3.倍率100倍超!?大学職員になるためには
大学職員の募集はポストに空きがあるときのみ
求人は大学のHPや転職サイトでチェック
求人広告を見る際は雇用形態や学歴に注意
私立大学職員の採用過程は一般企業と同じ
4.大学は斜陽産業? 転職してから安泰とは限らない
勝ち負けがハッキリ別れる大学業界
人気校なら当面心配はいらない
5.まとめ

 

1.高待遇が人気の秘訣!私立大学職員のメリットとデメリット

大学職員とは?

大学職員は大学運営するための管理や事務などの仕事を担う人大学職員とは、大学を運営するための管理や事務などの仕事を担う人のことです。

わかりやすいところで言えば経理や広報、学生課の仕事などがあります。他にもカリキュラムを考えて講義の時間を割り振る、成績をまとめる、進路指導、留学生のサポート、学生寮の管理なども大学職員が行っています。

教授や准教授、非常勤講師といった教員とは違って、大学職員は研究や教育は行いません。

首都圏の私立大学職員の平均年収は40歳で649万円

首都圏の私立大学職員の平均年収は40歳で649万円2013年の大東文化学園教職員組合連合の資料によると、首都圏にある私立大学の職員が1ヶ月あたりにもらっている賃金の平均は、40歳で40万5755円。ボーナスが夏・冬二ヶ月分ずつもらえると仮定して試算すると、年収は約649万円となります。30歳だと月給30万1250円、年収(試算)は482万円です。

一方、文部科学省の発表によれば国立大学の職員の平均年収は576.6万円(2015年度)。また、上場企業の平均年収(2015年度)が622.3万円であることを考えると、私立大学職員の給料は高いと言えます。

多くの私立大学では定期昇給があり、人事考課の結果にもよりますが基本給が5,000~10,000円程度増えるケースが多いようです。また賞与も年間で6ヶ月+一時金があるケースも。

民間企業同様に、扶養家族が増えると家族手当が支給され、住宅手当も支給されます。また、大学にもよりますが、複数拠点がないかぎり転居を伴う異動もないため、安定して同じ土地に住めることをメリットだと考えることもできます。

「偏差値が高い大学ほど高給」と言われがちですが、決してそういったこともありません。受験生に人気の大学であっても年収が低く抑えられている大学もあれば、一般的にはあまり知られていない大学がこれらを超える給与を事務職員に払っているケースもあります。

安定した休暇や勤務時間も魅力

大学職員なら休みも取りやすい大学職員の魅力として、勤務時間や休暇が安定していることも挙げられます。大学の多くが9:00~17:00や8:30~17:30といった勤務時間で、残業も民間企業と比較して少なめと言われています。

土曜日や夜間については、大学によっては授業があるため、シフト勤務の場合があり、民間企業に多い完全週休二日ではないケースが意外に多いことには注意しておきましょう。

大学には繁忙期があり、主に入試が本格的に始まる1月から入学・履修登録が完了する4月末あたりがそれにあたります。業務内容にもよりますが、この期間は残業が多めになる傾向です。

その分、有給休暇とは別に、学生の夏休みや冬休みの期間中に、職員にもそれぞれ10~20日間程度の休暇が取れる大学が多いようです。

大学職員は女性の離職率も低い傾向

大学職員には女性が多いせいか、産前産後休暇や育児休暇が充実している大学が多い傾向にあります。また、育児休暇が明けてからも、時短勤務など融通の効きやすい勤務体系が用意されており、女性の離職率は一般企業と比べて低いようです。

大手民間企業であっても、育児休暇の制度はあってもなかなか使いにくい雰囲気や文化のあり、取得率が低いと言われていますが、大学業界では多くの女性職員がこういった休暇を取得しています。

年功序列で若手が活躍しにくい職場も

大学職員は年功序列の側面も実際に大学職員として働いている人の声を聞いてみると、「全体的に若手が意見しにくい雰囲気がある」といった意見がしばしば聞かれます。大学職員のネガティブ面としては、年功序列が色濃く残る大学は若手が活躍しにくい環境であることが挙げられるでしょう。

また、教務部門での学生対応や国への補助金申請といった大学特有の業務は他の業種には応用しにくく、長く働けば働くほど民間企業にて転職するのが難しくなってしまいます。そのため辞めていく人が少なく、年功序列が強化されるという側面もあります。

2.学生窓口だけじゃない!大学職員の仕事内容とは?

大学職員の仕事は大学の管理・運営

大学職員の仕事は教務だけではない大学職員のおもな仕事は研究・教育の場としての大学を運営することです。

たとえば自動車を作っている会社でも必ず経理や総務、人事といったバックオフィス系の職種があるように、大学にも教授や講師など教員のほかにバックオフィス系の職種があります。ほかにも教務や学生担当といった大学ならではの仕事もあります。

大学にはさまざまな職種がありますが、そのすべてを自前で育成することに苦慮していることから、幅広い業界業種から中途採用の応募を受け付けていますので、自分に合う仕事がありそうであればぜひ転職を検討してみましょう。

以下では、おもな職種を紹介していきます。大学によって職種の呼び方や役割分担が違うこともありますが、是非参考にしてみてください。

教務

大学の社会的な役割は「研究と教育」ですので、必然的に教員と学生を中心に回っています。そのサポートするのが教務部門です。

学生の授業履修や教員の授業を主に施設の面で支援します。また出欠や成績の管理を行います。「大学の事務職員」と聞いて真っ先に想像される業務なのではないでしょうか。

当然ですが、民間企業でこういった業務を行うことはありませんので、大学特有の業務であると言えます。そのため、例えば即戦力を求められる30代の中途採用者がいきなり教務部門に配属されるケースは少ないと言われています。

一方で、教員・学生と接する機会が多いことから、例えば大学によっては学費未納の学生や保護者への対応も教務が担当することがあります。そのため、画一的ではなく個々の事情や個性に合わせて、物事に柔軟に対応できる対人能力が求められます。

広報、入学

広報・入学関係の仕事は中途採用者の活躍の余地が大きい現在は大学数の増加と少子化の影響により、黙っていても学生が集まる時代ではありません。そのため大学にも広報・入学を専門とする部門があります。

各メディアへの広告活動、高校や予備校での大学説明会、入学試験の実施業務を行います。特に広報担当には中途採用された職員も多く、広告業界の専門知識や人脈を持った要員がいるケースが増えています。

入学担当は、出願手続きのサポートやとりまとめ、入学金の振込サポート、入学手続きを主に行います。大学業界特有の知識が必要となるため、中途採用よりも新卒職員や他大学からの転職組が入ることが多い傾向にあります。

就職支援

学生にとって大学の出口は進学か就職です。研究者を目指して進学するケースもありますが、やはり多くの学生は就職することが多いため、その支援をする部門があります。

就職課やキャリアセンターといった名前の部署では、学生向けに企業の合同説明会を企画・運営したり、学生の個人面談や履歴書・エントリーシートの添削を行ったりします

また、就職に有利となる資格の取得を目的とした講座を企画・運営するケースもあります。新卒で大学職員になった者は民間企業で働いた経験がないため、中途採用者が活躍することが期待されることが多い部署です。

法人管理(総務、人事、財務、購買など)

大学職員には一般企業のようなバックオフィスの仕事もある大学も組織である以上、組織管理系の部門が存在します。総務、人事、財務、経理、購買、施設管理、情報システムといった部門です。

中途採用者の多くは、これらの法人管理系部門に採用されています。なぜなら、大学では教務部門が多く、ここでの職員育成は計画的に行われているのに対して、法人管理系の部門では人事や会計の専門知識が必要であるにも関わらず、人材の育成は現場でのOJT(On the Job Training)に頼っており、圧倒的に人材が不足しているためです。そのため、大学は法人管理系の専門知識や経験をもった優秀な人材を外部から補充したいと考えているのです。

ここで必要とされるのは各部門に関わる専門知識です。決して前職が教育関連でなくても問題はありません。むしろ、大学特有の慣習にとらわれない民間企業の経験やノウハウを必要としている面さえあります。そのため転職者にも活躍のチャンスが多くあります。

ただし、財務については注意が必要です。学校法人は民間企業と異なり「学校法人会計基準」に則っているため、民間企業での財務の経験があっても新しく勉強することは多いかもしれません。

3.倍率100倍超!?大学職員になるためには

大学職員の募集はポストに空きがあるときのみ

大学職員は狭き門大学職員の中途採用は、基本的に退職者が出るなどしてポストに空きが出たときにのみ行われるため、非常に狭き門。欠員(主に定年退職)が一度に何人も出ることは少ないため、1回の募集あたりの採用人数は若干名から多くて8~10人程度。採用倍率は100~200倍になるケースもあるようです。

そのため、転職を成功させるためにはまずは求人をまめにチェックすることから始めましょう。また、なかなか狙って大学職員に転職することが難しいため、実際に転職を考えている人は、複数の大学や他の民間企業も含めて転職先を探す、という方法が現実的なようです。

求人は大学のHPや転職サイトでチェック

大学職員の求人は、大学の公式ホームページや転職サイトに掲載されています。必ずしもその大学の卒業生である必要はなく、知り合いからの紹介なども不要です。

気になる大学があればぜひホームページを訪れてみてください。民間企業同様に、採用情報に関するページが用意されているはずです。ただし、上記の通り募集が出るのは欠員が出た時だけなので、一度に多くの大学の求人情報を検索できる求人広告サイトや転職エージェントのサイトを利用するほうが効率よく探すことができます。

リクナビNEXT
「職種」の「教育・保育・公務員・農林水産・その他」から検索可能

DODA
「職種から探す」の「国家・地方公務員、教師・講師、農林水産関連職種、ほか」から検索可能

マイナビ転職
「職種を選ぶ」の「保育・教育・通訳」から検索可能

また、これらの転職サイトからは転職エージェントサービスにもつながることが多いので、転職エージェントを使うこともオススメです。登録すると、転職に対する希望を電話や直接の面談でヒアリングした上で、ひとりひとりに合った求人を紹介してもらうことができます。

求人広告を見る際は雇用形態や学歴に注意

民間企業に「正社員」「契約社員」があるのと同様に、大学職員の求人にも契約期間の定めがない「正職員」「正規職員」と、定めのある「契約職員」があります。

正規職員の場合は「大学卒業以上」、契約職員の場合は「短大・大学卒業以上」となっているケースが多いようです。

また、求人に年齢制限を設けることは法律で禁止されていますが、大学によっては「若手育成のため」といった理由で30~35歳程度までの人材をおもに募集していることもあるので、当てはまらない方は注意が必要です。

私立大学職員の採用過程は一般企業と同じ

私立大学職員の転職活動は一般企業と同様に考えればOK中途採用の選考過程は大学によってそれぞれ異なりますが、ほぼ民間企業と同じと考えておけば問題ありません。

おおまかな流れは、書類選考→筆記試験(SPIや大学独自の試験など)→面接(大学によって回数は異なる)です。大学職員特有の気をつけるべき点もありますので、しっかり対策しておきましょう。

履歴書・職務経歴書のポイント

職務経歴書には、大学が募集している仕事内容に対して活かせる経験を記載してください。応募職種が経理で、今まで経験してきたのが経理作業も含めた総務の仕事であれば、業務内容を具体的に書くところでは「経理」の業務内容を真っ先にアピールするのがベターです。

また、いまだ格式を重んじる大学も多いため、履歴書は必ず手書きし、職務経歴書は読みやすいようにパソコンで作成したものを印刷して提出しましょう。

筆記試験のポイント

大学の規模にもよりますが、大きな大学ほど筆記試験で志望者をふるいにかける傾向にあります。

試験内容も大学によってまちまちですが、国語、数学、英語、時事問題、SPI、小論文といった中からいくつかを試験問題にしている大学が多いようです。適性検査のみの大学もあります。

また、大学業界特有の問題として、その大学の建学の精神や沿革、現在大学が取り組んでいる課題について小論文などで問われるケースがあります。受験前に、大学や著名な卒業生について調べておくことが肝要です。

面接のポイント

大学職員の面接を突破しよう!面接の回数はまちまちですが少なくとも2回、人事部門と理事との面接があります。多いところでは人事担当者、採用される部署の担当者、人事及び採用される部署の責任者、理事長と4回も面接がある大学もあるようです。

最初の人事部門との面接は社会人としての基本が見られます。「あいさつなどの社会人としての常識」「コミュニケーション能力」「物事をわかりやすく説明できるか」「現職を辞める理由」などのポイントです。

一方、理事との面接では人物面が重視されます。「なぜ本学への転職を希望するのか」「出身校でもないのに、数ある大学の中からその大学を選んだ理由は」「大学の建学精神に共感できるか」といった質問にすらすら答えられうよう、準備しておきましょう。

民間企業の採用面接と同様に、しっかりとその大学について研究し、自分なりの言葉で伝えることが重要です。

4.大学は斜陽産業? 転職してから安泰とは限らない

勝ち負けがハッキリ別れる大学業界

大学は斜陽産業という側面も給与や待遇が良く、残業が少なくて休暇もしっかり取れる安定した職場のイメージが強い大学職員ですが、「業界」としての大学は斜陽産業であると言えます。

日本は少子化によって学生になりうる18歳人口は減少の一途をたどっており、今後はさらなる現象が見込まれています。2011年までは毎年上昇する進学率によって、18歳人口の減少を補ってきましたが、2012年以降は進学率も55%程度で頭打ちになっています。

その一方で、私立大学はこれまで急激に増えてきました。1985年には460校だった私立大学は2015年には779校と、たった30年で約1.7倍に増加しています。

そのため、3校に1校が定員割れを起こしており、学生が集まらない大学は閉校へと追い込まれているのが現状です。

※参考→文部科学省 18歳人口と高等教育機関への進学率等の推移

人気校なら当面心配はいらない

とはいえ、私立大学の人気校であれば、転職してもすぐに大学が潰れてしまうといった心配はあまりありません

旺文社 教育情報センターによると、私立大学の全志願者の55%は、人気の上位30校占めています。大学が主に学生から支払われる学費で運営されているため、「顧客」である学生のニーズが高いうちは安定して仕事を続けることができるでしょう。また、大学の人気ランキングは数年で簡単に覆るものではないので、何か大きな問題がない限り将来性への不安は少ないはずです。

参考までに志願者数上位30校は志願者数順に以下のとおりです。

近畿大学、明治大学、早稲田大学、日本大学、法政大学、立命館大学、東洋大学、関西大学、千葉工業大学、中央大学、立教大学、青山学院大学、東京理科大学、同志社大学、龍谷大学、福岡大学、東海大学、慶應義塾大学、駒沢大学、関西学院大学、専修大学、名城大学、京都産業大学、芝浦工業大学、東京農業大学、帝京大学、上智大学、中京大学、神奈川大学、南山大学

また、これらの大学以外でも特色・強みのある大学であれば、安定的に学生を獲得することを見込むことができます。

転職を考える際はどうしても仕事内容や給料、待遇といった面に目が向いてしまいがちですが、大学の校風や将来性も併せて確認しておくことは転職成功の鍵となります。

5.まとめ

大学職員が転職先として人気である理由がわかりましたか? ポイントをまとめてみましょう。

1. 私立大学職員は給料がたかく、待遇も◎
2. 求人倍率が高いため、転職するにはまめな求人チェック&書類・面接対策が必須
3. 大学の将来性も考えた上で転職を決めることが大切

採用のプロセスでは苦労も多いですが、根底に必要なのは「研究・教育の現場を支えたい、日本の教育をより良くしたい」という気持ちです。興味があれば求人の確認や転職エージェントへの登録から始めてみましょう。