年収や資格・業界事情まで解説 建設業界の転職ガイド決定版!

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建設業界で働くのはキツい?それとも人の生活の根幹を支えるやりがいのある仕事?

働き方の実態や役立つスキルなど、転職を考えるなら知っておきたい建設業界のポイントを解説します。

建設業界ってどんな業界?

建設業界とは、建築物や土木構造物(トンネルや堤防など)など、大小さまざまな規模の建設(建築)プロジェクトを扱う業界です。

建造物ひとつをとっても、入札や営業における提案から設計、施工、完成後のメンテナンスに至るまで、建設会社や設計事務所、専門工事会社や管理会社など、非常に多くの会社と人材が関わります

ダムの建設やオリンピックに向けた競技場の整備など、数十年間にわたる大規模な工事を行ったり、人の流れや生活を大きく変えるような都市開発事業を行ったりすることもあります。

また東京スカイツリー、国立競技場、東京駅のような誰もが知る建築物が「自分の仕事」になるかもしれないという、ほかにはないやりがいを得られる業界だといえるでしょう。

そんな建設業界の構造や仕事内容の実態について、詳しく見ていきましょう。

建設業界は分業&縦社会の多層構造

建設業とひとくちにいっても、その仕事には29種類もの分類があります。その内容は以下の通りです。

建設工事29種類一覧表。一式工事(2種類):土木一式工事、建築一式工事。専門工事(27種類):大工工事、左官工事、とび・土工・コンクリート工事、石工事、屋根工事、電気工事、管工事、

29種類の建設工事は、2つの一式工事、その他27種類を専門工事に分けられます。

一式工事とは総合的な企画・調整が必要な大規模で複雑な建設を行う工事のこと。基本的に2つ以上の専門工事を組み合わせた工事であり、主に元請けの建設会社が請け負います。

対して専門工事は、現場でそれぞれ得意分野を担う下請け工事になります。

「軽微な建設工事」のみを請け負う場合以外は、法律に基づき建設業の許可が必要になります。

※「軽微な建設工事」とは、建築一式工事で1件の請負代金が1,500万円未満または延床面積が150平方メートル未満の木造住宅工事、建築一式工事以外で1件の請負代金が500万円未満の工事をいいます。

元請けとなる大手ゼネコン

建設工事の元請けとなるのは、ゼネコン(総合建設業)と呼ばれる一式工事業の許可を持つ建設会社です。

ゼネコンは建設に関する総合的な技術力や安定した資本力をもとに、設計や施工、資材の調達などを自社や専門工事会社(下請け)に発注して行い、大規模な工事をマネジメントします。

ゼネコンの中でも特に技術・資本力に優れ、売上高が大きい5社(大成建設、清水建設、鹿島、大林組、竹中工務店)はスーパーゼネコンと呼ばれています。

下請けほど労働環境が悪くなる?

建設業は29種類の仕事をさまざまな会社が担当する「分業」体制ですが、下請けの立場になればなるほど立場が弱く、比例して労働環境も劣悪になってしまう傾向があります。

その理由は、下請けが仕事を「請け負う」という構造上、元請けの発注頼りで自社の事業計画が立てづらかったり、採算を無視したダンピング受注をせざるを得なかったりという弱者の側面があるから。

場合によっては社会保険料が支払われない、社会保険料を出す代わりに給料そのものを削られるなど、下請けになるほど搾取が横行する実態もあります。

社会保険はしっかり確認を

建設業界で見逃せないのが、社会保険の未加入問題です。2014年10月時点で社会保険に加入しているのは、企業別93%、労働者単位では67%となっていました。

これを受け、国土交通省は『社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン』にて、「適切な保険に加入していることを確認できない作業員ついては、元請企業は特段の理由がない限り現場入場を認めないとの取扱いとすべき」としています。

これにより、建設業界の社会保険未加入問題は少しずつ改善の方向へと向かっていると言えるでしょう。

企業に所属せず、個人やその家族だけで建設業に従事する「一人親方」が社会保険未加入の抜け道になっているともいわれています。建設業界で働く場合は、必ず社会保険に加入できるかを確認しましょう。

※参考→社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン(改訂版)|国土交通省

建設業界における3つの特徴

建設業界で働く上で、労働時間や賃金などの労働環境の実態はよく知っておくべきでしょう。建設業界の労働環境には、以下の3つの特徴があります。

  • 現場は体力勝負で低賃金・長時間労働
  • 年々高齢化が進んでいる
  • 女性はたったの15%

詳しく見ていきましょう。

【1】現場は体力勝負で低賃金・長時間労働

労働時間は2080時間・平均年収は445万円

建設業界全体の年間労働時間は2080時間。全産業平均の1,781時間を大きく上回る数字です。休

日は4週4休、つまり週休1日の現場が3割を超えています。

そうした長時間労働にもかかわらず平均年収は約445万円全産業平均の約550万円と100万円以上の差があります(一般社団法人日本建設業連合会「建設業ハンドブック2018」)。

大手ゼネコンの年収は1000万円という格差

建設業界の労働環境は、職種や勤務先の企業規模によって大きく異なります

例えば、実作業を行う大工や職人をはじめ、彼らをまとめる現場監督や施工管理など、工事の現場作業に携わる仕事は体力勝負で、非常に過酷である面は否定できません。

一方、スーパーゼネコン5社の平均年収は軒並み1000万円程度とかなりの高水準。建設業界は職種や勤務先によって労働環境や賃金の格差が非常に激しいと言えるでしょう。

【2】年々高齢化が進んでいる

建設業界は年々高齢化が進んでおり、全産業では55歳以上の就業者が29.2%、29歳以下は16.2%であるのに対し、建設業界では55歳以上が33.8%、29歳以下はわずか10.8%と大きな差があります(国土交通省「建設産業の現状と課題」)。

高齢化の背景として人手不足かつ長時間労働のプレッシャーがあり、従来の「長時間労働が当たり前」の感覚で働いている世代が多く、若い世代には馴染みにくいかもしれません。

【3】女性はたったの15%

女性の割合が顕著に少ないのも建設業界の特徴です。

全産業では働く女性が増加傾向にあり、43.8%と半数近くを占めていますが、建設業では15.3%、特に現場で作業をする技能労働者では1.8%となっています(一般社団法人日本建設業連合会「建設業ハンドブック2018」)。

そこで国交省は、近年減少してしまった女性技能者数を平成31年までに倍増させる目標を掲げています。

また、清水建設はダイバーシティの推進に取り組み、女性活躍推進法に基づく認定マーク「えるぼし」を獲得し、2016年の女性の採用比率24%を実現するなど、「男社会」のイメージを変えようという流れもあります。

しかし、このような取り組みが建設業界全体に浸透しているわけではありません。工事現場では女性用トイレや更衣室などの設備が不十分なケースや、長時間労働を前提としているため妊娠や出産への理解が少ないこともあります。

建設業で女性が転職を考える場合、女性のキャリアが考慮されているかのチェックも重要です。

建設業界は好況!年収アップに有効求人倍率は5倍

建設業の仕事は過酷な一面がありますが、実は近年バブル期を超える好況を迎えている業界でもあります。

その証拠として、以下の2点が挙げられます。

  • 準大手ゼネコンの平均年収が急上昇中
  • 有効求人倍率が5倍以上と超売り手市場

詳しく見ていきましょう。

準大手ゼネコンの平均年収が急上昇中

建設業界の好況を表す指標として、準大手ゼネコン各社の年収が急上昇していることが挙げられます。

以下に2014年~2018年の4年間で、年収が急上昇したゼネコン10社をご紹介します。

企業名:2014年→2018年増加額、2018平均年収/平均年齢。2014年平均年収/平均年齢。準大手・中堅ゼネコンは、東急建設:261万円、945万円/46歳。684万円/45歳。熊谷組:253万円、866万円/42歳。613万円/45歳。奥村組:233万円、995万円/43歳。762万円/44歳。福田組:197万円、867万円/45歳。670万円/45歳。フジタ:186万円、881万円/42歳。695万円/44歳。安藤ハザマ:179万円、827万円/46歳。648万円/45歳。戸田建設:168万円、908万円/44歳。740万円/45歳。前田建設工業:152万円、943万円/44歳。791万円/44歳。スーパーゼネコンは、鹿島:225万円、1,102万円/44歳。877万円/44歳。大林組:156万円、1,046万円/42歳。890万円/43歳。竹中工務店:152万円、1,001万円/44歳。849万円/45歳。大成建設:126万円、1,086万円/43歳。960万円/43歳。清水建設:93万円、967万円/45歳。874万円/44歳。

※参考:東洋経済新報社『就職四季報 総合版』

建設業界の景気といえば、2016年・2017年と二期連続で純利益が過去最高を更新したスーパーゼネコンに注目が集まりがちですが、年収の増加額ではスーパーゼネコンをしのぐ会社がいくつもあります。

例えば増加額1位の東急建設では上昇額261万円と、まるで中堅企業から大企業へと変革を遂げたような大幅な増加が実現しています。東急建設の2018年の年収945万円という数字は、スーパーゼネコン5社に引けを取らないほどの高水準です。

転職先の候補として、近年の成長が著しい会社を選ぶのもありかもしれません。

有効求人倍率が5倍以上と超売り手市場

建設業界の好況を裏付ける証拠として、有効求人倍率の高さも挙げられるでしょう。

「求職者1人に対して何件の求人があるか」を示す有効求人倍率は、「建築・土木・測量技術者」は6.78倍、「建設・採掘の職業」で5.46倍などかなりの高水準(2019年2月時点)。求人数は常に多い状態が続いているため、転職には有利な超売り手市場になっています。

この要因は大規模災害(東日本大震災、熊本地震など)の復興、2020年に迫った東京オリンピック、首都圏で進む再開発の波による建設需要の拡大です。

日本の建設投資額は平成3年をピークに減少が続き、建設業界=不況のイメージが長くありました。その状況が変わったのが、2011年の東日本大震災による復興特需と、政府投資の増加です。現在では東日本大震災の復興特需は原発の被災地域を除いて一段落したものの、引き続き九州地方(熊本地震や九州豪雨)の需要が高まっています。

災害の復興を除く需要は都市圏に集中していて、東京オリンピック後も2027年開業予定のリニア新幹線の工事などが控えています。

このような背景から、建設業界は人手不足に陥っているのです。

建設業界内で転職を考えるなら

経験者が建設業界内で転職を考える場合、下請けよりも元請けに近い会社へ入る方が、待遇が良くなる可能性が高いでしょう。職種別に転職事情を解説します。

施工管理・設計は資格と実務経験があると有利

数ある職種の中でも特に多くの募集がある職種は施工管理です。

案件のマネジメントを行う立場であり、現場でメンバーを取り仕切り、工事を計画通りに進める役割があります。

主な条件は一級建築士または一級建築施工管理技士の資格を保有していること(派遣などでは無資格でOKの場合も)。実務経験がなくても働ける企業もありますが、あるとよりキャリアアップしやすくなります。

同じ施工管理でも、勤め先によって案件の規模や待遇は大きく変わりますので、チェックしてみましょう。

また設備設計も重宝される職種です。こちらも応募条件として一級建築士などの資格と実務経験が求められます。施工以外の段階でもプロジェクトに関わるゼネコンでは、このような求人も公開されています。

※正確な採用情報については、各社のサイトをご確認ください。

建設業界から異業種に転職できる?

スケールの大きなやりがいのある仕事は多いものの、体力面などから転職を考える方もいるでしょう。

どのような転職先が考えられるのでしょうか。

営業や事務のスキルは異業種でも役立つ

建設業界で営業を行っていた方は、営業スキルをほかの職種でも生かせるでしょう。

建設業ではまだ建てられていない建築物や土木構造物の営業を、構想段階で行わなければなりません。そのため相手が商材(建築物)の魅力をイメージし、購入や発注を決意するだけの提案の力量が必要になります。

建築業界で活躍していた営業マンならば、既に存在する商品やサービスの魅力を売り込むのは難しいことではないでしょう。

現場事務も他業界に転職するのは難しくないでしょう。請求書などの書類作成や電話応対など、事務職に求められるスキルはどの業界でもあまり変わりません。

むしろ体育会系の男性が多い建設現場での実務経験は、他職種の企業でも充分に活かせるのではないでしょうか。

関連業界へ転職するのもアリ

「せっかく建設現場を経験しているのだから、知識や経験が役立つ職場に行きたい」そんな方は、ハウスメーカーや不動産など建設業と比較的近い業種への転職を検討してみてはいかがでしょうか。

これらの業種では、優遇される資格に一級建築士や建築施工管理技士が該当することもあり、建設業界でキャリアアップのためにしてきた勉強がそのまま役立つこともあります。

資格を保有している方は、資格手当から転職先を検討することもできます。

未経験から建設業界へ転職! 気になる体力面、資格、待遇は?

異業界から未経験で建設業界に転職したい場合、どのような仕事ができるのでしょうか。

CADオペレーターは需要あり

CADオペレーターとは、CADソフトを使い、図面を作成する職種です。建設業界の中でも、設計に関わる建築設計事務所などで活躍の機会があります。

また、工事現場の作業員としてではなく事務職となるため、「建設業界は体力が不安」という心配はしなくて良さそうです。

エンジニアは専門性を生かせる

大手の建設会社の中には、エンジニアを募集しているところもあります。施設の設計や電気・情報設備など、実務経験と資格(情報処理技術者上級など)があれば、業種を超えた転職でも収入アップを目指せる可能性があります。

例えば、「プラントエンジニアとして食品や医薬品などの生産設備の設計を行う」、「電気設備設計エンジニアとして再生可能エネルギー設備の保守を行う」といったケースがみられます。

建設業界内での経験を重視していたり、データ解析やプロジェクトのマネジメント経験を重視していたりと、募集しているポストによってどんなスキル・経験が求められるのかは異なるので、自分の得意分野をアピールできるかチェックしてみると良いでしょう。

体力勝負だけで高収入は厳しい

職種が幅広く、高収入の可能性もある建設業界ですが、体力勝負の作業員の仕事では高収入は難しいのが現状です。

「現場で働く人」に焦点を当てると、収入は全産業平均を大きく下回り、休日も少ない傾向です。行政の目が届かない小規模の工事や事業所では、社会保険未加入の可能性も否定できません。

作業員の高齢化・人手不足のため、求人は容易に見つかるかもしれませんが、労働環境については慎重に確認するのが無難です。

建設業界の転職サイトまとめ

建設業界の求人を探すときに使いたい、建設業界に強い転職サイトをまとめてご紹介します。

建設転職.com

全国の求人を多数掲載した、建設業界の転職サイト。都道府県、資格、経験、雇用形態などさまざまな条件から求人を検索することができる。面接対策、履歴書作成の知識なども掲載。

建設転職ナビ

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まとめ

厳しくもあり、やりがいもある建設業界。

建築業界で今働いている方も、未経験から建築業界に飛び込もうと考えている方も、建築業界の現状やメリット・デメリットを踏まえた上で転職を考えてみてください。

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