転職したい!「大企業で働く=幸せ」ってホント?

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中小企業で働いている人の中には、「周りにすごいと思われたい」「もっと稼ぎたい」「とにかく大きな仕事がしたい」などと思い、大企業に転職したいと考えている人もいるかもしれません。ですが「大企業で働く=幸せ」という考えは本当なのでしょうか?

ここでは、大企業に転職したら叶うことと叶わないことを、転職の方法や失敗例と合わせてご紹介します。あなたが今抱えている不安は、大企業に転職することで解消できるのか、参考にしてみてください。

【目次】
1.大企業に転職して幸せになれるのはどんな人?
大企業・中小企業・ベンチャーの違い
【悩み別】大企業に転職したら叶うこと/叶わないこと
― 年収を上げたい
― 早く帰りたい・休みがほしい
― 大きな仕事がしたい
― 自分の意見を通したい
― 会社の将来が不安
― 昇進・昇格したい
2.中小企業から大企業に転職するには
経験者や第二新卒でないと難しい
必ずしも年収が上がるとは限らない
志望する企業があれば「企業サイト」もチェック
できる仕事の幅広さをアピール
3.【体験談】「大企業=幸せ」思考で転職した失敗例
【コラム】中小企業に転職する人が気をつけること
4.まとめ

1.大企業に転職して幸せになれるのはどんな人?

仕事の悩みは人それぞれ。大企業に転職したら叶う可能性が高いものと、そうではないものがあります。

大企業・中小企業・ベンチャー企業の違い

大中小の建物の写真

そもそも「大企業」「中小企業」「ベンチャー企業」とはどんな企業を指すのでしょうか。

実は、この中できちんした定義があるのは中小企業しかありません
大企業は、中小企業より大きな企業を指すことが一般的ですが、有名企業や東証一部上場企業を指す場合もあります。「大企業」という言葉はよく使われますが、意外とその意味するところはあいまいです。

中小企業は、中小企業基本法で以下のように定められています。

中小企業者の定義

業種分類 定義
製造業その他 資本金または出資の総額が3億円以下、もしくは従業員の数が300人以下
卸売業 資本金または出資の総額が1億円以下、もしくは従業員が100人以下
小売業 資本金または出資の総額が5000万円以下、もしくは従業員が50人以下
サービス業

資本金または出資の総額が5000万円以下、もしくは従業員が100人以下

 ※参考→中小企業・小規模企業者の定義―中小企業庁

ベンチャー企業は、革新的な技術や知識を使って新しいサービスやビジネスを行っている企業を意味します。中小企業ほどの規模がほとんどですが、急成長して大規模になっている企業もあります。企業のやりがいや働き方に魅力を感じて働いている人が多く、比較的平均年齢が低いのも特徴です。

【悩み別】大企業に転職したら叶うこと/叶わないこと

あなたが大企業への転職で叶えたいと思っていることは、本当に大企業に転職することで実現できるのでしょうか?よくある6つの悩み別にまとめました。叶う可能性が高い順に◎・◯・△・✕ の4段階で評価しています。

年収を上げたい → ◎

中小企業から大企業に転職した場合、年収アップが期待できます。
厚生労働省の調査をもとに、30代前半の平均年収を企業の規模別に比べてみると、従業員数が10~99人の企業は372万円なのに対し、1000人以上では523万円と、150万円も高くなっています。

【企業規模・年代別平均年収】30代前半・10~99人372万円、100~999人427万円、1000人以上523万円 50代前半・10~99人450万円、100~999人566万円、1000人以上768万円

※参考→平成28年賃金構造基本統計調査―厚生労働省

上のグラフは、各年代の平均年収を企業の規模別に比較したものです。どの年代でも、企業規模が大きくなるにつれて平均年収が高くなっています。最も差が開いているのは、年収がピークを迎える50代前半。10~99人は450万円、1000人以上は768万円で、その差は300万円を超えます。

退職金の額も企業規模によって変わります。こちらの記事によると、定年退職金は大企業の方が中小企業と比べて約1000万円多いといいます。

さらに、福利厚生も大企業の方が充実しています。
住宅手当や慶弔見舞金などの「法定外福利費」の1カ月平均支給額は、30~99人で約4000円、1000人以上で約9000円。企業規模が大きくなるにつれて、福利厚生も手厚くなっています。
※参考→平成28年就労条件総合調査の概況―厚生労働省

こうしたことから、年収をはじめとする金銭的な条件は、中小企業よりも大企業の方が魅力的だと言えるでしょう。

早く帰りたい・休みがほしい → △

大企業は中小企業に比べて休日が多い一方、残業時間は長い傾向にあります。厚生労働省の調査によると、1ヶ月の平均残業時間は、従業員数1000人以上の企業(16.0時間)のほうが、30~99人の企業(11.5時間)よりも4.5時間長くなっています。一方で、完全週休2日制を採用している企業や、年間休日が120日以上ある企業の割合は、企業規模が大きくなるにつれて高くなっています
平均有給休暇取得率も、1000人以上の企業(54.7%)と従業員数が30~99人の企業(43.7%)で10%以上の差があります。

【企業規模別・就労条件】1カ月の平均残業時間・30~99人11.5時間、100~499人13.0時間、500~999人13.4時間、1000人以上16.0時間 1カ月の総労働時間・30~99人145.2時間、100~499人150.2時間、500~999人149.5時間、1000人以上153.3時間 完全週休二日制・30~99人47.2%、100~299人49.6%、300~999人60.0%、1000人以上69.1% 年間休日120日以上・30~99人27.9%、100~299人32.7%、300~999人43.8%、1000人以上50.9% 平均有給休暇取得率・30~99人43.7%、100~299人44.8%、300~999人47.1%、1000人以上54.7%

 ※参考→平成28年毎月勤労統計調査―厚生労働省
※参考→平成28年就労条件総合調査―厚生労働省

大企業では法令順守や企業イメージの面から、残業や休日に関する制度をきちんと整えている企業が多い一方、中小企業では残業や休日出勤に関する従業員との協定を結んでいないところも少なくなく、違法な残業をさせているところもあります。数字上は中小企業の方が残業時間は少なくなっていますが、しっかり休みたい人にとっては大企業の方が安心です。

大きな仕事がしたい → ◯

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大企業に転職すると、中小企業に比べて規模の大きな仕事に関わるチャンスは広がります

中小企業の場合、企業規模が小さい分、1つのプロジェクトにかけられるお金は大企業に比べるとどうしても小さくなってしまいます。また、IT業界や建設業界の場合、大企業が元請けとなって中小企業に仕事を割り振るケースも少なくありません。たとえ大企業が何百億円、何千億円という大きなプロジェクトを受注したとしても、下請けの中小企業1社1社が担当する仕事は小さくなります

逆に大企業の場合、1つの仕事で動かせるお金も大きく、誰もが知っている製品やサービスに関われる可能性もあります。「大きな仕事をしている」という実感は得られやすいかもしれません

自分の意見を通したい → ✕

大企業では、1つの仕事に関わる人の数も多く、意思決定をするにもたくさんの人の決裁が必要です。そのため、自分の意見を主張したとしても、それを100%通すというのはそれなりの立場でないとは難しいかもしれません。

会社の将来が不安 → ◎

会社の安定性では、大企業のほうが安心です
東京商工リサーチの調査によると、2016年度に倒産した企業8381社ののうち、上場企業はゼロ。資産が潤沢にある大企業の場合、業績が悪くなったからといって突然倒産するということは、よっぽどのことがない限りありません。
※参考→全国企業倒産状況―東京商工リサーチ

昇進・昇格したい → △

昇進・昇格のしやすさは企業によって違います
大企業はポストが多い一方、従業員も多い分、ライバルも多くなります。中小企業の場合は、評価や昇進・昇格に関するルールが明確に定められておらず、役職もはっきりしていないところも。昇進・昇格のしやすさは企業規模で一概には言えません

2.中小企業から大企業に転職するには

ここからは、大企業の転職市場動向や、転職の方法などを具体的にご紹介します。

経験者や第二新卒でないと難しい

履歴書と職務経歴書の写真

中小企業から大企業への転職は、狭き門です。なぜなら、基本的な人員補充を新卒採用で行っているから。即戦力が求められる中途採用では専門分野のスキルを身に着けている経験者でないと難しく、そうでなければ新卒3年以内の第二新卒でないとなかなか採用されないのが現状です。

第二新卒は「基本的なマナーは身についているものの、企業の色に染まっていない」という理由で需要が高く、企業によっては第二新卒の採用枠を設けていることもあります。業界未経験でよいことが多く、経験やスキルよりもポテンシャルが重視される傾向です。
新卒採用よりも倍率が低くなるため、新卒のときには不採用だった憧れの企業に就職できる可能性も。常に募集があるわけではないので、希望する企業がある場合は企業サイトをこまめにチェックするようにしましょう。

「未経験だけど大企業に転職したい」という人には、営業職やSEがおすすめ。他の職種と比べて未経験可の求人が多くあります。とはいえ、向き不向きや年齢の壁が存在するのも事実。どんな人が向いているか、どうやったらなれるのか、気になる方はこちら(営業職SE)をご覧ください。

必ずしも年収が上がるとは限らない

大企業への転職で年収アップを期待する人も多いかもしれませんが、必ずしも年収が上がるとは限りません。
現職で実力を評価されて高い年収を受け取っている人の場合、転職先が年齢や勤続年数を重視する評価方法だと、年収が下がってしまうこともあります。今の会社や転職先として考えている会社が何を重視して評価しているのか、今の年収が相場と比べてどうか、ということを冷静に考えることが必要です。

ただし、一時的に転職で年収が下がったとしても、大企業の方がのちのちの給料の上がり幅が大きいことも多く、長期的には年収アップにつながる可能性もあります。

志望する企業があれば「企業サイト」もチェック

スマートフォンを見ている女性

転職活動では、たくさんの求人が掲載されている「求人広告サイト」や、経歴や希望に合った求人を紹介してくれる「転職エージェント」を利用するのが一般的。ただ、「どうしてもこの企業に転職したい」という希望がある人は、その企業のサイトもチェックするようにしましょう。中途採用の募集を、自社のサイトでしか行わない企業があるからです。中途採用の求人はいつ出るかわかりません。こまめにチェックして、求人情報を逃さないようにしましょう

できる仕事の幅広さをアピール

中小企業から大企業に転職する際、大きな武器となるのが「仕事の幅の広さ」です。たとえば経理職の場合、中小企業では入出金管理、資金調達、決算業務、税理士や会計士との連絡など、一人がさまざまな業務を担当している場合がほとんど。一方、大企業ではこうした業務を何人かで分担しているため、ひとりひとりの業務の幅は狭くなります。業務に関する幅広い経験や知識を持つ中小企業出身者は、大企業にとっても魅力的だといえます。

さらに中小企業では、大企業に比べて従業員ひとりひとりが大きな裁量を持っていることが多く、若いうちからプロジェクトを任されるなど、大企業で働く同年代の人にはできない経験を積んでいる場合もあります。このような中小企業にいたからこそ身につけられた強みを伝えることが、大企業への転職を成功させるコツです。

3.【体験談】「大企業=幸せ」思考で転職した失敗例

「大企業に転職したら幸せになれるのでは?」と考えて転職したものの、結果的に失敗となってしまった3人の体験談をご紹介します。あなたが大企業に向いているのかを改めて考えるためにも、この失敗を参考にしてみてください。

困っている顔の女性

中小企業から大企業への転職を甘くみて失敗(事務職・25歳・女性)

就活がうまくいかず、志望度の低い中小企業に就職しました。でも残業が多いし、土曜出勤もあるし、年収は低いし…。嫌になって辞めてしまいました。せっかくなので新卒採用では無理だった大企業に転職したい!と思って転職活動を始めたのですが、甘かったですね。そもそも、大企業の中途採用では一般職の求人がほとんど無いということを知らなくて、探すのが大変でした。

なんとか見つけたものの、「大企業っていいな」くらいにしか思ってなかったので、志望動機は上手く言えないし、アピールできるようなスキルもないし、全く内定が出ませんでした。大企業に限ったことではないと思いますが、転職するときにはちゃんとしたプランを持っておかないと成功しないということを痛感しました。

悩んでいる顔の男性

意見が通らない社内風土を後で知って失敗 (企画職・27歳・男性)

ベンチャー企業で培った経験を活用したいと思い、大企業に転職。企画の仕事をしています。転職直後は張り切って働こうと、気になることがあるたびに上司に意見を伝えていました。ですが、「上が決めたことだから」の一点張りで、全く聞き入れてもらえない。周りを見ても、声を上げている人はいませんでした。

前職のベンチャー企業はもっとガツガツしていて風通しのいい環境だったのですが、「これが大企業の実態か…」とがっかりです。もちろん大企業でも意見を真剣に聞いてもらえるところはあるはずなので、下調べが足りなかったと反省しています。

困っている顔の男性

転勤で家族と離れ離れになり失敗(営業職・33歳・男性)

前は従業員が40人くらいの中小企業で営業をしていました。子どもが生まれて将来を考えたとき、「20年後もこの会社で働くことがベストなのか?」と思い、同じ業界の大企業に転職。日本全国に支店がある会社の営業職として採用されました。

最初はこれまで住んでいた地域で働くことができましたが、1年後に突然の転勤。夢のマイホームを購入したばかりだったのに、単身赴任する羽目になってしまいました。確かに年収は上がったし、将来も安定しているのですが、元々家族との将来を考えて決意した転職。しない方がよかったのかな、と考えてしまうこともあります。

【コラム】中小企業に転職する人が気をつけること

反対に、大企業から中小企業へ転職する人が気をつけることは、企業規模の変化によるギャップです。大企業では当たり前だと思っていたことが、中小企業ではそうではないということも少なくありません。

従業員が少ない中小企業では、大企業に比べてやらなければならないことが多くなるかもしれません。専門職の人が営業を兼ねるなどといったこともありますし、掃除やゴミ出しなどの雑務を外注せずに従業員が行う企業もあります。一方、さまざまな業務を経験することで視野が広がったり、裁量が広がったりして自分の思うように仕事を進められるというメリットもあります。

「1.大企業に転職して幸せになれるのはどんな人?」でもご説明した通り、中小企業は大企業より年収が低く、休日も少ない傾向にあるため、ライフスタイルが変わることは考えておかないといけません。
大企業から中小企業へ転職する人は、こうした企業規模の違いによるギャップや、ライフスタイルの変化を上回るメリットがあるか、をしっかりと見極める必要があります。

4.まとめ

「大企業で働く=幸せ」とは言い切れないことがお分かりいただけたでしょうか?

仕事内容、年収、職場環境、ライフスタイルなど、仕事に求めるものは人それぞれ。適している環境も違います。あなたが今抱えている悩みは、大企業に転職できたからといって解決できるものではないかもしれません。

企業規模や知名度に目が向いてしまう気持ちもわかりますが、企業の中身を知ることが大切です。