資格職ならすぐ転職できる? 会計士の転職|転職事情、働き方分析

難しい国家資格のひとつで、平均年収が高く社会的信頼もある公認会計士。会計士であれば、年齢や経験にかかわらず、簡単に転職することができるのでしょうか?

転職成功のポイントや代表的な転職先の分析と合わせて、会計士のリアルな転職事情をご紹介します。

会計士の転職を成功させるには

会計士が転職を成功させるために知っておくべき基礎知識をご説明します。

会計士の資格があれば転職は簡単?

会計士の資格は転職においても大きな力を発揮します。そのため、会計士には以下のように多様な転職先の選択肢があります。

たとえあなたが大手監査法人で監査の経験を積み社内で大きな評価を得ていたとしても、そのまま一般企業の経理への転職にはつながりません。監査の能力は「財務分析スキル」であり「経理スキル」を保証するものではないからです。ただし、会計士であれば無条件に転職しやすいというわけではありません。転職市場で評価されるのは「転職先のニーズに沿った業務スキル」です。

理想の転職を実現するには、現職で積んできたスキル・経験が転職先でどう役立つかを考える必要があります。

転職は原則若いほうが有利

一般的な転職と同じく、会計士も若いほうが転職には有利です。

20代ならば監査法人から戦略系コンサルティングファームなど未経験の職種に就くことも可能ですが、30代以降は全く経験のない異業種・異職種に就くのは難しいでしょう。

転職市場では、年をとるに従って、ポテンシャルよりも職務経験が重視されるようになります。

会計士の転職、成功/失敗を分ける3つのポイント

会計士の転職において、成功するために押さえるべき3つのポイントをご紹介します。

(1)転職先に求める条件を掘り下げる

転職は不満から逃げるためや勢いでなく、自分の目標を達成する手段として行うべきです。そのために必要なのが、転職先に求める条件の掘り下げ。年収・ワークライフバランス・経験できる業務の幅広さ……数ある項目の中で自分が本当に求めるものは何か考え、優先順位をつけましょう

優先順位の高い項目が今の職場で満たせるならば、転職する必要はありません。逆に現職で満たせないときはその条件が指針になるため、転職先選びがスムーズに行えます。

(2)転職先のニーズに合った能力をアピールする

前述の通り、転職市場で評価されるのは「転職先のニーズに沿った業務スキル」です。

例えばグローバル展開が盛んな企業に応募する場合は、英語力やIFRS(国際財務報告基準)の導入経験が重視されるでしょう。また、コンサルティングファームに応募する場合は監査経験や会計知識以上に論理的思考力や激務に耐えられるタフさが求められます。

一度「自分ができること」を書き出して、「転職先で取り組む業務」と重なる部分を探してみましょう。ほとんどない場合は、方針転換もしくはスキルアップの必要があるということになります。

(3)転職先の情報を徹底的に調べる

転職先のニーズを知るには、その会社の内外の状況を調べ尽くすことが不可欠です。また、競合他社や市場の状況を知ることで、さまざまな転職先の中でなぜその企業を選んだのかについて「説得力のある志望動機」を練り上げることができます。

特に一般企業に応募する際は会計士の資格を持っているから有利とつい考えてしまいがちですが、最も重視されるのはスキル・性格が職場に合うかどうかです。謙虚な姿勢で万全の準備を整えてエントリーや面接に臨みましょう。

【年収・ワークライフバランス】会計士の転職先別、働き方分析

会計士の転職先別の基本情報と働き方をご紹介します。また、冒頭で年収・ワークライフバランス・業務の幅広さについて★~★★★の3段階で評価しています。自身の目指す職場選びに役立ててみてください。

監査法人

年収★★
ワークライフバランス★★
業務の幅広さ★★

魅力は自由で恵まれた待遇

監査法人の魅力は自由で恵まれた待遇です。監査を専門業務としているため4~5月に繁忙期が集中しており、それ以外の期間では比較的休みがとりやすいです。

また、給与も高めで安定しており、大手(BIG4)監査法人の場合30歳で700~800万円、中小監査法人の場合600~700万円の年収が相場です。ただし、繁忙期の忙しさは覚悟しておいたほうがいいでしょう。

大手は業「務」、中小は業「界」の幅が広い

監査法人は担当企業の決算書のチェックが主な業務のため、さまざまなクライアントの職場をめぐります。原則大手監査法人のクライアントには大手企業が多く、中小監査法人のクライアントには中小企業が多いです。

そのため、大企業に多いIFRS導入や内部統制構築の支援は、大手監査法人でなければほとんど経験できません。その一方、大手監査法人は担当業界ごとに部署が分けられているため、関われる業界の幅は中小監査法人の方が広い傾向にあります。

税理士法人・会計事務所

年収★
ワークライフバランス★★
業務の幅広さ★★★

魅力は業務の多様性

税理士法人・会計事務所の魅力は業務の多様性です。税務申告や専門知識を使った経理処理に加え、IPO(株式公開)支援、事業再生など幅広い業務に携わることができます。

多様な経験を積んで将来的に独立したい人にはおすすめの選択肢といえるでしょう。

大手は待遇、中小は経験が期待できる

監査法人と同じく繁忙期と閑散期が決まっており、決算期は残業が増えますが、閑散期は定時に帰れることが多いです。

給与水準は大手(4大)税理士法人の場合監査法人と同じく30代で700~800万円が相場ですが、中小会計事務所では400~500万円程度と水準が下がります。これは、会計事務所は数人~数十人の小さな事務所が多いためだと考えられます。

ただし、そういう会社でこそクライアントと深く関わって決算や税務申告が行えるため、独立に役立つ多様な経験が得やすいという声もあります。

一般企業

年収★~★★★
ワークライフバランス★~★★★
業務の幅広さ★★★ 

魅力は企業によって多彩

一般企業の魅力は企業によって異なります

上場企業の経理職であれば高い収入とともに繁忙期・閑散期に左右されない安定したワークライフバランスが確保できます。中小・ベンチャー企業であればCFO(最高財務責任者)として経営に関わったり、IPO(株式上場)に携わったりとそこでしかできない経験が得られます。

監査法人よりも収入・自由度は下がる傾向

前述のように魅力の多様な一般企業ですが、基本的には監査法人から一般企業に転職すると年収がダウンしやすいことは覚えておきましょう。

また、一般企業は基本的に始業から定時まで決まった席で働くことを求められるため、フリーアドレスで業務時間の裁量が大きい職場環境に慣れた監査法人出身者にはストレスがあるかもしれません。

一般企業ではグローバル化を背景として四半期決算やIFRSの導入といった高度な会計処理が必要とされる傾向にあり、近年会計士の需要は高まっています

コンサルティングファーム・FAS

年収★★★
ワークライフバランス★
業務の幅広さ★★ 

魅力は高い収入。ただし業務量は多い

コンサルティングファーム・FASは、ハイリスク・ハイリターンな転職先といえるでしょう。

平均年収が高く、30代で年収1,000万円以上も可能な高年収の職種です。ただし、与えられる仕事量や業務の責任は大きいため、効率よく時間を使わなければ遅くまで残業続きの毎日となってしまうでしょうし、昇給も望めません。

戦略系・財務系……系統によって特徴が異なる

コンサルティングファームには、「戦略系」「財務系」「総合系(会計系)」といった種類があり、それぞれで業務内容も変わります。

企業の経営課題の解決に特化した戦略系では論理的思考力や精神的なタフさが求められる傾向にあり、基本的には20代・高学歴しか採用されない狭き門となっています。

財務系はM&Aや事業再生、フォレンジック(企業の不正や事実関係の調査)などを主な業務とします。それらには会計知識が深く関わるため、会計士としての経験が評価されやすいです。

総合系はその名の通りあらゆる分野の業務に関わるコンサルティングファーム。多くの場合企業規模が大きく、部署ごとに担当できる業界・業務が決まっています。

FASとは?

FAS(ファイナンシャル・アドバイザリー・サービス)は、財務系コンサルティングサービスを提供する会社の一種です。

通常の財務コンサルが部門ごとの責任者に対して売り上げや利益に直結するコンサルティングを行うのに対し、FASは経営トップ層や監査役に対してより広い視野でのアドバイスを提供することが多いです。

大手FASはBIG4監査法人とのつながりが強く、求人動向もそれらと連動する傾向にあります。

【職務経歴書見本付き】会計士の転職ノウハウ

書類選考突破を左右する職務経歴書の書き方や会計士に特化した転職エージェントなど、転職するにあたって実際に役立つノウハウ・ツールをご紹介します。

【見本付き】会計士の職務経歴書の書き方

会計士の職務経歴書作成のポイントを、監査法人から転職する20代後半の転職者をモデルケースとして解説します。見本を示したうえで、抑えるべきポイントをコメント形式で解説しますので、ご自身の経歴に置き換えてご活用ください。

形式のポイント

  • 読みやすさを重視して、A4サイズ1~2枚にまとめましょう。
  • 手書きではなく、ワープロ作成が一般的です。
  • 外資系希望の場合は、英文レジュメも用意してください。

【見本】職務経歴書

職務経歴書の見本(1ページ目)。(A)要約。(B)業務内容として「勘定科目監査(直近では税金、売り上げ、売掛金、買掛金、前払金等)」と具体的に書く。(C)担当会社の概要。(D)「コンサルティング業務」として行っていた業務について書いている。

職務経歴書の見本(2ページ目)。(E)資格・免許・PCスキルの項目内に「TOEIC870点」と監査以外の能力も書く。(F)自己PR。

内容のポイント

  • 人事担当者がすぐに理解できるよう、3~5行で経歴を手短に伝えましょう。
  • 監査レベルを具体的に伝えるため、直近で担当した勘定科目も記載しましょう。
  • 守秘義務に基づき具体的なクライアントの名前は伏せつつ、差支えの無い範囲で業種・規模などできるだけ詳細に説明しましょう。
  • 通常の業務以外の場合も、具体的な実績を書くことが大切です。
  • 英語力など監査以外の能力であっても転職先で役立ちそうなものは積極的にアピールしましょう。勉強中の資格であっても記入すれば評価される可能性があります。
  • それまでの経験がいかに転職先で役立つのかを分かりやすくアピールしましょう。今後の目標についても触れると具体性が出ます。

会計士に特化した転職エージェント3選

転職には、無料で転職をサポートしてくれる転職エージェントが役立ちます。

業界知識が深く会計士の要望に寄り添うサポーターとして、会計士に特化した転職エージェントを3つご紹介します。

  • 「マイナビ会計士」
    マイナビグループの規模の大きさを背景とした、求人の幅広さが魅力です。
    監査法人からコンサルティングファーム、一般企業まで幅広い求人があり、紹介できる非公開求人数は会計士業界でも最大級となっています。
  • 「ジャスネットキャリア」
    20年以上会計・経理・財務・税務の転職サポートに特化してきた老舗エージェントで、取引先数も業界トップクラスです。
    ノウハウが蓄積されているため、キャリアステージに合った提案が受けられる、希望条件に合った求人が厳選されるなど手厚いサポートが魅力。
  • 「REX」
    マネジメント層や将来の幹部候補などハイクラスな求人の紹介において多くの実績を持つ公認会計士・税理士専門の転職エージェントです。
    コンサルティングファーム・FASの求人や大手企業の経理・経営企画の求人も充実しています。

まとめ

会計士の資格は転職市場でも非常に高く評価されます。しかし、簡単に希望の職場に転職できるほど転職市場は甘くはありません。

ミスマッチが起こらないよう、自身の希望と企業が求める人材の両方を意識して転職活動に励みましょう。

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