転職理由・転職先まとめ 教員が転職を成功させるには

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教員はやりがいの多い仕事である一方、仕事量の多さや保護者対応のプレッシャーから心身をすり減らし、「転職したい」と考える人も多いのではないでしょうか。

教員の転職理由や、どんな転職先が考えられるかについて解説します。

教員から転職したい! 教職の厳しさとは

教員から転職したい理由とは

「教員から転職したい」「もう辞めたい」の背景には、やりがいを感じている人でさえ過酷と感じる労働環境があります。特に若手は運動部を担当したり雑務を任されたりして「今は無理ができても将来続かない」不安を抱くことも少なくありません。

労働時間が長く疲れ切ってしまう

日本の学校教員は特に労働時間が長く、過労死ライン(残業が月80時間)が見え隠れする水準です。

文部科学省の調査(「平成28年度教員勤務実態調査」)からひと月の労働時間を算出すると、小学校で228時間残業68時間)、中学校で252時間残業92時間)となります。一般労働者の169時間を大幅に上回り、とくに中学校では過労死ラインを超えています(厚生労働省「毎月勤労統計調査」)。

長時間労働の理由は、本来の授業準備や子どもへの対応ではなく、部活動や書類の対応です。

文部科学省の調査(「学校現場における業務改善のためのガイドライン(平成27年)」)では、負担を感じることとして教諭の8割以上が「国や教育委員会からの調査への対応」、7割以上が「研修会や教育研究の事前レポートや報告書の作成」を挙げていました。

さらにこれだけの時間外労働にも関わらず残業代は出ず、土日の部活動の手当は一般的に一日3,000円というわずかなものです。

精神的負担が大きい

同調査では、「保護者・地域からの要望・苦情等への対応」にも、7割以上の教諭が負担を感じると回答しています。

例えば以下のような点が負担となっているようです。

  • いわゆるモンスターペアレントによる理不尽なクレーム・要望(行事で子どもが目立たなかったことへの謝罪、朝が弱い子どもの送迎を求めるなど)
  • SNSで学校や教員の悪口を書かれる
  • プライベートに遠慮なく踏み込まれる
  • 保護者が夜中でも直接連絡してくる

平成28年度学校教員統計調査(文部科学省)」によると、小学校教員の病気離職者は551人(うち精神疾患335人)、中学校教員では354人(同222人)となっています。長時間労働などほかの課題もあるものの、精神的な負荷が非常に大きいことは間違いありません。

人間関係の悪化がつらい

教員は職場での拘束時間が長く、人間関係が狭いうえにぎこちなくなってしまいやすい状況にあります。

例えば以下のような問題があるようです。

  • 指導について考え方が異なる同僚とうまくやれない
  • 能力に差があり仕事ができる教員の負担が増えるにも関わらず給料は変わらない
  • 多忙ゆえに初任でも丁寧な指導をしてもらえない
  • 人間関係の狭さからパワハラを相談できない
  • 校長や教育委員会からトップダウンの体制で、現場の声が上に通らない

また、トップダウンの体制のせいで、非効率だと訴えても取り合ってもらえなかったり、民間企業のようにコンプライアンス窓口や人事に相談するといった行動が取れなかったりする職場は、風通しの悪さが気になる人には、特につらい環境かもしれません。

教員から他職種に転職するメリット・デメリット

苦労の多い教員のしごとから いざ転職するにあたって、考えられるメリット・デメリットを整理します。

メリット(1)保護者対応などの精神的負担が減る

20代や未経験での転職であれば、いきなり管理職としてクレーム対応の責任者になることは、あまり考えられません。初任もベテラン同様に保護者対応をしたり、下校後や休日でも校外の子どものトラブル対応に駆けつけたり……。このような常に緊張感がある環境から離れることができます

メリット(2)プライベートの時間が増える

転職先がブラック企業でなければ、部活動に消えていた土日や持ち帰り仕事をしていた時間を、自分や家族のために使えるようになります(業種によっては平日休みの場合もありますが、激務でなければ一定の休みが取れます)。きちんと残業代が支払われる企業なら、「子どものために」という名目のもと、無償で働き続けるような不条理さもありません。

メリット(3)自分の業務に集中できる

一般に事業規模が大きい(=社員数が多い)と業務は細分化され、自分の専門業務に集中できます。「小さな会社で何でもこなす事務職」のようなマルチタイプの転職先を選ばなければ、自分の適性に合った仕事で集中してスキルを発揮することができるはずです。

「国の調査の対応や、保護者・住民のクレーム対応、部活動の時間に押されて、一番重要なはずの授業に力を注げない」という教員のジレンマは解消されるでしょう。集金や食品アレルギーの対応など、他の専門職に任せたいような仕事は減らすことができます。

デメリット(1)勤続年数に比例して給料が上がる安定性を失う可能性がある

給与の安定性は、教員から転職することのデメリットのひとつ。仕事によっては教員より給料が安く、景気や業績次第で職を失う可能性があります。教員のように資格や試験の条件を満たしていれば仕事のポストが変わることなく復帰可能、という安定性も期待できません。

教員は成績・成果で給料が上がることはありませんが、辞めずに続けていれば、経験年数に応じて給与が上がっていきます。この点に魅力を感じている人は、転職を慎重に考えてみてはいかがでしょうか。

デメリット(2)企業によっては有給(年休)が取りにくい

教員はブラックな労働環境も少なくないものの、年休(=有給休暇)は必要に応じて1時間から取得できます。しかし一部の企業では従業員に休みを取らせなかったり、本来理由の申請が不要なのに有給取得について報告をさせたりすることもありえます。

さらに教職は女性が多く(小学校6割、中学校4割)、産休・育休を取得して復帰するのは当たり前の職場です。タフな体力が必要ですが、出産後も仕事を続けたい女性にとって雇用の安定性は長所といえるでしょう。

※参考:「平成28年度学校教員統計調査(文部科学省)

教員からの転職に成功するには

転職活動で気を付けたいこと

教員は体力面やコミュニケーション力において鍛えられますが、ほかの職業とのギャップもあり、有利に働かない面もあります。

「潰しが効かない」イメージを乗り越えて転職するためのポイントは3つ。いずれも教職とほかの仕事との「当たり前」の違いから来ています。

PCスキルを再確認

学校のICT環境は企業などに比べて遅れています。学校以外で一太郎ソフトを使う場面はほぼないでしょう。

企業によってはPCを高いスキルで使いこなせるのが前提で、データの分析や共有をオンラインで完結していることもあります。WordやExcelの使い方を改めて学ぶ必要がある状態なら、WebやITに関する知識・スキルを求められる仕事は難しいのではないでしょうか。どんな職種でも、入社までにWordやExcelなどの基本スキルを勉強しておいて損はありません。

時間・コスト意識を見直そう

学校と違って一般企業では、時間を基準にした段取りや効率化を行いながら働くよう求められます

学校では朝早く出勤し、夜や土日も子どものために尽くす教員が賞賛される傾向にありますが、企業で出退勤時間を記録しないことはまずありません。程度の差こそあれ、残業時間を減らす取り組みも広まっています。

効率化により企業全体の支出を抑えたり、仕入れの原価から販売価格まで最大の利益が出るよう管理したりと、利益を追求する企業は常に時間とコストの課題があることを忘れないでおきましょう。

若い時期に始めるのが有利

他の職種と同様、教員でも転職においては若いほうが選択肢に恵まれる傾向にあります。未経験でもポテンシャルを見越して採用してもらえるからです。

授業、生活指導、保護者対応、事務処理など多岐にわたる教員の仕事は、ほかの業界で直接生かせる機会はあまり多くないかもしれません。また、使命感が強く事実上無償で働き続けるような前提・体質も、ほかの職場では採算や勤務時間を無視した働き方になってしまいかねません。

労働環境や人間関係など、「自分はこのままでは持たないかも」という危機感がある人は、まずは情報収集だけでも始めてみるとよいでしょう。

転職先として考えられるのは?

役立てられるスキル別に、転職先として考えられる職種を紹介します。

教えるスキルが生かせる塾講師・インストラクター

教壇に立っていた経験をそのまま生かせる職種です。民間企業、個人経営の塾などが考えられます。いまの教員の労働環境を抜け出したいけれど、子どもに接したり教えたりすることは諦めたくない場合の候補です。教科の専門性が高い高校教員に向いています。

企業によっては遠隔授業が行われているなど、ICT環境は教員経験とは差が大きい可能性も。また、予備校などは毎年講師と契約を更新し、人気のある講師にはより多い授業を、人気のない講師の授業数は減らしていくなどシビアな実力主義の場合があります。教員経験を買われる可能性は高いですが、学校とは異なる不安定な競争の世界で、コスト意識を持ち授業の質を追究する必要があることをしっかり意識しましょう。

実技教科の場合は、音楽や体育教室の講師・インストラクターを探せる可能性も。ただし、プロの奏者や現役のインストラクターとして働いている人と競争することになるため、教員生活が長くレッスンやトレーニングから遠ざかっていると厳しくなってしまいます。

コミュニケーション力・事務処理能力が生かせる営業職・事務職

学校に案外多い事務処理が苦でなかった人は事務職、子どもだけでなく保護者や地域の人との折衝が得意だった人は営業職という選択肢もあります。

とくに営業職では、子どもを預けている保護者と教員という特殊な関係ではなく、対等な社会人同士として接するため、「教員時代よりずっと楽」という転職成功者の声も。また、事務職に転職した場合も、学校にありがちな非効率な紙での作業がなくなり、PCで効率的に作業できるようになります。

試験を乗り越えた経験が生かせる公務員

公務員になるためには試験勉強が必要なので、勉強熱心な人も多い教員からは目指しやすい仕事なのではないでしょうか。年齢に関しても、各試験の制限を超えていなければ受験可能です。

ただし、法律(憲法、民法)や経済学などを扱う公務員試験は教員採用試験(一次試験)より難易度が高いと感じる人も多いようです。貯金が多く一年間勉強に没頭できる環境にある、過去に公務員試験の勉強もしていたなどの後ろ盾がないと、現実的には転職先候補には選べません。

子どもを指導した経験が生かせる学童保育

教員と比べると給与は下がりますが、学童保育の指導員になれば体力面ではセーブしながら子どもと触れ合う仕事に就きたいという希望は叶えることができます。共働き夫婦が増えると、学童保育の需要は高まっていくでしょう。

放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準(厚生労働省)」では、児童支援員の要件の一つとして、教員免許を有している人を明記しています。実際に就業する際には、所定の研修を受ける必要があります。

転職活動での情報収集の仕方

転職はしたいけれど漠然としたイメージしかない、どんな仕事があるのかわからないという人は、転職サイトやエージェントに登録し、自分の条件に合った企業の情報を受け取ったり、エントリーについて相談したりするという方法があります。

特に性格面のアピールなどは、他者に指摘をされることで自分の良さを整理できることも。いまの勤務状況に追い詰められている場合、「転職活動を始める」という行動をできただけでも気持ちに余裕が生まれる可能性があります。また、地元での就職を考えている場合、ハローワークを利用しても転職活動を進められます。

※ハローワークの利用について詳しくはこちら

「当てずっぽうに求人にすがったら人の入れ替わりが激しいブラック企業だった」となってしまっては転職の意味がありません。学生時代に就職活動をしていなければ、教員からの転職活動は「未経験」というハンデがついて回ります。積極的に情報収集をすることで、転職活動のリスクを減らしましょう。

まとめ

教員生活の過酷さと、転職の可能性についてお伝えしました。はれて教員になったものの、ブラックな職場環境や理想と現実のギャップに苦しんでいる方は、転職を1つの選択肢として考えてみてください。

 

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