仕事内容の基本と職場選びのコツ 医療事務へ転職する方法

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高齢化社会が進み、医療に関わる人材が不足している昨今、医療事務もニーズが高まってきている職種の一つです。

また、資格スクールや通信講座でも常に受講数上位を誇る人気資格。安定性や将来性に魅力を感じ「転職するなら医療事務!」という人も増えてきています。では、もしあなたが医療事務に転職するなら、どんなことを押さえておくべきでしょうか。

ここでは、医療事務の仕事内容や職場選びのポイント、派遣社員と正社員との違い、求人募集の探し方など、医療事務への転職活動に役立つ情報をお届けします。

医療事務ってどんな仕事?

医療事務とは、医療機関で事務や経理など行う仕事です。病院の窓口で医師や看護師よりも先に患者と接することもあるポジション。各医療機関の顔として、イメージを左右する大きな責任も担っています。

医療事務は未経験・資格なしでも働ける!

「医療事務の仕事に就くなら、資格は必要だし、経験がないとダメ」と思っている人も多いかもしれません。確かに有資格者や経験者は有利ですが、「未経験OK」「資格なしでもOK」で求人募集を出しているケースもあります。

なぜなら医療事務は、医療事務は病院の顔になる人。仕事ができても患者に対して不愛想だったり不親切だったりすると、病院の信頼が崩れてしまいます。そのため、経験やスキルと同様に人柄も重視したいというのが採用する側の本音。社会人経験があり、初めから最低限のビジネスマナーを身に付けている転職者は、経験・資格の有無を問わず欲しいという病院もあるほどです。

また、開業間近や開業して間もないクリニック、救急病院はとにかく人手が必要ということもあり、未経験者や無資格者にとって狙いどころです。

ただし、知識がないと毎日の仕事に行き詰まりを感じてしまうことも。どんどん進むIT化に対する適応力や、病院経営の視点も重視されつつあります。

医療事務に転職するメリット

病院に行くと、医療事務として働く人は女性が多いことに気が付くでしょう。現場の男女比は2:8と女性の数が際立っています。以下の3つのメリットがあることから、女性にも人気があるのだと考えられます。

日本全国で働け、一生身を助ける

医療事務はニーズの高い専門職であり、経験があれば日本全国どこでも働けます。たとえば結婚して移住する、夫が急に転勤になって職場を離れる、などの場合でも職を失うと焦ることはありません。病院は全国どこにでもあるので、能力と働く意欲があれば比較的職場は見つけやすいといえるでしょう。

経験があれば再就職しやすい

実務経験が重視されるため、新卒者より経験者を優遇するところも多くあります。子育てでいったん現場を離れても、落ち着いたら復帰することが可能ですし、いろいろな医療機関に勤めて積極的にスキルを磨くこともできます。

時間の融通がききやすい

医療機関によって診療時間はさまざまなので、求人もフルタイム勤務だけではなく「午前の診療時間のみ」「正午から閉院まで」などパターンが分かれます。育児や介護などの事情がある人も、その時々のライフスタイルによって勤務形態が選べるため、魅力のひとつになっています。

医療事務の主な役割

規模の大きい病院は職員数も多く、医療事務もたくさん活躍しています。それ以外にも活躍の場としては、診療所や個人クリニック、歯科医院、調剤薬局、介護施設などが挙げられます。基本的なスキルや経験を持っていれば、働ける場所はたくさんあるのがこの職種の特徴といえるでしょう。

事務と言っても会社の事務員の仕事とは大きく異なり、働く場所によっても仕事内容に違いがあります。一般的な病院の医療事務を一例に、主な役割を紹介します。

窓口受付業務

外来患者がスムーズに診察を受けられるようにサポートします。受付窓口に立ち、患者の健康保険証を確認し、診察券やカルテを発行。診察の順番が来たら診察室へ案内します。診察後は会計を行って診察代金を受け取ります。

レセプト業務

レセプトとは診療報酬明細書のこと。日本では国民は医療保険に加入することになっており、たとえば会社員が加入する社会保険では、医療費の3割を患者側が負担、7割を加入している保険者(保険協会など)に請求します。医療事務は患者にどのような治療を行い、使った薬は何かなど、診療の内容から診療報酬点数を計算し、請求する作業を行います。レセプト請求期間は忙しくなります。

入院患者対応

病棟を持つ大きな病院では1日に何人もの患者が入退院をするため、それに伴う手続きも医療事務の仕事の一つ。入院診療費の説明、退院時の精算、入院用カルテの準備(入院期間や目的などを記した入院指示書を元にコンピュータで必要事項を記入)、病棟への案内、窓口ではお見舞いの方への対応など、憂鬱な入院生活を少しでも気持ち良く過ごせるようサポートします。

入院収入は病院経営の要。患者の支払いがスムーズにいくよう、対象者には高額医療制度や公的負担制度などの説明を行うこともあります。

キャリアアップしたいなら医師事務作業補助者も視野に

医療事務作業補助者とは、平成20年度の診療報酬改定で設けられた専門職で、診断書作成の補佐やカルテへの入力代行など、医師の事務的業務をサポートする仕事です。これまで医療秘書が医師や看護師長のスケジュール管理や資料管理・作成と合わせて行ってきた業務を、専門的に担います。
医療事務作業補助者のポジションを任されると、一般的な秘書業務のスキルに加え医療の知識が必要です。場合によっては学会へ同行したり、海外文献を翻訳したりすることもあります。仕事が多岐にわたるため、最低6ヵ月の研修が義務付けられています。
医療事務とは違って診療報酬の請求や受付などは行なわないため、求められる能力にも違いはありますが、医療事務作業補助者として働く上ではレセプトの知識も役に立ちます。よりキャリアアップを目指す人には、現在注目が高まりつつある仕事です。

医療事務に向いている人

このように、医療事務は女性でも長く働け、安定と将来性が見込める職種ですが、誰でも就ける仕事ではありません。やはり向き不向きがあります。

医療事務に向いているのは、たとえばこんな人。あなたはいくつ当てはまりますか?

医療事務は事務職ですが、裏方としての役割だけで終わりません。患者と接する機会も多く、接客業やサービス業としての一面も兼ね備えています。患者へ笑顔で心配りができ、組織の中で信頼関係を築け、的確に業務を行える人こそ、医療事務にぴったりといえそうです。

失敗しない職場選びのポイント

書類を探すイメージ転職するなら、やはり長く勤められる環境を求めたいですよね。医療事務の転職先を選ぶときはちょっとしたコツがあります。

病院で働くなら「総合」or「個人」で絞る

医療事務が数多く活躍し、求人募集も多いところといえばやはり病院です。病院にも2種類あり、総合病院や大学病院といった大きな病院と、個人クリニックや診療所などの小さな病院に分かれます。仕事のスタイルも若干違いがあるので、内容や特徴を知った上で自分に向いている方に絞って転職活動を行うことも、職場選びで失敗しないための一案です。

総合病院や大学病院なら専門スキルが磨ける
大きな病院では医療事務職員も多く、受付・会計、レセプト作成など分業化が進んでいます。その分、1つの業務を突き詰めることができ、より専門に特化したスキルが磨けるでしょう。募集人数が多く、未経験者を採用するケースも目立つので、チャンスがつかみやすいといえます。

反面、任された業務しか身に付けることができず、経験が偏る可能性も出てきます。また、医師や看護師などとやり取りすることがあるため、日ごろから院内スタッフとコミュニケーションを図ることも仕事をスムーズに進めるうえで重要です。

個人クリニックや診療所ならオールラウンドプレーヤーに
個人クリニックや診療所は医療事務職員数が少なく、備品の管理や掃除といった雑務まで、幅広い業務を行うことになります。1人で何役もこなすとなると初めは大変ですが、自分のものにできればその後の転職でも大きな武器になります。

また小さな病院、いわゆる“街のお医者さん”は地域密着型の医療を提供しているため、患者との距離感が近いのが特徴。そのため職場内だけではなく病院に足を運ぶ患者とも、継続的に良い人間関係を築くことが大切です。

迷ったら「科」で選ぶのも一つの手

医療事務としてクリニックなどで働く場合は、比較的働きやすい科があるという人もいます。それは皮膚科と歯科。経験者いわく、単科の医療事務は大きな病院と比べると業務内容が限られ、仕事に慣れるのが早いというメリットがあるとか。未経験者でも一生懸命取り組めば、1年も経たないうちに独り立ちできる人もいるそうです。

病院によって仕事の内容はさまざまなので一概に言い切れないところもありますが、早く仕事を覚えて一人前になりたい、効率良く仕事をこなして勤務時間に融通をきかせたいという人にとっては、単科のクリニックや病院は狙い目かもしれません。

病院以外に「介護施設」「調剤薬局」「レセプトソフトの販売会社」でも働ける

医療事務が働く場所として、病院以外に特に広がりを見せているのが、調剤薬局と介護関連施設です。急速に必要性が高まってきているのは介護関連施設。近年は介護保険制度の導入により、一般企業も介護事業に参入し、訪問看護ステーションや老人ホームなどが増加。介護事務を行うことのできる人材が求められています。

経験者が優遇される傾向にあるので、未経験者の場合はまず他でキャリアを積んで、次のステップとしてチャレンジするのがよいでしょう。

業務内容としては主に保険請求事務(市町村に介護報酬を請求する)や受付、人材管理などを行います。ただし、こういった事務をケアマネージャーが兼任していることも多いようなので、求人があるかは吟味が必要です。

また、調剤薬局でも医療事務は活躍しています。調剤薬局は薬剤師が病院の処方箋をもとに薬の調合や処方を行うところですが、医薬分業が進み、院内処方から院外処方へと変化。大手ドラッグストアなどが店舗を拡大し、調剤薬局の数は増加傾向にあります。ここでは薬剤師をサポートするのが役目。受付・会計業務やデータ入力、レセプト業務、薬剤管理などを行います。未経験者の募集も目立ちます。

最近は大きな企業やホテルに併設されたクリニックも増え、時代の流れとともに医療事務の活躍するステージが広がりをみせています。変わり種の転職先としては、レセプトソフトの販売会社でレセプトインストラクターとして働く道も。レセプトコンピューターのスペシャリストとしてソフトの納入先を訪問し、操作方法について指導などを行う仕事です。

医療事務で働くと決めたら押さえておきたいこと

受付事務イメージ

あなたが医療事務として働くと決めたなら、思い描く理想の職場と早く出会うために、押さえておきたいことがいくつかあります。
ここではそのポイントをお伝えします。

パート・派遣社員・正社員の違い

医療事務の勤務形態には、一般的にパート、派遣社員、正社員があり、自分のライフスタイルに合わせて選べるのも魅力。
では、それぞれの勤務形態におけるメリットとデメリットを見ていきましょう。

1パートは「時間の融通がきく」

▼メリット
・勤務時間の融通がききます。忙しい時間帯だけ働くとか、午前中または午後だけなど都合の良い時間だけ勤務することが可能です。
・勤務スタイルの自由度が高く、休日出勤や残業が少ない職場もあります。
・夫の扶養控除内で働くことができます。

▼デメリット
・派遣社員よりも給料が安めです。
・賞与や有給休暇はありません。

◎給料
未経験なら時給850円前後、経験者なら1000円を超える場合も。

2派遣社員は「勤務先や条件が自由に選べる」

▼メリット
・勤務先や条件が自由に選べます。派遣会社に登録し賃金や仕事内容など条件を伝えておくと、希望に沿った職場を紹介してもらえて便利です。
・必ずしも資格が必要というわけではありませんが、有資格者は給料などが優遇されることもあります。
・「紹介予定派遣」の契約で働けば、そのまま正社員としての採用へも望みが持てます。

▼デメリット
・時給制で収入が不安定。賞与もありません。
・継続雇用の保障がありません。

◎給料
時給1500円で8時間15日間働いた場合、年収200万円程度。

3正社員は「経済的に安定し、待遇が良い」

▼メリット
・収入が安定しています。
・社会保障が充実し、安心して働くことができます。
・女性職員が多いため女性にやさしい職場が多く、産休や有休を取りやすいといえます。

▼デメリット
・レセプト請求期間などは忙しく、残業が続くこともあります。
・仕事に対する責任は派遣社員やパートと比べると重いです。

◎給料
病院の規模や地域、資格の有無、キャリアによって異なりますが、年収200~400万円程度。

正社員で働くなら資格を武器に

医療事務の正社員募集は学歴や年齢より経験が重視される傾向にあります。未経験での転職なら、まずは派遣社員やパートとして実務経験を積み、同時に資格取得にもチャレンジすれば、資格手当が付いて給料アップにつながるかもしれません。

医療事務の資格に国家資格はありません。その分多岐にわたる民間資格があり、種類は30以上、主なものだけでも10種類以上にもなります。資格は大きく医科、歯科、調剤、介護に分かれそれぞれに特徴があるので、関心があるものや職場に合わせた資格を受けるとよいでしょう。以下にキャリアアップを目指す人に人気の資格を2つピックアップします。

資格(試験)名 難易度 特徴
医療事務技能審査試験 ★★☆☆☆ 受験者数の多い試験。実務を意識した事務全般の知識や技能などを審査。比較的取りやすく転職にも有利な資格。
診療報酬請求事務能力認定試験 ★★★★★ 唯一の国家認定資格。レセプト業務についての能力のほか、幅広い知識を必要とし、合格者数の低い難関資格。取得しているとかなりの強みに。

受験対策に通学講座や通信講座を受けるのも一案。時間をかけて学びたい人には専門学校や短大、大学もあります。独学でという人もいると思いますが、資格の中には受験資格を得るために講座を受けなければいけなかったり、実務経験が必要だったりする場合もあり、事前に調べておくことが重要です。
資格を取得するまでには、学習費や受験代などそれなりに費用がかかります。心して臨みましょう。

医療事務の求人募集の探し方

1まずチェック!医療事務向け求人サイト

医療事務の求人に絞って探すなら、大手求人サイトより専門サイトでの情報収集が効率的です。ここではぜひチェックしたい専門サイトを紹介します。

医療事務の求人に特化したサイトで、日本医療事務協会が運営。掲載件数は4万件を超え圧倒的(2016年7月末現在)。職種がレセプト業務や会計事務など細かく分かれ、希望する求人がピンポイントで見つけやすくなっています。

医療事務の求人が約3,600件(2016年7月末現在)。職種別の検索もスムーズ。登録しておくと、優良求人情報をいち早く知ることができ、採用担当者からスカウトされたりすることも。本格的な適性診断を受けることも可能です。

2派遣会社やハローワークも活用しよう

医療事務では派遣社員としての求人も多いため、はじめから派遣会社の力を借りるのも手です。登録しておくと、希望に叶う職場を紹介してくれます。派遣社員としてスムーズな一歩を踏み出せ、いろんな現場で経験を積むこともできます。興味がある人は、医療業界に強いといわれる2社からチェックしてみては。

一方、医療機関はハローワークに求人募集を出しているところも多いため、積極的に活用しましょう。
また公共職業訓練で行われている医療事務の講座を受講するのもおすすめです。受講費は無料(もしくは格安)ですし、失業手当に加え技能習得手当を受給しながら学べるため、生活面でも安心できます。受講者には面接指導や就職相談、優先的に仕事を紹介してもらえるといったメリットも。採用への近道になるかもしれません。

医療事務の転職活動時のポイント

履歴書競争が激しい医療事務への転職。転職活動でいかに抜きんでた行動ができるかが成功へのカギとなりそうです。

ここでは、採用担当者の目に留まりやすい履歴書・職務経歴書の書き方のポイントや、面接時の身だしなみ、振る舞いについてまとめてみました。

1志望動機を上手にアピール

医療事務への転職時、採用担当者が最も重視するのは「志望動機」です。履歴書を書く際も面接のときも、なぜこの職場を希望するのか、医療事務の仕事に就きたい理由は何かを具体的に述べることで、仕事に対して前向きな印象を与えます。

以下では、面接でありがちな志望動機にまつわる質問と回答の一例を挙げますので、参考にしてみてください。

例1

医療事務という仕事を選んだ理由は?

私はこれまで2年間、食品会社の経理として経験を積んできました。そこで身につけた数字に対する正確性を武器に、レセプト業務に取り組んでみたいと考え、貴院を志望しています。また、受付業務では患者様に信頼していただける病院づくりに貢献できるよう、真摯に取り組んでいきたいと考えています。

例2

なぜこの病院を選びましたか?

(面接を受ける病院の理念や取り組みなどの情報を盛り込みつつ)こうした貴院の理念や取り組みに共感を覚え、ぜひ私もスタッフの一人として貢献したいと考えました。

2面接時に気を付けたいこと

面接では自分の人柄や仕事への思いを面接官にきちんと伝えることが大事です。加えて、印象を左右する身だしなみでは次のようなことに気を付けましょう。

服装は清潔感を重視

医療事務は患者や患者の家族と接する機会も多い仕事なので、誰からも好感をもたれる身だしなみや服装を常に意識することが大事です。また、医療機関で働くのですから清潔感は第一。面接時はその点に気を配っていることが伝わるよう、アイロンがけをしたシャツやスーツ、汚れのない靴で臨みましょう。

ネイルや香水はNG

女性は特にネイル、香りの強い整髪料、香水にも気を付けて。長い爪のハデなネイルが患者を傷つけたり、香りで患者の体調が悪くなったりすることもあります。

まとめ

いかがでしたか。医療事務に求められる能力は今、より高度なものや専門的なものへと移り変わりつつあります。責任も重く、簡単に務まる仕事ではありませんが、一方で患者の「ありがとう」の声に励まされ、やりがいも感じられるはず。医療事務に転職するなら、思いやりの心を大事に能力も磨いて、頼りにされるスペシャリストを目指してみましょう。

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