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コンサルタントが語る。注目される「環境・エネルギー技術」〜その現状と採用動向〜

地球温暖化を防ぐためのCO2排出量削減は国際政治の大きなテーマとなっており、各企業は次世代への布石として「環境・エネルギー技術」に積極的な投資を行なっています。技術者の皆さんの中にも、この分野に関心をお持ちの方は多いのではないでしょうか。今回は、この「環境・エネルギー業界」の現状と採用動向、同業界でのキャリアアップの可能性について、担当コンサルタントが話し合いました。

田中 徹

半導体・電気・電子や機械系などの業界を幅広く担当。業界の動向やトレンドを押さえ、専門技術に関する豊富な知識を持つ。コンサルタントとして多くの技術者の方とお話してきた中で、今後伸びるであろう環境・エネルギー分野にも早くから注目し、すでに同分野で多数の実績を誇る。

関寺庸平

セールスエンジニアとして培ってきた人脈、経験を活かし、機械・自動車関連業界に強みを持つ。特に現在はFPD関連の装置や、太陽電池製造装置などの企業様への転職サポート実績も増えており、キャリアアップやキャリアチェンジ、Uターンなど様々なご希望に沿った多数の実績を残している。

結城賢治

主に関西地区の半導体・電気・化学・機械関連のメーカーを担当。近年、環境・エネルギー分野に注力する企業も多く、今後ますます伸びていく市場であると実感。皆様のあらゆる可能性を見出し、コンサルタントが介在する「価値」の提供をモットーに、数々の転職サポート実績を残す。

世界的に関心が高まる環境・エネルギー問題

まずは、環境・エネルギー関連業界の現状についてお教え下さい。

田中
「この10年間で最も注目され、新技術への先行投資が最も積極的に行なわれたのがこの環境・エネルギー関連分野かもしれません。大きなきっかけになったのは、やはり1997年の京都議定書でしょう。温室効果ガスの削減目標が具体的に決まったことを受けて、各国の政府レベルから産業界までが真剣に取り組むようになりました」
関寺
「現在、世界的な経済の減速が伝えられています。あちこちで投資の抑制や計画の見直しなどが進んでいますが、唯一そういった逆風にも関わらず伸びているのが、この環境・エネルギー関連といえるのではないでしょうか。今すぐに取り組まないと私たちの子孫にも大きな損害を与えるかもしれない…そんな環境問題に対する共通認識が世界中の人々の間で生まれつつあるように思いますね」
結城
「この分野で先頭を走っているのはやはり欧州です。CO2を排出しないクリーンなエネルギーというとまず太陽光発電を思い浮かべますが、ドイツではこれを普及させるために、家庭の太陽光発電で生み出された電力を通常の電力よりも高く買い取る法律が施行されるなど、官民あげた取り組みが進んでいます。北欧諸国なども非常に積極的です」
関寺
「太陽光発電装置の市場もそういった動きに連動して伸びていますね。たとえば、2007年の太陽光発電パネルの世界売上は約1兆7000億円といわれています。これが2010年には約3兆6600億円にまで拡大することが見込まれて、さらに2030年には25兆円超という予測数字もあります。つまり環境対策は大きなビジネスチャンスでもあるんです」
田中
「もちろん環境・エネルギー関連ビジネスは、太陽光発電だけにとどまりません。ハイブリッド車や燃料電池車など省エネをコンセプトにした自動車開発なども広い意味での環境・エネルギー業界ということになるでしょう。日本も欧州と並ぶ環境技術の先進国といえる存在ですし、今後製造業をリードしていくにはこの環境対応技術がますます不可欠となっていくのではないでしょうか」

代表的な環境対応技術と製品

非常に幅広い環境・エネルギー技術ですが、代表的な分野にはどういったものがありますか。

クリーンエネルギー (太陽光発電、燃料電池、風力発電など)
結城
「CO2を排出しない新エネルギーとして、もっとも普及が進んでいるのが先ほどもあげた太陽光発電です。日本ではまだ家庭用など小規模なものが中心ですが、イタリアの大手電力会社ENELは日本のシャープと提携して商用の太陽光発電事業を立ち上げました。今後こうした動きが各国に広がっていく可能性は大いにあるのではないでしょうか」
関寺
「太陽光発電パネル自体も技術革新が進んで発電効率が良くなっています。従来の単結晶シリコンを使ったタイプから薄膜技術を応用した第2世代へと切り換えが進んでおり、ここに高度な薄膜技術を持つ半導体製造装置メーカーが参入しています。アルバック、東京エレクトロン、アプライドマテリアルズなどの大手も、直近の半導体減産の影響を受けて装置の受注が減っており、この太陽電池製造装置事業をビジネスのもう一本の柱にしようという動きにつながっています。太陽電池パネルのメーカーである京セラ、三洋電機、韓国のサムスンなども今後いっそう、この分野に注力していく意向が伝えられていますね」
田中
「一方、現在開発段階の技術で注目されているのが燃料電池。水素を燃やして、排出されるのは水だけというクリーンな水素電池は、新日鉱ホールディングス、出光などの各社が先行しているといわれています。また、風力発電も今後さらに普及が進むのではないでしょうか」
省エネ (LED、有機EL、ハイブリッド自動車など)
結城
「新エネルギーと同様に大切なのが、エネルギー消費量を削減する省エネ技術です。この分野は石油ショック以来の日本のお家芸ともいえるもので、数々の技術で世界をリードしています。その一つがLED(発光ダイオード)や有機EL(エレクトロルミネッセンス)。特に、日亜化学工業や豊田合成が得意とする青色発光ダイオードの技術は、消費電力の少ないLEDをディスプレイや照明器具として利用する道を大きく開きました」
田中
「省エネを意識した自動車、いわゆるエコカーも日本が強い分野ですね。景気の減速で新車販売は各社とも落ち込んでいますが、燃費のよいハイブリッド車に関しては底堅い動きが続いています。各自動車メーカーと家電メーカーは協力してハイブリッド車用バッテリーの開発などを進めており、ここでは業界の垣根を超えて協力しあう環境・エネルギー技術独特の動きがあります。代表的な例がトヨタとパナソニックの共同出資によるパナソニックEVエナジーの設立などでしょうか」
関寺
「エコカーの需要は欧州でも高いですし、いずれはアメリカや新興国でも普及していくと思います。ハイブリッド車は高度な電子制御技術の塊でもありますので、そのための電装品の需要が伸びれば、それがやがて半導体業界の需要喚起にもつながっていくものと考えられています」
リサイクル (レアメタルなど)
田中
「リサイクルというと、古紙やペットボトルなどが身近ですが、ビジネス的に大きいのは何といってもレアメタルの回収・リサイクルでしょう。資源としての埋蔵量が少なかったり、精製が難しいリチウム、バナジウム、ガリウム、チタン…といった希少金属資源のことですが、実はこれがデジタル家電や通信機器などのハイテク製品に欠かせない素材として多く用いられています。そこで、これを使われなくなった携帯電話や家電製品などをリサイクルして取り出そうという動きが本格化しているんですね。都市に鉱山があるようなもの…という意味で『都市鉱山』といわれたりしますが、その観点から見ると日本には全世界のレアメタルの1割以上の埋蔵量がある計算になるという話もあります」
関寺
「限られた資源を有効に活用していくことも環境技術の一つといえるでしょうね。廃棄物を宝の山に変える逆転の発想は、今後ますます重要になっていくのではないでしょうか」

関連技術経験者から第二新卒まで活発化するエンジニア採用

活発な環境・エネルギー業界ですが人材採用の動向はいかがでしょうか。

結城
「エンジニアを中心に継続的な募集を行なっている企業が多いようです。景気の影響で他の分野の採用が絞り込まれる傾向がありますので、特に環境・エネルギー関連の募集が突出して見えるのが現状ではないでしょうか」
田中
「現在、もっとも活発なのは太陽電池パネル関連の薄膜技術の経験者募集です。成膜の知識をお持ちの方、有機化学のバックグラウンドを持つエンジニアにとっては大きなチャンスといえるでしょう。その他では、電気・無機化学系の経験者の方。燃料電池の電極開発、LEDや有機ELの開発…をはじめ、太陽光発電関連、ハイブリッド車開発関連など、さまざまな可能性があります」

どのような企業で採用予定が出ていますか。

関寺
「太陽電池関連の中心は半導体製造装置メーカーです。大手から中堅、外資まで幅広く募集されています。燃料電池などは大手化学メーカーにご注目いただきたいと思います。また、革新的な技術やニッチな分野の研究を進めているベンチャー企業が今後大きく成長するといったケースも出てくるでしょう。そういう意味では大手からベンチャーまで、それぞれやりがいの持てる業界だと思います」
結城
「電気・化学系のバックグラウンドをお持ちの方であれば第二新卒の方にも、ぜひお問い合わせいただきたいと思います。大学院で電気・化学系を専攻された方であれば研究開発部門で活躍するチャンスも大いにありますし、学部卒の方も生産技術や品質関連に幅広い可能性があると思います」

環境・エネルギー業界への転職成功例も増加中

クイックではこの分野への転職サポートに強みを持っているそうですね。

結城
「まずは求人情報が豊富だということですね。私どもは半導体、電機・自動車などの製造業に強い専任のコンサルタントチームを持っており、この分野での転職をサポートした豊富な実績もあります。環境・エネルギー業界はこうした製造業とほぼイコールですから、各企業との深いつながりを活用して、詳細な求人情報をいち早くお届けする体制を整えています」
・30代男性 オフィス家具メーカー 生産技術 ⇒ 太陽電池メーカー 生産技術
田中
「具体的な事例をご紹介しますと、オフィス家具メーカーで生産技術を担当されていた30代の方に太陽電池パネルの大手メーカーの生産技術担当としてご入社いただいたケースがあります。一般的にオフィス家具業界から太陽電池業界…という転職は意外ですし、ご本人もまったくイメージしてなかったそうです。しかし、この方の金属加工技術は太陽電池メーカーからも高く評価していただきました。このように、直接関連のない業界の経験者の方でも、今後環境・エネルギー業界で活躍できるチャンスは大いにあるのです」
・20代男性 大手家電メーカー 電子部品設計 ⇒ 太陽電池製造装置メーカー 研究職
関寺
「第二新卒の例では、大学院で薄膜の研究をしていた方を太陽電池製造装置メーカーの研究職としてご紹介しました。卒業後は、まったく関係ない電子部品の設計をされていた20代の方ですが、大学院での研究を評価されて研究職に復帰されたパターンです。同様に、長らく違う畑の仕事をされていた30代の方が復帰された例、また50代のベテランの方の転職を成功させた例などもあります」
田中
「これらの例からも、環境・エネルギー技術の分野が堅調だということがよく分かりますね。長期的にもさらに伸びが期待される業界であり、地球環境を守るという大きなやりがいを感じられる仕事でもあります。現状は景気の後退などでご不安もあるでしょうが、多くの情報に接していただくことでそれは解消されるものと思います。ぜひ、一度担当コンサルタントにご相談いただきたいと思います」
---ありがとうございました。

今後もっとも伸びが期待できる業界

ニュースや新聞を見ていても「エコ」や「CO2削減」という言葉に接しない日はありません。そういう意味では、今もっとも勢いがあるといえるのが「環境・エネルギー業界」ではないでしょうか。
今回のコンサルタントの方のお話を総合すると、やはりその勢いは本物で、世界不況とは関係なく企業が非常に力を入れている分野であること、それに伴って採用計画もかなり活発だということが分かりました。特に、半導体製造装置メーカーが太陽光発電パネルの製造装置にも進出して大きな存在感を持ち始めていること、及び大手電機・化学メーカーなどによる電池やLED、有機EL開発などの分野に要注目とのことです。
まだ、新しい業界だけに他分野からも優秀なエンジニアを集めている時期といえるのではないでしょうか。地球環境を守りながら新しいビジネスの立ち上げにも参画できるというやりがいのある仕事に就く大きなチャンスが今なのだといえるのかもしれません。もちろん、転職成功には十分な情報収集と自己分析が不可欠。そのためにも早い段階からコンサルタントにご相談いただければと思います。

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