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【連載】本田勝裕 ーアラサーaround30世代へ贈るー

キャリアの悩み 解決します

【 Vol.13 】 自分スタンダード・リーダーシップ論1
<ヘナチョコ管理職になろう>

本田勝裕 −アラサーaround30世代へ贈る−キャリアの悩み解決します とは…

アラウンド30世代の皆さま、「俺も随分オトナになったな・・・」と感じること、多いのではないですか?
会社組織においては『若手層』ではなくなり、会社によってはマネージメント層へ本格仲間入り・・・私生活では結婚や、親の現役引退など「社会のなかでもポジショニングが変わってきたな・・・」と、オトナの重みを感じられているのでは?
このコラムは、そんなアラウンド30の皆さまへ贈るキャリアの悩み解決コラムです。
講師の本田勝裕氏は、学生・社会人のキャリア形成、企業の人材採用などのコンサルタントとして活躍中。
組織心理学「FFS理論」と、コーチングの最先端技術である「ソリューションフォーカスドアプローチ」をベースに、アラウンド30世代:オトナのキャリアの悩みを解決します。
社会責務やら、悩みやら、ついこの前まで頭を悩ませていた問題とはちょっと違う「いわゆるおとなの悩み」が出てきはじめたアラウンド30の皆さま・・・「楽スルナカレ、クルタノシモウ」!

まいど。

国のリーダーが、麻生太郎さんから鳩山さんに代わり、
それを支えるチームが自民党から民主党に変わったね。
麻生さんと鳩山さん、どっちにリーダーシップがあるんやろうね。
案外、小沢一郎さんやったりして〜。
それが企業であろうと政府であろうと、組織あるところにリーダーシップが論ぜられるね。

しかもアラサーの諸君には段々と管理職という名前と、
管理職手当(少ないけどな)という給与項目があり、
課長でも係長でもマネジャーとしてのリーダーシップが求められる。

ほなリーダーシップってなんやろ?
これを僕の友人で企業研修講師の張琴さんが雑誌PHP7月号「リーダーシップ3分講座」でこう定義している。

本来の“リーダーシップ”は、
「理念と目標を明確にし、人心の掌握によって、
果たすべき責任を全うする」ことであり、
その特性をそなえてこそ、リーダーといえます。

文章は理解できるよなー。
でも、これを自分に置き換えるとどうなる?
●理念と目標を明確にしてる?
●(上司も部下も)人心の掌握はできている?
●果たすべき責任を全うしている?
●君は上記の特性をそなえているリーダーか?

ガハハ、僕のアラサーの時代に戻ると、苦笑いか硬直して、
「一つも該当いたしません。自分の目標や責任でいっぱいになっていて、
 部下の心の掌握など、とてもできていませんでした。僕はもっともダメな係長でした」
と答えるしかないわ。

君はどうや?
理想的なリーダーか?理想的なリーダーになれそうか?
今の組織にいても、転職しようとしても、組織からはリーダーシップを求められるのは時間の問題やな。

ちょうど編集部宛てに、僕への相談メールが届いた。
紹介するから一緒に共感したり、解決策を探してみよう。

はじめまして、Nと申します。
都内で勤務している32歳女性です。
昨年より、11名のメンバーをマネジメントしています。
メンバーは年上が1名、1年目が3名、2年目が2名、3年目が2名、5年目が1名、7年目が1名、8年目が1名です。
部署はマーケティングで、メンバーの8割が企画職で、2割がシステム担当としての配属です。

単刀直入に今の悩みをお話させて頂くと
・正直、全員の仕事が詳細まで把握できない
・なにを考えているかまるで分からないメンバーがおり、対処できない
・自分自身の目標達成とチームマネジメントのバランスが取れない
・企画職とエンジニアというタイプの違うメンバー同士では仕事面での折り合いが付かないことが多く、調整が難しい

一言でいうと、もうリーダー嫌です。むしょうに精神的につかれます。
自分ひとりの場合は、何か壁があっても、「自分」がなんとかすればよかったのですが、
他人をやる気にさせたり、他人の仕事を細かく管理したり・・・
個人同士を組織として機能させ、パフォーマンスをあげる。。。    正直無理です。

色々と調整が難しいので、つい自分が業務をやってしまったり、
自分でつじつまあわせればいいや、としわ寄せが自分にきてしまったり・・・
できない上司パターンにはまりつつあります。

相談したくても、年齢層の低い我が社では相談相手も悩んでいる・・・・そんな状態です。
リーダシップ本を読み漁ってはいますが、コミュニケーションできるメンバーは問題ないのですが、本音が見えないメンバーにはどんなリーダーシップ本の内容も正直使い方がわかりません・・・

取り留めの無いご相談になりましたが、組織運営、リーダーシップに関する本田さんのお考えをお聞かせ下さい。
よろしくお願いいたします。

このチームビルディングの悩みに直面する32歳の女性の気持ち、激しくワ カ ル ワ 〜!

僕がいたのは出版社の編集部やけど、当然そこにはたくさんの変人がいる。
むしろ変人だけで、フツーの奴なんていない。
職種も編集者、デザイナー、カメラマン、ライター、モデル、スタイリストとクリエイターばかり。
みんな「表現」を仕事にしてるから、メンバー間の主張も激しい。
時にはつかみ合いの喧嘩もあったな〜。

つまりチームのマネージメントとか、自分のリーダーシップとか言える状況ではない。
だからこそNさんの状況に共感できるし、解決に向かいたいねー。
そこでこのNさんに、その時の編集者として僕がとった方法を書いてみよう。

ワン・ダウン・ポジション

(一歩下がって見る)

僕がやったのはこの方法。
というか、これしかなかってんけどね。

一歩下がって、それぞれの業務と個人(能力や性格や価値観)を観察する。
自分の仕事は後回しになるんやけど、全体が見えるからそれぞれチームの力は把握できる。
そしてチームそれぞれが「したいこと」「できること」「すべきこと」と「したくないと思っていること」「できないと思っていること」「すべきではないと思っていること」も全部しっかり聴く。

もちろんワガママな連中の要求を、すべて満たすことなんてできるわけがないから、
「今は辛抱してな。でもその企画温めておいてや。いずれできるように情報収集しといてな」
「今『できない』って言うたけど、それは『できないことにしておきたい』やろ?つまり『したくない』んやろ?でも『しなければいけない』ねん。どうしたら自分でやる気になれる?」
「そのアイデアとA君のアイデアを重ねてみたらどうなりそう?」
「会社からの目標設定がアレで、現状がコレやねんけど、どうしたら近づけると思う?」
「すまん。悩んでるねん。みんなで解決するのを手伝ってくれ」
「おーい、誰かA君のデザイン手伝える奴おらんか〜。昼飯おごるで〜」

やたらと話を聴いて、やたらと話をして(僕の場合喋りすぎは否めない)、
やたらと質問をして、やたらと昼飯をおごった(晩飯はおごれないけど)。
つまり、コミュニケーションやな。
うまくいくコミュニケーションもあれば、うまくいかんコミュニケーションもあった。
なかでも自分が距離を置きたい奴とはべったり後ろに張り付いて、
じっくり話しかけてくれるのを待った。

相手も僕と距離を置きたいのだけど、張り付いているので、なんぞ喋りはじめる。
僕は黙って(珍しく)ウンウンと聴いてるだけ。
だって僕が喋りだすと「それはちゃうやろう」「そんなんできひんがな」「むずかしい」しかないもん。
だからとにかく耐えて、耐えて、耐えて聴く。

するとたまーに「それエエやん!」「それやろうや!」「やってみー。応援するで!」がある。
その時に彼の目の色が変わる。
つまり本人が言い出したことを、上司であり、予算管理者である僕が、
OKしてるわけやから、当然本人は時間を忘れて必死でエンジンをかけはじめる。

その後ろ姿は、妙に美しい。
ホモではないが、抱きつきたくなる。
それは僕だけではなく、他のメンバーも彼と彼の仕事を応援しはじめる。
「Aさん、メロンパンと缶コーヒー買ってきたで。ちょっと休んでね」とか、
「こんな切り口のデザインも見つけたよ」という応援団が現れる。
そして仕上がったその仕事は、僕らのチームの作品であり、誉れになる。

チームのパフォーマンスや生産性が最大化する瞬間の気持ちよさを、
チーム全体が共有してるわけやからねー。

では整理をしておこう。
1.とにかくコミュニケーション
2.距離を取りたい奴ほど、張り付く
3.辛抱して聴く、聴く、聴く
4.本人が「したいこと」と組織が「させたいこと」が合致したら応援団を作る
5.チームで仕上げていく

つまり、人心の掌握ができんから、相手から聴いて、応援をする。
これが僕のワン・ダウン・ポジション。

しかし課題が2つ残る。
●自分の仕事が後回しになってできない
●自分の上司の説得

前者の課題は、しゃーないので自分の成績を犠牲にすることにした。
だって自分個人の小さな成果より、
チームの成果のほうが数字も大きいし、チームへのいい影響も与える。
つまりプレイイング・マネジャーのプレイよりもマネジャーを重視した。

後者の課題は、徹底的にワン・アップ・ポジションで説得することにした。
後輩や部下というチームを守ることも、
立派なリーダーシップだと信じて、説き伏せることに時間をかけた。
「お前は甘い」といわれることも多かったが、その度に
「ほな僕と誰かを入れ替えてください。僕には今の手法以外にやり方がわかりません」
「他の方法だとチームのモチベーションが下がります。甘くなくチームのモチベーションを上げパフォーマンスと成果を出す方法を教えてください」
「それぞれの仕事ぶりを見にきてください。彼らの仕事ぶりを実際に見て評価をしてください」

すると「それはお前の役割やろ」と言う上司。そこで、
「わかりました。それでは役割を変えてください。あなたがしてみてください」
「まさか自分がおできにならないことを私に押し付けておられるわけではないですよね」
「部長!それって本部長から言われたことをそのままコピペしてません?」
とまでは、言わんかったけどな〜!ガハハ

でも、まー、こういうこと。

●立派な上司になるよりも、自分スタンダードのヘナチョコ管理職になる
●ヘナチョコ管理職なんやから、ヘナチョコのままで自分の強みとチームの強みに集中する
●ムチャなミッションを勝手に掲げているのが組織やから、ヘナチョコ管理職はムチャなミッションをそのまま上の課題に戻す

さてどうやろね?
Nさんのメールに一つずつ答えてないけど、役立つところを使ってみてね。

ちなみに上の作戦でうまくいかなくても大丈夫。
君が会社をやめても大丈夫。
メンバーが会社をやめても、部長が脳溢血で倒れても大丈夫。

それらのことが全部、自分の知識と経験を重ねた知恵になる。
その知恵は、今その職場で作っている人脈とともに、一生モンになるんやから。

ほな、ヘナチョコ管理職殿!ごきげんよ〜♪

本田 勝裕
キャリア・コンサルタント。有限会社ポンタオフィス代表取締役。
就職、創業、進学をテーマにしたコンサルタント。1962年生まれ。神戸在住。1985年甲南大学経営学部経営学科卒業。同年、(株)学生援護会に入社し、11年間『an』の編集及び企画業務に携わる。また、学生・OL向けのイベント、セミナーもプロデュース。同社退社後、(株)クリエテ関西(あまから手帖版元)で広告企画部長を経て、1997年1月にキャリア・コンサルタントとして独立。
現在は、企業や学生を対象に講演及び執筆活動を行っている。また、キャリア支援ホームページ「ポンタのキャリアゼミナール」やメーリングリストを主宰。授業・講演実績約506本(90分単位)、コラム執筆約100本、本出版1冊(すべて2009年実績)。社会人、学生がお互いに学びあう学校、ポンタキャリアカレッジも主催。 自分と組織の関係性、コミュニケーション能力、自分マーケティング能力などについてのセミナーが反響をよんでいる。

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