1986年、男女雇用機会均等法が施行され、求人募集の際に男女が区別されることはなくなりました。男性の仕事、女性の仕事…といった区分けは原則なくなったわけですが、それでも現実的には女性の仕事のイメージが強い職種はいくつかあります。
その一つが「セクレタリー(秘書)」ではないでしょうか。ただ、一口にセクレタリーといっても、特定のエグゼクティブを担当する個人付きセクレタリー、複数名を同時に担当するグループセクレタリーなど、仕事内容はさまざまです。
今回は、女性が多く活躍する職種として人気の高いセクレタリーについて書かせていただきます。
まず、個人付きセクレタリーとグループセクレタリーの違いを見て行きたいと思います。
CEOやCOOといった、主に企業トップや役員クラスの特定エグゼクティブを担当しますが、求められる仕事内容はケース・バイ・ケースでかなり異なります。担当するエグゼクティブの右腕となって、企画書の作成やビジネスアイデアの具体化…など、企業経営にも関わるような責任ある業務まで任されるセクレタリー。こういった方々は、もはや「ビジネスパートナー」、あるいは「政策秘書」とでもいうべき存在です。どちらかといえば米国系の外資系企業によくいらっしゃる印象があります。
その他、一般的なセクレタリー業務としては、上司のスケジュール管理やレター類の作成、ファイリング、会議資料の準備、来客応対、郵便管理、電話対応…といった幅広い範囲を受け持たれている方が多いのではないでしょうか。また、外資系企業において、日本語があまり堪能でない外国人エグゼクティブを担当する場合などは、急な来客時に通訳的な役割を求められるケースもあるようです。
名称はセクレタリーですが実際の業務は、担当する複数名、あるいはチームや部門全体のアシスタント的役割が中心となることが多いようです。書類作成、ファイリング、データ入力、電話応対…といった業務内容が主体であり、レポートラインであるはずの事業部長のスケジュールなどはまったく把握している余裕がない…という話を聞くこともあります。純粋に「秘書」としての業務を希望されている場合は、事前に仕事内容を確認しておく必要があるでしょう。
セクレタリーの募集状況ですが、一般的に日系大手金融機関から求人が出ることは比較的少ないように感じられます。これは日系大手金融機関の場合、組織体制の中に「秘書室」といった形態が組まれており、新卒から育成したりジョブローテーションで人員を確保している場合がほとんどであるためです。そのため、銀行業務を希望して入行したのに秘書室に異動になってしまったために転職した…といった話も耳にすることがあります。
では、セクレタリーを積極的に採用している企業はどんな会社でしょうか。結論からいえば、中堅・中小の金融機関、ジョブローテーションの少ない外資系金融機関ということになります。中堅・中小は名前を聞いただけではピンとこない企業も多いかもしれません。また、外資系の場合は新聞やネットなどでの公募を行わないことも多く、まさに私ども人材紹介会社の情報をご活用いただく意味のある職種だと思います。
セクレタリーとして転職する場合に、注意しておきたい点もあります。それは、特に個人付きの場合ですが、誰を担当するかによって仕事内容や求められるものが大きく変わってくる職種であるということです。
一般的に企業には独自のカラー、社風というものがありますが、セクレタリーの場合、それよりも「担当する上司の方針、考え方」を優先して仕事を進めなくてはならないのです。
それだけに、自分にあう上司がどうかを見きわめることは非常に重要です。リプレイス(欠員補充のための求人)の場合、前任者の退職理由を確認するほか、直接面接の機会を必ずつくってもらい、相性を判断したいものです。
短時間で相性を見きわめるのは難しいと思われますが、面接ではどのような質問を行うのが有効か…など、ぜひ私どもコンサルタントにご相談いただきたいと思います。
- 『金融業界 女性の転職コラム』 トップページへ
- 第一回 「女性の視点から見た外資系金融機関」へ
- 第二回 「キャリアアップ転職の成功例から学ぶ 」へ
- 第四回 「前年比13%強の市場拡大!金融業界で継続成長が注目されるFX会社」
山本 友香(やまもと ゆか)
管理系職種専門チームから金融・不動産業界担当チームに異動し約5年、金融・不動産業界を中心に1000名を超える方の転職サポート実績を持つとともに管理職として、部下の育成、マネジメントを行う。また、有名転職支援サイトにてコンサルタントランキング総合部門4位に選出されたこともあり、ジュニアクラスの方からエグゼクティブに至るまで、幅広い層からの支持を得ている。