大人の男・女とは 出世の意味を考える 30代は若さに代わる要素で勝負する 30代でその後の人生が決まる他
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キャリア形成における30代の意味
大人の男・女とは
30代、しかも35歳くらいになると大人になる人とおっさんやおばちゃんになってしまう人に分かれる。「どぶねずみルック」といわれるグレーのスーツ、シワのいったワイシャツ、汚れてはき古した靴、女性ならば、ウエストにゴムの入ったスカートやズボン、おっさんやおばちゃんになるのは簡単だ。
服装だけではない。おっさんやおばちゃんは言葉や仕草にも表れてしまう。同じ年齢でも、おっさんやおばちゃんと大人の男や女とは大きな差がある。ただし、大人の男や女であったとしても、おっさんやおばちゃんでいることは楽なので、油断するとすぐにおっさんやおばさんになりかねない。それだけ、大人になること、大人でいることは緊張感が必要で、そのための努力をしなければならない。
では大人の男や女とはどのような人のことを言うのか。大人と呼ばれるにはそれなりの経験をもっていることだ。それまでの人生における経験をもとにして、仕事をこなし、実績や地位を築いていることが大人の条件となる。たとえ、失敗をしても、それを次なる段階への糧として生かせているなら充分大人の条件を満たしていると言える。
30代になって、仕事ができる人間になれるか否かは、大人になれているのかおっさんやおばちゃんになっているのかによって決まるのだ。
30代でその後の人生が決まる
20代は体力もまだまだあり、がむしゃらに仕事に打ち込めばいい。20代ならまだ独身の人も多く、背負うものも大きくないだろうから、ただ自分のために仕事をしても許されるだろう。
30代に入れば、ひと通り仕事も覚え、経験や技術も備わってきている。それなりの人脈のある人も多い。これまでは上司の指示に従って仕事をしてきたが、これからは自分の判断で仕事を進めて、なおかつ結果を出し、業績を作らなければならない。それはそれでやりがいもあり、楽しいことなのだ。
40代になってしまうと、場合によっては中間管理職になり、部下を使って仕事をすることになる。仕事が間接的になってしまうので、第一線で仕事ができるのは30代までといってもいい。
30代は「プロ」として生きていくか、「会社人間」になるかを決める時期でもある。リクルートという会社はベンチャー企業のひとつだが、30代での独立起業を社員に勧めてきた。能力のある人は独立を考えてもいいだろう。一方、官僚や銀行員などでは将来が見えてしまう時期でもある。
30代はどの世界に居たとしても、人生の転換点にいると考えていただきたい。
30代は若さに代わる要素で勝負する
30代になるとだんだんと体力が落ちてきて、「20代なら少しくらいの無理がきいたのに」と嘆く人も増えてくる。
ただし、仕事は体力だけで乗り切れるものでもない。それは体力がものをいうスポーツの世界であっても同じことがいえる。ベテランの域に達した選手が、体力ではなく経験などを用いて活躍している例は数多い。
体力に恵まれた欧米のスポーツ選手は、どのような種類のスポーツであってもパワーを重んじるが、体格の小さな日本人選手は、体力におけるマイナス面を補おうとして、より高いレベルの技術の修得や工夫に励む。
失敗を恐れない若さやそれに伴う体力は20代の特権のようなものだが、30代には30代なりの武器がある。それが前述した経験だ。
人を指導するときや相手を説得するときに、自らの経験に基づいた話ほど、力のあるものはない。また、企画力や発想力をつける努力を重ねてもいい。若さや体力に代わるものはいくらでもあるのだ。
出世の意味を考える
「残業よりもデートを優先する」という人が多くなって久しい。「出世」よりも「家庭」を選ぶ人も増えてきている。
日本の高度成長を支えた世代には、生活の中心に会社があったが、現代の20〜40代にそのような考えはあまりない。それはいいことだが、「出世」を望まないのはいかがなものだろうか。
「出世」の意味には、「会社における地位が上がる」というよりも、「世に出て、高い地位につく」であるとか、「世間で名前を知られる存在になる」とかといった意味が強い。 会社での「出世」だけを考えていると、偏狭な考えに陥ってしまい、何より会社は倒産しないものという伝説が崩壊している現代にとっては、リスクの大きい生き方となる。
ただ、「出世」に対する意欲がなければ、仕事力もつかない。今一度、自分にとっての「出世」とは何かを考えていただきたい。
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1946年京都市生まれ。同志社大学卒業後、吉本興業株式会社に入社。8年半、横山やすし・西川きよしのマネージャーを務める。
80年、東京事務所開設のため赴任。漫才ブームを成功させ、多くのタレントを売り出す。
89年、本社制作部長就任。吉本新喜劇再生プロジェクトを指揮しリニューアルを果たす。
92年、取締役制作統括部長就任。以降、吉本興業の全国展開を推進。
97年、常務取締役大阪制作本部長就任。
2002年、吉本興業を退職し、「木村政雄の事務所」を設立する。著書に「こうすれば伸ばせる!人間の賞味期限」(祥伝社)、「笑いの経済学」(集英社)などがある。
■参考書籍
35歳革命
〜仕事のカベにぶつかった時に読む本〜
(大和書房・1400円)
蟹瀬誠一さん
準備ができている人にチャンスは微笑む。常日ごろから個人の能力を磨け!
木村政雄さん
多くのお笑いタレントを育てた名プロデューサーが語る“売れる”ビジネスキャリアの築き方
藤野英人さん
カリスマ・ファンドマネージャーが語る転職者のための伸びる会社伸びない会社の見分け方