木村政雄さんインタビュー その3
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「大人」の仕事力の身につけ方
ひとつ上のポジションでものを考える
社会に出始めたばかりのころならば、まず仕事を覚えることに時間を割かなければならない。しかし、ある程度の年齢になり、現場の仕事に対して責任ある立場になれば、自分から見える範囲の中だけで判断することは避けるべきだ。
できれば、自分よりもひとつ上のポジションでものごとを考えたい。現在、あなたが主任ならば係長、係長ならば課長の立場で仕事をしてみることだ。
自分の仕事だけを見ていると、どうしても視野が狭くなり、仕事も小さくまとまってしまう。また、上司の立場になると、課や部など、あなたが所属している部署全体の利益も考慮するようになる。
上司とよく意見がぶつかる人は、自分がその上司の立場に立ったときのことを想像してみると、上司の意見も理解できるようになるだろう。
そのうえ、将来昇進したときの準備も同時にできることになる。
上司を育て、使いこなす
サラリーマンにとって社内の人間関係は大きな問題だ。とりわけ上司は場合によってやっかいな存在になりかねない。会社帰りに上司の悪口を肴にして酒を飲んでも何ら解決にならない。
そこで上司はライバルと思うことだ。上司に一目を置かせるためにも、上司よりも先に考え、仕事をこなす。ただし、逆に“できる”部下は、上司が嫉妬深い性格ならば疎んじられる。
社内的に手柄は上司のものとすればいい。仕事をほぼ完成させておき、最後の時点で上司の力を借りるのだ。達成感が共有できるし、何より上司も嫌な気はしない。
これにより上司とは適度な距離を保つことができ、上司からの信頼が得られる。加えて、自分自身にも自信がつく。
つまり上司をうまく育てる、そしてコントロールすることだ。会社は基本的に部署単位で仕事を進めていくので、そのリーダーである上司を使うことができれば仕事はやりやすい。しかも、上司はある意味で権力をもっているので、会社の上層部や部外との交渉においてもその力は不可欠となる。
上司に手柄を譲り、普段から大事にしておけば、ここぞというときに味方となってくれるだろう。
「プロ」か「会社人間」か
終身雇用はもはや完全に崩壊したといっても過言でない。そのため転職は常識となりつつある。
サラリーマンとして生き残るためには、自分が会社に属しているのか、業界に属しているのか、それを確認することだ。前者なら「プロ」として生きていくことになり、後者ならば「会社人間」としてサラリーマンを続けることになる。
自分が今の会社でなくても、同じ業界内の会社ならどこでも通用すれば、いや、たとえフリーであっても需要があれば、それは「プロ」として成立するだろう。ところがそうでなければ、「会社人間」として会社に依拠して生活していくしかない。会社には「会社人間」も必要だからだ。
自分の位置がわかれば、業界の動向にも気を配っておきたい。会社に寿命があるように、業界にも栄枯盛衰はつきものだ。IT企業の起業家がマスコミの話題になっているが、アメリカではすでにITバブルは崩壊しており、日本でも「勝ち組」と「負け組」に分かれている。自分が「プロ」としての実力があっても、業界全体が沈滞しては意味がない。 常に業界の動向にも目を向けておくことだ。その際には第三者の客観的な視点が参考になる。そのためにも社内や業界内だけでなく、業界を越えた人脈ももっておきたい。加えて、社会や経済などの動向にも関心をもつことで、新たなビジネスチャンスがつかめるだろう。
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1946年京都市生まれ。同志社大学卒業後、吉本興業株式会社に入社。8年半、横山やすし・西川きよしのマネージャーを務める。
80年、東京事務所開設のため赴任。漫才ブームを成功させ、多くのタレントを売り出す。
89年、本社制作部長就任。吉本新喜劇再生プロジェクトを指揮しリニューアルを果たす。
92年、取締役制作統括部長就任。以降、吉本興業の全国展開を推進。
97年、常務取締役大阪制作本部長就任。
2002年、吉本興業を退職し、「木村政雄の事務所」を設立する。著書に「こうすれば伸ばせる!人間の賞味期限」(祥伝社)、「笑いの経済学」(集英社)などがある。
■参考書籍
35歳革命
〜仕事のカベにぶつかった時に読む本〜
(大和書房・1400円)
蟹瀬誠一さん
準備ができている人にチャンスは微笑む。常日ごろから個人の能力を磨け!
木村政雄さん
多くのお笑いタレントを育てた名プロデューサーが語る“売れる”ビジネスキャリアの築き方
藤野英人さん
カリスマ・ファンドマネージャーが語る転職者のための伸びる会社伸びない会社の見分け方