転職×天職 > 転職ノウハウ・コラム > スペシャルインタビュー 藤野英人さんTOP > 会社訪問でチェックできる伸びる会社の共通点

法則その11
社員同士を「さん」づけで呼び合う会社は○
役職名で呼ぶ会社と「さん」づけで呼ぶ会社では風通しの良さがあきらかに違う。しかし一方で、「さん」づけで呼ぶ会社は厳しいところもある。下剋上が前提になっているからこそ「さん」づけになっている場合があるからだ。下剋上がある人事制度を取っている場合、課長が部長になり、部長が課長になるということが起こりえる。そのようなとき、お互い課長、部長と呼ぶのにはかなりの抵抗感が生じる。「さん」づけならそのような不都合もないというわけだ。「さん」づけで呼ぶ会社は平等でオープンだが、それと裏返しに、競争が激しいということでもあるのだ。しかし、そのような会社は頑張った人には頑張っただけの評価をするということでもあるわけだ。転職者にとっても、長期的に見ればそのような会社のほうが自己の価値を高めることができて幸せだといえるだろう。
法則その12
社長の保有株比率が高い会社は○
株主構成は会社診断の重要なポイントとなる。オーナー社長の保有株比率が高い場合は、経営者の事業に対するモチベーションが高いといえる。しかし、オーナーとその一族の保有株比率が極端に高い場合は別だ。会社を私物化している場合があるからだ。親会社による保有株比率が高い場合も成長はあまり期待できない。反面、従業員や従業員持ち株会の保有株比率が高い場合は成長に期待がもてる。持ち株会の保有株比率がトップ5の中にあれば、社員のモラルもかなり高く成長が期待できることになる。株式が公開されていることが前提になるが、自分の会社の実績があがり、株価が上がると仕事に対するモチベーションもかなり違ってくるからだ。
法則その13
ビジョンや経営理念が社員に浸透している会社は○
会社の経営理念やビジョンが社員に浸透している会社は成長が期待できる。そのような会社では、社員ひとりひとりが自分たちがやるべきことを上から命令されたからではなく、ビジョンや理念に照らして自主的に「考えて」行うからだ。このような組織を「学習組織」と呼ぶ。経営理念やビジョンがどの程度その会社に浸透しているかは、比較的簡単に知ることができる。面接に出てきた、人事の担当者に、「御社の経営理念やビジョンを教えて下さい」と言えば良いのである。その会社にとって、それらのものが存在しても「絵に描いたモチ」である場合、おざなりな返事が返ってくる。場合によっては、人事担当者自身が「掲げてあるだけのもの」と本音を吐露する場合もあるだろう。そのような会社の成長の期待度は極めて低い。
法則その14
複数の価値観を持った人材を抱えている会社は○
これまでの日本の会社は、合意至上主義が尊ばれ、型からはずれた異能社員は排除されてきた。従業員は可能なかぎり同じ思考形態を持ち、同じ発想をするように求められた。右肩上がりに経済が成長する社会では、このように考え方もある程度通用したが、景気が低迷しグローバル化が進む現在では、このような考え方ではたちゆかなくなってきた。複数の価値観をもった人材を抱えていないと、生き残れない時代になったわけである。自分が転職を考える会社がどのような人材観で運営されているかは、その会社の役員構成を知ることによって判断することができる。役員が皆同じ高校や大学出身であったり、同じ苗字の身内の人がたくさんいる場合などはかなり、画一化した人材観を持って会社運営が行われているといって良いだろう。
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1966年、富山県生まれ。

90年早稲田大学法学部卒業後、野村投資顧問(現、野村アセットマネージメント投信)に入社。

96年、ジャーディン フレミング投信・投資顧問に入社。中小型株チームでファンドマネージャーとして活躍、99年12月には2600億円を運用するなど、驚異的な実績を収める。

2000年、ゴールドマン・サックス投信に入社。

2003年8月、レオス・キャピタルワークスを設立、代表取締役社長に就任。著書に「トップファンドマネージャーの明快投資戦略」(ビジネス社)、「スリッパの法則」(PHP)、「金のなる木は清い土で育つ〜清豊の思想〜」(経済界)がある。

■参考書籍
スリッパの法則
〜プロの投資家が教える「伸びる会社・ダメな会社」の見分け方〜
(PHP刊・1300円)

準備ができている人にチャンスは微笑む。常日ごろから個人の能力を磨け!
多くのお笑いタレントを育てた名プロデューサーが語る“売れる”ビジネスキャリアの築き方
カリスマ・ファンドマネージャーが語る転職者のための伸びる会社伸びない会社の見分け方