【 Vol.6 】 自分を中心にタテ・ヨコ・ナナメの関係づくり
アラウンド30世代の皆さま、「俺も随分オトナになったな・・・」と感じること、多いのではないですか?
会社組織においては『若手層』ではなくなり、会社によってはマネージメント層へ本格仲間入り・・・私生活では結婚や、親の現役引退など「社会のなかでもポジショニングが変わってきたな・・・」と、オトナの重みを感じられているのでは?
このコラムは、そんなアラウンド30の皆さまへ贈るキャリアの悩み解決コラムです。
講師の本田勝裕氏は、学生・社会人のキャリア形成、企業の人材採用などのコンサルタントとして活躍中。
組織心理学「FFS理論」と、コーチングの最先端技術である「ソリューションフォーカスドアプローチ」をベースに、アラウンド30世代:オトナのキャリアの悩みを解決します。
社会責務やら、悩みやら、ついこの前まで頭を悩ませていた問題とはちょっと違う「いわゆるおとなの悩み」が出てきはじめたアラウンド30の皆さま・・・「楽スルナカレ、クルタノシモウ」!
まいど〜!
僕は今桜がまだ咲かぬ札幌から、吹雪いて散ってしまった神戸に帰る飛行機の中でござる。
退屈である。
窓の外もただ雲が広がるだけで、退屈。
機内はビジネスマンだらけで、極めて退屈。
いつもは機内サービスのジュースですら、もらい忘れるぐらい熟睡してるのだけど、
昨日たくさん寝たせいか、この原稿の締切りに追われているせいか、
編集担当者の「おいポンタ、テメー原稿まだか!」という幻想があるせいか、寝れない。
寝れない時は、喋りたい。
僕にとって黙って起きているのは、寂しく切なく苦痛そのものである。
黙っているとノドが乾くしな〜。ナンデヤネ〜ン!
てなことで、僕は早速フライトアテンダントさんに声をかける。
来月ソリューションフォーカストアプローチの学会でオランダに行くので、
成田=アムステルダム便に乗っていたというフライトアテンダントさんに、
あれこれと現地のことを伺っていた。
「コーヒーショップと書いてあるところは気をつけてくださいね。麻薬なんかが横行してますから」
「オランダのパスタはぶよぶよしていて美味しくないです。他はなんでも美味しいですよ」
「球根は1人99個まで持ち帰れますので、チューリップの球根をお土産にしてもいいですね」
ってな感じ。
感じのいいオネエサンである。
こうして2時間近いフライトの退屈さから抜け出して、快調に原稿を書いているわけやね。
FFS理論でいうD因子の高い僕にとって、
見知らぬ人に声をかけるのは苦痛ではなく“オタノシミ”。
新しい人間関係を作ることが楽しいからこそ、全国をまわる講師業をしてんねんもん。
あなたは自分の個性を活かした仕事をしていますかな?
仕事に能力を活かせるといいけど、個性も活かせるとエエで〜。
前回の原稿『第5回 自分スタンダードのススメ』では、
FFS理論に基づいて、自分らしい個性を軸に周囲との関係づくりを勧めた。
するとFFS理論のE因子(保全性:順応性や協調性)の高い人は、
なかなか自分から見知らぬ人に声をかける勇気が出にくい。
初対面が苦手な人の多くは、このE因子に起因するわけね。
そういう人にとって見知らぬフライトアテンダントさんに
「声をかけろ」なんて言うと猛烈なプレッシャーになる。
むしろ意に反して異常に無表情なおすましさんを演じてみたり、
「誰も私に近づくでないぞ。問答無用で切り捨てるぞ」ってな怖い顔になりかねん。
そんなことになったら、ますます落ち込んでしまうやろ?
ちなみにこういう初対面の人間関係が苦手な人は、
初対面が得意な人の倍以上、日本に住んでおる。
つまり日本人は、僕と明石家さんまさんを除いて、初対面が苦手なのだ!ガハハ
ではE因子の強い人のいいところと活用方法は何やろう?
ずばり「すでにある人間関係を、改善していく力」があるねん。
ってことは、見知らぬ人との人間関係に注力するよりも、
すでにある人間関係の改善に集中すればいいわけやね。
そして昨日よりも今日、今日よりも明日のための一歩を着実に使っていけばエエんとちゃうかな?
同様にA因子からE因子までの
【イイところ】と、人間関係における【活用方法】を、僕の独断と観察で表にしてみた。
原因子 | イイところ | 活用方法(例) |
---|---|---|
A(凝縮性) | 納得がいけば、完成するまで手を抜かないでやりきる。決して現状に満足しない探求者 | 上司や顧客から与えられた課題にたいして、納得がいくまで調査をして、解決策を自分の価値観で取り組む |
B(受容性) | 人に柔軟に対応するので、誰からも相談を受けやすい。相手のいいところを発見する認める力がある人 | 上司や部下の相談に「OKメッセージ」を伝えながら、柔軟に対応してゆき、情報収集力を上げ課題解決へ向かう |
C(弁別性) | データに基づいて冷静に状況判断をする。感情だけに踊らされない、落ち着きのあるクールな人 混乱している人の課題を冷静に整理し、対応策を練る。さらにその対応策のリスクも考えておく | 混乱している人の課題を冷静に整理し、対応策を練る。さらにその対応策のリスクも考えておく |
D(拡散性) | 新しい事、新しい人間関係に果敢に挑戦する。失敗を学習に置き換えて活動的に挑戦しつづける人 | 既存の考え方ややり方を捨てても、新しくて可能性のあるアイデアや方法を周囲に提案し、自ら試みる |
E(保全性) | 今までやってきたことや人間関係をさらに改善するために準備し、実現可能な方法を考え抜く人 | 今あるチームの知識や経験を十分に確認し、現実的で間違いのない方法で、確実に一歩前進する |
ここに書いた【使える場面(例)】は、企業で仕事をしていれば、必ず出くわすようなこと。
つまり自分の【イイところ】を活かせるところは、必ずあるということやで。
こうやって、自分の【イイところ】を【活用する】場所を作っていく。
すると異動があってもなくても、自分のイイところを活かす方法を身につけるから、
仕事や周囲の人への対応が変わり、自ずと成果を上げやすい。
さらに3次元で自分の人間関係を作っていくことができる。
タテの関係:経営者、上司、先輩、部下、後輩など
ヨコの関係:同期社員、他部署のプロジェクトメンバー、学生時代の友人、仲のいい顧客の担当者など
ナナメの関係:取引先の決裁担当者や新入社員、同業者、事務所の同じフロアの別の会社の人、よく行く居酒屋の店長さんや美容師さんなど
こういった、年齢、立場、社内、社外などでを3次元で受け止める。
さらに能力でも3次元(タテ・ヨコ・ナナメ)の関係を描いてみてもいいかもね。
どうかな?
使えそうかな?
ちなみに件のキャビンアテンダントさんは、Bが高く僕の質問を柔らかく受け止めてくれた。
さらに僕が質問しなくても、あれこれと提案をしてくれたので、Dも高いのだろう。
でも風の影響で揺れる飛行機の機内でニコニコしていたのは、
個性によるものか、能力によるものか、訓練によるものかは、わかりまへんな〜。
いくらなんでもそんなことまでわかると、人生はおもしろないで。
ワカラン、フクザツなことはオモシロイ。
ワカリヤスイ、カンタンなことはツマラナイ。
だから仕事も人間関係もオモシロイ。
てなことで、自分スタンダードで、タテ・ヨコ・ナナメの関係を最適化してみてはどうかな?
それでもアカンときはどうする〜?
次回原稿で提案をしてみよーっと。
それまでは、各々方が実践の現場で試してみられよ。
もちろんご質問はメールで問い合わせてや〜。
ほな、ごきげんさ〜ん♪
あ、神戸空港に着いた〜♪
本田 勝裕
キャリア・コンサルタント。有限会社ポンタオフィス代表取締役。
就職、創業、進学をテーマにしたコンサルタント。1962年生まれ。神戸在住。1985年甲南大学経営学部経営学科卒業。同年、(株)学生援護会に入社し、11年間『an』の編集及び企画業務に携わる。また、学生・OL向けのイベント、セミナーもプロデュース。同社退社後、(株)クリエテ関西(あまから手帖版元)で広告企画部長を経て、1997年1月にキャリア・コンサルタントとして独立。
現在は、企業や学生を対象に講演及び執筆活動を行っている。また、キャリア支援ホームページ「ポンタのキャリアゼミナール」やメーリングリストを主宰。授業・講演実績約506本(90分単位)、コラム執筆約100本、本出版1冊(すべて2009年実績)。社会人、学生がお互いに学びあう学校、ポンタキャリアカレッジも主催。
自分と組織の関係性、コミュニケーション能力、自分マーケティング能力などについてのセミナーが反響をよんでいる。