【 Vol.14 】 自分スタンダード・リーダーシップ論2
＜短期集中＆ＯＫコーチのススメ＞
アラウンド３０世代の皆さま、「俺も随分オトナになったな・・・」と感じること、多いのではないですか？
会社組織においては『若手層』ではなくなり、会社によってはマネージメント層へ本格仲間入り・・・私生活では結婚や、親の現役引退など「社会のなかでもポジショニングが変わってきたな・・・」と、オトナの重みを感じられているのでは？
このコラムは、そんなアラウンド３０の皆さまへ贈るキャリアの悩み解決コラムです。
講師の本田勝裕氏は、学生・社会人のキャリア形成、企業の人材採用などのコンサルタントとして活躍中。
組織心理学「FFS理論」と、コーチングの最先端技術である「ソリューションフォーカスドアプローチ」をベースに、アラウンド３０世代：オトナのキャリアの悩みを解決します。
社会責務やら、悩みやら、ついこの前まで頭を悩ませていた問題とはちょっと違う「いわゆるおとなの悩み」が出てきはじめたアラウンド３０の皆さま・・・「楽スルナカレ、クルタノシモウ」！
まいど。
たとえば部下でこんな不安を言ってきたとしたらどうする？
「私は、ここでやっていけるのでしょうか？将来を考えると不安です」
こういう漠然とした質問というか相談は、上司としてはこんな気分にならんかな？
「しゃきっとせーよー！」
「なにを寝言言うとる。ここは会社やぞ！」
「しっかりせんかい！甘えるな」
それでそのまま「甘えるな」というと、
翌日に会社を休んで、翌々日に辞表をもってくるなんてこともあるやろね。
それはアラサー新米上司としては、望む解決策なのかな？
その部下にとってもどうやろう？
会社にとってはハッピーか？
およそ「個人の否定」というのは、
解決に遠ざかるということを入社以降、いろんな上司から学んできたやろうね？
では他の方法は？
たとえば放任して、「好きにやっちゃって〜」とか。
たとえば無言で、「……」ひたすら沈黙するとか。
たとえば暴言で、「あほ」「ばか」「間抜け」「お前の母ちゃんデベソ」とか。
これでもなにも、解決には向かわない。
つまりこういう愚痴や不安の相談も、解決に向かう必要があるね。
そこでこういう対応はどうやろう？
これは僕が学んでいるコーチングの最先端理論ソリューションフォーカスを使った会話術。
- 部下「私は、ここでやっていけるのでしょうか？将来を考えると不安です」
- 上司「よく相談してくれたねー。まずは君の話を聞かせてくれるかな？」
- 部下「はい。毎月与えられたノルマも達成できませんし、先週は伝票で同じ間違いをしてしまいましたし、彼女には振られるし、食欲ないし、なんで部長が毎月やる飲み会に参加しなければいけないのか意味がわからないし、会社の方針ともずれてきているように思うし。。。なんだかもう、よくわからない状態なんです」
- 上司「いや、むしろよくわかっているねー。まず、それだけ具体的に不安や問題がわかっているというのがすごい。それにそれだけたくさんの不安と問題があるのに、よく頑張ってるよなー」
- 部下「どうしたらいいでしょうか」
- 上司「そうだなー。まず一つずつ解決するために、優先順位を決めようか。君はまずなにから解決したい？今言ったことでもっとも解決をのぞむものはなんだろう」
- 部下「わかりません」
- 上司「それでいいよ。わからないことがわかった。では一番よく考えていることや不安になっていることはなんだろう」
- 部下「事実よく考えているのは、ミスを犯さないかという不安ですね」
- 上司「なるほど、ではその問題から解決に進もうか。ところで時間はどれぐらいあるの」
- 部下「次の訪問が15時ですので、30分ぐらいしかありません」
- 上司「OK。30分あるんだね。僕は20分しかないから、20分間でできることに集中しよう」
さて今回はここまで。
これを読んで読者はどう思ったん？
「標準語で書けるんじゃん」とかと、ちゃうで〜。
中身やでー、内容についての感想ね。
■その１ 「短期集中コーチ」のススメ
「そんなに丁寧にできるか」と思う人もいるやろうね。
「時間がねーよ」ってな人もおるんやろか。
プレイングマネジャーとして働くことが多いアラサーの若手管理職は、
自分の仕事もあるから、なかなか一人の部下のために時間を使えない。
だから20分程度、できることに集中するのでいいのとちゃうやろか。
閑話休題。
僕は実際この原稿を神戸から札幌に向かう機内で書いてる。
昨日までの睡眠時間は4時間、3.5時間、5時間というぐあい。
昨日は神戸と大阪の大学で授業が2本あった。
講演のあいだの移動時間にヨメサンと30分だけカフェでデート。
2本目の講演の後、大阪のウェブデザインの事務所で、
ポンタキャリアカレッジのウェブ制作と運営の打ち合わせ。
そのままウェブ制作の会社のテーブルで仲間と楽しいブタしゃぶを食べた。
帰宅後、講演レジュメを1本仕上げて、寝た。
時間はないのではなく、時間は作るもんや。
そう僕は思ってるから、仕事も遊びも大事にできる。
時間がないと思った瞬間に、焦りと諦めで僕は潰れそうになる。
そんなこと、君にはないやろうか？
「もうダメだ」はジジィになってからでも言えること。
僕はオッサンなのでまだ言わんぞぉ〜！
20分を、部下や後輩と一緒に作るってことは、決して君の時間を奪わない。
むしろ課題共有から、自分の仕事に参考になるアイデアが浮かぶこともある。
反対にお互いに時間があったら解決するやろうか？
たとえば3時間話し合えば全部解決する？
むしろ仕事がたまってしまって「ありゃ〜！もうダメだ」ってなことにならんやろうか？
つまり集中できる短時間のコーチングが重要になるんやで。
僕は相手が社会人でも学生でも相談は長くても30分しかのらない。
それ以上話し合ってると、アイデアもつきるし、
問題点で溢れて突破する出口が見つかりにくくなる。
だからこそ、2,30分でいいねん。
その代わり全力で相手の話を聴いてやるコーチになろうや。
■その２ 「OKコーチ」のススメ
上のセッションでは、一切の否定がない。
肯定表現を抜き出してみるとこうなる。
「よく相談してくれた」「むしろよくわかっているねー」「具体的に不安や問題がわかっているというのがすごい」「たくさんの不安と問題があるのに、よく頑張ってるよなー」「それでいいよ」「なるほど」「OK。30分あるんだね」「できることに集中しよう」（以上100文字）
これを読むだけでも気持ちがよくなれへんか？
反対に否定表現を同程度の字数で書くとこうなるで。
「相談するより仕事しろ」「なにもわかってないんだなー」「問題山積で、解決できるか」「がっかりだ」「どうせやらないんだろう」「どうしようもないよ」「優先順位がわかってないなんてバカかお前は」「なんで30分しかないんだ」「今は時間がない。ムリだ」（以上102文字）
どう、機嫌悪くなっちゃったかな？
これを一日8時間以上、一緒にいる仲間同士で浴びせてると、エライ空気になりますね〜。
ってことは、肯定をしてあげてはどうやろう？
つまりOKメッセージ。
つらい時や厳しい時に、
「一緒に考えよう」というコーチの共感的な言葉や態度は、
人と人をつなぐ。
「よくやったな」というコーチの肯定的な言葉や態度は、
一歩前進する勇気を与える。
つまり解決に向かう。
だから成果が出やすい。
自分と他者、そして組織のWIN-WIN-WIN構造になる。
それは「ＯＫやで」の一言からスタートする。
ただの精神論で書いてるんとちゃうで〜。
プロとして経済的な報酬を得る者として、やらなあかんことは当然やらなあかん。
でも部下や仲間と一緒に考えて、解決に向かうコーチになり、
肯定的な言葉や態度で、心の報酬「OK」も共有しながら、
成果を出しにいくコーチになることは、中間管理職として必須なんや。
OKというメッセージと態度、使ってみぃ〜。
しかも、うまく乗り越えた時のビールがうまいでぇ〜。
鍋と一緒にどうでっか〜？
次回はこの先に進んで、
どういうコーチング技術が、君を育て、部下や後輩を育てるかを書いていこう。
ほな、新米コーチ諸君！ごきげんよ〜♪
| 飛行機から見た八甲田山。寒そうやな〜。 | でもこっちはゴキゲン。ノリノリで原稿書いてるから。 |
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本田 勝裕
キャリア・コンサルタント。有限会社ポンタオフィス代表取締役。
就職、創業、進学をテーマにしたコンサルタント。1962年生まれ。神戸在住。1985年甲南大学経営学部経営学科卒業。同年、（株）学生援護会に入社し、11年間『an』の編集及び企画業務に携わる。また、学生・OL向けのイベント、セミナーもプロデュース。同社退社後、（株）クリエテ関西（あまから手帖版元）で広告企画部長を経て、1997年1月にキャリア・コンサルタントとして独立。
現在は、企業や学生を対象に講演及び執筆活動を行っている。また、キャリア支援ホームページ「ポンタのキャリアゼミナール」やメーリングリストを主宰。授業・講演実績約506本（90分単位）、コラム執筆約100本、本出版1冊（すべて2009年実績）。社会人、学生がお互いに学びあう学校、ポンタキャリアカレッジも主催。
自分と組織の関係性、コミュニケーション能力、自分マーケティング能力などについてのセミナーが反響をよんでいる。
