【 Vol.17 】 自分スタンダード・リーダーシップ論5
<WHYを問うオバカ→HOWを問う未来へ>
アラウンド30世代の皆さま、「俺も随分オトナになったな・・・」と感じること、多いのではないですか?
会社組織においては『若手層』ではなくなり、会社によってはマネージメント層へ本格仲間入り・・・私生活では結婚や、親の現役引退など「社会のなかでもポジショニングが変わってきたな・・・」と、オトナの重みを感じられているのでは?
このコラムは、そんなアラウンド30の皆さまへ贈るキャリアの悩み解決コラムです。
講師の本田勝裕氏は、学生・社会人のキャリア形成、企業の人材採用などのコンサルタントとして活躍中。
組織心理学「FFS理論」と、コーチングの最先端技術である「ソリューションフォーカスドアプローチ」をベースに、アラウンド30世代:オトナのキャリアの悩みを解決します。
社会責務やら、悩みやら、ついこの前まで頭を悩ませていた問題とはちょっと違う「いわゆるおとなの悩み」が出てきはじめたアラウンド30の皆さま・・・「楽スルナカレ、クルタノシモウ」!
まいど。
原稿には時差がある。
たとえば今これを読んでる君は2010年やね。
でもこれを書いてる僕は2009年12月25日やねん。
この日、君はどんな一日を過ごしてた?
そして君はなぜそんな一日を過ごしたん?
僕はまだこれからヨメサンとクリスマスデートやし、今日一日がどうなるんかまだわからん。
時差ないし時間差、それは時々思い出す絶好のチャンスでもある。
僕が原稿を書いた日から、君がこれを読んだ日まで数ヶ月の時差。
それは、自分のすごした時間を思い出す絶好のチャンスでもある。
ではもっと短い時間単位で質問をしてみよう。
君はなんで、この原稿を読もうと思ったん?
たまたま・勝手に右手がマウスをクリックしていた・呪われたように来てしまった・続けて読んでいて今回の更新を知って・原稿が面白いから・ポンタさん大好き・阪神タイガースファンだから・「笑い飯」が好きだから・ジャズが好きだから・ポンタキャリアカレッジに行こうかやめようか迷っているので・自分にOKが出せなくて・自分の将来が不安で・自分のリーダーシップに課題を感じるため・自分の部下との関係に悩んで・自分の上司との関係に悩んで・ヒマだから……
とま〜、いろいろあるやろね。
どれが正解でも、どれが不正解でもなく、【動機】ですな。
この【動機】は、英語でWHYの問いで答えを探していく方法。
ではどんどん次の質問を続けるで〜。
- 君はなぜ(WHY)この会社(辞めた人はその会社)を選んだのか?
- その基準を導いたのはなぜか?
- その基準の素になった基準はなにか?
こうして続けて問われると、答えがどんどん抽象的になっていかないかな?
もちろん過去にも向かうよね?
WHYの質問を続けると、哲学的アプローチになっていくよ。
それは悪いことではないが、
リーダーが目指すのは、哲学ではなく、目標達成とチーム風土の形成やね。
このWHY質問を部下にするのが、オバカ課長。
- 君はなぜ今月の数字がこんなに低いのだ?
- その理由はなぜだ?
- その原因はなぜ生じたのだ?
ま、オバカ課長も理由や原因を追求しても、なんら埒があかないのは知ってる。
でもなぜか、聞いちゃう。
それはね、質問のなかで「なぜ?」がもっとも簡単な質問だから。
普段よく使われ、よく使う言葉だからやろね〜。
さらに感情的オバカ課長はこれを発音する時に「なぜ」の「な」にアクセントをおく。
いっぺん「な」を大きくして、声に出して読んでみ〜。
- 君はなぜ今月の数字がこんなに低いのだ?
- その理由はなぜだ?
- その原因はなぜ生じたのだ?
これだと言われた側(部下)は、説明も純粋な理由も言えなくなるよね。
言えるのはただ「すみません」「がんばったんですが…」程度の、
抽象的な過去の言い訳オンパレード。
特に1.の質問は、「君は」と人を責めてるから、相手は答えにくくなる。
せめて「なぜ今月の数字が低いのか?」のほうがマシである。
つまり「なぜ」を問うときは、
人を攻撃せず、冷静に事実を尋ねるか、
ニコニコやるかのどっちか。
それでもやっぱり、
過去に向かってしまうから、解決には向かいにくい。
課長は部長に、部長は本部長に、本部長は常務に、常務は専務に、専務は社長に、
社長は株主に、こうして言い訳ですり抜けようとするから、事態は好転せず会議は踊る。
これは会議ではなく、生産性の低い時間の集団浪費やね。
つまりオバカ課長は、給料泥棒さんになっちゃうね。
ほな、どうしたら解決に向かうのか?
それは、ASK HOW。
「なぜ」から「どう」への転換。
抽象性を排除し、
現在から未来に向かう質問をすること。
やってみよか〜。
- 君はどうしたら今月の数字を上げられるかな?
- どうしたらそれが可能になる?
- どういう支援が必要か?
これをやると相手の心理は、
具体的な方法と
今日から明日へと向かう。
くれぐれも言うとくけど、営業のノルマでもプログラム開発でもウェブデザインでも、
やるのはその本人であって自分ではない。
自分が言いたいことを言って自分のストレス解消をするために、
部下に「なぜ」を問うオバカにならんようにしてや〜。
とかなんとか立派なことを書いてしまったが、
僕がサラリーマンで営業課長だったときは、完全にオバカ課長だったのだぁ〜!
あの頃、僕の部下はよく僕の暴言を耐えてくれたよな〜。
あの頃、僕の部下はよく黙って聞いてくれたよな〜。
ゴメンネ、F君、H君、Sさん、Mさん、S君、Oさんたち!
新年会に彼らにご馳走でもしてやろうか。
でも多分奴らは言うんやろうな〜。
「いや〜、僕も同じっすよ。やっぱり言っちゃうんですよね〜『なぜ』ってね」
問題は「なぜお前は、なぜを言っちゃうんだぁ〜!」ではなく、
「どうしたら、言わなくなるやろね〜?」と転換することやね。
それも酔いつぶれぬうちに!
ほな、いい年を作りにいくぞぉ〜!
景気がいい悪いは作れんけど、
自分の質問の「なぜ」から「どう」への転換は、できることやから。
- 君はどうしたら、今ある問題が解決に向かうと思う?
- そのためには、どう行動したらいいかな?
- ほかには、どうしたらいいかな〜?
ASK HOWで未来に向かおうよ。
それが一番近道やろ?
ほな、またな。
本田 勝裕
キャリア・コンサルタント。有限会社ポンタオフィス代表取締役。
就職、創業、進学をテーマにしたコンサルタント。1962年生まれ。神戸在住。1985年甲南大学経営学部経営学科卒業。同年、(株)学生援護会に入社し、11年間『an』の編集及び企画業務に携わる。また、学生・OL向けのイベント、セミナーもプロデュース。同社退社後、(株)クリエテ関西(あまから手帖版元)で広告企画部長を経て、1997年1月にキャリア・コンサルタントとして独立。
現在は、企業や学生を対象に講演及び執筆活動を行っている。また、キャリア支援ホームページ「ポンタのキャリアゼミナール」やメーリングリストを主宰。授業・講演実績約506本(90分単位)、コラム執筆約100本、本出版1冊(すべて2009年実績)。社会人、学生がお互いに学びあう学校、ポンタキャリアカレッジも主催。
自分と組織の関係性、コミュニケーション能力、自分マーケティング能力などについてのセミナーが反響をよんでいる。