Off-JTとの違いから研修のやり方まで OJTとは?

あなたは企業の研修や新人教育の際によく使われているOJTという言葉を聞いたことはありますか?

この記事ではそんなOJTの仕組みや対義語のOff-JTの意味、研修に取り入れる際のポイントまで詳しくご紹介します。

OJTとは?Off-JTとの違いも解説

まずはOJTという言葉の意味やメリットなどを解説します。

OJTとは業務を通じて行う教育

OJTとは英語のOn the Job Trainingを省略したもので、現場での業務を通じて行う教育のことです。

新入社員や部下が、上司や先輩と同じ環境で仕事をしながら指導を受けることで、実践的なスキルや知識を効率的に身に付けられます。

例えば「新人看護師が病棟で採血や血圧測定を行う際、実際に患者さんの採血を行いながら、手順を追って指導する」「営業部配属となった新入社員が顧客の訪問に同行したり、先輩社員に指導を受けながら顧客に提案するための資料を作成したりする」などがOJTに当たります。

OJTのメリット

直接仕事に役立つ能力を身に付けられる

OJTを行うことで、直接仕事に役立つ能力を身に付けることができます。

日々の業務には、口頭での説明を聞くだけではなく実際にやってみないとわからない部分が多くあります。それらを体で覚えることができるのが、OJTのメリットです。

学んだことを直接業務に生かせるので、新入社員や未経験者でも短期間で即戦力へと成長する場合もあります。

コミュニケーションが活性化する

職場のコミュニケーションが活性化するのもOJTのメリットです。

OJTの最中にわからない部分が出てきた場合、新入社員や部下はその場で先輩や上司に質問することができるので、しっかりと疑問を解決した上で業務が進められます。

また、新入社員のうちから先輩や上司と活発にコミュニケーションを取ることで信頼関係が生じ、今後の業務で悩みや疑問が出てきたときにも相談しやすい職場環境となります。

OJTの課題と問題点

指導者の技量にばらつきが出る

OJTは、指導者の技量にばらつきが出やすい教育方法です。

特に、指導者が新人や部下の教育を専門としていない上司や先輩社員である場合には、その傾向が強くなります。

仕事を遂行するスキルと、仕事を教えるスキルは別物です。そのため仕事を教えるのが苦手な先輩社員がOJTを行うことで、部下は仕事をうまく身に付けられない上に、先輩社員自身のパフォーマンスも低下するという悪循環が生じる恐れもあります。

それを防ぐためには、指導内容のマニュアルを作成する、指導者向けの講習を行うなどの対策をすることで、指導者の質を一定にする必要があります。

身に付くスキルが部分的なものになりがち

OJTで身につけるスキルや知識は、部分的なものになりがちです。

OJTでは多くの場合、業務の全体像やなぜその業務が発生しているのかなどの背景を十分に理解できません。その理由は、実際に手がけた業務以外の知識やスキルを得る機会がほとんど得られないからです。

また、OJTを行う先輩社員や上司は、日々の業務をこなしながら新入社員や部下を指導しなければならないので、指導内容がその場しのぎのものや汎用性に乏しいものに留まってしまう可能性もあります。

このため、新人教育の計画を練る際は、OJTとは別にOff-JTを行い、基本的な知識や最新の技術を学ぶ場を設ける必要があります。

通常業務以外に行われるOff-JTとそのメリット

Off-JTは英語のOff the Job Trainingを省略したもので、普段の業務にあわせてプラスアルファで行う教育のことです。

外部の専門講師によるセミナー、社内の教育担当者による新入社員研修などがOff-JTに当たります。通信教育や市販のテキストを使用することもあります。

OJTと一緒にOff-JTを行うことで、OJTの短所を補うことができます。

業務の全体像を把握するための知識が身に付く

Off-JTのメリットは、業務の全体像を把握するための知識を身に付けられることです。

業務を行う上で知っておくべき基本的な知識や、これから導入される最新の技能について学ぶことができます。実際に行っていない業務に関する知識・スキルを培うこともできます。

Off-JTを行うことで業務全体の知識を満遍なく学ぶことができるので、能力に偏りが出るのを減らすことができます。

指導者による理解度のばらつきが出にくい

Off-JTは、指導者によって新入社員の理解度が左右されにくいことが特徴です。

OJTと違って教育を専門としている外部講師や担当社員が指導することが多いため、指導者の質が比較的均一だからです。

また、全員が同じ内容の講義を受けたり、マニュアル化された同じ内容のワークショップやグループディスカッションを行ったりすることが多いので、指導者によって内容が異なるということもありません。

OJTで研修・社員教育を受けるときのポイント

実際にOJTを用いた研修を受ける方に向けて、気を付けるべき3つのポイントをご紹介します。

1事前に自己学習する

業務に関することを事前に予習しておくと、同じ説明でも一段と理解しやすくなり、業務内容がより強く記憶に残りやすくなります。

充実した研修を受けるために、できる範囲で自己学習を進めておきましょう。

例えば、必要な専門知識が書かれた参考書や初歩的なビジネス書などを読んだり、実際にオフィスソフトを使う練習をしてみたりすると良いでしょう。わかりにくい専門用語を事前に調べておくのも役に立ちます。

2遠慮せずに質問する

業務を進める上で分からないことがあったら、遠慮せずに質問しましょう。

業務に対する理解を深めることができます。

新入社員は、業務でわからないことがあるのが当たり前です。忙しそうな先輩に質問をするのは遠慮してしまいがちですが、わからないことをそのままにしておくと、後々大きな失敗をしかねません。

質問をすることは新人にとって重要な仕事だと考えましょう。

3こまめな振り返りを行う

OJTを受ける際には、こまめな振り返りが大切です。

1日の業務が終わったら、できるようになったこと、知識があやふやな部分、全くできなかったことを自分なりにまとめてみましょう。あやふやなところや全くできなかったところは、改めて指導者に教えを請い、この機会に苦手を克服しましょう。

なお、自分の仕事ぶりや成長について指導者の意見を聞いてみるとより効果的です。自分よりスキルのある人の意見を聞くことで、自分では気付けなかった長所・短所を教えてもらえます。

有用な意見を取り入れて、今後の学びに生かしましょう。

OJTで社員の指導を行うときのポイント

先輩社員としてOJTで後輩の指導を行う方に向けて、気を付けるべき3つのポイントをご紹介します。

1計画をしっかり立てる

OJTを行う際には、まずはしっかり計画を立てることが重要です。

最低限、以下の内容をリストアップし、OJTの計画書を作りましょう。

OJTの計画書には、OJTの期間・達成すべき目標(身に付けさせるべき知識やスキル)・必要な指導項目、を最低限盛り込みたい。

計画書ができたら、具体的なスケジュールを作ることになります。タスクを詰め込みすぎて達成できなくなってしまうことがないように、余裕を持ったスケジュールを組むのがポイントです。

計画書の内容はOJTを行う社員同士で共有し、指導の内容にばらつきが出ないようにします。

実際にOJTを行ってみて計画通りに進まない場合は、何が原因なのか、解決するにはどうすればいいのかを改めて考えてみましょう。

2こまめなフィードバックを行う

OJTの効率を高めるためには、指導者からのこまめなフィードバックが必要です。

成功した場合には部下をしっかりと褒め、失敗した場合には具体的なアドバイスを行うという意識をOJT担当の先輩社員間で共有しておきましょう。

ここで大切なのは、部下が失敗しても一方的に責めたり感情的に怒鳴ったりしないことです。評価すべき点、指摘するべき点を明確にし、冷静に指導しましょう。感情的になると、部下との信頼関係が損なわれ、今後の指導がうまくいかなくなる恐れがあります。

3指導者もOJTの振り返りをする

研修期間が終わったら、指導者は以下の項目を確認してOJTの振り返りを行います。

  • 無理のない計画が立てられていたか
  • 業務内容を部下にわかるように説明できたか
  • どうしてこの業務が必要なのかまで説明できたか
  • 報告・連絡・相談ができたか
  • 部下の話をよく聞き、言いたいことをしっかりと汲み取れたか
  • 適切なフィードバックができたか
  • 自分に非があった時は素直に認められたか

指導者の立場になってみると、業務内容への理解が深まったり、部下への指示の出し方を学ぶことができたりと、今後の業務に役立つ学びが多くあります。

指導者経験を成長へとつなげられるよう、自分の良かった点と悪かった点を振り返る時間を設けましょう。

まとめ

OJTとは業務を通じて行う教育のことです。直接仕事に役立つ能力を身に付けたり、活発なコミュニケーションを取ったりすることができます。

受ける側・行う側両方の立場になることを想定してコツを把握しておきましょう。

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