その転職待った!嫁ブロックの脅威とは

結婚している男性が転職する際、クリアすべき課題として話題の「嫁ブロック」。「うちは大丈夫」と甘くみていると土壇場で発生することも。

嫁ブロックの実情や発生する理由、そして対策をご紹介します。

嫁ブロックとは?

嫁ブロックとは、夫の転職に妻がストップをかけること

安易な転職を阻止する妻の「嫁ブロック」

「嫁ブロック」とは、転職や起業など、仕事に関係する転機で妻の反対で計画に支障が出たり、最悪の場合は断念せざるを得なくなることです。
最近でこそよく耳にするようになりましたが、元々は人事関係の仕事をしている方やヘッドハンティングをする方が使っていた業界用語でした。

家族を持っている既婚男性の場合、転職すれば収入の変化や引っ越し、勤務時間の変更による生活サイクルの変化など、家族にも影響が出ることが多くなります。そのため、家族の理解と協力は不可欠です。
そんななか、「嫁の反対」に合うと、計画は頓挫してしまいます。嫁ブロックで転職を諦める人もいるほど、嫁ブロックの力は強力なのです。

男性の4割以上が嫁ブロックで内定辞退!?

妻は家庭を守る万里の長城

エン・ジャパンの調査によると、35歳以上の男性のうち、4人に1人は嫁ブロックを経験したことがあるとのこと。
そのうち、嫁ブロックを理由に内定を辞退したことのある人は44%。50代では、およそ半数近くが内定をもらった会社への転職を諦めているようです。
驚くべきことに、内定を辞退した人のうち6割が「辞めておいてよかった」と回答しています。嫁ブロックをする妻の意見に耳を傾け、納得いく内容であれば転職をあきらめる選択も大切なようです。

「うちの奥さんに限って、まさか」と思っている人も多いかもしれませんが、実際に転職活動をしてみると意外な反応が返ってくるかもしれません。嫁ブロックは、けして他人事ではありません。

※参考→エン・ジャパン「嫁ブロック実態調査44%の方が、嫁ブロックを理由に内定を辞退!―『ミドルの転職』ユーザーアンケート集計結果―

専業主婦に多い? 嫁ブロックをする妻のキモチ

妻はオトコの関所

上記のエン・ジャパンの調査では、嫁ブロックの理由は多い順に「年収が下がる」「有給休暇の取得率が低い」「転職先の企業や業界に、あまり良い噂を聞かないから」と並んでいます。
とくに妻が専業主婦の場合は家計が夫の収入のみで成り立っているため、夫の転職は一大事。そのため妻も「家庭を運営する主婦の立場」、そして「夫を心配する妻の立場」から、「生活に変化が出るなら認められない」「その転職先は危ないのでは」と嫁ブロックを発動させてしまいます。

一方、共働きの妻が嫁ブロックを発動させる場合、上記の理由に加えて「今と家庭の運営方法が変わる」ということも大きくなります。たとえば転職で夫の帰りが遅くなる場合、今までとは家事の分担を変える必要があるなどの理由です。
いずれにしろ、妻の気持ちを一度受け止めた上で、建設的な話し合いをしていく必要があります。

嫁ブロックへの唯一の対策は「事前の相談」

妻への根回しで転職を成功させよう

嫁ブロックへの唯一の対策は、転職や起業を考え始めたらすぐに妻に相談しておくことです。
日本の男性には家族に対する責任感が強い人が多く、「自分ひとりで家族を支えなくては」という想いから「転職先が決まってから話そう」と相談を後回しにしてしまいがちです。しかし、それこそが嫁ブロックを発動させる原因となります。
嫁ブロックを行う妻は闇雲に反対しているわけではなく、家族の生活や夫の体調を心配して意見を言っている場合がほとんどです(もちろん例外もあります)。また、転職を決めてから一方的に告げられたのでは生活の変化への準備ができず、ただ反対するしかなくなってしまうことも。

たとえば「そろそろ会社の先行きが危ないかも」「今の職場は人間関係が悪くて仕事がうまく進められない」といった小さな相談からスタートすれば、「そんな状況なら転職するしかないね」と妻も理解を示しやすくなります。
転職先を探す上でも、「給料が上がるなら引っ越しはやむを得ない」「残業が増えても家事分担を変えて乗り切ろう」など、お互いの妥協点を見つけやすくなります。

転職は個人の問題という側面もありますが、家族がいる人は全員にかかわる問題でもあります。突然の嫁ブロックで落胆しないためにも、転職活動を進めながらしっかり妻と相談しておきましょう

嫁ブロックの理由と対策

ここからは、事前に相談せずに転職を決めてしまい、嫁ブロックにあっても絶対に転職したい方に向けて、理由別に説得方法を紹介していきます。

収入面の不安

よーく考えよう、お金は大事だよ

とくに年収が下がる場合は、家庭でのお金の使い方、ひいては生活を変えることを余儀なくされるため、嫁ブロックが発生しがちです。
夫は「年収が下がってでも、やりがいのある仕事をしたい」といった気持ちを持っていても、家計を預かる妻には「理想を追わずに責任を持って家族を養ってほしい」と冷たくあしらわれてしまうことも。

「一旦は年収が下がるけれども、今後の昇給の幅は前の会社よりも大きい」といったメリットを説明したり、飲み会を減らすなど具体的に家計のスリム化に協力する姿勢を見せて説得してみましょう。

引っ越しを伴う転職

引っ越しを伴う転職の場合、交友関係が途切れてしまったり、子供がいる場合は転校させる必要が出るなどの理由で、妻は嫁ブロックを発動させます
とくに専業主婦の妻の場合は、普段買い物する場所を探したり、ご近所づきあいもゼロからスタートさせなければならなくなります。また、もし妻の実家に近い場所に住んでいた場合は育児に協力してくれる人が減るなどの影響も考えられます。

この場合は、引っ越し先での生活がポジティブなものであるイメージを説明したり、最悪は単身赴任の覚悟を見せることも必要になるかもしれません。

会社のネームバリューが低い

会社名にも左右される

現在、名前のよく知られた大企業に勤めている場合、転職先が中小やベンチャー企業など一般的知名度が低い会社に転職しようとした際に嫁ブロックに遭いがちです。
たとえ年収が上がる、管理職になれるなど、ランクアップできる転職であっても、妻は会社名の印象で判断してしまうことも。

「ネームバリューはあっても、業績の先行きに不安がある」「次の会社は成長分野で、成果を出した分だけ評価される制度」といった今の会社の懸念点や次の会社の良さをしっかり説明しましょう。

有給休暇の取得率や福利厚生に不満

有給休暇の取得率が低い、残業が多いなどの会社に転職する場合、夫が「面白い仕事ができそう」と期待していても、妻は「残業が多くて身体を壊すのでは」「家族の時間が取れなくなってしまうのでは」と慎重になりがちです。
とくに業績の安定した大企業からベンチャー企業などへの転職の場合は、休日や福利厚生の仕組みがしっかりしていないことへの懸念もあります。

こういった場合は、まず心配してくれている妻に対して感謝の気持ちを伝えましょう。その上で、仕事内容に対して感じている魅力や評価制度へのチャレンジ精神を伝えます。

子供が生まれて間もない

子供も仕事も大切に

子供が生まれて間もないタイミングの転職は、妻のみならず妻の家族や自分の家族などからも反対されることが多くなります
ただでさえ子供を生んだ直後は生活のリズムなども大きく変化し、家族が協力すべきときです。妻は育児でてんてこ舞いなのに、転職先の新しい環境に馴染むだけでいっぱいいっぱいの夫は協力してくれない、という事態を避けるための嫁ブロックが考えられます。

子供を授かったら、その前後での転職はできるだけ避けることが第一です。その上で「子供もできるし、もっと給料を上げたい」「休みが取れて育児ができる仕事に就きたい」といった妻や子供のことを考えた上での転職であれば、理解してもらえるはずです。

ママ友の旦那さんは大企業なのに!

夫の知らない女の戦い?!

ママ友との力関係に振り回されている妻の場合、夫の企業や職種でマウンティングしあい、「◯◯社勤めの旦那様を持つ奥様」といったことにプライドを感じているケースもあります。
そういった妻にとって、転職は一大事。夫の会社名にブランド価値を見出しており、嫁ブロックを発動させるだけでなく、「夫の転職でアイデンティティを喪失した」とまで思い詰めてしまうケースもあるようです。

夫からすれば迷惑な話かもしれませんが、こういった理由で感情的に反対する妻を正攻法で説得することは難しいです。ママ友との関係がどうなっても自分は妻の味方であることや、夫から見た彼女自身の魅力を話してみると案外落ち着くかもしれません。

転職を諦める選択も時には大切

男は引き際が肝心

嫁ブロックに遭ってしまったとき、場合によっては転職を諦める覚悟も大切です。
妻は長年生活をともにし、自分のことをよく知っている存在です。その人が「辞めておいたほうがいい」と意見をした場合は、たとえば「その企業の経営方針はあなたには合わないのでは」「かつて過労で身体を壊しているから、残業が増える仕事は辞めた方がいい」などそれなりの理由があるものです。

その理由に納得言った場合は、妻に説得されて転職を諦めてしまっても恥ずかしいことではありません。大切なのは、転職する、しないにかかわらず夫婦、家族で納得した選択をすることです。嫁ブロックは、そのチャンスを与えてくれるタイミングと言えるかもしれません。

コラム:「嫁ブロック」と揶揄されたくない奥様へ

嫁ブロックは妻の愛

夫が転職しようとしている人のなかには、「夫の転職を邪魔した鬼嫁」というイメージが付くことを恐れてなかなか夫に意見できないという人もいますが、基本的には嫁ブロックを遠慮する必要はありません
1章でも紹介したエン・ジャパンの調査では、嫁ブロックで内定辞退した人の6割が「辞退してよかった」と回答しています。

転職や起業など、人生の転換点では、目の前に迫るさまざまなものに焦って冷静な判断がつかなくなってしまうことが少なくなりません。そんなとき、夫をよく知る妻の冷静なアドバイスが夫を救うこともあります。また、夫とともに家庭を運営している一員である以上、生活に変化が出るときには話し合いは必須です。

夫が転職を考えている会社があまりにもおかしな条件を提示していたり、「これでは家族が生活できない」といった場合は、愛のある「嫁ブロック」を発動させましょう。もちろん、納得いくチャレンジの場合は夫の背中を押し、支えることも忘れずに。

まとめ

転職を考えている既婚男性は、嫁ブロックの現実を知っておくことが大切です。

  1.  4割の男性が嫁ブロックで内定辞退している
  2. 嫁ブロックを発動させないために、相談しながら転職活動
  3.  嫁ブロックが発動されたら、妻の意見をしっかり聞くこと。諦める選択も時には大切

嫁ブロックをただのおもしろキーワードだと思わず、ぜひ妻の気持ちをしっかりと受け止めてください。