男性・女性の割合から給料格差まで 総合職と一般職の違い
求人票を見ていると「総合職」「一般職」と採用区分が分かれていることがあります。両者にはどのような違いがあるのでしょうか?
それぞれの仕事内容や待遇、適性の違いや就職後に採用された区分を変えることはできるのかなど、気になるポイントを調べてみました。
総合職と一般職の違いとは?
総合職と一般職では仕事内容や待遇が異なります。ここではそれぞれの一般的な違いと公務員の場合の違いについて紹介します。
総合職と一般職の違いは仕事内容と待遇
総合職と一般職の違いには、仕事内容と待遇が挙げられます。
総合職が新しいサービスや仕組みを作り上げる仕事であるのに対し、一般職は総合職のサポートや顧客対応、事務作業がメインの仕事となっています。
さらに給与や勤務地(転勤の有無)、会社によっては研修制度や福利厚生といった待遇も異なります。
例えば、丸紅株式会社における総合職・一般職の雇用条件には以下の表に示すような違いがあります。
総合職は昇進の期待度が高く、大きなプロジェクトを任される
総合職の社員は会社の将来を担っていく人材として、さまざまな経験を積むことを期待されています。
そのため、総合職は係長や課長、部長といった役職への昇進の可能性があり、また大きなプロジェクトや決断力を必要とする仕事を任されることが多いです。さまざまな部署と協力しながら新しいサービスや仕組みを生み出したりすることも役割のひとつとなっています。
入社後は本人の資質や希望に合わせた部署に配属される場合や、新入社員は全員営業からスタートという場合があるようです。
一般職は総合職のサポートがメイン
一般職の業務内容は総合職のサポートがメインであり、定型的な業務をミスなくこなす能力が求められています。
総合職に比べると業務範囲が限られており、リーダークラスまでは昇進できますが、それ以上の役職につくには総合職へのコース変更が必要になることが多いようです。
働き方の面では、勤務地が限定されており、残業が比較的少ない傾向にあります。
ただし、企業によっては一般職と総合職の業務範囲が明確でなかったり、重要性の高い仕事を任される場合も少なくありません。
入社前には、その企業における一般職の仕事内容や働き方を理解することが大切です。
総合職と一般職、男性と女性の採用割合は?
厚生労働省が2015年に発表した「コース別雇用管理制度の実施・指導状況」によると、2014年4月の総合職の採用比率は男性約8割、女性約2割、一般職では男性約2割、女性約8割でした。
しかし、このような現状があるからといって希望する職種を諦める必要はありません。
前述の「コース別雇用管理制度の実施・指導状況」によると、2009年度の総合職の採用比率は男性約9割・女性約1割、一般職の採用比率は男性約1割・女性約9割でした。
その割合は2014年度には総合職で男性約8割・女性約2割、一般職で男性約2割・女性約8割となっており、少しずつですが総合職採用される女性、一般職採用される男性の割合が増えていることがわかります。
この傾向は男女平等の意識が広まるに従って、今後も強まっていくでしょう。
コラム:国家公務員の総合職と一般職の違いは?
国家公務員にも総合職と一般職があり、それぞれの主な違いは仕事と試験内容です。
総合職はいわゆる「キャリア官僚」のことです。政策の企画・立案、法律の制定・改定だけでなく、諸外国の政府と関わる機会も多くなります。
また、一般企業の総合職と同じように、国内外問わず転勤があります。
一方、国家公務員の一般職は配属される省庁や出先機関で仕事内容が大きく異なります。基本的には事務処理だけでなく企画立案された政策を実行・運営するとい役割を担います。
管区内採用となっているので異動があっても管区内にとどまります。
試験内容は、総合職は一次試験(基礎能力試験・専門試験)と二次試験(専門試験・政策論文試験・人物試験)、一般職は教養・専門・論作文・面接試験で構成されています。詳しい情報を知りたい方は、人事院の採用情報を参照してください。
総合職と一般職、どんなタイプが向いている?
総合職と一般職のどちらで働こうかお悩みの方もいるでしょう。それぞれどんなタイプが向いているのでしょうか?
総合職:仕事に打ち込んでキャリアアップしたい人
総合職は昇進への期待度が高いポジションです。そのため、仕事に打ち込んでキャリアアップしたい人におすすめです。
業務内容が限定されていないためにさまざまな経験を積むことができ、一般職より研修なども充実していることもあるため、多様なスキルを身に付けたい人にもぴったりだといえるでしょう。
一般職:プライベートを大事にしたい人
一般職はプライベートを大事にしたい人や、仕事と家庭を両立させたい人に向いています。
基本的には総合職よりも残業が少ないことが多く、勤務地も限定されているからです。
21世紀職業財団が行った調査でも、一般職を選ぶ理由として「残業があまりないなど仕事と生活のバランスがとれるから」「転勤がないから」というものが挙げられています。
※参考:「一般職」女性の意識とコース別雇用管理制度の課題に関する調査研究(2017年度)|公益財団法人21世紀職業財団
かつては、女性は一般職、男性は総合職という考えが根強くありましたが、昨今では、男性の一般職希望者が増えています。
以前に比べて人々の多様性を重視する傾向が出てきた現代では、性別にとらわれず自分に合ったポジションを選択するのも働き方のひとつです。
「総合職⇔一般職」へ働き方を変えられる職種転換制度とは?
入社後、キャリアに対する考え方やライフステージの変化により、働き方を変えたい方もいるでしょう。そんなときは勤め先に職種転換制度がないか調べてみましょう。
職種転換制度とは、一般職から総合職または総合職から一般職に転換できる制度です。
希望する場合は、上司からの推薦を受けたり筆記試験や面接に合格したりすることが必要になります。
まずは現職や志望先に職種転換制度があるかどうかをチェックしてみましょう。
総合職・一般職にまつわるQ&A
最後に、総合職・一般職にまつわる疑問でよくあるものをご紹介します。
一般職から総合職になるのは可能?
前述のように、職種転換制度を利用することで一般職でも総合職になることは可能です。
とはいえすべての企業に制度があるわけではありませんし、制度を利用するには働きぶりをしっかりと評価してもらう必要があります。
また、一般職から他企業の総合職への転職も不可能ではありません。
求人サイトを見てみると学歴不問・未経験OKの総合職の求人は多く存在しています。
しかし募集職種での3年以上の経験や資格が必要だったりと、それ相応のスキルを要する企業も多くありますので、転職の際は募集要項をよく確認するようにしましょう。働きたい分野での専門的な経験を積んだ上で、転職活動に取り組めるとより良いと言えるでしょう。
総合職・一般職は併願可能?
採用活動において、総合職と一般職の両方へ応募が可能な企業が増えてきています。
下記のような大手企業でも併願受験できるようになっており、一般職と総合職のどちらで働くか悩む場合は併願可能な企業を選択してみるのも良いかもしれません。
▼総合職と一般職が併願可能な企業例(2021卒)
- 東京海上日動火災保険(ルールあり)
- ゆうちょ銀行
- JR東日本
※併願できる年とそうでない年があります。
総合職と一般職の両方に応募する際は、面接時に併願理由について聞かれることが多いので、「御社でどうしても働きたいから」ではなく、それぞれのポジションで自分にできることは何かを、根拠を持って説明できるようにしておきましょう。
総合職と一般職以外の仕事とは?
総合職と一般職以外に、専門職・技術職といった職種もあります。
科学的知識を応用した技術的な仕事に携わる職種を技術職、医療・法律・芸術・その他の専門的性質の仕事に従事する職種を専門職といいます。
その職種例は以下の通りです。
専門職:医師・看護師・薬剤師・翻訳者・通訳者・教員・デザイナーなど
技術職:機械技術者、電気技術者、土木技術者、建築技術者、科学技術者、生産技術者、SEなど
専門職や技術職に従事している人は、専門性の高い知識や技術獲得のために専門学校に通った経験があったり、その職種に必要とされる試験に合格していたりする場合がほとんどです。
募集要項にもその分野における基礎的な知識や経験、資格などが応募資格として記されているものが多く、誰でもなれるというわけではありません。
ですが、企業によっては未経験者でも専門職や技術職として歓迎される場合もあり、入社してから研修制度や資格取得支援制度でスキルが磨けるケースも存在します。
「専門職や技術職に興味があるけど、未経験だから無理だろう」とあきらめず、転職サイトやハローワークで求人を探してみてください。
まとめ
総合職と一般職には、働き方や待遇に違いがあり、納得して働くためには両者についてよく知っておくことが大切です。
仕事は人生や暮らしの在り方を左右する重要なものですから、自分に合った働き方を選んでいきましょう。