ベンチャーとの違いも解説 スタートアップとは?転職しても大丈夫?
転職や起業を考えて活動する中で、「スタートアップ」という言葉を目にする機会がよくあります。
スタートアップの意味から、スタートアップ企業で働くことのメリット・デメリット、スタートアップ企業に転職する方法についてご紹介します。
スタートアップとは新しいビジョンを持った新興企業
スタートアップとは、今までにない新しいビジョンを持った新興企業を指す言葉です。
本来の意味は「開始・始動・立ち上げ」ですが、ビジネスにおいては特に「新しさ」「成長」を兼ね備えた企業を意味します。
スタートアップとベンチャーの違い
スタートアップ企業と混同されがちなのが、ベンチャー企業。
その違いはなんでしょうか?
スタートアップとベンチャーに明確な違いはない
実際のところ、スタートアップとベンチャーは区別なく使用されることも多く、厳密に分けられるものではありません。
傾向として、急成長が見込まれる新しいビジネスモデルであることを示したい場合、スタートアップという言葉が使われることが多いようです。
一方、ベンチャー企業は、すでに市場で受け入れられている既存のビジネスモデルを活用し、収益の安定と長期的な成長を目標としている企業を指すこともあります。
スタートアップもベンチャーも中小企業の一種
スタートアップとベンチャーは、ともに経営規模が小さいため、中小企業に含まれます。
ただ、スタートアップは全く新しいビジネスをおこそうとしている企業を指すことが多いため、中小企業が行っているスモールビジネスには当てはまりません。
一方、ベンチャーは既存モデルを元に安定化を目指しているため、スモールビジネスにあてはまると言えるでしょう。スモールビジネスとは小資本・少人数での起業で、なおかつ「事業は既存のものをベースとする」という形態です。
<スタートアップ・ベンチャー企業・中小企業・スモールビジネスの関係図>
スタートアップ企業の例
日本で成功したスタートアップ企業の代表例としては、メルカリとビズリーチが挙げられます。
ともに急成長ぶりとビジネスモデルの新しさがスタートアップだと評価されている理由です。詳しく見ていきましょう。
メルカリ
メルカリは、スマホを利用して誰でも簡単に売り買いができるフリーマーケットアプリ「メルカリ」を開発した企業です。
2013年2月1日に設立され、そこからわずか5年後の2018年6月19日に、東証マザーズに上場。上場当日の終値ベースでの時価総額は7,000億円を超える規模となりました。
このように、成長著しいメルカリの新規性はスマホアプリに特化したフリーマーケットの仕組みを作ったということです。
これまでもYahoo!オークションやラクマなどインターネットを通じて個人間で売買できる仕組みはありましたが、メルカリはスマホで写真を撮って簡単に出品でき、また匿名配送を選択すればお互いの個人情報を明かさずに売買できる場を作り上げました。
このような新しい売買の場を作った新規性と成長の著しさが、メルカリがスタートアップと呼ばれるゆえんでしょう。
ビズリーチ
ビズリーチは、国内外の優良企業や一流ヘッドハンターからのスカウトが届けられるエグゼクティブ向けの会員制転職サービスです。
こちらも成長速度が著しく、2009年4月のサービススタート時にはたったの3人だった社員数は、2018年2月には785人にもなっています。
同社は利用料無料が一般的になっている転職サービスで、あえて利用料を設けるという新しいビジネスモデルで同業他社との差別化を図りました。
ビズリーチの会員は無料で利用するスタンダード会員と有料のプレミアム会員に分かれており、有料の場合、スカウトを受け取ったり秘匿性の高い求人に応募したりすることができます。また、プレミアム会員のなかにも会員ランクがあり、受けられるサービスの内容や月額利用料が異なります。
このように、これまでになかった転職サービスの仕組みを作り上げて急成長を遂げている点がビズリーチのスタートアップとしての特徴です。
スタートアップ企業で働くには
スタートアップ企業で働く前に、スタートアップ企業のメリットやデメリット、そして「どんな転職活動をすればいいのか」を知っておくことが大切です。
メリットは裁量が大きいこと
スタートアップ企業で働くことの最大のメリットは「多くの裁量が与えられる」という点です。
歴史の長い大企業ではある程度仕事のフローが決まっており、個人で決められることは限られていることも。
一方、スタートアップ企業では一人ひとりの裁量が大きく、入社直後から幅広い領域で多くの仕事を任されます。
さらに「より重視すべきニーズをリサーチし、サービスの付加価値を高める」「プロジェクトの効率性を高めるための新しい業務フローを提案する」など、自分から新しい仕事・ビジネスモデルを生み出すこともできます。
このように「裁量権が大きいため、自分の働きが組織の成果・結果に反映されやすい」という点も、スタートアップ企業ならではのやりがいといえるでしょう。
加えて、スタートアップ企業は「急成長すること」が大前提であるため、濃密でスピード感あふれる仕事をこなすことでビジネスマンとして早く成長できる、という点もメリットとして挙げられます。
デメリットは制度・体制の未整備
スタートアップ企業で働くことのデメリットは「組織としての制度や体制が未整備」ということです。
大企業のような充実した福利厚生は望めず、自分たちで制度・体制をゼロから考え、整えていく必要があります。
また、スタートアップ企業が目論見どおり急成長できればスピード昇進・昇給の可能性は高まりますが、逆に「まだ成長の段階にも入っていない」「そもそも目論見通りの成長ができていない」という状況では、どれだけ長時間労働で過酷であっても高収入は得られません。
加えて「実力と結果を重視する」という傾向がきわめて強いので、実力に関わらず一定の間隔できっちり昇給を受けたりボーナスを手にしたりしたいという安定志向の人には不向きといえます。
スタートアップ企業で働きたい人の転職活動のポイント
スタートアップ企業で働きたいなら、まず何よりも「スタートアップ企業の求人情報を見つける」ということが必要になります。
しかし、一般的な求人広告をチェックするだけでは、スタートアップ企業の求人を見つけるのはかなり困難です。
そこでおすすめしたいのが、会員制の転職サービスや転職エージェント。
ただし「会員制の転職サービスや転職エージェントならどこでも良い」というわけではありません。「スタートアップ企業の求人を取り扱っている」ことがもっとも大切ですので、スタートアップ求人特集などを実施した実績があるところを優先的に選ぶのがおすすめです。
具体的には、リクルートエージェントやマイナビエージェント、そして前述のビズリーチなどが挙げられます。
コラム:スタートアップは9割以上で失敗する?
スタートアップの成功率はきわめて低く、アメリカの起業家養成スクール「Yコンビネーター」の創業者、ポール・グレアムは、スタートアップの成功率(最低40億円以上の企業価値がつく確率)はたったの7%だと述べています。
「スタートアップはほとんどの場合失敗する」ということを覚悟しておかなければなりません。
スタートアップの失敗原因としては、以下のような理由が挙げられます。
- 考案したサービスが市場ニーズに合わなかった
- 既存の似たようなサービスと差別化ができなかった
- 経営チームの実力不足による資金不足、資金調達の失敗
逆にいえば、これらの要素を全てクリアできる見込みがある程度立っていないと、そのスタートアップはほぼ確実に失敗するといっても過言ではありません。
スタートアップを立ち上げたい、またはスタートアップへ転職したいと考えている方は、上記の失敗原因を回避できる見込みがあるかどうかをしっかりと見極めることをおすすめします。
まとめ
ビジネスにおけるスタートアップとは、単に起業を指す言葉ではなく「今までにない新しいビジネスモデル」「急成長」といった要素を持つ企業を指します。
急成長を目指せる分、やりがいは大きいですが、その反面で福利厚生などは未整備で、事業の失敗率もきわめて高いというリスクがある点も理解しておきましょう。