意味や特徴を分かりやすく紹介 プロパー社員とは?

プロパー社員とは、実際どんな社員を指すのでしょうか?

この記事では、ビジネスシーンで使われる「プロパー社員」についてわかりやすく解説します。

プロパー社員の意味は状況によって4種類

「プロパー社員」のプロパーは、英語の形容詞properで、「適切な」「本来の」「固有の」という意味があります。

使用される文脈によって意味が変わる単語で、プロパー社員という言葉も以下の4つの意味があります。

(1)中途社員ではない新卒入社の社員

新卒入社時から会社に在籍している社員をプロパー社員と呼ぶことがあります。

この意味でプロパー社員が使われるのは、新卒入社の社員と中途採用で入社した社員を区別する場合です。

新卒入社時から会社に在籍している社員は、「生え抜き社員」と言われることもあります。

(2)契約社員や派遣社員ではない正社員

契約社員や派遣社員、アルバイトではない正社員をプロパー社員と呼ぶケースもあります。

正規雇用の正社員と、非正規雇用の契約社員や派遣社員などを区別する際に用いられます。この場合は正社員であれば、先ほどの(1)と異なり、新卒社員も中途社員もプロパー社員に含まれます。

(3)IT業界では元請け社員

IT業界では、発注元の会社からの仕事を、直接請け負っている会社の社員がプロパー社員といわれます。

下請けや孫請けの会社の社員、関連会社の出向社員と自社社員を区別するために使用されます。

(4)製薬会社ではMRの社員

製薬会社におけるプロパー社員は、医薬情報担当者であるMR(Medical Representatives)を指します。MRは製薬会社から各医療機関に出向いて医薬情報の宣伝や提供を行っている職業です。

この場合のプロパーの語源は、英語のpropaganda(意味:宣伝)です。

プロパー社員の特徴とは?世間知らず?

プロパー社員によく見られる特徴を紹介します。

この章におけるプロパー社員は、「(1)の新卒入社の社員」の意味を前提としています。

プロパー社員の特徴

2016年に行われたアンケート調査によると、中途社員はプロパー社員に次のようなギャップを感じることがあるようです。

  • 何かと融通が利かない
  • 給与体系や昇進・昇格に差がある
  • 保守的でチャレンジをしたがらない
  • 新卒入社組の団結力があるが、人間関係が閉鎖的
  • 伝統・文化の変化を嫌う
  • 愛社精神が強い
  • 経営層との信頼関係がある

※参考→【転職後の環境】転職者が「プロパー社員(新卒入社から在籍)」に感じるギャップとは? | 人材派遣・人材紹介のマンパワーグループ 

プロパー社員は優遇される?

年功序列制がある会社では在籍年数が長ければ長いほど出世や昇進の可能性が高く、勤続年数に応じて給与体制も良くなることが多いため、中途社員からはプロパー社員が優遇されているように見えることが多いようです。

加えて、先ほど特徴で示したような経営層との信頼関係が、より優遇されているように見えることを助長しているのでしょう。

しかし、成果や能力で社員を評価する企業が増えているため、「プロパー社員だから優遇される」ことは減っていくかもしれません。単純に能力の高さで評価される場合は、中途社員の方が出世に有利なこともあります

「プロパー社員は使えない」って本当?

他の会社での勤務経験がある中途社員にとっては、その会社しか知らないプロパー社員は世間知らずに映るかもしれません

中途社員は即戦力として採用される場合が多く、他社で培った知識や経験を生かしてより良い提案をする人もいます。

しかし、プロパー社員は会社の伝統を重んじて新しいやり方に抵抗感を示すことも。その考え方の違いが「プロパー社員は使えない」と中途社員が感じる原因になっています。

同じ会社の一員として、衝突することなくスムーズに仕事を進めるには、「生え抜き」と「中途」といった壁や区切りをつくらず、お互いの経験値や能力を補い合いながら業務を効率化させていくことに目を向けると建設的でしょう。

【事例】プロパー社員×中途社員のトラブル

プロパー社員の特徴を踏まえて、中途社員との間で起こりうるトラブルを、事例を通してわかりやすく説明します。

全国にグループ会社がある大企業に新卒として入社して10年になる社員Aさん。

年功序列であるため、中途として入社した年上の社員Bさんよりも給与が高い。

Bさんは前職で培ったスキルを生かし、業務の効率化を提案しても、Aさんは「会社の従来のやり方にそぐわない」と判断して却下することが多い。そのため、Bさんからは「会社の伝統ばかり気にして、業務の効率化を考えていない」と反感を買うこともあった。

またAさんは、長く会社に勤めており、さまざまな仕事に携わってきたため、会社に貢献しているという意識が強い。どうしたら会社のためになるかを常に優先して考えているほど、愛社精神が強いが、その分中途入社の社員には厳しい面も。

業務の進め方などで度々意見が衝突したり、中途入社の社員とあまり話さないためにチームの雰囲気が悪くなってしまったりしている。

年功序列制による待遇の違いはもちろん、プロパー社員は入社したその会社のやり方しか知らないため、柔軟性がなく視野が狭いと見られることもあります。

また、OpenWork(旧Vorkers)による2014年の調査では、中途入社よりも新卒入社の方が自分の会社への評価が高いという結果があります。初めて入社したその会社に強い愛社精神を持つプロパー社員も多いため、会社を最優先に考えている傾向があります。

このような働き方や立場の違いが原因で、プロパー社員は中途社員や契約社員から不満の矛先を向けられてしまうことがあります。

※参考→「新卒入社」vs「中途入社」 働きやすさギャップに関する調査レポート|OpenWork 働きがい研究所 

まとめ

「プロパー社員」には場合によって4つの意味があります。

よく使われるのは「中途社員ではない新卒入社の社員」の意味で、ときにプロパー社員とそれ以外の社員の間にギャップが生まれることもあります。

プロパー社員とそれ以外の社員で交流する場を設けたり、お互いに協力し合える環境をつくったりすることで両者の摩擦をなくすことができます。立場や経験が違う人同士がサポートし合うことで、お互いのスキルアップにもつながるでしょう。

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