【例文付き】4つの注意点も紹介 転職が多い場合の「職務要約」の書き方

転職回数が多い場合、職務要約はどのようにまとめればいいのでしょうか?

この記事では、転職回数が多い人向けの「職務要約の書き方・例文」「注意点」を紹介します。「転職が多いと不利になる?」といった、よくある疑問にも回答します。

そもそも職務要約とは?何のために書く?

職務要約とは、自分のキャリアや実績をシンプルにまとめる欄のこと。

採用担当者は、職務要約を「応募者が求める人物像に当てはまっているか(活躍できそうか)」を短時間で判断するために確認しています。

応募者が多い場合などは、まず職務要約だけ読んで「この先も読むかどうか」を決めるケースも多いため、実績や強みをわかりやすく伝え、興味を持ってもらうことが重要です。

転職回数が多い場合の、職務要約の役割

転職回数が多く、経験した職種や業界、業務内容がばらけていると、キャリアや強みが伝わりにくくなります

そのため、転職回数が多い場合の職務要約は、「複雑なキャリアを整理して伝える」「複数の企業でどんな強みを得たのかを、わかりやすく伝える」という役割が大きくなる点を意識しましょう。

そのうえで、【転職回数が多い場合の注意点】の章で紹介するように、「応募先にマッチする経験・スキルを伝える」ようにしてください。

〈転職が多い場合の職務要約の例〉

約7年にわたり、一般事務職に従事しています。これまでに3社経験しており、見積書や請求書の作成といった受発注業務をメインに、電話・メールでの問い合わせ対応、備品の管理などを幅広く担当してまいりました。社内業務の効率化などの仕組みづくりにも貢献し、業務効率を〇〇%改善させました。また、現在の文房具メーカーでは、チームリーダーとしてメンバー3名のマネジメントも担当しております。

【例文付き】転職回数が多い場合の、職務要約の書き方

転職回数が多い場合の職務要約の書き方は、2パターンあります。

1つ目は、「1社目では…。2社目では…」と、会社ごとに実績をまとめるパターン。

もうひとつは、「〇〇の業務を2社経験し…」といった形で、共通の業務内容でまとめるパターンです。

それぞれの例文書き方のポイントを紹介するので、確認しましょう。

「会社ごと」にまとめるパターンの例文

経験した会社ごとに担当した業務業務を通じて得た強みをまとめる書き方です。経験を時系列順に伝える書き方なので、シンプルで読みやすい構成になります。

複数社の経験がある人のなかでも、転職回数が少なめの人(目安として3社まで)におすすめの書き方です。

〈「会社ごと」でまとめる例〉

これまで〇〇年間にわたり、営業職に従事しております。1社目の食品メーカーでは、新規顧客への提案営業を担当。入社以来3年間、目標売上を達成し続けたほか、営業成績上位者として社内表彰も受けています。2社目の機械メーカーでは、既存顧客へのルート営業を担当し、売上を対前年比〇〇%で更新し続けています。

〈「会社ごと」でまとめるポイント〉

  • 実績は、シンプルに時系列順に記載する。
  • 応募先にあまり関係ない経歴はシンプルに伝え、応募先に関係ある経歴をくわしく書くなど、情報量の強弱をつけるのがおすすめ。

「共通の業務内容」でまとめるパターンの例文

転職回数が比較的多い(おおよそ4社以上)の場合や、業界・職種をまたいで転職してきた場合は、「共通の業務内容」ごとに経験をまとめる、いわゆるキャリア式で書くのがおすすめです。

1社目の〇〇業界では営業として〇〇力を習得。2社目、3社目、4社目では社内SEとして✕✕力を習得しました」「〇〇業界、✕✕業界、△△業界での勤務経験を通じて、幅広い視野で状況を分析するマーケティングスキルを習得しました」など、業務内容が共通する企業ごとに、得られた実績や強みを伝えましょう。

〈「共通の業務内容」でまとめる例1〉
※1社目とそれ以降で、職種が異なるケース。

これまで8年間にわたり、市場・ユーザーの分析に従事しております。1社目の製造業界では、BtoB営業としてユーザーへのヒアリングやニーズ分析を実施。分析結果に基づいた製品提案を行いました。2社目、3社目、4社目では、マーケターとして異なる業界で市場分析・ユーザー分析・自社サイトへのアクセス分析などを担当。数値データを基に営業戦略やサイトの改修施策の提案を行い、前年比10%の増収を実現するなど、収益の増大に貢献してまいりました。

〈「共通の業務内容」でまとめる例2〉
※職種は同じだが、異なる業界をまたいで経験したケース。

これまで8年間にわたり、〇〇業界、✕✕業界、△△業界でマーケティングを経験しました。リスティング広告の制作やSNS広告の運用のほか、広告施策の提案や、成果分析なども担当。ブランド認知度の向上や、広告経由での商品購入者の増加などの成果につなげてまいりました。また、複数の業界経験を通して、横断的な視野で状況を分析するスキルを習得し、分析精度の向上に活かしております。

〈「共通の業務内容」でまとめるポイント〉

  • まずは、全体を通して「どんな経験があるか」を一文目にわかりやすくまとめる。
  • 「共通の業務内容」のまとまりごとに、「経験した業務」→「実績・強み」の順でアピール内容をまとめる。
  • 応募先にあまり関係ない経歴はシンプルに伝え、応募先に関係ある経歴をくわしく書くなど、情報量の強弱をつけるのがおすすめ。

文字数・文章量の目安は?

職務要約の文字数の目安は、200~300文字前後。行数だと3~4行程度にまとめるのがセオリーです。

簡潔に伝えることが重要な欄なので、長文は避け一文一義(ひとつの文章に、ひとつの情報だけ書く)を意識して文章をまとめましょう。

転職回数が多い場合の注意点

転職回数が多い場合、アピールできる情報も多いことから、まとまりのない文章になってしまいがちです。

「応募先で活躍できそうか」を、採用担当者が短時間で、正しく理解できるように、下記の4つの注意点を意識して職務経歴をまとめましょう。

〈転職回数が多い場合の注意点〉

  1. 「求める人物像」にマッチするスキルや経験を抜粋する
  2. 応募する仕事に関する内容をメインに書く
  3. アピール内容には「一貫性」を持たせる
  4. 経歴の省略はNG。必ずすべて書く

1.「求める人物像」にマッチするスキルや経験を抜粋する

採用担当者に「入社後に活躍できそうだ」と感じてもらうには、大前提として、求人票の「求める人物像(応募要件)」にマッチするスキルや経験を伝えることが重要です。

職務要約の時点で「求める人物像にマッチしている」と感じてもらえなければ、たとえ職務経歴や自己PRを詳細に書いていても、読み進めてもらえません。

そのため、求人票で何が求められているかを意識して、活かせるスキルや経験をピックアップすることを第一に考えましょう。

2.応募する仕事に関する内容をメインに書く

複数の経験を並べて書くとき、経験のなかでも「応募する仕事によりマッチするもの」をくわしく書くなど、情報量に強弱をつけて書くのがおすすめです。

たとえば、営業とエンジニアの経験がある人が、これからエンジニアの募集に応募する場合は、営業経験の記述は一文程度に抑えて、応募する仕事であるエンジニア経験をくわしく書きましょう。採用担当者が「入社後に活躍できそうか」を判断する情報を得やすくなるため、書類選考の通過につながりやすくなります。

3.アピール内容には「一貫性」を持たせる

経歴を単に並べただけでは、採用担当者からは「さまざまな企業を、ただ転々としてきた」「計画性が無い」といったネガティブな印象を持たれてしまいがちです。

こうした悪印象を避けるために、自分の経歴や強みに一貫性を持たせることを意識しましょう。たとえば、営業職と企画職といった別職種の経験も、「相手のニーズを掴む分析力を磨いてきた」という軸で一貫性を持たせることができます。

2で紹介した「求める人物像(応募要件)」にマッチするスキルも意識しつつ、複数の経験をどんな軸でまとめられるかを考えながら、職務要約を作っていきましょう。

4.経歴の省略はNG。必ずすべて書く

文字数を削ったり、転職回数を少なく見せたりするために経歴を省略するのは絶対にNG。経歴詐称と捉えられ、不採用につながるリスクが高まってしまいます。

ひとつひとつの経験をくわしく書く必要はありませんが、「〇〇社経験した」という転職回数は、ありのまま書いてください。

職務要約を作成するための準備・流れ

効果的な職務要約を作成するには、材料集めが最も大切です。事前準備として、下記の3ステップで情報を整理しましょう。

~職務要約を書くための、情報収集の流れ~1 これまでの経験を書き出す|2 応募先との関連性が高そうな経験をピックアップする|3 具体的な実績や、営業成績などの数値を入れる

情報をまとめる際に大切なのが、すべての経験を洗い出すこと。あとから「応募先との関連性が高そうか」という軸で取捨選択するので、最初はとにかく抜け漏れなく洗い出すことを意識して、経験を書き出しましょう。

洗い出した経験のなかから「応募先との関連性が高そうな経験をピックアップ」したら、実績などの数値を付け加えましょう。定量的なデータを加えることで、採用担当者が「どれくらい活躍できそうか」を判断しやすくなり、書類選考の通過にもつながります。

アピールにつながる数値データは職種によって異なりますが、ノルマの達成率や受賞歴、売上、改善効果といったデータをアピールするのが一般的です。

よくある疑問・Q&A

ここからは、職務要約を作成する際のよくある疑問に回答します。

Q.転職が多いと不利になるって本当?

A.ネガティブな印象を抱かれる可能性はあるが、フォローは可能

採用担当者は「入社後に長期的に働いてくれるかどうか」も重要視しており、転職回数が多いと「すぐに辞めてしまうのでは?」という懸念を抱かれやすいと言われています。大手企業など、転職回数で足切りを行っている企業も一定数あるため、選考で不利になる可能性がある点は否めません。

特に、短期間で転職を繰り返している場合、「ストレス耐性が無いのでは」「無計画に転職している」と判断され、選考で不利になるようです。

一方で、転職回数が多くても採用したいと思われる人材もいます。下記の3点を押さえることで採用担当者の不安を払拭し、興味を引けるので、意識して職務要約を作成しましょう。

〈転職回数が多くても採用したいと思われる人材の特徴〉

  • 求める人物像にマッチした経験・スキルがある
  • 意図があって転職を繰り返している
  • 転職によってスキルアップを重ねて、成果を出している

Q.自己PRと職務要約の違いは?

A.職務要約は簡潔さ重視、自己PRは詳細・具体性重視

職務要約は、「これまでの経歴と強みを簡潔にまとめたもの」。一方の自己PRは、「具体的な数字やエピソードを交えて、自分の強みをくわしくアピールするもの」です。

職務要約の場合、経歴を簡潔に伝えることが重視されるため、具体的なエピソードなどは省いて「何をやって・どんな成果を残したか」を伝えることを第一に考えましょう。

Q.書くことがない場合はどうすればいい?

A.あらためて、自己分析や企業研究をしよう

書くことがないと思っていても、実は準備不足なだけで、書けることがあるというケースがほとんどです。

たとえば、シンプルに自分の経験・スキルの洗い出しが不十分で「自分にはアピールできることが無い」と弱気になったり、企業研究不足で「何を伝えればアピールにつながるかわからない」という状況に陥ったりすることは、よくあります。

職務要約を作成するための準備・流れ】の章に沿って自分の経歴を整理したり、求人票の「求める人物像(応募要件)」を読んで「何が求められているか=アピールにつながるか」を確認したりするだけでも職務要約を書きやすくなるので、あらためて振り返ってみましょう。

この記事の執筆者

ライター・編集者

久保田 敦大

株式会社クイック

転職Hacks編集部のライター・編集者。

大手求人メディアにて求人票や転職ノウハウ記事の制作を手掛けたのち、転職Hacks編集部に参画。自身の転職経験を活かした「実践的なノウハウ記事」が強みで、企業研究から入社の手続きまで、転職活動の全体をフォローしている。

転職時に自身も感じていた「わかりにくい!」というモヤモヤを解消すべく、どこよりも分かりやすい記事づくりに日々邁進中。

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