履歴書・面接で使える例文53選 ゼロから作れる「転職の志望動機」
転職で必ず求められる「志望動機」。履歴書でどう書けばよいのか分からない、面接で聞かれたらどう答えよう、と悩む人は少なくありません。
この記事では、志望動機をゼロから作るために押さえておきたいポイントを解説。業界・職種別の例文や、NGパターンも紹介します。
「志望動機」は転職活動で2番目に大事な項目
「志望動機」は転職活動において、2番目に重要な項目と言えます。
1番目に重視されるのは「今までの業務経験やスキル」の部分。企業は、応募者の職務経歴や実績などから「求めているポジションで入社後も活躍してくれそうか」を判断します。
そもそも応募者の業務経験やスキルが求めるレベルに達していなければ、書類選考さえ通過できないケースが大半なので、転職においては最も大事な項目と言えるでしょう。
そして、その次に重視されるのが「志望動機」です。志望動機の内容は、応募者が「自社にマッチした人物なのか」「長く働いてくれそうか」を判断するための材料になります。
業務経験や実績などとは異なり、志望動機では数値化・定量化できない「想い」や「意欲」を伝える必要があります。その内容が響くものであれば、企業に「直接会ってみたい」「もっと話を聞いてみたい」と思ってもらえるため、志望動機は選考を左右する重要な項目と言えるでしょう。
「その企業ならではの理由」はいらない
志望動機で悩む人の多くに共通しているのは、数ある企業の中でなぜその企業に応募したのか=「その企業ならでは」の理由が思いつかないという悩みです。転職活動で初めて出会った企業も多いのに「その会社ならでは」を考えるのは、難易度がかなり高いですよね。
ですが、人事と採用のプロによると、特に書類作成や一次面接などでは「その会社ならではの理由は不要」とのこと。あくまで「こんな業界・企業に転職したいと思い、そこに御社が当てはまりました」といった、選社理由を答えられれば問題ありません。
▼始めの志望動機が「選社理由」で問題ないワケ
とはいえ、役員面接などの転職活動の終盤では「このような点に魅力を感じている御社で、こんな仕事がしたいんです」と明確に言えるようになる必要はあるでしょう。
選考が進んでいく過程で、その会社について理解を深めていく姿勢が大切です。
▼最終面接では志望動機が重要と言われる納得理由
転職の志望動機で整理しておきたい3つのこと
転職活動で企業にちゃんと評価される説得力ある志望動機を作るために、次の3つの整理をしておくことが大切です。
自分だったらどのようなことが言えそうなのか、考えていきましょう。
1)応募先の企業に惹かれた理由
志望動機を作るために整理しておきたいことの1つ目は「応募先の企業に惹かれた理由」。「仕事をする上で、ここが魅力だ」と感じるポイントを挙げていきましょう。
同じ企業に応募する場合でも、魅力に感じているのが「業務内容」という人もいれば、「風土・環境」の人もいるはず。また、それらが一つではなく、複数というケースもあるでしょう。
あなたが「応募してみようかな」「この企業、いいかも」と思ったポイントはどこにありますか? その応募先の企業に惹かれたポイントと理由が「あなたならでは」の志望動機を作る上での大事な材料になります。
〈惹かれたポイントと理由の例〉
惹かれたポイント | 理由 |
業務内容 |
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事業内容 (商品・サービス) |
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企業理念 |
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風土・環境 |
|
2)転職を考えたきっかけ・転職で叶えたいこと
2つ目は「転職を考えたきっかけ」や「転職先で叶えたいこと」です。
「今よりも業務の幅を広げたい」という理由で転職する人もいれば、逆に「もっと専門的なスキルを極めたい」と思う人もいます。今までの業務経験を振り返り、どういった理由で転職しようと考えたのかを洗い出しておきましょう。
「給料が低すぎる」「残業が多すぎる」などが転職のきっかけだという人もいるかもしれませんが、こうしたネガティブな転職理由は、志望動機では触れないのが基本。今までの仕事の幅ややり方などを軸に「なぜ転職したいと考えたのか?」「どういったとところに転職したいと考えたのか?」を振り返りましょう。
実際の志望動機では、この転職を考えたきっかけ・叶えたいことなどを「その会社に惹かれた理由」に紐付けて伝えていきます。これらの具体的なエピソードは、志望した理由に説得力や納得感を持たせる「根拠」になります。
3)入社後に活かせそうな経験・スキル
3つ目は、入社後に「活かせそうな業務経験・スキル」です。
志望動機を通して、転職先でも活かせる経験・スキルがあると伝えられれば、「ウチに入社しても活躍してくれそうだ」と思ってもらうことができるでしょう。
そのためには、応募先企業の業務内容や、そこで求められるスキル・経験への理解が欠かせません。求人票などから「具体的な仕事内容」「必須/歓迎要件」をよく確認しましょう。
未経験職種に応募する場合でも、業務に当たる上で活かせる経験・スキルは必ずあるはず。過去の業務経験から活かせそうなことがないか、考えてみましょう。
▼未経験職種に応募する場合は…
これら3つは「自己PR」を組み立てる際にも使える重要な情報です。
どんな内容をどのような形で盛り込むべきか、下記の記事もあわせてチェックしてください。
志望動機の書き方・伝え方
ここでは、洗い出した情報をもとに、志望動機でどのような内容をどんな順番で伝えるべきかを紹介します。
志望動機の構成・流れ
志望動機は3段構成で伝えるのが基本的なセオリー。具体的な流れは以下のとおりです。
〈志望動機の例〉
- 営業を通してさまざまな年代や立場の人々と関わった経験を活かし、新たなフィールドでより高い営業術を身に付けたいと思い、転職を決意いたしました。
- 現職のカーディーラーでは、お客様との丁寧な関係構築を強みとして、販売担当を5年間経験しました。貴社でもメイン顧客となる経営層の方々とも頻繁にお取引させていただいており、その際に得た会話力や様々な業界に関する知識は、入社後の実務でも生かすことできると考えております。
また、貴社は社内外で勉強会や戦略会議、異業種交流などを行い、様々な方とコミュニケーションを取る場を設けているため、今よりもさらに営業スキルを高められる環境として大変魅力を感じております。 - 自分自身の強みをさらに磨きをかけて、いち早く業界への知識と理解を深め、関わっている一人でも多くの方の笑顔をつくることができるように尽力していく所存です。1日も早く貴社に貢献できるよう頑張ります。(392文字)
まずは「(1)応募した理由(結論)」を端的に説明しましょう。転職を考えたきっかけや志望先に感じた魅力、転職先で叶えたいことなど、結論となるものを簡潔に伝えます。
次に「(2)その背景やエピソード」を続けます。「転職を考えたきっかけ」や「転職先で叶えたいこと」などをもとに、応募した理由(結論)に至った経緯を説明していきます。
志望動機ではここが最も重要です。あなたならではの具体的な内容になるようにしましょう。
そして最後は「(3)入社後の意気込み」で締めます。応募する求人で実際に活かせそうな経験・スキルを踏まえて、どのように活躍していきたいのか伝えましょう。
なお、書類作成や一次面接などの転職の初期段階であれば(3)は無理に入れなくても問題ありません。内容は200~400文字を目安にまとめていきましょう。
※(1)の志望動機の書き出しについてくわしく
※(3)の志望動機の締めくくりについてくわしく
履歴書では欄の8割以上を埋める
履歴書に志望動機を記載する場合は、欄の8割以上を埋めるようにしましょう。欄が小さく書ききれない場合、志望動機欄が大きなフォーマットを選ぶのも一つの手です。
また、志望動機は敬語で書くのが原則。「御社」は口語なので、履歴書では「貴社」と書きましょう。
コラム:面接で志望動機を聞かれたら?履歴書と同じでいい?
面接で志望動機について聞かれた場合も、「(1)応募した理由」→「(2)その背景やエピソード」→「(3)入社後の意気込み」の流れに沿って答えましょう。
話す際は1分程度でまとめましょう。実際の面接は一問一答では終わらないので、まずは概要だけが伝わればOK。深掘りされた質問に対して、詳細を説明すれば問題ありません。
志望動機を書いた履歴書を提出している場合、面接では同じことをそのまま伝えましょう。採用担当者が目を通しているとも限らず、形式的に質問しているケースがあるためです。
▼面接での志望動機についてくわしくは…
~職種・業界別~
マネして使える志望動機の例文53選
ここでは、職種・業界別に「志望動機」の例文を紹介します。
各記事では、志望動機を組み立てるときのポイントを紹介しています。職種・業界別のエピソードや具体例、未経験向けと経験者向けそれぞれの例文も掲載しています。
自分の志望する職種・業界にあわせてチェックしてください。
分類 | 職種 |
営業系 | |
事務系 | |
販売・接客系 | |
製造・技術系 | |
建築・土木・不動産系 | |
インフラ・物流系 | |
IT系 | |
経営・企画系 | |
コンサルティング系 | |
医療・看護・介護系 | |
保育・教育系 |
企業に評価されない、志望動機のNGパターン3つ
ここでは、志望動機のNGパターンを3つ紹介します。やってしまいがちですが、不評を買う可能性があるので、自分の志望動機が当てはまっていないかを確認してください。
NGその1:「給料がいい」「残業が少ない」「休みが多い」
〈NG・その1〉
求人情報より、貴社の平均残業時間は20時間未満と拝見しました。前の会社は残業時間が長かったため、できるだけ残業がないところに転職したいと考え、貴社を志望しました。
採用担当者
残業20時間未満の会社なんて、ウチ以外にもあるのでは?
採用担当者
業務内容は理解している? 仕事へのやる気が感じられない…
志望動機でやってしまいがちなNGの1つ目は、給料や休みといった待遇面に惹かれたと伝えてしまうパターンです。
転職先を選ぶ上ではもちろん「給料の高さ」や「休みの多さ」などの待遇・条件面も大切ですが、そのことを志望動機で直接伝えるのは悪印象につながります。それに「よりよい条件のところがあれば、転職してしまうのでは?」と思われてしまう可能性もあるでしょう。
企業が志望動機を通して知りたいのは、その会社に応募しようと思ったきっかけや理由です。業務内容や展開している事業など、応募先の企業のどんなところに惹かれて応募してみようと思ったのかを伝えましょう。
NGその2:「商品・サービスが好き」「ファンである」
〈NG・その2〉
学生時代から貴社の商品を愛用していました。いつかは業務で携わってみたいと思っていたため、この度応募しました。
採用担当者
憧れで応募しただけ?
採用担当者
業務に活かせる経験やスキルはあるのだろうか…
志望動機でやってしまいがちなNGの2つ目は、応募企業が扱う商品やサービスが好きと伝えてしまうこと。消費者向けの商材を扱う企業に応募するときにありがちなパターンです。
BtoCの企業に応募する場合、消費者としてその社名を聞いたことがあったというケースが多いはず。ですが、志望動機が「その商品が好きだ」という消費者目線の感想にとどまってしまうと、企業は業務を通して会社に貢献できそうな人物なのかを判断できません。
まずは、数あるBtoCの企業のなかでも、なぜその会社に応募したいと思ったのか、その理由を深掘りして考えてみましょう。また、実際に活かせそうな経験・スキルを伝えられれば、入社後の活躍イメージも湧きます。
NGその3:「貴社で学びたい」
〈NG・その3〉
〇〇の領域については全くの素人で、活かせる業務経験やスキルもないため、貴社に入社することで学ばせていただきたいと考えています。
採用担当者
イチから教えないといけない? それは大変だな…
採用担当者
自ら学ぼうとするつもりはないのかな…
志望動機でやってしまいがちなNGの3つ目は「貴社で学ばせてほしい」と伝えてしまうパターン。
一見、勉強熱心さや謙虚な姿勢を伝えられそうな表現ですが、特に即戦力が求められる中途採用では「自ら貢献していく意欲が感じられない」「会社任せで受け身のスタンスだ」と思われてしまいます。志望動機では、前職のどのような経験・スキルを活かせそうなのかを伝えるようにしましょう。
とはいえ、未経験で応募する場合は「学んでいきたい」という表現が必ずしも悪い訳ではありません。逆に、業務経験がないのにも関わらず「必ず成功させる」などと言い切ると、実力を過信している、信用できない、などと思われてしまうので注意しましょう。
それでも志望動機が書けない・思いつかない場合は…
ここまでの解説を読んでも「志望動機が書けない」「書くべきエピソードが思いつかない」という人に向けて、今すぐできるアクションを3つ紹介します。
思考を整理するためにノートに書き出したり、スマホのメモなどにまとめたりするのも有効です。さっそく始めてみましょう。
今の職場への不満を書き出す
志望動機が書けないときは、今の職場への不満を書き出してみましょう。
今の会社に抱えている不満は「転職先に求めたいこと」と表裏一体です。まずはありのままに今の職場への不満を書き出してみてください。
次に、書き出したことを「次は〇〇したい」「〇〇できるところがよい」など、前向きな表現に言い換えてみましょう。それらが応募先の企業に惹かれた理由そのものになります。
今の職場への不満 |
⇔転職先に求めたいこと ≒応募先の企業に惹かれた理由 |
---|---|
携われる業務の幅が狭い |
…など |
担当業務が広すぎる・多すぎる |
…など |
個人での動きが強い |
…など |
給料が少ない |
…など |
今の職場への不満=転職したいと思ったきっかけ・理由は一つだけではないはず。
不満をすべて書き出し、その中でもどの点が応募先の企業で解消できると思ったのかを言葉にできれば、それが志望動機で伝えるべき「応募する理由」になるでしょう。
業務経験を短期間に区切って振り返る
志望動機が書けないときは、過去の業務経験を短期間に区切って振り返ることも大切です。
社会人経験が長くなれば、過去の業務経験は思い出しにくくなるもの。あえて3カ月や半年単位など、期間を短く区切って取り組んだ業務を思い出してみましょう。応募先の企業でどんな経験・スキルが活かせそうか、改めて考えるヒントになります。
このとき「自身の感情」もあわせて思い出してみるのがおすすめ。「こんなときにワクワクした」、逆に「この業務のときは大変だった」といったイメージです。
過去の業務をそのときの感情と一緒に振り返ることで、「自分はこういう仕事が好きなのか」「自分はこういう時に力を発揮できる」と、自分の仕事への考え方や価値観などが整理されます。それらは、志望動機で「思い」や「意欲」などを伝えるときの材料になるでしょう。
▼振り返り方に悩んだら…
応募企業の情報を読み込む
応募企業の情報をもう一度しっかりと読み込むことも、志望動機が書けないときに有効な手段です。
志望動機が書けない原因の一つに、業界分析や企業分析の不足があります。応募企業への理解が足りない状態で志望動機を書こうとしても、表面的になりがちで説得力にかけてしまいます。
改めて求人情報や採用ページ、企業HPなどを読み込んでみましょう。応募企業が大切にしている考え・価値観は、文章やキーワードとして繰り返し出てきているはずです。
応募企業の情報を見るときのポイントは?
応募企業の情報は、所属する「業界」と「企業」そのものの2つの観点から見ていくのがおすすめ。志望動機でもこの2点を軸に「この業界に興味を持った理由は〇〇だ。この業界のなかでも貴社は△△だと思っている」と触れられたら、納得感を持ってもらえるでしょう。
下記の記事は、2つの観点のくわしい考え方を解説しています。企業を深く理解するために見るべき情報源も紹介しているので、ぜひチェックしてください。
上記の3つのアクションを取ってもなお「志望動機が書けない」「思いつかない」という場合は、下記の記事もあわせてチェックしてみましょう。志望動機を整理する方法を3つのステップで紹介しています。
「志望動機」と「自己PR」は転職者の悩み2大テーマ
転職活動の初期段階では、多くの方が「志望動機」と「自己PR」で悩んでいます。
ですが、頭を悩ませやすいテーマだからこそ、転職の目的や現在の自分の経験・スキルを整理・言語化し、文章や言葉に落とし込んでいくことがとても大切です。「自己PR」も合否を左右する重要な項目の一つなので、しっかりと準備していきましょう。
下記の記事では、自己PRの組み立て方や例文を解説しています。そもそも企業が自己PRから何を確認しようとしているかも解説しているので、あわせてチェックしてください。
この記事の執筆者
ライター・編集者
柴田 栞
株式会社クイック
転職Hacks編集部のライター・編集者。履歴書の書き方などの転職に役立つノウハウや、キャリアに関する記事を多数執筆。
同世代の働き方や生き方に「寄り添い、共に悩み、考える」ことをモットーに、読者が「自分らしく」活躍できる仕事や職場を見つけられる助けとなることを目指して活動中。