例文つき 履歴書でのスポーツ経験の書き方
必死に打ち込んできたスポーツ活動。履歴書となるとどう書けばアピールになるのかわからないなんてことはありませんか。
この記事では、履歴書でのスポーツ経験の伝え方を例文付きでお教えします。
履歴書のスポーツ経験から見られていること
スポーツ経験による自己PRは、エピソードを通じて自らの強みや自主性を伝えやすく効果的です。また、採用担当者に「社会に出ても耐え抜いていけそう」「ちょっとしたことではへこたれないだろう」と思ってもらいやすい傾向があります。
魅力的な自己PRを書くために、採用担当者が注目している部分を理解しましょう。
採用担当者が履歴書で注目している2つのポイント
強みや長所
採用担当者がスポーツ経験を通して見ているのはあなたの強みや長所です。
「全国大会出場」や「個人種目〇〇位入賞」といった経験や実績そのものではなく、その活動を通してどんなことを学び身につけたのか、どんな能力を発揮したのかに注目しています。
自主性
もうひとつ採用担当者がスポーツ経験から見ているのが、自主性です。
率先して自主的に行った活動や経験をアピールすることで、能動的に仕事を行える人という印象を与えることができます。逆に、「指示されたからこなしただけ」といった活動では、仕事でも自分から進んで行動できない消極的な人だと判断されてしまいます。
採用担当者に刺さるエピソードの選び方
自分自身の強みや長所、自主性をアピールするには、結果ではなくプロセスをしっかり語れるエピソードを選びましょう。「目標達成のために○○した」「レギュラーを獲得するために△△した」というプロセスには、あなたの人柄が現れます。
2018年にリクルートキャリアが発表したアンケートによると、企業が採用で重視する項目の1位は「人柄」(92.1%)。これに対し、学生側はわずか36.0%しか意識的にアピールしていませんでした。学生側は「アルバイト経験」(44.4%)、「所属クラブ・サークル」(32.6%)と、活動そのものをアピールしてしまっています。
採用担当者が最も知りたいのは、活動内容ではなく、プロセスを通してわかるあなたの人柄です。活動の中でどんな課題を見つけ、解決のためにどんな行動をし、結果どうなったかというプロセスを詳細に話すことができれば、採用担当者は、入社後にあなたが活躍する姿を想像しやすくなります。
履歴書の「自己PR」欄への書き方
スポーツ経験を通して強みや長所を最大限アピールするのにうってつけなのが「自己PR」欄です。
履歴書の中でも必ず読まれる部分なので、文章の組み立て方と表現にはとくに気を配りましょう。
自己PRを組み立てる際に意識すべきポイント
文章を組み立てる際は以下のポイントを意識しましょう。
(1)打ち出したい強みや長所
(2)状況
(3)発見した課題(挫折や失敗)
(4)課題解決のために行ったこと
(5)結果
(6)仕事にどう活かすことができるか
(1)~(6)に当てはめて考えてみると、簡単に自己PRが完成します。
例文
私は「勝てる分野を探しそのために努力を惜しまない」という点では誰にも負けません。
中学・高校で野球部のキャプテンを務めた私の初めての挫折経験は、大学1年の夏でした。同期が試合に出る中、私はスタメンに選ばれませんでした。これは、高校時代と同じ練習で満足していた結果だと受けとめ、自主練習として毎日50m短距離走10本をルーティンにし、記録をつけ続けました。
結果、1.2秒タイムを縮めたことが評価されレフトのポジションでスタメン入りを果たし、2年春夏リーグでの優勝に貢献することができました。
これからもなにか壁にぶつかった時、勝てる分野を見つけ出しそこでナンバー1になるために努力を惜しまず進んでいきます。
(300文字)
自己PRをワンランクアップさせる5つのテクニック
アピールポイントは最初に一言で表す
自己PR 欄の最初に、打ち出したい強みや長所を一言で書きましょう。
「忍耐力」「チャレンジ精神」「柔軟性」「協調性」「企画力」「提案力」など、自分にキャッチコピーをつけるつもりで書くといいでしょう。上の例文のように、興味を引くような少しひねった表現も◎。ただし、わかりやすさを意識することを忘れないように。
端的な文章を心がける
文章は長くならないように一文65文字程度を目安に書きましょう。一文が長くなってしまうと主語と述語の関係が曖昧になり、伝わりづらい文章になってしまいます。
また、履歴書では文末に体言止めを使わないのが一般的です。文末は「です・ます」調か「だ・である」調のどちらかに揃えましょう。
副詞を多用しない
「すごい」「とても」「ちゃんと」「しっかり」といった副詞はなるべく使わないようにしましょう。尺度が曖昧な副詞を使うと抽象的で分かりづらい文章になってしまいます。例えば、「毎日ちゃんと体力づくりを行い」ではなく「毎晩5kmのランニングで体力づくりに励み」といったように、内容は具体的に書くようにしましょう。
数字で説明してみる
「昨年は7位でしたが今年は1位に」「100人を超える団体のリーダー」など、数字を使うとエピソードがより具体的になります。しかし、わざわざ出すほどでもないときは無理に出すことはやめましょう。中途半端なアピールは採用担当者に刺さりません。
丁寧な記入を心がける
基本的なことですが、履歴書を手書きする場合は読む人のことを考えて丁寧に書くようにしましょう。乱雑な文字は採用担当者に「うちの会社への志望度が低いのかもしれないな…」と思われてしまう可能性も。ぱっと見の印象が悪いと、応募者が多い場合の足切りに使われることもあるようです。
アピールポイント別例文3選
ここでは履歴書の自己PR欄にスポーツ経験を書く場合の例文を、アピールポイント別に3つ紹介します。
アピールポイント「行動力」「企画力」
部活動やサークル活動でリーダーを務めたり、課題に対して今までにない解決策を考えたりした人、自分の行動によってチームに変化をもたらした経験のある人は「企画力」「行動力」をアピールしましょう。
新しいことにも果敢に挑戦していくという印象を与えることができ、社会に出ても主体的に行動できる人物だと評価してもらえます。
例文
私の強みは「行動力」です。
12年間バスケットボール一筋の経験を生かして、小学生にバスケの指導をするアルバイトをしていました。子供達は学校が異なるため仲良くなるのにも少し時間がかかり、コート内で声が出ていないせいでチームワークが悪いという課題がありました。私は名前を呼びあうことによってコミュニケーションを増やせると考え、20人分の名札を手作りし配りました。
また、互いの名前を覚えるためのゲームを独自に考え毎回の講習も前に行いました。結果、名前を呼びあうことによってコートに声が広がり、チームワークが良くなっていきました。
目的を持って企画・行動できる力は御社に入社しても活かすことのできる私の強みです。
(300文字)
アピールポイント「サポート力」「柔軟性」
副部長や副キャプテンといったリーダーの補佐的な立場にいた人や、チームのフォローに回ることが多かった人は「サポート力」「柔軟性」をアピールするといいでしょう。
仕事においてもサポートやフォローする力は必要ですし、縁の下の力持ちとして評価されやすくなります。
例文
私の強みは登山部での経験から得た「的確なサポート力」です。
3年間所属していた登山部において副部長を務めていました。主な役目はルート調査でしたが、私は口下手な部長が部員に想いを伝えやすくなるよう、部長との密なコミュニケーションを心がけました。
また、部員26名に対しては事前のセルフマネジメント講習会を開き、メンバーの体調管理に徹しました。8月に八ヶ岳に登った際は、頂上を目指して先頭を歩く部長に代わって私はメンバーに声をかけ続けました。休憩時間には部員それぞれの体調の確認を行いながら、部員全員が万全の状態で山頂にたどり着くことができました。
このサポート力を御社の管理部門で生かしていきたいです。
(297文字)
アピールポイント「共感性」「協調性」「傾聴力」
チーム全体のことを考えて行動したレクリエーション・渉外担当や、相談に乗ったりアドバイスしたりすることが多かった人は「共感性」「協調性」「傾聴力」をアピールするといいでしょう。
状況を敏感に察知し、周囲のために行動できる人だという印象を与えることができます。
私は、相手の立場になって考え行動することができます。
所属していたテニスサークルで、学年や性別に関係なく活動ができるように「月1回のレクリエーション」を企画しました。これは私が大学1年の時、先輩との距離感があることが不満だった経験から行いました。具体的な活動は、月に1回部員全員でランチをする会や小旅行に出かけるイベントです。
その結果、親密さはプレーにも表れ、連盟の団体戦では3位入賞を果たしました。個人的には、「最近後輩(先輩)といるのが楽しい」と6名から声をかけてもらえました。
このように、相手の立場になって考え行動する私の力は、御社でのマーケティングの仕事に活かすことができると考えています。
(298文字)
「スポーツ・部活動・文化活動」欄に書くときは?
自己PR欄よりも見られる優先度は低くなりますが、「スポーツ・部活動・文化活動」欄もスポーツ経験をアピールできる欄です。
枠の大きさが限られているので、書く際は少し工夫が必要になります。
見せ方の工夫をしよう
「スポーツ・部活動・文化活動」欄は、自己PR欄とは異なり書く文章量が限られます。カッコやコロンを使うとわかりやすくアピールできます。
例えば、
・柔道(小学生のときから15年続け、中学校3年次に全国2位になりました)
・高校生向け学習塾のボランティア活動
バスケットボール:
大学3年間、決定的なシュートは絶対に外せないセンターというポジションを続けてきた経験から、プレッシャーに打ち勝つ強い心を身につけました。
毎週土曜2時間、自主練習を行っていたようにひとりでコツコツ努力することも得意です。
といったような書き方ができます。
必ずしも「スポーツ」「部活動」「文化活動」のすべてを網羅しなくても構いません。
ただし、欄の9割前後は埋めるようにしましょう。
スポーツ経験のない人は記入する項目のない履歴書を
「スポーツ・部活動・文化活動」欄に書けるスポーツの経験がない人は、文化活動(音楽や絵画)やボランティア活動などを記入すれば問題はありません。スポーツについて書くことがなければ無理に書かず、スポーツについての記入欄がない履歴書を購入するのも1つの案です。
「趣味・特技」欄へ書くときのコツ
「趣味・特技」欄は、自己PR とは異なり、採用担当者が応募者の人となりを知るためのものです。
好きな理由がしっかりしていれば経験値は関係ない
「趣味・特技」欄に書くスポーツの内容は、好きな理由がはっきりとしていれば経験を問われることはありません。しかし、面接前のアイスブレイクに使われることもあるので、自分が全く興味のない内容は書かないようにしましょう。競技名だけではなく、期間や得意技など一歩踏み込んだ内容まで書くことができれば話はより広がるでしょう。
ウォーキングや筋トレもOK
ウォーキングや筋トレなどもスポーツとして書いてかまいません。
ひとりで打ち込むようなものを選ぶ人は、コツコツと頑張る努力家だと思ってもらえる可能性があります。ただし、嘘を書くのはNGです。
スポーツ観戦はOK?
「趣味・特技」欄であれば、スポーツ観戦を書いてもOK。ただ、競技やチームによっては好みが大きく分かれる可能性があるので注意が必要です。例えば、面接官が自分とライバル関係であるチームのファンだとしたら、その後の面接が気まずくなってしまうかもしれません。
また、スポーツ観戦はあくまでも「観戦」ですので、自分が行っていたスポーツ活動と称して書くことはできません。
まとめ
スポーツ経験について書く際は、以下の点に注意しましょう。
- 「自己PR」欄では、活動内容や結果よりもプロセスをしっかりと見せることを意識して、構成に気を配りましょう。
- 「スポーツ・部活動・文化活動」欄では、記号を使うなど書き方には工夫を。必ずしもすべての内容を網羅して書かなくても構いません。
- 「趣味・特技」欄では、スポーツに自信がなくても理由がしっかりしていればOK。スポーツとして書くことがないと思っても少し視野を広げてみましょう。