A4ノート2ページで完全攻略 すぐできる!企業研究のやり方

企業研究というコトバは知っていても、「具体的に、何を調べればいいの?」「結局、どう分析するかわからない」と思ったことはありませんか?

この記事では、年間300社以上の企業を研究し、広告を制作しているコピーライターが、特製の【企業研究チェックシート】をつかった企業研究のやり方をレクチャーします。

【企業研究チェックシート】を使えば、「なぜ弊社を選んだのですか?」という面接の定番質問にも、自信を持って答えられるようになりますよ。

「A4用紙2枚」でまとめる、企業研究のやり方

企業研究は「志望動機」の材料あつめ

企業研究とは、就職・転職先となる企業に関する、情報収集・分析作業のこと。企業の特徴や社風を理解し、納得して入社するために欠かせない作業です。

同時に、履歴書・面接で避けて通れない「志望動機づくり」の下準備でもあります。

志望動機づくりで大切なのは、「なぜ弊社を選んだのですか?」という質問に答えられるだけの「理由」を明確にすること。ポイントを押さえて企業研究をしておけば、効率よく志望動機づくりに必要な情報を集められます。

必要な情報は「A4用紙2枚」ぶん

企業研究のポイントは「同じ項目で、企業同士を比較すること」。

そこで今回、A4用紙2枚ぶん・15項目でまとめる【企業研究チェックシート】をご用意しました。のべ数千社ぶんの企業研究ノウハウをもとに、実際に使える情報だけをまとめたシートになっています。

15項目でまとめる【企業チェックシート】の1枚目です。1枚目では、「設立年」「資本金」「売上高」「従業員数」「本社・事業所の所在地」「グループ企業」「株式公開・上場」「主要取引先」「離職率」の、計9項目を記入します。企業HPや検索エンジンを活用しながら記入しましょう。

15項目でまとめる【企業チェックシート】の2枚目です。2枚目では、企業HPの事業内容や経営理念を見ながら内容をまとめます。「商品・サービス」「顧客の種類」「その企業の独自性」「その会社・事業に価値を感じるか」「今後の事業展開」「その企業が大切にしていること」など、志望動機づくりに役立つ情報の記入がメインです。

▼PCなど、画面上で記入したい方向け

▼印刷して使いたい方向け

新卒・中途採用、応募先の業界を問わず、項目は共通です。次の章でチェックシートの内容や記入・分析の方法を確認しながら、情報を集めてみましょう。

チェック&コピペで作る「チェックシート」

チェックシートを使った企業研究は、4STEPで進めます。この章でシートの内容・記入方法を確認しながら、実際に企業研究をスタートしてみましょう。

▼STEP 1:チェックシートを使って、必要な情報を集める

▼STEP 2:複数企業のシートを見比べて、企業の特徴を洗い出す

▼STEP 3:「企業のタイプ」を分析して、志望動機でアピールすべき内容を決める

▼STEP 4:アピールすべき内容を反映して、志望動機をつくる

2枚のシートで、効率的に企業研究

【企業研究チェックシート】は、「シート1:企業情報編」と「シート2:事業内容・理念編」の2枚1組です。

「シート1:企業情報編」は、企業の安定性や規模といった、スペックの比較を行うためのもの。設立からの歴史や売上高といった情報を調べ、記入します。

チェックシートの1枚目、「企業情報編」の画像です。安定性・規模といったスペックの比較に使います。

「シート2:事業内容・理念編」は、自分と企業とのマッチングや、特徴の洗い出しに使うもの。企業HPに掲載されている事業内容・企業理念などからキーワードを拾うことで、企業の特徴をつかんでいきます。

チェックシートの2枚目、「事業内容・理念編」の画像です。自分と企業とのマッチングや、特徴の洗い出しに使います。

どちらも記入するのがベストですが、時間が無い場合は2枚目の「事業内容・理念」から書き始めるといいでしょう。記入したらノートに貼り付けたり、バインダーに綴じたりして、他の企業と比べられるようにしておくのがおすすめです。

また、プラスαで、応募先の絞り込みに使える「待遇・選考編」のシートも用意してあります。給料や休日数など、働き方の要素で企業を比べたいとき、補助的に使ってみてください。

チェックシートの番外編、「待遇・選考編」の画像です。給料や休日数など、働き方の要素をまとめるときに使います。

15項目の「埋め方」と「分析方法」

チェックシートの項目は、下記の15種類です。すべて記入するのが理想的ですが、まずは可能な限り埋めるというスタンスでOK。「5分探してダメなら、項目をスキップする」という感覚で記入していきましょう。

【シート1】企業情報

【1】設立(創立)年
【2】資本金
【3】売上高
【4】従業員数
【5】本社・事業所の所在地
【6】グループ企業
【7】株式公開・上場
【8】主要取引先
【9】離職率

【シート2】事業内容・理念

【10】商品・サービスは?
【11】顧客は?
【12】独自性(≒企業の特徴)は?
【13】価値を感じられるか?(やりがい・意義・面白さはある?)
【14】今後の事業展開(新規事業/注力分野)は?
【15】その企業が大切にしていることは?

【シート1】企業情報

シート1は、数値のコピペとチェックがメイン。20分ほどで、テンポよく記入していきましょう。

【1】設立(創立)年

■情報源:企業HP(会社概要ページ)

<分析の視点>
企業の安定性を判断する項目です。「長寿企業(創業100年以上)/老舗企業(創業30年以上)か?」というポイントで、まず線引きしてみましょう。

歴史が長い企業は「生き残れた理由(=強み・企業の特徴)」を考察することも大切です。「独自製品・技術がある」「顧客との繋がりが深い」「生活に欠かせない製品・サービスを扱っている」といったキーワードに注目して、事業内容も読み込んでみましょう。

【2】資本金

■情報源:企業HP(会社概要ページ)

<分析の視点>
資本金とは、会社設立時の「元手」となった金額のこと。一般的に「会社の信用力」を審査するために使われている項目です。

「資本金が豊富」
=債務超過(破綻の一歩手前)に陥ったとき、補填できる資金がある
=経営が安定している

…というロジックで、資本金の多い企業に仕事・融資があつまりやすい点は、覚えておきたいポイントです。同じような事業内容の企業を比べる際は、資本金の額で「どちらが仕事の集まる企業か?(=事業が安定しているか)」を推測しましょう。

【3】売上高

■情報源:企業HP(会社概要ページ)

<分析の視点>
売上高の大きさで「事業規模」を、数カ年ぶんの推移を見ることで「トレンド・成長性」を推測できます。

また、売上高の推移から、下記のような分析も可能です。

「売上高がアップしている=事業が好調」「急激にアップしている=何らかの新規事業が成功」「売上高の変動が少ない=基盤となる事業が確立している」と読み取れます。

売上がアップしている/安定しているときは、売上を支えていそうな商品・サービスを事業内容から読み取っておきましょう。「その製品・サービスに、自分がどう貢献できるか?」を志望動機でアピールできると、選考時の評価も上がります。

【4】従業員数

■情報源:企業HP(会社概要ページ)

<分析の視点>
企業の規模を判断するために使います。「大企業(300名超)」「中小企業(300~20名)」「小規模企業(20名未満)」といった形で、大まかに規模を把握しておきましょう。

余裕があれば、「従業員1人あたりの売上高(=生産性の高さ)」を計算しておくといいでしょう。生産性が高い企業は、独自の製品・サービスをもつ優良企業である可能性も高いですよ。

【5】本社・事業所の所在地

■情報源:企業HP(会社概要ページ)

<分析の視点>
全国展開・海外展開といった企業規模の把握に使えるほか、「転勤の可能性はあるか?」「自宅から通えそうか?」を推測するときにも使えます。勤務地は、応募前に採用ページでも確認しましょう。

【6】グループ企業

■情報源 :検索(キーワード:企業名+グループ会社)

<分析の視点 >
親会社・子会社との関係から、事業の安定性・規模を推測できる項目です。

たとえば「大企業の子会社」なら、売上の大半を親会社からの発注が占めていることもしばしば。親会社の事業を切り出して設立される企業も少なくないため、事業基盤が安定している可能性が高いでしょう。

一方、「子会社を持っている」ケースは、好調な事業があるということを推測できます。「規模が大きくなった部署を、さらなる発展のために分社化した」「海外展開のために現地法人を設立した」といった分析が可能です。子会社の事業内容をみれば、グループ全体でどんな事業に注力しているかも読み取れます。

【7】株式公開・上場

■情報源:検索(キーワード:企業名+上場市場)

<分析の視点>
株式を「東証一部」などの証券取引所で売買できるのは、厳しい審査を通過した企業のみ。そのため、上場企業は「社会的に信用されている」と判断できます。

また、上場している市場ごとに特色があるのもポイントです。下記のように、どの市場に上場しているかで、企業の規模・特徴をつかめます。

「東証一部/二部に上場=大企業」「東証マザーズ/JASDAQに上場=ベンチャー企業/成長企業」「地方の取引所に上場=地元の有力企業」だと読み取れます。

※上場企業の場合、株主向けに経営状況の報告資料(IR)が用意されているので、情報を調べやすいのも特徴。覚えておいて損はありません。

【8】主要取引先

■情報源:検索(企業名+主要取引先)

<分析の視点>
取引先の顔ぶれからも、事業の安定性を分析可能です。たとえば「取引先がグループ企業=安定的に仕事を受注している可能性が高い」「官公庁からの依頼が多い=需要が安定的」といった推測ができます。

また、「有名な製品・サービスに関わりたい」ときも、取引先に注目しましょう。大企業の下請けとして、重要な業務を任されている「穴場」の企業というケースもありますよ。

【9】離職率

■情報源:検索(キーワード:企業名+離職率)、会社四季報(上場企業のみ)

<分析の視点>
ブラック企業対策として調べたいのが「離職率」。離職率が「30%以上」の企業は要注意です。

実はこの数字は、3年以内に仕事を辞めた「大卒の新卒社員」の割合。離職率が高い企業は、「労働時間・休日・休暇の条件」「人間関係」「仕事内容」などに、何らかの課題がある可能性が高いでしょう。会社説明会などで、働いている方に具体的な話を聞くようにしてください。

なお、離職率は業界によって大きく異なります。こちらの記事も参考にして、「離職率〇〇%以上はブラックかも?」という基準をつくっておきましょう。

※詳しくは→「新卒の離職率|3年で3割辞めるって本当?」

【シート2】事業内容・理念

シート2は、企業HPから「キーワードを探して、その前後をコピペ」してまとめます。志望動機づくりに直接活用できる情報なので、30~40分かけて、じっくり記入しましょう。

【10】商品・サービスは?

■情報源:企業HP(事業内容/事業紹介)

<キーワード>
「〇〇を手がけている/扱っている/製造している/提供している」
「〇〇に力を入れている/注力している」・・・

<分析の視点>
事業内容のページから、この企業がどんな製品・サービスを提供しているか抜き出します。分析のポイントは「事業の幅を知ること」と「どこに注力しているかを知ること」。

一般的に志望動機を書く際には、企業が力を入れている製品・サービスに「面白さ・やりがい」を感じているとアピールするのが効果的。事業紹介ページを読み込んで、具体的な情報をピックアップしておきましょう。

【11】顧客は?

■情報源 :企業HP(事業内容/事業紹介)

<分析の視点>
事業内容ページを見て、取引先が「BtoB(B2B):企業向け」か「BtoC(B2C):一般消費者向け」かを判断しましょう。両方とも手がけている場合もあります。

BtoC企業は、消費者に広く知られている製品・サービスが多め。知名度から人気も高く、採用の倍率が高くなる傾向があります。

BtoB企業は、製品の原材料製造など、縁の下の力持ち的な事業を展開している企業が多めです。実は有名製品などに関わっている、実力派企業がひそんでいます。

【12】独自性(≒企業の特徴)は?

■情報源:企業HP(事業内容/事業紹介)

<キーワード>
「独自の/自社オリジナルの/自社開発の」
「業界トップクラスの/No.1の」
「他社に先駆けて」 …など

<分析の視点>
企業研究で一番大切な項目です。「なぜ弊社に?」という質問へのアンサーとしても、必ず必要になります。

まずはチェックシートに書かれた「キーワード」にそって、企業が「自分たちのアピールポイント」と考えている内容をピックアップしましょう。独自製品や業界トップの技術、お客様第一のサービス体制など、具体的な要素が見つかるはずです。

また、数社ぶんのデータが集まったら、「独自性」の内容を比較してみましょう。似た企業の特徴を見比べながら、本当に「この会社だからできること」になっているかチェックしてみてください。最終的に、「この会社でしかできないことに携わりたい」と志望動機で言えると、企業研究をしっかり行っていることが伝わり、志望度が高いと判断してもらいやすくなります。

※「沿革」「実績」「受賞歴」といったページからも、情報が拾えることもあります。「〇〇賞を受賞した」「世界初の〇〇を、2005年に開発」といったキーワードも覚えておくと便利です。

【13】価値を感じられるか?(やりがい・意義・面白さはある?)

■情報源 :企業HP(事業内容/事業紹介)

<キーワード>
「社会貢献性が高い」
「生活や人命を守る」
「有名製品を支える」
「主体的に働ける」
「技術を磨ける」
「感動を与える」 …など

<分析の視点>
事業内容を見て「自分が価値を感じたポイント」をメモする欄。「やりがいがあって面白そう」「社会貢献の姿勢に共感できる」「扱っているものが特殊で面白そう」など、着目するポイントは自由に決めてOKです。

どんなことに興味を持ったか、どれくらい興味を持てたか、自由に記載していきましょう。価値を感じたポイントが「企業の特徴」と一致していれば、「この企業で働くこと」への納得感が強い志望動機を書けるようになります。

【14】今後の事業展開(新規事業/注力分野)は?

■情報源 :企業HP(経営理念/ビジョン)

<キーワード>
「今後は〇〇に注力」
「新規事業として〇〇を展開」
「新たに〇〇に着手」
「〇〇事業を中心に手がけ」 …など

<分析の視点>
会社として注力したい事業をピックアップすることで、「どんな人材を求めているか」を推測できます。

一般的に、注力したい事業には、人員を優先して割り当てるもの。その事業に興味を持っていることや、役立つスキルを持っていることを志望動機でアピールして、企業側に「採用するメリット」を感じてもらえるようにしましょう。

【15】その企業が大切にしていることは?

■情報源 :企業HP(経営理念/ビジョン)

<キーワード>
「企業理念」や「トップ・代表メッセージ」を確認!

<分析の視点>
事業だけでなく、その企業が「大切にしていること≒理念」も、押さえておきたいポイントの1つ。社風や仕事の進め方、独自の福利厚生などとも密接に関係しています。

「社風が合わなくて…」「仕事の進め方・考え方に馴染めなくて…」といった理由で、入社後に後悔する方も少なくありません。相性をみるためにも、しっかり目を通しておきましょう。

企業側も、「理念に共感し、社風に溶け込んでくれる仲間」を求めています。自分の性格や過去の行動、バックボーンも踏まえて、「理念に共感している」「考え方・行動指針が自分と合っている」ことをアピールできれば、採用担当者から好印象をもたれやすいはずです。

検索も活用!情報はココから入手しよう

おすすめする情報収集手段は【2種類】。

一般的にさまざまな手段が紹介されていますが、多くの企業は、紹介する2種類だけでシートを作成できます。

おすすめの情報収集手段

企業HP
おすすめ度:★★★★★

もっとも正確な情報が載っているサイト。企業HP上の「会社概要」「事業内容」「採用情報」ページを見ておけば、会社の特徴をつかめるでしょう。

とくに「新卒採用ページ」があれば、要チェック。会社や事業について、学生向けに噛み砕いて書かれています。時間が無いときは、新卒採用ページ内の会社概要を読むだけでも、会社の特徴をつかめますよ。

検索エンジン
おすすめ度:★★★★☆

GoogleやYahoo!を活用して、「企業名で検索して、役立ちそうなサイトを探してみる」というのは、いまや効率的な就活・転職の定番パターンです。2つのポイントを押さえておくと、さらに効率的に企業研究を進められます。

ポイント1:「信用できるサイトだけを使う」

信憑性が高いのは、「企業の公式HP」や「新聞社(全国紙、業界紙)」「転職サイト」の情報。一般的に、企業への取材をもとに制作されており、情報の裏取りがしっかり行われています。個人のブログや掲示板ではなく、こうしたサイトから情報を集めるようにしましょう。

ポイント2:「“企業HPに載っていると思うけど、どこにあるかわからない情報”を探すときに活用してみる」

検索エンジンを活用すれば、企業HP内で探すより、早く情報にたどり着けるのでおすすめです。チェックシートを埋める際に、「企業名+売上高」といったキーワード検索を活用してみましょう。

ほかにも、企業関連のニュースを検索して経営状況を調べたり、新製品の開発情報を入手したり、検索エンジンから得られる情報は多岐にわたります。「気になることがあったら、検索してみる」という習慣をつけておくと、効率よく企業研究を進められますよ。

もっと深掘りしたいときは

ここからは、より深い企業研究ができるようになる情報収集手段をご紹介します。ただし、すべての企業で使えるとは限らないので、注意してください。

転職サイト(求人広告)
おすすめ度:★★★★☆

企業の「新卒採用ページ」と同じく、情報が易しくまとめられているのが特徴。フォーマットが統一されていて、調べやすいというメリットもあります。求人広告は企業への取材をもとに作られているので、企業HPより詳しい情報が載っていることも少なくありません。

「リクナビNEXT」「マイナビ転職」などの大手サイトで企業名を検索するか、「企業名+求人」といったキーワードで検索して、企業の求人広告を探してみましょう。

就職四季報
おすすめ度:★★★☆☆

企業研究で知りたい情報が、簡潔にまとまっている書籍。事業内容(企業の特徴)や離職率、採用人数、待遇・福利厚生などが、約5000社ぶん掲載されています。持っておけば重宝する1冊です。

一方で、大手企業・上場企業が中心という点は注意が必要。中小企業や地方の有力企業の多くは、詳しい情報が載っていません。あくまで大手企業・上場企業の概要をサッと調べたいときに使うといいでしょう。

業界地図
おすすめ度:★★★☆☆

おもに業界研究に重宝する1冊。業界のビジネスモデルや動向を調べられるだけでなく、主要な企業の特徴なども書かれているので、企業研究でも役に立ちます。ライバル企業同士の特徴を見比べて、違いをはっきりさせたいときに便利です。

投資家向けの情報(IR情報)
おすすめ度:★★★☆☆

IR情報とは、事業内容や経営状況、業績(売上高)、今後の見通しなどをまとめた情報のこと。株主や投資家など、外部の方向けにわかりやすく情報がまとめられています。

業績を報告する「決算短信/四半期決算短信」「有価証券報告書」や、「株主総会の説明会資料」など、種類はさまざま。企業研究に必要な情報が一気に集められます。

ただし、非上場企業はIR情報を公開していないので要注意。情報を公開しているかどうかは、金融庁のサイト【EDINET】で調べることができます。

※参考→EDINET(金融庁)

会社説明会、OB・OG訪問
おすすめ度:★★☆☆☆

実際に働いている方から、直接話を聞ける貴重な手段。ですが、あくまで「企業研究後に詳しい話をきく」といった使い方をしなければ、効果的とは言えません。

チェックシートを使って下調べしたうえで、社風や働き方など、実際に働いている人にしか聞けない話をきくようにしましょう。

クチコミサイト
おすすめ度:★★☆☆☆

実際の働き方を知る手段として、『転職会議』等のクチコミサイトの利用する人も増えてきました。給与や残業時間、社風、パワハラなどの実態が赤裸々に語られているので、「社員の話を直接きけないとき」には重宝します。

ただし、過信は禁物です。感情的に書かれた内容が掲載されていたり、情報に偏りがあったりする可能性があります。参考程度に考えておき、実情は面接などを通して判断するようにしてください。

「なぜ弊社に?」に答える志望動機の作り方

情報が揃ったら、シートごとの分析に入りましょう。シート1「企業情報編」では、スペックから企業の特徴を、シート2「事業内容・理念編」では、どんな内容で志望動機をつくればいいかを読み取れます。

シート1:スペックから「安定性」「成長性」をみる

シート1は、企業の特徴を把握したうえで、他の企業と見比べて「どの企業が自分の理想に近いか」を分析するのがメインの使い方です。どの項目にチェックマークがついたかを見れば、その企業が持つ「安定性」「成長性」を大まかに把握できます。

下記の要素を参考にして安定性・成長性を把握したら、それを支える独自性の高い事業(オンリーワン・ナンバーワンの製品・技術など)が無いか、シート2を使って深掘りしましょう。

「安定企業」がよく備えている要素

【1】設立(創立)年

【3】売上高

【6】グループ企業

【7】株式公開・上場

【8】主要取引先

「成長企業」がよく備えている要素

【3】売上高

【7】株式公開・上場

シート2:志望動機でアピールすべき内容を選ぶ

シート2は、企業のタイプを明らかにして、「志望動機でアピールすべき内容」を絞り込むために使います。実は、志望動機でアピールすべき内容は、大まかに4パターンに分類可能です。

それぞれ、下記のパターン表の右側にある「シートの項目」を参照して、アピールすべき内容を書いてみましょう。

志望動機でのアピール4パターンの表。志望動機パターンの1つ目は、「ここでしかできない、価値の感じられる事業」を手がける企業の場合。シートの【12】独自性を参考に、「この会社でしか手がけられない仕事をしたい」とアピールしたり、【13】価値を感じられるか?を参考にして「その仕事内容に、どんな価値を感じているか」をアピールしたりします。志望動機パターンの2つ目は、「一般的だが、価値の感じられる事業」を手がける企業の場合。シートの【15】価値を感じられるか?の項目を参考に、「仕事内容に、どんな価値を感じているか」をアピールします。志望動機パターンの3つ目は、「ここでしかできないが、価値を感じにくい事業」を手がける企業の場合。シートの【12】独自性や、【15】その企業が大切にしていることは?の項目を参考に、「この会社でしか手がけられない仕事がしたい」「仕事のスタンス・社風に共感している」ことをアピールします。志望動機パターンの4つ目は、「一般的かつ、価値を感じにくい事業」を手がけている企業の場合。シートの【15】その企業が大切にしていることは?の項目を参考に、「仕事のスタンス・社風に共感している」ことをアピールします。

また、パターン分けに必要な「企業のタイプ」は、シート2の右上にあるグラフを使えばカンタンに分類できます。

縦軸に「独自性が高い(珍しい)/一般的(よくある)」、横軸に「価値を感じる/価値を感じにくい」をとったグラフです。その企業が、グラフ上のどこに当てはまるかによって、効果的な志望動機のパターンが決まります。

このグラフは、縦軸に「独自性の高さ」、横軸に「価値を感じられるか」をとったものです。チェックシートの「【12】独自性は?」「【13】価値を感じるか?」をもとに感覚的に数値を決め、グラフ上に点を置いてみましょう。このとき点を置いたエリアの番号が、その企業の志望動機パターンになります。

実際に志望動機をつくってみる

グラフを使って志望動機パターン(アピールすべき内容)がわかったら、下記の志望動機フォーマットにそって、実際に志望動機をつくってみましょう。フォーマットの「2)企業のどこに、どんな魅力を感じたか(現在)」の部分に、先程の「アピールすべき内容」をはめこんでください。

志望動機でおさえておくべき内容は、3つ。「これまでの経歴と転職に至った理由(過去)」「企業のどこに、どんな魅力を感じたか(現在)」「入社したらどんなことに挑戦していきたいか(未来)」の3点をおさえるようにしましょう。

今回は参考用に、架空の企業を例にして【チェックシート(シート2:事業・理念)】と【志望動機】を作成しました。独自の技術を持つ、世界的な自動車メーカーという設定で、生産技術(製品をつくる装置の設計・開発などを行う技術者)を志望する方を題材にしています。

志望動機づくりのポイントは、チェックシートに書いた具体的な事業名や数字などを活用すること。これだけでも、しっかり調べている印象をあたえられます。どうやって志望動機に落とし込んでいるか、見比べてみましょう。

<チェックシートの記入例>

自動車メーカーを例にして、「世界トップクラスの自動車販売数・安全技術開発力」「安全への取り組みが盛ん」「世の中をもっとよくしたい、ベンチャー精神」といったキーワードを抜き出して記入しました。企業HPからコピー&ペーストできる内容がほとんどです。

<志望動機の例>

※1)~3)は、志望動機フォーマットの番号

1)私は大学卒業後4年間、機械部品メーカーで生産技術として、生産ラインの設計・製造を一貫して担当してきました。生産ラインの設計は、基本的にオーダーメイドで行っています。製品づくりの環境を整える「縁の下の力持ち」としての仕事にやりがいを感じていましたが、より世の中に貢献できる仕事をしたいと思い、転職を決意しました。

2)貴社を志望したのは、独自の自動車安全装置を製造している点や、世界的な事業展開によって、影響力の大きな仕事ができることに魅力を感じたからです。社会貢献を大切にしているという理念にも、強く共感しております。

3)入社後には培ったノウハウを活かし、貴社独自の安全装置の製造に「効率よく・エラーのない製品を製造できるライン設計」で貢献したいと考えております。(326文字)

まとめ

この記事では、チェックとコピペメインで企業研究を進められる、【企業研究チェックシート】をご紹介しました。キーワードに沿って企業HPを見てシートを埋めていけば、企業理解や志望動機づくりに必要な情報を集められるでしょう。

最後に、チェックシートを使った企業研究のポイントをまとめました。こちらを見ながら、ぜひ「あなただけの企業研究ノート」をつくりあげてください。

STEP1、情報収集する際のポイントです。チェックシートを使って「スペック」「企業の特徴」にわけて情報を整理するのがポイント。情報を探す際は、企業HPからキーワードを拾っていくのがおすすめ。HPで情報を探しにくいと感じたときには、検索エンジンでキーワード検索する癖をつけておきましょう。

STEP2、企業の特徴を見つける際のポイントです。スペックでは「安定性/成長性」でほかの企業と比べましょう。「〇〇を得意としている」等のキーワード=特徴を見つけたら、他社と比較して「本当に、この会社でしか言えないことか?」を確認。「価値を感じられるか?」を考える際は、自分が興味を持ったポイントと、企業ならではの事業・理念が重なっているかチェック。一致していると、「その企業に入社する」ことへの納得感が高まります。

STEP3、志望動機のアピール内容を決める際のポイントです。「独自性」と「価値を感じるか?」という軸で企業のタイプを分析し、「4種類の志望動機パターン」のどれが効果的か判断します。

STEP4、志望動機づくりのポイントです。志望動機フォーマットの「企業のどこにどんな魅力を感じたか」の内容は、チェックシートの独自性や、企業理念などを参考にして、具体的に書くのがポイント。自分が入社することで、企業にどんなメリットをあたえられるかを書けると、より印象の良い志望動機になります。

<この記事を書いた人>

国木田のっぽ

年間300社以上の企業広告・求人票を制作してきたコピーライター。のべ数千社分の「企業研究・広告制作ノウハウ」を活かして、就活・転職で使える記事を執筆中。ちなみに、身長は164cm。 #のっぽとは

  • HOME
  • 転職の前に
  • すぐできる企業研究のやり方【A4ノート2ページで完全攻略】