内定辞退・取り消しも解説 内定と内々定の違いは?

この記事では、内定と内々定の違い、内定・内々定の辞退の方法と取り消しの可能性について解説します。

内定と内々定の違いってなに?

新卒採用における内定と内々定の違いは、学生と企業の間で労働契約が成立しているかどうかです。

労働契約が成立しているかどうかで異なる

内定が内々定に変わるタイミングの図:「最終面セル合格→内定通知」までが内々定。内定承諾書にサインすることで内定が成立し、以降は内定となります。内定式は10月1日以降に行われます。新卒採用における内定とは一般的に、学生と企業が次の4月1日以降の入社に合意した状態になることです。

学生が最終面接合格後に内定通知(採用通知)をもらい、企業から提示された労働条件通知書を確認し、内定承諾書(入社承諾書)にサインをすることで、労働契約が成立します。この労働契約は、始期付解約権留保付労働契約と呼ばれ、やむを得ない事情による契約解消の可能性を含んだ労働契約です。

一方、内々定とは、最終面接に合格してから企業と労働契約を結ぶ前段階を指します。

つまり、内々定が内定に変わるタイミングは、内定承諾書(入社承諾書)にサインした時となります。

内定式をもって内定と考える企業も

実際の内定は内定承諾書にサインした時点で成り立ちますが、内定式をもって内定したと考える人も多いようです。

経団連の採用選考に関する指針では、正式な内定日(内定解禁日)を卒業・修了年度の10月1日以降にするように定めています。

この指針に基づき、10月1日以降に行われる内定式をもって、学生に内定を出したと考える企業もあります。

コラム:新卒採用の選考開始日・採用内定日が変わる可能性が

経団連は2018年10月、経団連が主導して決めていた従来の就活ルールを廃止すると発表しました。

2021年以降、新卒採用のスケジュールについては、政府が主導となり、経団連・大学との3者間で協議が続いています。

近年、頻繁に変更されていた就活ルールは、違反しても罰則がないことや、そもそも経団連に加盟していない企業も多いことから、形ばかりであることが問題視されていました。

新卒採用スケジュ-ルの変遷早見表。2015年…選考開始日4月1日/内定解禁日10月1日。2016年…選考開始日8月1日/内定解禁日10月1日。2017年…選考開始日6月1日/内定解禁日10月1日。その後、2023年卒までは、選考開始日6月1日/内定解禁日10月1日として継続。2024年卒も、引き続き選考開始日6月1日/内定解禁日10月1日が維持される方針。2025年卒は今後検討される。

当時、経団連の発表を受け、政府と大学側は、学生が就職活動を従来よりも早い時期から意識してしまうことで、学業がおろそかになったり、企業の採用競争が激しくなったりすることを懸念。

2021年~2023年春卒の学生の就活については、従来どおり、選考開始が6月のスケジュールが維持されました。

2024年春に卒業する学生についても、政府は現行ルールを継続する方針です。

2020年には、経団連と大学でつくる協議会などが、学生が多様な働き方を選べる採用形態に移行することを政府へ要望しました。2025年卒以降の採用ルールについては、こうした議論や今後の経済情勢などを見極めた上で検討するとされています。

いつ選考が開始されるか分からない状態は、各方面に様々な混乱をきたすため、政府には迅速な対応が求められるでしょう。

内定・内々定を辞退することはできるの?

内定・内々定はともに辞退が可能です。

複数の企業から内定・内々定をもらっている学生もいるかもしれませんが、辞退する場合はなるべく早く連絡しましょう

内定・内々定ともに基本的には辞退可能

学生は内定・内々定はともに辞退することが可能です。

内定・内々定そのものには法的な拘束力がないと考えられているためです。

また民法第627条では、期間の定めのない雇用契約については、労働者からの申し入れ後2週間前で終了することとなっています。会社の同意がなければ退職できないというわけではありません。

辞退の連絡は早めに電話で

内定・内々定の辞退の連絡はなるべく早くしましょう

内定承諾後の辞退は企業に迷惑がかかるため、志望度の低い企業は内々定の時点で断っておくのがベター。よほどのことがない限りありませんが、内定の段階で辞退すると企業から損害賠償を請求される可能性もあります。

企業への辞退の連絡は、内定・内々定ともにメールよりもまずは電話で行いましょう。

大事な連絡は電話のほうが、より誠意が伝わりやすくなります。もし電話が一回でつながらなければ、一旦はメールで辞退の旨と再度電話にて連絡するということを伝えておくと、次回電話をした時に話がスムーズです。

※内定辞退について詳しくは→内定承諾書を提出した後の辞退は可能?

内定・内々定が取り消しになる可能性はある?

労働契約が成立していない状態である内々定は、企業側から取り消すことができますが、契約が成立している内定は取り消すことができません。

基本的には労働契約成立後の取り消しはない

企業は原則として、労働契約成立後に労働契約の破棄、すなわち内定を取り消すことはできません

厚労省は新規学校卒業者の採用に関する指針で以下のように定めています。

(1)事業主は、採用内定を取り消さないものとする

(2)採用内定の取り消しは労働契約の解除に相当し、解雇と同様に合理的な理由がない場合は取り消しが無効とされる

客観的・合理的な理由がある場合は内定取り消しの可能性がある

基本的に企業側から内定の取り消しをされることはありませんが、企業と学生それぞれに客観的・合理的な理由があれば、内定が取り消しになる場合があります

例えば、内定を出した学生が卒業できず4月に入社できなければ、企業はそれを合理的な理由として内定を取り消すことができます。

内定取り消しになるような理由には、ほかにも以下のようなものがあります。

<企業側の理由>

  • 新卒を採用できるような経営状態ではなくなった

<就活生側の理由>

  • 入社日までに卒業できなかった
  • 経歴詐称がバレた
  • 犯罪や社会的に認められない行為をした
  • 仕事に支障が出るような病気・怪我になった

不当な内定取り消しは専門家や大学に相談しよう

厚労省は企業に内定取り消しを行わないように指導しているため、内定を取り消されることはほとんどありません。

万が一、合理的な理由がない不当な内定取り消しをされた場合は、職業安定所(ハローワーク)や大学に相談しましょう。場合によっては、不当に内定取り消しを行った企業に対して損害賠償を請求することができます。

まとめ

  • 内定とは労働契約が成立した状態で、内々定とは契約が成立する前段階
  • 内定は、労働契約の成立といっても法的な拘束力はないため、学生側から辞退をすることが可能
  • 厚労省が企業に内定取り消しを行わないようにと指導をしている
  • 客観的・合理的な理由がない限りは企業からの内定取り消しは認められない
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