トラブルにならない伝え方を解説 内定承諾後に辞退できる?連絡の例文を紹介
内定を辞退したい場合、内定承諾前に企業に伝えるのが一般的です。では、内定承諾後に辞退したくなったら、どうすればいいのでしょうか?この記事では、承諾後に辞退する方法や、辞退する場合のリスクについて紹介します。
なお、内定承諾書の提出前に辞退したい場合の方法や例文は、下記の記事で紹介しています。
Q. 内定承諾後に辞退はできる?
A. 可能だが、損害賠償請求された事例もある
内定承諾後も辞退することは可能です。内定を承諾することで、企業とあなたとのあいだには労働契約が結ばれていますが、民法において、労働契約の解除はいつでも申し入れが可能とされています。
ただし、すぐに労働契約を解除できるわけではなく、法的には辞退の意思を伝えた2週間後に契約が解消されることになるので、遅くとも入社予定日の2週間前までには辞退の意思を伝えましょう。
なお、会社との信頼関係を著しく損ねる状況で辞退をすると、損害賠償を請求されるリスクがあります。具体的には、辞退に合理的な理由が無いケースや、入社直前など非常識なタイミングで辞退した際に、採用や研修にかかった費用を請求された前例があるので、注意が必要です。
また、損害賠償請求が無かったとしても、一度は入社を約束した状態なので、残念ながら企業側からお叱りを受ける可能性は高いでしょう。穏便に解決するために、自分に非があることを認め、誠実な態度で辞退の交渉に臨んでください。
Q. 辞退の連絡は、いつまでにする?電話じゃないとダメ?
A. なるべく早く、電話で連絡する
内定承諾後に内定辞退する際は、なるべく早く、電話で企業の採用担当者に連絡してください。企業は入社準備を進めているため、なるべく早く準備を止めてもらう必要があります。そのため、気付かれない可能性のあるメールではなく、確実に本人に連絡がつく電話で連絡しましょう。
なお、担当者と直接話をするためにも、電話は必ず企業の営業時間内にかけること。営業時間外の連絡は、相手によっては不誠実だと思われてしまうため絶対に避けてください。可能なら、昼の休憩時間などは避けて9:30~11:30か13:30~17:00に連絡しましょう。
また、連絡が遅くなり入社前の研修などが始まってしまうと、損害賠償請求などのトラブルに発展するリスクが高まります。遅くとも入社予定日の2週間前には連絡してください。
転職の際にエージェントを利用している場合は、まずメールでエージェントの担当者に相談することになります。連絡の方法・内容は「Q. 転職エージェント経由の場合はどうする?」をご確認ください。
Q. 辞退の理由は、正直に伝えるべき?
A. 誠意を見せるために、理由は正直に伝える
内定承諾後の辞退は、企業側から快く思われないことが多いもの。企業の担当者から「辞退の理由を教えてほしい」と聞かれたら、誠意を見せるためにも辞退の理由は正直に伝えましょう。
どんな理由を伝えても内定辞退は可能ですが、嘘の理由を伝えるとあとでそれがバレたり、心証を損ねたりしてトラブルに発展するリスクがあります。
伝えにくいとは思いますが「他社から内定をいただいた」といった言いにくい内容でも、本当の理由を採用担当者に伝えましょう。
【例文】内定承諾後の辞退電話・メール
内定承諾後に内定辞退するには、まずは電話で企業の採用担当者に直接意思を伝えます。その後、やりとりの証拠としてあらためてメールを送ってください。
それぞれ伝えるべき内容や、電話・メールの例文を下記にて紹介します。
【電話】辞退の意思の伝え方
電話で辞退の意思を伝える際は、まず1. 内定を辞退したい旨と2. 承諾後に辞退することへの謝罪を伝えます。その後、採用担当者から辞退の理由を聞かれたら3. 内定を辞退したいと考えた理由を伝えてください。
最後に相手への礼節として、4. 採用してもらったことへの感謝と謝罪を伝えましょう。
なお、内定承諾後の辞退においては迷惑をかけているのは自分の側になります。「内定辞退はできて当たり前」といった態度をとるとトラブルに発展する可能性もあるので、自責の念を示しつつ控えめな態度で臨みましょう。
あなた
お世話になっております。
中途採用で内定をいただいている[氏名]と申します。
人事部の○○様はご在席でしょうか?
(取り次ぎ)
あなた
お忙しいところ、失礼いたします。
〇〇職で内定をいただいた[氏名]です。
ただいまお時間よろしいでしょうか?
担当者
どうぞ、大丈夫です。
あなた
ありがとうございます。
内定承諾書の提出後で大変申し訳ないのですが、
承諾後に事情が変わり、内定を辞退させていただきたくご連絡いたしました。
入社の承諾後に身勝手な申し出をしてしまい、誠に申し訳ございません。
担当者
どのような事情で辞退されるのでしょうか?
あなた
他社から内定の連絡が入ったためです。
業務内容や仕事で実現したいことを考えた結果、そちらの内定を受けたいと考えております。
担当者
承知しました。
○○様にはぜひご入社いただきたいと考えていましたので、誠に残念です。それでは、辞退ということで手続きを進めます。
あなた
ご理解いただきありがとうございます。
本来ならば直接お詫びに伺うべきところですが、
電話でのご連絡となり申し訳ございませんでした。
内定をくださった御社にご迷惑をおかけすることになり、重ねてお詫び申し上げます。
ご対応いただけますよう、何卒よろしくお願いいたします。
〈電話で伝えるべき内容〉
- 内定を辞退したい旨
- 承諾後に辞退することへの謝罪
- 内定を辞退したいと考えた理由
- 採用してもらったことへの感謝と謝罪
【メール】電話のやりとりの証拠を残す
電話で内定辞退の意思を伝え、相手からの了承が得られたら、そのやりとりの証拠としてメールを送っておきましょう。
メールで伝えるべき内容は3つ。まず1. 承諾後に辞退することへの謝罪を述べてから、2. 内定辞退を了承していただいた旨+手続きのお願いを伝えます。最後に礼節として、3. 採用してもらったことへの感謝と謝罪も伝えましょう。
件名:内定辞退のご連絡([氏名])
本文:
株式会社◯◯◯
人事部 △△様
お世話になっております。[氏名]です。
表題の件、先ほどはお電話にてご対応いただき、誠にありがとうございました。
口頭でのお伝えとなりましたので、念のため改めてメールでもご連絡いたします。
この度は入社の承諾後に身勝手な申し出にも関わらず
内定の辞退をご了承いただき、誠にありがとうございました。
辞退のお手続きを進めていただきますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
また、内定をくださった貴社にご迷惑をおかけすることになり、重ねてお詫び申し上げます。
末筆ながら、貴社のますますの発展をお祈り申し上げます。
氏名:○○○○
メールアドレス:○○○○@○○○○
電話番号:○○○○
住所:〒○○○-○○○○
(都道府県から市区町村、番地、建物名、号室を正確に記載)
〈メールで伝えるべき内容〉
- 承諾後に辞退することへの謝罪
- 内定辞退を了承していただいた旨+手続きのお願い
- 採用してもらったことへの感謝と謝罪
Q. 転職エージェント経由の場合はどうする?
A. エージェント経由で、辞退のお願いをする
転職エージェントを利用している場合は、エージェントに内定辞退の交渉を行ってもらえます。あなたから内定先の企業に直接連絡する必要はありません。
辞退を決意したら、なるべく早いタイミングでエージェントにメールで連絡を入れましょう。メールでは、下記の4点を伝えてください。
〈電話で伝えるべき内容〉
- 内定辞退したい旨
- 内定承諾後の辞退に対する謝罪
- 内定辞退したいと考えた理由
- 担当してもらったことへの感謝と謝罪
特に3. 内定辞退したいと考えた理由は、正直で具体的な内容を伝えましょう。交渉時のトラブルを防ぎ、スムーズに辞退の手続きへ進みやすくなります。
また、辞退理由を具体的に伝えることで、次の求人を探してもらう際に、より希望にマッチしたものを紹介してもらえる可能性が高まります。
【例文】エージェント経由で、内定承諾後に辞退する
件名:内定辞退のご相談([氏名])
本文:
株式会社◯◯◯
△△様(転職エージェントの氏名)
いつもお世話になっております。[氏名]です。
表題の件、内定をいただいていた【内定先の企業名】について、
内定承諾書の提出後で大変申し訳ないのですが、
承諾後に事情が変わり、内定を辞退させていただきたくご連絡いたしました。
理由といたしましては、内定をいただいた●●社に入社したいと考えたためです。
業務内容や仕事で実現したいことを考えた結果、
自分の希望と会社の方針が合致している●●社の方が、よりふさわしい選択だと感じております。
入社の承諾後に身勝手な申し出をしてしまい、誠に申し訳ないのですが、
【内定先の企業名】のご担当者様に、辞退の旨をお伝え願えますでしょうか。
お手数をおかけいたしますが、何卒よろしくお願いいたします。
氏名:○○○○
メールアドレス:○○○○@○○○○
電話番号:○○○○
住所:〒○○○-○○○○
(都道府県から市区町村、番地、建物名、号室を正確に記載)
別の企業に入社する場合は
内定辞退後、別の企業に入社する予定がある方は、そちらの入社準備に進みましょう。
役立つ記事をピックアップしたので、参考にしてみてください。
▼別の内定先に、これから内定承諾の返事をする場合は……
そのまま使える!内定の返信方法・例文
▼内定先に提出するものや手続きについて知りたい場合は……
入社までに準備すること
また下記のページでは、内定の返事から内定の準備まで、やるべきことを流れにそって紹介しています。何をすべきか確認したいときに、ぜひご活用ください。