女性・公務員・未経験も 転職は何歳まで?年齢別の転職事情
「転職できるのは何歳まで?」
転職をしたくても年齢のことが気がかりで、なかなか踏み切れない方もいるのではないでしょうか。転職と年齢の関係性について、真相を徹底考察します。
転職は何歳まで?真相を徹底考察
基本的に「転職は◯歳まで」という上限はない
基本的に「転職は◯歳まで」という上限はありません。何歳であっても転職は可能です。それには以下に挙げる3つの理由があります。
- 転職で大切なのは年齢ではなくスキルだから
- 国内は慢性的な人手不足だから
- 伝統的な年功序列制が崩れてきているから
それぞれの理由について詳しく説明します。
転職で大切なのは年齢ではなくスキルだから
そもそも転職で大切なのは「何歳か」ではなく、「どんな経験や能力があるのか」です。
企業は「○歳の人材がほしい」のではなく、「○○の経験や能力がある人材がほしい」と考えています
自分の経験や能力が企業の求めるものと一致すれば、年齢に関係なく転職を成功させることができます。
国内は慢性的な人手不足だから
2019年9月の有効求人倍率は1.6倍と、1974年1月(1.64倍)以来の高水準が続いています(厚生労働省調べ)。ただし、直近2020年5月は1.20倍と大きく下がっています
少子化による労働人口の減少、2020年の夏に予定されていた東京オリンピックに向けた需要の拡大を背景に、年齢だけを理由に採用を見送る企業は少ないと考えられていました。
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、現在は採用活動を縮小する企業が多く、有効求人倍率も下落傾向です。
日本の企業が全体として人手不足に陥っていることはたしかですが、事態の収束まで当面の間は、年齢に関わらず転職活動そのものが不利な状況が続くでしょう。
伝統的な年功序列制が崩れつつあるから
30代後半にさしかかって転職を考えている場合、「年上が部下になることを嫌って、採用されないのでは?」と不安になる方もいるでしょう。
しかし、これまで当たり前だった年功序列制や終身雇用制は見直され、能力や業績によって評価が決まる成果主義の考え方が広まりつつあります。むやみに心配する必要はありません。
もはや「年上だから上司」「年下だから部下」のような考え方は弱まり、年齢を理由に採用を見送るのではなく、能力に応じた役職につかせる企業が多くなっています。
上限はなくても年齢に応じた転職を
「転職は◯歳まで」という上限はありませんが、年齢によって気をつけるべきことは異なります。年齢に応じた転職活動をしましょう。
20代後半まではキャリアチェンジもしやすい
「転職は28歳まで」説をよく耳にしますが、これは20代であれば転職先を同じ業界、同じ職種に絞らないキャリアチェンジがしやすいからです。
特に20代後半は1社目での一定のキャリアもありつつ、特定の業界・企業の文化に染まっていないため採用ニーズが高く、転職には最適なタイミングだと言えます。
未経験で異業種・異職種への転職を考えている場合、20代後半までであれば企業に受け入れてもらいやすいでしょう。
一方、20代前半は転職の理由が「今の仕事が嫌だから」という消極的なものになりがちです。転職を成功させるためにも、「転職先でどんな仕事をしたいのか」「将来的にどんなキャリアを積んでいきたいのか」をしっかり考えておくと良いでしょう。
20代後半での転職を見据えて、今の職場でキャリアを積むのも選択肢のひとつです。
30代・40代はキャリアアップを目標に
30代・40代であってももちろん転職は可能です。
「転職は32歳まで」説あるいは「35歳まで」説が唱えられる理由は、それぞれ「32歳までなら上司が年下になることはないから」「35歳をすぎると定年までのキャリアアップの期間が足りないから」というものです。
しかし人手不足の現在、かつての年功序列制は崩れ始めており、年齢を理由に採用を見送る企業はどんどん減ってきています。
ただ未経験で異業種・異職種へ転職する場合、「研修にコストがかかる割に長く働いてもらえない」と、採用を断念する企業も少なくありません。
30代・40代は「この分野でもっと大きな仕事をしたい」「もっと挑戦的な職場で働きたい」といったキャリアアップを目的とした転職をすると成功しやすいでしょう。
コラム:女性の転職は結婚や出産・育児が影響する?
女性が転職する場合、年齢だけではなく結婚や出産・育児といったライフイベントが影響することが少なくありません。
寿退社や産前・産後休暇、育児休暇による欠員は企業にとってリスクです。結婚しているかどうか、子どもは何人いて何歳くらいなのかなどを気にする企業はたしかにあります。
しかし人手不足の昨今では、性別に関わらず優秀な人材に対する採用ニーズは年々高まっている上に、柔軟な対応をしてくれる企業も増えています。ライフイベントを理由に転職を諦める必要はありません。
特に看護師などの専門職、キャリア重視の総合職・管理職であれば、年齢やライフイベントに関係なく転職ができるとも言われています。
「年齢や家庭環境を気にする企業は今でも少なからずある」という事実は頭の隅に置きつつ、ライフプランをきちんと考えた上で転職活動に臨めば問題ありません。
データで見る転職と年齢の関係
dodaや厚生労働省のデータから、日本の転職事情を統計的に読み解きます。
転職者の平均年齢は年々上がっている
dodaのデータによると、転職成功者の平均年齢は年々上がっています。
2007年上半期では29.7歳だったのに対し、2018年上半期では31.7歳。20代に限らず30代・40代でも転職に成功する人が増えていることが伺えます。
男女別に見ると男性が32.6歳、女性が29.8歳となっています。
建設・土木系の技術職は平均年齢が高い
転職成功者の平均年齢を業界・職種別に見ると、建築・土木系の技術職は33.4歳(doda調べ)。
建設業界は年々高齢化が進んでおり、労働者のうち55歳以上が約34%であるのに対し、29歳以下が約11%に留まっています(2016年 厚生労働省調べ)。
ただし、高度経済成長時代に建てられた建造物の老朽化、2020年の東京オリンピックに向けた会場・設備・インフラの建設需要も相まって、建設業界はかなりの人手不足。
よって「未経験歓迎」の求人も増加していることから、2015年下半期の37.0歳をピークに平均年齢は下降傾向にあります。
そして最新データではついに「企画・管理系」(35.0歳)「専門職系」(34.4歳)に抜かされ、平均年齢としては上から3番目になりました。
※参考:doda「みんなは何歳で転職している?転職成功者の年齢調査(2019年上半期)」
コラム:入社時の年齢は待遇に影響する?
転職で入社する人の賃金や役職などを決める際に、年齢を考慮する企業は半数以下です(厚生労働省『平成27年転職者実態調査の概況』)。企業は年齢よりも「これまでの経験・能力・知識」を重視していることがわかります。
業界別に見ると、年齢を考慮する企業の割合が最も高いのは製造業の58.6%、最も低いのは金融業・保険業の28.1%です。
企業規模別に見ると、従業員1000人以上の大企業が59.9%で最高、5~29人の零細企業が45.2%で最小と、企業規模が小さくなるほど年齢を気にする企業も少なくなることがわかります。
転職時に年齢を気にすべき2つのケース
基本的に転職に年齢は関係ありませんが、公務員や未経験・異業種に転職する場合、少し注意が必要です。
【公務員】の大卒一般枠には年齢制限がある
公務員に転職するには、大卒一般枠と経験者採用の2つの方法がありますが、大卒一般枠の場合、試験に明確な年齢制限があります。
公務員試験の年齢制限は30歳までが多い
国家総合職・裁判所総合職などの国家公務員試験は、ほとんどの職種で30歳までしか受験できません。
東京都Ⅰ類Aや特別区Ⅰ類行政などの地方公務員試験は、多くの自治体で29歳から31歳までを受験資格の年齢上限としています。
自治体によって違いがありますので、事前にチェックしておきましょう。
経験者採用であれば年齢はほぼ関係ない
公務員は社会人を対象とした経験者採用も積極的に行われています。こちらは大卒一般枠と違って年齢制限がゆるく、むしろ「民間企業での職務経験5年以上」などと経験や資格が問われます。
自治体によって応募資格はさまざまですので、要チェックです。
【未経験・異業種】への転職は年齢が問われることも
未経験での異業種・異職種への転職の場合、専門的な知識や実務経験が重視される業界・職種は年齢が問われることも少なくありません。
例えばIT業界やエンジニアは、企業のプロダクトに合わせて仕事をしながら学んでいくことが非常に多い業界・職種です。30代後半・未経験で転職しようとしても、「研修にコストがかかる割に長く働いてもらえない」として不採用になる恐れもあります。
IT業界やエンジニアに限らず、整備士や研究職など専門的な知識や実務経験が重視される業界・職種への転職は、未経験で現在他の仕事をしている場合、できる限り20代のうちから考え始めましょう。
まとめ
基本的に「転職は◯歳まで」という上限はありませんが、年齢によって注意すべきことは異なります。年齢に応じた転職活動をしましょう。
また女性は結婚・出産・育児などのライフイベントも考えた上での転職が望ましいでしょう。
公務員や未経験・異業種への転職を考えている方は、年齢が転職活動のネックになることもありますので、できる限り早めに準備を始めましょう。