体験入社とは|不採用の可能性は?給料は?

一般的にはあまり知られていない「体験入社」。最近、採用活動に体験入社を導入する企業が増えてきているのをご存知でしょうか?

この記事では、体験入社とは何か、実態はどうなっているのか、体験入社を就職・転職に活かすための方法をご紹介します。

体験入社とは

そもそも体験入社とはどういう制度なのでしょうか?

体験入社ってどういう制度?

体験入社は、採用を行う企業が、入社を希望する人に一定期間実際に働いてもらうことで、会社や業務への理解を深めてもらうために行うものです。

体験入社は新卒と中途の両方で行われており、選考プロセスの一環として行われる場合と、内定後に行われる場合があります。期間は1日から3ヶ月程度までさまざまです。

ただし、企業によっては「体験入社」という言葉を「試用期間」などの別の呼び方として使っているケースもあるため、注意が必要です。

体験入社の報酬・内容は?

体験入社で報酬や交通費が支給されるかどうかは、企業によって異なります。入社時の想定給与を日割りで支給するところもあれば、報酬や交通費は一切支給しないところもあります。体験入社の内容も企業によってさまざまです。事業に関する簡単なデータ分析から、正社員と同じように営業活動に同行するものまであります。

体験入社の選考プロセスは?

体験入社を選考プロセスの一環として行う企業では、体験入社を最終面接の前に行うところが多いようです。その場合は書類選考の後に面接を1~2回程度行い、それを通過した人が体験入社をすることができます。

体験入社しても不採用になることはある?

体験入社を選考プロセスの一環として行う企業の場合、その評価次第では不採用となることもあります。一方、内定後の体験入社であれば、評価が悪かったからといって内定を取り消されることはないでしょう。

また、体験入社をしたからといってその会社に必ず入社しないといけないということはありません。その後の選考や内定を辞退することは可能です。

体験入社とインターンシップの違いは?

インターンシップと体験入社との違いは、実際の業務に関わるかどうかです。インターンシップでは企業の社員と一緒に仕事をするのではなく、架空のビジネスケースを用いて実際の業務内容とは異なる課題を与えられることが一般的です。体験入社では、実際の業務に携わることができます。

求職者から見た体験入社のメリット・デメリット

体験入社は求職者にとってどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?

メリット

体験入社に参加することで、会社や仕事内容が自分に向いているのかどうかを見極めることができます。その中で、自分が本当にやりたい仕事や、向いている仕事に気づける可能性もあります。

また、実際に業務を体験することで、仕事や業界への理解が深まり、ほかの企業の選考を受ける際に役立つことがあります。

デメリット

体験入社は面接よりも拘束時間が長く、業務の中での成果が評価対象となるため、選考の難易度が高くなります。

その上、体験入社が選考プロセスに含まれる企業の場合、選考プロセスが長くなり、内定が出るまでの時間も長くなります

働きながら体験入社に参加する時間を確保するのが難しい人は、選考を受けるのを断念せざるを得ないこともあるでしょう。

体験入社を導入しているケース

どのような企業が体験入社を導入しているのでしょうか?

体験入社を行っている企業の例

民間企業の中には、新卒採用や中途採用の選考プロセスの一環として体験入社を実施しているところがあります。

また、新卒採用の内定者を対象に、入社前のタイミングで体験入社を実施しているところもあります。

東建コーポレーション(中途、内定前)

【特徴】選考の一環として、中途採用の応募者を対象に、最長2日間の体験入社を行う可能性があります。

【報酬】採用情報には体験入社の報酬についての記載はありません。

エン・ジャパン(中途、内定前)

【特徴】面接を通過した人を対象に体験入社を行っています。当日は配属予定のオフィスで社員と一緒に過ごし、営業活動の体験やランチを通して社内の雰囲気や仕事の進め方、顧客との関係性を体感します。期間は半日~最大2日です。

【報酬】報酬の有無は体験内容によって異なります。

SmartHR(中途、内定前)

【特徴】エンジニア向けに体験入社を実施しています。期間は短期コースで1〜2日、長期コースで2週間〜3カ月です。短期コースは現在の会社に勤務しながら他社の仕事も体験してみたい人、長期コースは働きながらゆっくり時間をかけて転職活動に取り組みたい人が対象になります。

【報酬】いずれのコースも正社員入社時の想定オファー額の日割り計算になります。

ChatWork(中途、内定前)

【特徴】面接を通過した全ての入社希望者を対象に体験入社を実施しています。期間は1日です。

【報酬】採用情報には体験入社の報酬についての記載はありません。

ファーストロジック(新卒・中途、内定前)

【特徴】新卒・中途採用の適性検査と面接を通過した全ての入社希望者を対象に実施しています。期間は1〜2日です。

【報酬】報酬・交通費の支給はありません。

オンテックス(新卒、内定後)

【特徴】新卒採用の内定者を対象として、内定を出してから内定式までの間に体験入社を行います。期間は1〜2日です。内容は営業体験で、先輩社員に同行して業務を体験します。

【報酬】採用情報には体験入社の報酬についての記載はありません。

体験入社を行っている企業の探し方

体験入社を実施している企業を探すにはどうすればいいのでしょうか?

企業の採用情報を見る

体験入社を行っているかどうかは企業のホームページなどに掲載されている採用情報を見れば分かります。受けたい企業が決まっている人か気になる企業がある人は、チェックしてみるといいでしょう。

体験入社の情報をまとめて紹介しているサービスを使う

体験入社の情報をまとめて紹介しているサービスもあります。

仕事旅行社という会社が手がけている「おためし転職」というサービスは162社(2020年1月22日現在)の体験入社情報を紹介しており、1日~数カ月間仕事を体験した後に採用面接を受けることができます。

職種としては、システムエンジニアやライターなどの求人が多いようです。期間限定の募集や定員に達したら募集を終了してしまうものもあるため、興味がある人はこまめに情報収集することをおすすめします。

体験入社をリクエストできるサービスを使う

2018年に始まった、株式会社体験入社が運営している「体験入社」というサービスでは、企業に体験入社をリクエストすることができます

体験入社を行っていない会社であっても、リクエストに応じて体験入社を受け入れてくれることもあるようです。

コラム:企業側から見た体験入社のメリット

体験入社は企業にとって、入社希望者が実際に働く様子を見た上で、面接よりもじっくりと評価できるメリットがあります。実際の業務を担当させることで候補者が自社の働き方に合わせられるかを見極められます。

エン・ジャパンが実施した調査では、体験入社を経て採用された人は通常採用の中途入社社員よりも離職率が低いという分析結果が出ています。

※出典:瓦版「ありそうでなかった”お試し入社”のすごい効果」 

従来から、入社後のお試し期間として試用期間というものがありました。しかし、試用期間で雇用契約を打ち切る場合は、判例で「客観的に合理的な理由が存在し、社会通念上相当として是認されうる場合にのみ許される」とされています。

つまり、試用期間といっても簡単に解雇することはできないのです。体験入社は、企業が採用プロセスの中で採用候補者を選別することができるお試し期間を設けるための一つの手段であるといえます。

体験入社の参加者の体験談

選考プロセスの一環として行われる体験入社で、選考を通過した人、不採用となった人に、体験談を聞きました。

選考を通過したAさんの体験談 (専門職・30代・男性)

体験入社では、社内データの分析を行いました。使うソフトウェアが、以前にも仕事で使ったことがあるものだったので、スムーズに仕事を進めることができました。

配属予定先の部署の社員全員と話す機会も設けられ、コミュニケーションについても評価されていたようです。

不採用となったBさんの体験談 (専門職・20代・女性)

体験入社では、配属先の事業部が目標を達成するにはどうしたらいいか、施策を提案するよう言われました。

前提となる知識が乏しかったこともあり、社員にヒアリングした内容をまとめるので精一杯になってしまい、オリジナリティのある提案ができませんでした。

社員からのフィードバックでも「自分なりの意見を提示して欲しかった」と言われてしまい、結局、次の選考に進むことはできませんでした。

まとめ

体験入社は、企業に採用されたい人がその企業で実際に働いてみることで業務への理解を深める目的で行われます。

【体験入社の条件】

  • 給与や交通費に関しては支給される場合とされない場合があります
  • 体験入社中の評価次第では不採用になることもあります
  • 体験入社の選考を通過した後に入社を断ることは可能です

体験入社に参加したい場合は、企業の事業内容や過去に体験入社に参加した人の口コミなど、自分で調べられる情報に関してはできる限り情報収集を行いましょう。

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