定義&流れをステップで解説 内定の意味とは?内々定との違いって?

内定をもらう前やもらった後に、「これは本当に内定なのか」「内定は辞退できるのだろうか」など不安に思うこともあるのではないでしょうか。

内定にまつわる疑問に、基本的なところからお答えします。

内定とは、労使間で雇用契約が成立すること

内定とは、入社後の雇用契約の合意が得られた状態。

採用における内定とは、労働者と使用者(企業)の間で、入社してからの雇用契約について合意が得られた状態のこと。

内定が成立した時点で、労働者と使用者の間では条件付きの労働契約が結ばれることになります(始期付解約権留保付労働契約)。そのため、企業による内定の取り消しは解雇に相当し、よっぽどの理由がなければ無効です。

反対に、労働者の側が内定を辞退することは、日本国憲法に定められた職業選択の自由として認められています。

内定通知を承諾することで内定が決定する

内定承諾の返信対ビング:返事が決まっている場合、当日中(遅くとも翌日中)返事が決まっていない場合、理由を伝えた上で1-2週間以内に返信をする。

内定は、企業から送られてきた内定通知に、承諾の返事をしたときに成立します。

多くの場合、採用内定の連絡は面接から10日以内に、電話やメールで行われます。また、郵送で書面によって通知されることもあります。

いずれの場合もなるべく早く連絡を返しましょう。電話・メールの場合は当日中、遅くとも翌日には返事をするのが望ましいです。

返信文の例(メール)

Re:採用の合否につきまして(先方のメール件名を変更せず返信)

 

株式会社○○

採用担当 ■■様

お世話になっております。

本日貴社より内定のご連絡をいただきました転職太郎と申します。

この度は、採用のお知らせをいただき、ありがとうございました。

心より感謝し、謹んでお受けさせていただきます。

これまでの経験を生かし、一日も早く貴社の戦力と慣れるよう精進してまいります。

今後とも、何卒よろしくお願いいたします。

取り急ぎ、御礼申し上げます。

署名

他者の選考が終わるまで内定を保留したい場合は、その旨を伝えましょう。内定を保留してもらえる期間は通常1週間、長くて2週間程度が一般的です。

※失礼にならない保留の伝え方については→『転職時の内定保留、失礼にならない伝え方』

内定通知書を受け取ると安心

内定を獲得したことを証明できる書類として内定通知書があります。内定通知書があれば、万が一企業に内定を取り消された場合も、不当だと申し立てやすくなるでしょう。内定通知への返事の際、「内定通知書をいただくことは可能でしょうか?」と尋ねてみてください。

企業の都合上内定通知書がもらえそうにない場合は、メールなどのやり取りをしっかりと残しておくと、内定通知書の代わりになります。

内定と内々定の違いは契約の有無

内定と内々定の違いは、内定:雇用契約、内々定:採用予定※まだ雇用契約はない

内定のさらに前に企業と結ばれる口約束として、内々定があります。内定と内々定の最大の違いは契約の有無。「内々定」は企業の採用「予定」通知であり、法的拘束力はありません。そのため、企業は容易に取り消すことができます。

内々定は、内定を出せる時期が限られている新卒者の採用で使われる言葉であり、転職者に出されることはほとんどありません

内定が取り消しになる場合の理由

内定が取り消されることはめったにありませんが、以下のような場合には取り消される可能性があります。労働基準法でも、以下のような「客観的に合理的な理由」がある場合は解雇(内定取り消し)が認められるとされています。

内定取り消しの理由5例:・経歴詐称・仕事に支障が出る病気、怪我・反社会的行為を犯す・入社日までに卒業、退職ができない・企業側の経営困難

1経歴を詐称していた

履歴書・職務経歴書で採否に関わる嘘をついており、それが明らかになった場合です。大学名や職歴、資格やTOEICの点数など合否の判断に深く影響する部分については、必ず正直に申告しましょう。

2仕事に支障が出るような病気・怪我

「3日に一度は病院に行く必要がある」「体を動かす業務ができない」など、仕事に支障をきたすような健康上の問題が内定後に生じた場合です。

ただし妊娠の場合は健康異常ではないため、内定取り消しの正当事由には当たりません。

3犯罪や社会的に認められない行為をした

入社前に犯罪や社会的に認められない行為をした場合です。たとえ逮捕後、不起訴になった場合でも、内定取り消しはあり得ます。社会的に認められない行為としては「SNSに迷惑行為をアップした」「内定後の研修を頻繁に遅刻・無断欠席した」などが挙げられます。

4入社日までに卒業・退職できなかった

前職との調整がうまくいかなかったり、学校で単位が取れなかったりして入社日までに卒業・退職できなかった場合です。自身が入社日から勤務するという契約を守れていないため、企業からの契約解除も正当な理由となります。

5企業側が採用できるような経営状態ではなくなった

会社が破産した場合はそもそも業務を続けられないため、内定取り消しもやむを得ないと判断されます。経営状況が悪化した程度の場合は、内定取り消しが唯一の合理的な選択肢であると企業側が示す必要があります。

不当な理由にはどんなものがある?

不当な内定取り消し理由としては、以下のようなものが挙げられます。この場合、高い確率で内定取り消しは無効になります。これらの理由によって留年や他社の内定取り消しなどの損害を被った場合は、損害賠償請求を視野に入れても良いでしょう。

  • 社風に合わない
  • 労働組合に所属している
  • 宗教に入信している
  • 夜のお店でアルバイトをしていた
  • 決算で赤字になった
  • 定員以上に採用してしまった

内定が決まった後の3ステップ

内定決定後の流れ:【入社日を決定】内定の2-3ヶ月後が理想【職場報告・退職交渉】退職日の1.5-3ヶ月前に切り出すのがベスト【引き継ぎ・有給消化】入社に必要な書類の準備を行う【退職】の順。

内定を承諾し、無事に内定決定となった後は以下のステップを踏むことになります。大まかな流れを事前に把握しておきましょう。

1入社日を決める

内定が決まったら、まず入社日を調整する必要があります。電話もしくはメールで転職先の採用担当者に連絡しましょう。入社のタイミングは、おおむね内定の2~3ヶ月後までが理想です。

※より詳しくは→『転職を成功させる、入社日の決め方と交渉法

2退職準備を進める

入社日が決まったら、退職準備を進めます。円満退職を目指して、「職場報告→退職交渉→引継ぎ・有給消化→正式に退職」の流れを着実に進めましょう。退職を切り出すベストタイミングは退職日の1.5~3ヶ月前です。

3入社手続きを進める

退職前の引継ぎ・有給消化期間に入社手続きを進めましょう。給与振込先口座の通帳、源泉徴収票、年金手帳など入社に必要な書類の準備を行ってください。タイミングによっては入社前に健康診断を受ける必要がある場合もあります。

内定前後に条件交渉をする場合は

給与や福利厚生などについて転職先と交渉する条件面談(オファー面談)は、内定前・内定後のいずれかに行われます

内定前の条件面談は、交渉の自由度がある程度高いです。「理想の給与・待遇」と「最低限譲れない給与・待遇」の2パターンを用意して企業との交渉を行いましょう。理想と最低限のラインが分かることで、企業側もあなたに合った条件を提示しやすくなります。

一方、内定後の条件面談は、すでに内定通知書に記載された条件が問題ないかの最終確認という意味合いが強いです。そのため、給与・待遇のアップを狙うというよりも、働き出してからのイメージを会社と共有するために行うことを意識して臨むことをおすすめします。

内定を辞退したい場合は速やかに連絡

すみませんが、内定を辞退させてくださいと電話をするサラリーマン

すでに内定を承諾してしまったものの内定を辞退したくなった場合は、速やかに電話で連絡しましょう。迷惑をかけてしまったことを自覚し、誠意を込めて謝罪することが大切です。

とくに現在の活況な新卒の就活状況では、本命企業の選考前に他の企業の内定承諾の期限が来てしまうなど、結果的に辞退せざるをえないケースも多いようです。できるだけ早く、誠実な謝罪とともに意思を伝えましょう。

※具体的な内定辞退の伝え方について知りたい方は→『波風を立てずに内定を辞退する方法

まとめ

内定とは、労使間で雇用契約が成立することを意味します。つまり内定の時点ですでに労働契約は部分的にスタートするのです。

企業の一方的な内定取り消しは無効になることが多い一方、労働者が内定辞退をすることは法的な問題には問われません。

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